企業兼大株主日産自動車東証プライム:7201】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1) 経営方針及び経営戦略等

 当社グループは、「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける。」というコーポレートパーパスを定めた。これは長年にわたり掲げてきた企業ビジョン「人々の生活を豊かに」を踏まえ、創業以来大切にしてきた“他がやらぬことをやる”という精神を引き継ぎながら、日産は何のために存在するか、どのように役割を果たすのか、企業としての存在意義を明確化したものである。そして、サプライヤーや販売会社の皆様との関係をさらに強化し、共にビジネスモデルを発展させていく。

グローバルなあらゆる事業活動を通じて企業として成長し、経済的に貢献すると同時に、世界をリードする自動車メーカーとして、社会が直面する課題の解決に貢献することも私たちの使命である。日産は、お客さま、株主、従業員、地域社会などすべてのステークホルダーを大切に思い、将来にわたって価値ある持続可能なモビリティの提供に努める。さらに、持続可能な社会の発展に貢献し、「ゼロ・エミッション」「ゼロ・フェイタリティ」社会を目指し、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現することを目標としている。

 この目標に向け、2021年11月には、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表し、2030年度に向けて、当社が進むべき道を示した。

 さらに、2024年3月に、自社の価値と競争力を向上させる新たな経営計画「The Arc」を発表した。当社は新型車の積極的な投入、電動化の推進、開発・生産方式の革新、新技術の採用や戦略的パートナーシップなどで構成される本計画により、販売台数の増加と収益性の向上を目指す。

 本計画は、2020年度から2023年度にかけて実行した事業構造改革「Nissan NEXT」と長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の架け橋となるもので、2024年度から2026年度までの中期の取り組みと、2030年度までの中長期の取り組みから構成されている。

 中期の取り組みとしては、地域毎に最適化した戦略を通じて販売台数を拡大し、電動車両とエンジンを主動力源とするICE車のバランスの取れたポートフォリオ、主要市場での販売増、財務規律の徹底によって、事業基盤を堅固なものとする。続いて、中長期的には、電動化を加速させ、パートナーシップや新たな収益機会を活用しながら最終的な目標達成に向けて取り組む。そして、2026年度末までに年間販売台数を100万台増加させ、営業利益率は2026年度までに6%以上、2030年度には8%を目指す。

<バランスの取れた商品ポートフォリオ>

 当社は今後3年間で30車種の新型車を投入するが、そのうち16車種を電動車両、14車種をICE車とし、バランスの取れたポートフォリオで多様なお客さまのニーズと市場毎に異なる電動化のペースに対応する。2024年度から2030年度の間には、計34車種の電動車両を投入してすべてのセグメントをカバーし、グローバル全体における電動車両のモデルミックスは2026年度に40%、2030年度には60%になる見込みである。

<市場毎に最適化された戦略>

 主要市場において2026年度までに実行する主な取り組みは以下のとおりである。

 アメリカズ

- 地域全体の販売台数を2023年度比で33万台増加させ、米国では統合型カスタマーエクスペリエンスの向上のために2億米ドルを投資

- 米国とカナダで、7車種の新型車を投入

- 米国で乗用車モデルラインアップの78%を刷新し(日産ブランド)、e-POWERとプラグインハイブリッドを搭載したモデルを投入

 中国

- 日産ブランド車のラインナップの73%を刷新し、新エネルギー車8車種を投入(4車種の日産ブランド車を含む)

- 販売台数を20万台増加し、2026年度に年間販売台数100万台を目指す

- 2025年から輸出を開始し、第一段階として10万台レベルを目指す

- 継続して合弁パートナーと生産能力を最適化

 日本

- 乗用車モデルラインアップの80%を刷新し、5車種の新型車を投入

- 電動車のモデルミックスを70%へ向上(乗用車)

- 販売台数を2023年度比で9万台増加させ、2026年度に年間60万台の販売を目指す

 アフリカ、中東、インド、欧州、オセアニア

- 地域全体で販売台数を2023年度比で30万台増加

- 欧州:6車種の新型車を投入。EVの販売構成比を40%へ向上(乗用車)

