テノ.ホールディングス
【東証スタンダード:7037】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、以下の経営理念を掲げて事業展開を行っております。
「私たちは、女性のライフステージを応援します。」
「私たちは、相手の立場に立って考えます。」
「私たちは、コンプライアンスを推進します。」
「私たちは、事業を通して社会貢献致します。」
当社グループは、“女性”が育児をしても、家事をしても、介護をしてもなお、働き続けるためには、「いったい何が必要なのか」を基本に事業展開してまいりました。豊かな社会を築くためには、あらゆる場面でさまざまな発想で多くの知恵を出すことが必要です。そういった「より私らしく」と願う女性たちに対してサービスを提供することを事業コンセプトとしております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2025年12月期から2027年12月期を最終年度とする「中期経営計画(2025年~2027年)」の中で、最終年度にあたる2027年12月期における目標計画として連結売上高20,150百万円、営業利益696百万円を掲げております。なお、2025年2月13日に前回公表(2024年2月14日)の中期経営計画のローリングを実施し、以下のとおり、新たに2025年から始まる3か年の中期経営計画を策定しております。
連結数値目標
| 2025年度目標 (2025年12月期) | 2026年度目標 (2026年12月期) | 2027年度目標 (2027年12月期) |
売 上 高(百万円) | 17,800 | 18,800 | 20,150 |
営 業 利 益 | 440 | 598 | 696 |
(3)経営環境
当社グループを取り巻く事業環境は、2024年度末に最終年度を迎える「新子育て安心プラン」による保育の受け皿整備が進んだことにより、待機児童は2017年ピーク時の26,081人から大幅に減少し、2024年4月時点では2,567人まで改善いたしました。一方で、婚姻数減少等による少子化には歯止めがかからず、2022年以降の出生数は80万人を下回り過去最少の水準となっております。政府は「次元の異なる少子化対策」の骨太方針として「こども大綱」及び、その加速化プランとして「こども未来戦略」を2023年12月に閣議決定し、2024年度から2026年度末までの3年間の少子化対策にかかる計画を示しております。
そうした流れを踏まえて、政府は子どもに関する政策を一元化するため、2023年4月に「こども家庭庁」を設置し少子化対策の強化に取り組むことを閣議決定し、2024年5月には「こどもまんなか実行計画2024」が策定されました。さらに、2024年6月「子ども・子育て支援法」の改正法案が国会で可決されたことにより、2024年10月には児童手当が拡充され、2026年4月「こども誰でも通園制度」の本格実施を見据えた試行的事業実施が、2024年度より開始されております。
こうした政府の方針を受け、引き続き、国策としての少子化対策が強化され市場の拡大が見込まれるとともに、地域福祉を支える社会インフラとして当社グループが行う事業の役割は、これまで以上に重要性を増すものと考えております。
当社グループが、担うべき役割や果たすべき責任は、今後ますます大きくなってくるものと見込んでおり、社会的な要請や多様化するニーズにしっかりと応えることができる企業集団となっていくことが必要であると考えております。
そのため、2030年12月期のあるべき姿(理想像)として、
「teno VISION 2030」
~時代に求められるサービスを提供するプロフェッショナル集団となり、働き手にとって最も自己実現が可能な家庭総合サービスグループを目指す。~
を掲げ、その実現に向けた取組みを盛り込んだ「中期経営計画」を策定しております。なお数値目標については、経営環境の変化等に柔軟に対応するため原則として毎期改定を行うローリング方式を採用しております。
① 「teno VISION 2030」
当社グループのボトルネックとなりうる“人材”への戦略的アプローチにより理想的な循環(「人材を持続的に確保・育成できる」→「価値の高い時代ニーズに合ったサービスを提供できる」→「保護者、自治体や企業等から選ばれる」→「グループの総合力が発揮され利益を生み出している」→「働き手にとって最適な環境が整っている」→「人材を持続的に確保・育成できる」→・・・)を実現させることで、当社グループのステークホルダーの皆さまから選ばれる企業集団となることを目標としております。
「teno VISION 2030」の最終年度である2030年12月期においては、連結売上高300億円を達成することを目指し、既存事業の拡大、M&Aによる事業拡大、新規事業の創出に注力してまいります。
なお、最終年度の数値目標については、2025年2月13日に公表いたしましたとおり、計画策定からの当社グループを取り巻く経営環境や事業環境の変化を踏まえ見直しております。売上高は500億円から300億円へ変更し、新たに営業利益率を5%以上とする数値目標を設定いたしました。
② 「中期経営計画(2025年~2027年)」
「teno VISION 2030」の実現に向けて「中期経営計画(2025~2027)」においては主力事業の安定成長と新規事業への取組みを基本方針として掲げ、以下の重点施策に取組んでまいります。
イ.保育事業(公的保育・受託保育)における事業拡大(M&Aによる事業拡大も含む)
ロ.「サービス品質」を追求し、選ばれる施設づくりを行う
ハ.人事制度と人材育成制度の一体改革に着手する
ニ.新規事業(保育以外の主力事業へ)を立ち上げる(将来への投資として、多くの種まきを行う)
ホ.介護事業における事業拡大に注力し、保育事業に続く柱の事業へ成長させる
