日本ケミコン 【東証プライム:6997】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社は企業理念として「環境と人にやさしい技術への貢献」を掲げており、世の中を支える技術とその発展は環境や人を傷つけるものであってはならないこと、そして、電子部品の開発・製造を通じてモノづくりを支え確かな技術で社会に貢献することを存在意義としております。係る理念に基づくサステナビリティへの取組みは、中長期的には①レジリエンスの強化によるリスクの低減と②質の高い成長力によるキャッシュ・フローの増加をもたらし、持続的な企業価値の向上に資するものと考えております。特に、今般の不確実性の高い事業環境におきましては、変化にいち早く対応する適応力とイノベーションによる競争力の獲得が重要であり、企業価値の源泉である人的資本への投資や気候変動問題への対応等は注力すべき経営課題であると認識しております。
(2)サステナビリティに関する取組(ガバナンス及びリスク管理)
サステナビリティ戦略を含む意思決定と監督は取締役会によって行われております。また、サステナビリティに関連する全社的リスクは、各専門的な知見を集約してリスクマネジメント委員会が行動計画を策定し、その実施状況をモニタリングしております。
なお、委員会は年2回、取締役会と経営委員会にリスク管理状況を報告しております。
(3)気候変動に関する取組(ガバナンス、戦略、リスク管理並びに指標及び目標)
当社では、気候変動が事業継続に影響を及ぼす重要課題と認識し、2022年3月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」)」による提言への賛同を表明いたしました。TCFDの枠組みに沿って、気候変動が当社の事業に影響を及ぼすリスク・機会を分析し、経営戦略に反映するとともに、気候変動に関わる財務情報の開示に取り組んでまいります。
なお、詳細につきましては、下記ページをご参照ください(2022年度に係る情報の記載につきましては、2023年6月末に下記ページを更新予定であります)。
https://www.chemi-con.co.jp/company/sustainability/environment/tcfd.html
ガバナンス
当社ではリスクマネジメント委員会にて、気候変動に関わる議論や気候変動への取組み状況の評価・管理を行います。リスクマネジメント委員会から経営委員会及び取締役会へ、リスク及び機会を含めた事業に影響する可能性のある気候関連情報について年2回の報告を行い、取締役会が指示・監督を行います。また、気候変動をはじめとする環境リスクや環境課題に関する問題の解決に向けた取組みを環境委員会にて行います。環境委員会では、実行部門への取組み展開、脱炭素や省エネルギーへの取組みの進捗管理を行い経営委員会及びリスクマネジメント委員会へ報告いたします。
戦略
気候変動に関連した当社事業へのリスク・機会を識別・評価した結果、以下のようになりました。
リスク/機会 | 項目 | 影響度 | 期間 | 想定される事象と対策 | |
移行リスク | 市場 | 気候変動に関連する顧客要求を満たせない場合のリスク | 大 | 短期 ~ 中期 | (想定される事象) 1.5℃シナリオでは、気候変動に関連する技術への対応、その他要求事項の増加が想定され、顧客要求を満たせない場合、当社の売上減少が想定される。 (対応策) ①現在当社の最重要戦略市場に含まれる車載市場、産業機器・エネルギー変換市場は、EV化をはじめとする気候変動の緩和へ大きく貢献する市場であり、今後もこれらの市場に対し、新製品を投入するとともに、そのスピードをさらに速めていくことで顧客要求を満たし、リスクへ対応していく。この指標として、研究開発費の売上高比4%を目指し、取り組んでいく。 ②また、当社ではグリーン調達ガイドラインにて、気候関連リスクに関する取組みを行うようサプライヤーへ示しており、今後もサプライチェーンを通じた取組みを進めていく。 |
政策/法規制 | カーボンプライシング導入/電力・燃料費増加 | 大 | 中期 | (想定される事象) 1.5℃シナリオでは、気候変動の対応策として、炭素税をはじめとするカーボンプライシングの導入が想定され、直接的・間接的に電力費や燃料費及び租税課金の増加が想定される。 (対応策) カーボンプライシングへの対応策として、当社では、環境委員会の傘下として、省エネルギー対策小委員会を設置しており、グループ全体での省エネ及び CO2排出量の削減に取り組んでいる。 また、今後は2050年カーボンニュートラル実現に向け、再エネ電力の導入を開始。さらなる活用についても検討を進めている。 | |