- 中東:5車種の新型SUVを投入

- インド:3車種の新型車を投入し、10万台レベルの輸出を目指す

- オセアニア:1トンピックアップとCセグメントクロスオーバーEVを投入

- アフリカ:2車種の新型SUVを投入。AセグメントのICE車を拡大

<EVの競争力>

 これらの新型車を投入していくため、当社は新たなアプローチで、手頃な価格で収益性の高いEVの商品化を実現していく。複数のEVのファミリー開発、パワートレインの一体化、次世代モジュラー生産、グループソーシング、バッテリーの革新などにより次世代EVのコストを30%削減(現行アリア比)し、2030年度までにEVでICE車と同等のコストとすることを目指す。

 ファミリー開発では、メインモデルをベースに開発する後続モデルの開発費を50%、トリム部品のバリエーションを70%削減し、開発期間を4ヶ月間短縮する。また、次世代モジュラー生産方式を採用することで、車両生産ラインを短縮し、台当たりの生産時間を20%短縮していく。

 また、革新的な生産技術で次世代のクルマづくりを行うとともに、カーボンニュートラルの実現に貢献するニッサン インテリジェント ファクトリーを国内外の工場に拡大し、2026年度から2030年度にかけて、日本の追浜工場と日産九州、英国のサンダーランド工場、米国のキャントン工場とスマーナ工場で導入を開始する。世界初の電気自動車生産ハブEV36Zeroについては、英国のサンダーランド工場から、米国のキャントン工場、デカード工場、スマーナ工場、日本の栃木工場、日産九州に2025年度から2028年度にかけて採用していく。

<新技術>

「The Arc」の計画下では、知能化技術もさらに進化させ、高速道路から一般道、敷地内、最終目的地までドアツードアの自動運転技術を実現する次世代プロパイロットを投入する予定である。また、当社はさまざまなお客さまのニーズに対応する多様なEVを提供するため、ニッケル、コバルト、マンガン(NCM)リチウムイオンバッテリーを進化させ、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーと全固体電池(ASSB)を投入し、多様なバッテリーをそのラインナップへ追加していく。NCMリチウムイオンバッテリーでは、アリア比で急速充電時間を50%削減し、エネルギー密度は50%向上させる。国内で開発、生産するLFPバッテリーはサクラ比でコストを30%削減する。これらの進化したNCMリチウムイオンバッテリー、LFPバッテリー、全固体電池を搭載したEVは、2028年度に投入する予定である。

<戦略的パートナーシップ及び新たなビジネス機会>

 当社は競争力を維持し、グローバルな商品ポートフォリオや技術を提供するために、戦略的にパートナーシップを活用していく。欧州、ラテンアメリカ、ASEAN、インドにおいては、ルノー及び三菱自動車工業株式会社とのアライアンスを引き続き活用する。また、中国の現地資産をフルに活用し、中国とその他の国々のニーズを満たしていく。日本と米国においては、新たなパートナーシップを模索していく。それらのスマートパートナーシップの活用、EVの競争力向上、イノベーションによる差別化、新たな売上の機会などを通じて、EV移行と長期的な収益ある成長を目指す。

<財務規律の徹底:レジリエントで収益性の高い業績を実現>

 当社は財務規律を徹底しながら、研究開発費と設備投資額を総売上高の7%から8%の範囲に維持し、バッテリー設備へは4,000億円以上を投資することを計画している。また、電動化への投資は段階的に増加し、2026年度までに全体の70%以上を占めるようになる。

 これらの投資を適切に管理することで、すべてのステークホルダーに価値を提供していく。「The Arc」は、当社の競争力を強化し、持続可能な収益性を実現するための包括的な計画である。本計画を通じて、「Nissan Ambition 2030」を実現するために必要な確固たる基盤を構築していく。