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営戦略を立案し、企業価値を最大限に高めることに努めております。当社グループが今後より一層の業容拡大を推進し、より良いサービスを実現するためには、様々な課題に対処していくことが必要であり、以下の項目を対処すべき課題として認識しております。なお、最重点課題として人材の確保を掲げ、「teno VISION 2030」の達成に向けて「人材を持続的に確保・育成できる」ことを最初の取組みとしており、当社グループが考える理想的な循環実現のために対応してまいります。
① 人材の確保
当社グループ運営施設の増加に伴い、保育士、調理師、看護師、介護士等の資格を有する優秀な人材の確保が急務となっています。
特に保育士の有効求人倍率は依然全国的に高位に推移しており、大都市圏を中心に採用が難しい状況が続いております。このような中、当社グループではこれまでの経験者を中心とした採用から新卒者採用に注力しており、また人材紹介会社経由の採用に依存しない採用経路確保に継続して取組んでおります。さらに給与条件の改善をはじめ、多様な働き方のためのキャリアパス設計、研修制度の充実、人事評価制度の見直し等を通じた総合的な処遇改善への取り組みや、保育園と本部が一体となって保育士の働きがいの向上に取り組むプロジェクトとしてチームエンゲージメントセンター(TEC)を立ち上げるなど、優秀な人材の確保に向けた施策を推進しております。
また、メンタルヘルス対策を強化するなど、従業員が安心して働くことができるように職場環境の改善や相談窓口の拡充を図ってまいります。
② 人材の育成
当社グループでは、テノスクール(tenoSCHOOL)の運営を通じて、保育士資格取得やベビーシッター向けの講座、子ども・子育て支援研修制度による自治体主催研修への講師派遣等を通じ、人材の育成・教育を実施しております。また当社グループ運営施設においては、保育専門性向上のスキルアップ研修や安全・アレルギー研修等を通じ、常に質の高いサービスを提供するために、人材への継続的な教育投資を実施しております。
今後当社グループが担うべき役割や果たすべき責任は、今後ますます大きくなってくると見込んでおり、社会的な要請や多様化するニーズに対してしっかりと応え続けるべく、人材の育成に継続して努めてまいります。
③ 保育の質の維持・向上
当社グループでは、保育事業を株式会社テノ.コーポレーション及びオフィス・パレット株式会社が担っております。公的保育及び受託保育といった事業特性に応じた組織運営によりノウハウの集約を図り、効率的・組織的な管理体制を構築しています。また、研修機会の充実や総合的な処遇改善等による働き方改革の推進により、保育の質の維持・向上に努めてまいります。
重ねて保育の現場では、保育士等の職員がより保育に集中できる環境作りや一人一人の児童に対してしっかりと向き合う機会を作る仕組みの構築に努めております。具体的には、タブレット機器の導入や見守りカメラの設置といった保育施設のICT化(コンピューター技術を活用した保育業務の支援機器等の導入)を推進しております。
④ コンプライアンスへの取組み
当社グループでは、保育事業や介護事業等を展開するにあたって根拠となる法律・条令等の遵守は、厳格に実施しております。
また、当社グループが有している施設利用者等の個人情報についても、法律に則った取扱いを徹底しております。
さらに、ハラスメントについても当社グループでは相談窓口を設置し早期発見、早期解決に努め、厳格に対応してまいります。
これらコンプライアンスへの取り組みとして、社内規程の拡充整備を進め、社員研修等により日常的にコンプライアンスへの意識を高め、適正に業務を遂行してまいります。
⑤ 安定的な資金調達の確保と財務基盤の強化
今後も継続的に公的保育施設の開設やM&Aを推進するためには、必要な投資資金を安定的に確保することが重要となります。当社グループでは、複数の金融機関との継続的取引を通じた安定調達、財務安全性を高める諸施策の実施による財務基盤の強化を進め、安定的かつ機動的な資金調達に努めております。
⑥ M&AとPMIの推進
当社グループは、M&Aを推進することで、サービス領域の強化・拡大などに取り組んでおります。今後は、PMIを通じて当社水準の経営管理体制を構築しつつ、当社グループの成長に寄与する案件の適切な実行を積極的に推進してまいります。
また、PMIの推進においては、経理、総務、人事面の各部門間の連携によりグループ会社の成長を支援するとともに、グループ会社向けの経営管理部門の体制を強化し、グループ全体での経営基盤をさらに強固にしてまいります。
⑦ 事業基盤安定化のための新規事業への着手
当社グループの保育事業における公的保育施設は、国及び自治体の保育所に対する政策変更等に大きく影響を受けております。また受託保育所につきましても、クライアント企業の業績変動等に影響を受けております。
一方、当社グループは、「私たちは、女性のライフステージを応援します。」を経営理念の一つに掲げ、女性が育児をしても、家事をしても、介護をしてもなお、働き続けるために「いったい何が必要なのか」を基本にこれまで事業展開しており、ベビーシッターサービス、ハウスサービス、保育人材の紹介・派遣、人材教育を行うテノスクール(tenoSCHOOL)、企業や病院が事業所内保育所を開園するにあたり開園に係るアドバイスを行うコンサルティング事業、結婚相談所事業、保活事業(保活アシスト)等多様な事業を展開しております。
当社グループは、保育事業への上記の課題を踏まえ、事業基盤をより整備・安定化させるために、これら既存事業の一層の拡大に加え、介護事業や生活関連支援事業など経営理念に合致した各種サービス等、当社グループの事業ドメイン(コア・コンセプト)を意識した新たな事業を積極的に展開してまいります。
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