<経営指標の改善に向けて>

2024年3月末時点の当社株価は608円30銭、PBRは0.4倍程度と割安な水準であると認識している。

 当社は、株主還元と資本効率の向上、財務フレキシビリティの維持、そして将来の成長に向けて、継続的に財務パフォーマンスを改善することに取り組んでいる。

 前述のとおり、「The Arc」において、販売台数については2023年度比で100万台増加、営業利益率については2026年度までに6%以上、2030年度には8%を目指すことを発表した。

 当社は、電動化への投資を行った後も、M&A実行前フリーキャッシュフローはポジティブを維持し、自己株式取得と配当金の増配により、株主総還元率を30%以上確保することを目指す。また、ネットキャッシュは1兆円レベルと健全な水準を維持することを目指している。

2023年度では、ルノーグループからの5%の自己株式取得と年間配当金による株主総還元率は、約46.2%となる。また、2024年4月1日の自己株式取得と2024年度の配当見通しでは、株主総還元率30%以上を見込んでいる。

「The Arc」は、当社の競争力を強化し、持続可能な収益性を実現する。その結果、投資家やアナリストが私たちの基盤となるパフォーマンスと戦略の進展を評価し、株価とPBRの改善に寄与するものと考えている。

 当社は90年にわたり、他がやらぬことに挑戦してきた。人にワクワクを提供する、先進のモビリティを提供するグローバルカンパニーであり続けるために、人・地域・社会に寄り添いながら、事業を展開していく。次世代プロパイロットに代表される運転支援技術に加え、アクティブセーフティとAI技術を融合させたシステムで、ゼロ・フェイタリティの目標へさらに近づくことを目指している。革新的な技術で次世代のクルマづくりをサポートし、カーボンニュートラルの実現に貢献するニッサン・インテリジェント・ファクトリーやEV36Zero、そして、次世代モビリティサービスを通じて、より多くの人の自由な移動を実現し、エネルギーマネジメントサービスを通じて、エネルギーをより効率的に活用していくことを目指している。

 社会に貢献するという強い意志と、その取り組みを支える企業文化のもと、当社はこれからも、目標に向かってイノベーションをドライブし続け、移動の可能性を広げ、次世代のために素晴らしい未来の実現を目指す。

(2) 2023年度の経営環境及び主要な経営指標

2023年度は、新型コロナウイルスの鎮静化や半導体の供給不足の解消などにより、経済活動は正常化に向かった。しかしながら、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中東での紛争勃発などに伴い、地政学リスクはさらに高まり、急激な為替変動やインフレーションなどの影響もあいまって、事業環境は絶えず変化した。

 当社は、引き続き地政学的リスクの高まり、急激な円安、物流費の高騰、インフレーションや電動化に伴う市場の分断化などの影響を受けた。

 こうした環境下で、当社グループの当期の経営成績、業績目標とその達成度は下記のとおりとなった。

 当社グループのグローバル小売台数は前年度比4.1%増の344万2千台となり、売上高は12兆6,857億円と前連結会計年度に比べ2兆890億円(19.7%)の増収となった。営業利益は5,687億円と前連結会計年度に比べ1,916億円(50.8%)の増益となった。

2020年5月にスタートした「Nissan NEXT」は、当社固有の課題に対応すべく、それまでの事業規模拡大による成長戦略から転換し、収益性を重視しながらコストを最適化することで、持続的な成長と安定的な収益確保を目指すものであった。当社は一歩一歩、着実に取り組みを進めた結果、全ての地域で販売の質を重視しながら、着実に成果を挙げることができた。生産能力と商品ポートフォリオの最適化に取り組み、いずれも20%削減した。また、新型車を積極的に投入し、12車種を発売し、アリアとサクラの投入によりEVのラインアップを充実させ、e-POWERをB、Cセグメントへと拡大した。

 アライアンスにおいては、より高い価値を生み出すコラボレーションに焦点を当て、新たな章を開いた。

 最終的に、新型コロナウイルスの感染拡大、供給制約、その他市場の変化により、販売台数の目標を達成することはできなかったが、「Nissan NEXT」の目標はほぼ達成することができ、最も重要なことは将来に向けた強固な基盤が確立されたことである。

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当連結会計年度における事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりである。

・元会長らの不正行為に関連した事項

 当社の元代表取締役が金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)で起訴されるとともに、元代表取締役会長においては会社法違反(特別背任罪)でも起訴された。併せて当社自身も金融商品取引法違反により起訴された。当社はこの事態を重く受け止め、独立第三者及び独立社外取締役で構成されるガバナンス改善特別委員会を設置し、2019年3月27日に同委員会からガバナンスの改善策及び、将来にわたり事業活動を行っていくための基盤となる健全なガバナンス体制の在り方についての提言をまとめた報告書を受領した。これを受け、当社は指名委員会等設置会社へ移行した。

 当社は、2019年9月9日の取締役会において、監査委員会よりゴーン氏らの不正行為に関する社内調査の報告を受けた。2019年9月9日付の「元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について」と題する適時開示に記載したとおり、本報告では、ゴーン氏らによる不正行為を認定している。そのうち、ゴーン氏の会社資産の私的流用等及び販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為は、以下のとおりである。2019年9月9日以降、当有価証券報告書提出日時点において、下記の内容に特段の変更は生じていない。今後、下記の内容に重要な進展が生じた場合には、法令等に基づき開示する。

A) ゴーン氏の会社資産の私的流用等

 ゴーン氏は、以下を含む様々な方法で当社の資産を私的に流用した。

・将来性のある技術に投資するとの名目で子会社Zi-A Capital社を設立させ、同社の投資資金のうち約2,700万米ドルを、ブラジル(リオデジャネイロ)及びレバノン(ベイルート)所在のゴーン元会長個人のための住宅の購入に流用したほか、会社資金で秘密裏に購入又は賃借した住宅を私的に利用した。

2003年から10年以上にわたり、実体のないコンサルティング契約に基づくコンサルタント報酬名目で実姉に合計75万米ドルを超える金銭を支払った。

・コーポレートジェットを自身及び家族の私的用途に使用した。

・会社の資金を家族の旅費支払いや、個人的な贈答品支払いなどに充てた。

・業務上の必要性がないにもかかわらず自身の出身国の大学への200万米ドルを超える寄付を会社資金で行わせた。

・2008年、ゴーン氏は個人的に締結した為替スワップ契約のもと約18億5,000万円の含み損を抱え、事実と異なる取引内容を取締役会に説明したうえ為替スワップ契約を当社に承継させて、かかる含み損を当社に承継させた(金融当局の指摘を受け、2009年、当該為替スワップ契約は秘密裏にゴーン氏の関連企業に再承継された)。

・2018年4月以降、三菱自動車工業株式会社との間で設立した合弁会社であるNissan-Mitsubishi B.V.(以下「NMBV」)から、給与・契約金名目での取締役会決議を欠く支払い合計780万ユーロを受領した。

B) 販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為

 ゴーン氏は、国外の知人から私的な資金援助を得ていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該知人の経営する企業に対し、自身とその直属の特定少数の部下が承認すれば金銭支出が可能となる予備費予算(CEOリザーブ)を使用して、特別ビジネスプロジェクト費用などの名目で合計1,470万米ドルの支払いを行わせた。

 また、国外の販売代理店の関係者からゴーン氏自身又はその関係企業に対して数千万米ドルの支払いがなされていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該販売代理店に対し、CEOリザーブを使用して、販売奨励金名目で合計3,200万米ドルの支払いを行わせた。

 金融庁長官から、2019年12月13日付で審判手続開始決定通知書を受領した。これにつき、当社は、課徴金に係る事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書を2019年12月23日に提出した。その後、2020年2月27日付で金融庁長官から24億2,489万5,000円の課徴金納付命令の決定の送達を受けた。

2022年3月3日、当社は東京地方裁判所から金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)により、罰金2億円に処するとの有罪判決を受けた。当社は、当社に対する当該判決を厳粛に受け止め、判決の主文並びに理由として述べられた事項を慎重に検討した結果、当該判決に対する控訴を行わないことを決定した。その後、当社及び検察官のいずれも刑事訴訟法が定める控訴期間内に控訴しなかったため、当該判決は確定した。

 上記課徴金に関して、金融商品取引法第185条の8第6項の規定に基づき、当該刑事裁判の判決による罰金額である2億円を控除し、課徴金の総額を22億2,489万5,000円に変更する処分が2022年4月26日付で行われた。当該課徴金については、すでに全額納付済である。

 また、ゴーン氏がNMBV及び他の当社の子会社に対してアムステルダム地方裁判所に提起した不当解雇訴訟において、NMBVは、ゴーン氏がNMBVから不正に着服した資金の返還を求めゴーン氏に対し反対請求を提起した。アムステルダム地方裁判所は、2021年5月20日に出された判決においてゴーン氏の請求を棄却し、ゴーン氏に対し約500万ユーロの返還を命じたが、ゴーン氏は2021年8月20日に控訴状をアムステルダム高等裁判所に提出した。その後NMBVが提出した交差控訴及び防御の結果、2022年8月23日にアムステルダム高等裁判所による判決が出され、ゴーン氏の請求は大部分が棄却されるとともに、ゴーン氏に対し約420万ユーロの返還が命じられた。上告期限の経過により判決は確定した。

 ゴーン氏による会社資金の不正使用により購入された住居の一部については、売却が完了している。

 当社は、既に英領バージン諸島においてゴーン氏及びその関係者を相手に、豪華ヨットに対する仮処分命令を申立て、同命令を得た上で、損害賠償等を求めて訴訟を提起し、また日本国内においても、2020年2月12日にゴーン氏に対し、2022年1月19日に当社元代表取締役ケリー氏に対し、損害賠償請求訴訟を提起しているが、本社内調査結果を踏まえ、今後も、ゴーン氏らの責任を明確にすべく、ゴーン氏らの法令違反や不正行為によって被った損害の回復のため法的措置を含めた必要な対応をとっていく方針である。

 指名委員会の選出による経営層の新体制が2019年12月に発足、内部監査による監督機能を強化したこと、などに見られるように、種々の再発防止策に取り組んでいる。

 当社は、2020年1月16日に東京証券取引所に提出した改善状況報告書に記載した改善措置の継続的実施を含め、これからも必要な改善を随時検討するなど、引き続きガバナンスの向上に努めるとともに、企業風土の改革、企業倫理の再構築、企業情報の適切な開示、コンプライアンスを遵守した経営に努めていく所存であることを表明している。

・公正取引委員会からの勧告に関連した事項

2024年3月7日、当社は公正取引委員会から、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という。)の適用対象となる事業者との取引に関して、下請法に基づく勧告を受けた。

 これは、当社が、下請法の適用対象となる事業者36社との取引において、当該事業者から割戻金を受け取った行為の一部が、下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の違反と判断されたものである。本勧告において下請代金の減額に該当すると判断された割戻金の総額は、2021年1月から2023年4月までの約30億円である。当社は、既に、本勧告の対象下請事業者に対して、下請代金の減額に該当すると判断された金額を返金するとともに、割戻金の運用自体も廃止した。

 当社は、本勧告を大変重く受け止めている。サプライヤーの皆様との強固な信頼関係なくして双方の事業の発展は成し得ない。法令の遵守状況についての定期的な点検、並びに役員や下請取引に関わる従業員への教育の徹底及び定期的な研修の実施などを通じて、法令遵守体制を強化するとともに、再発防止策の徹底に取り組み、今後の取引適正化を図っていく。

 取引先との関係をさらに強化し、双方に価値を創造し、法令遵守の徹底のための更なる取り組みの一環として、法令違反の疑いなどがある場合に、取引先から匿名で意見を集約するホットラインを外部に設置する。さらに、モノづくり部門、並びに、関連部署の担当者からなる社長直轄の「パートナーシップ改革推進室」を新設した。このチームは、積極的に取引先のもとに足を運び、懸念事項を正しく理解し、頂いた声を速やかに社内にフィードバックして、必要な対応を迅速に講じることができるようにする。各部署の通常窓口に加え、新たに2つのルートを設けることで、取引先の状況把握、法令遵守の徹底をより一層図っていきたいと考えている。

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