物理的リスク | 急性 | 異常気象による災害の激甚化 | 小 | 短期 ~ 中期 | (想定される事象) 4℃シナリオでは、異常気象による豪雨災害などの頻度が高くなることが想定される。 (対応策) 2011年の震災以降、製品・材料ともに複数の事業所での生産体制を採用しており、また、材料においては他社からの購入体制も構築している。さらに、国内事業所の将来にわたる浸水リスクの年間影響額の定量を行い、各事業所のリスクの金額化を行った。国内事業所におけるリスクへの対応は、ハザードマップを基準として考え優先順位を決めた。影響を受ける恐れのある国内製造拠点については、BCP(事業継続計画)の見直しを行い、河川計画規模(L1、10~100年に1度)の災害を受ける可能性の高い事業所については、そのリスクを軽減する対策を開始。想定最大規模(L2、1000年に1度)の災害を受ける可能性がある事業所においても対応策を順次計画・開始し、リスクの低減に努めている。 |
機会 | 市場 | 顧客要求に対応した製品・サービスの提供 | 大 | 短期 ~ 中期 | (想定される事象) 1.5℃シナリオでは、温室効果ガスの排出抑制を図るため、設備の導入、機器仕様の変更が進められ、電化や省エネを推し進めていく世界の中で、当社製品の使用機会が増大することが考えられる。 また、当社ではこれまでも電極箔生産における使用電力の積極的削減を進めており、CO2排出量の観点から優位性の高い製品を提供することが可能になると考える。 (対応策) ①現在当社の最重要戦略市場に含まれる車載市場、産業機器・エネルギー変換市場は、EV化をはじめとする気候変動の緩和へ大きく貢献する市場であり、今後もこれらの市場に対し、新製品を投入するとともに、そのスピードをさらに速めていくことで、顧客要求に対応し、事業機会を拡大していく。 この指標として、研究開発費の売上高比4%を目指し、取り組んでいく。 ②製品の生産におけるCO2排出量の削減を念頭においた、製品の開発や生産設備の開発・導入を進めていく。 |
技術 | 新技術の開発による競争優位性の向上 | ||||
機会 | レジリエンス | 再エネプログラム・省エネ対策の推進 | 小 | 短期 ~ 中期 | (想定される事象) 1.5℃シナリオでは、再エネプログラムや省エネ対策を推進することが求められる。 (対応策) 再エネプログラムや省エネ対策を推進しコスト等の低減をはかることで競争力の向上を図る。 |
影響度:売上の5%以上の影響額のあるリスク及び機会を影響度:大として評価しております。
期 間:短期:2025年度まで、中期:2030年度まで、長期:2050年度までを想定しております。
リスク管理
当社グループでは、リスクマネジメント基本方針を策定し、「リスクマネジメント基本規程」及び各種関連規程に基づいたリスクマネジメント体制の整備・強化に努めております。当社グループは、リスクマネジメント総責任者のもとにリスクマネジメント委員会を設置し、グループ全体の見地から、リスクマネジメントに係わる行動計画の策定やその実施状況のモニタリングなどを行っております。そのなかで、気候変動リスクを事業のリスクとして捉えており、委員会の中で議論がされております。委員会は年2回開催するとともに、取締役会と経営委員会にリスク管理状況を報告しております。なかでも気候変動リスクについては、担当部門から各事業所、各部門へリスクの低減と機会獲得に向けた方針を展開し、取組み状況のモニタリングを行っております。また、関連部門への支援も実施しております。
指標及び目標
当社では、気候関連のリスクを評価・管理する為に、以下の指標と目標を使用いたします。
〔国内製造拠点〕電機・電子業界で推進する「カーボンニュートラル行動計画」を踏まえ、2030年度に向けてエネルギー原単位改善率年平均1%以上を目標とする。また、2050年カーボンニュートラル実現に向け、当社生産におけるCO2排出量を2030年度に2013年度基準で、46%程度の削減に挑戦する。
※海外製造拠点については、それぞれの製造拠点の所在する各国法令に則り、2年以内の目標設定を目指し、検討を進めてまいります。2022年度は、海外製造拠点の法令に関しヒアリング・調査を開始し、目標設定に向けた取組みを進めております。
気候関連の機会の指標・目標と致しましては、当社の第9次中期経営計画(2020年度~2022年度)において、商品企画力を強化し、伸長が期待される市場への新商品投入スピードを速めていくことに注力いたしました。その中には車載市場、産業機器・エネルギー変換市場の新商品を含んでおり、第9次中期経営計画期間中に他とも合わせ、累計で38億円の営業利益創出を計画し取組み、結果41億円の利益創出を実現いたしました。
当社の事業活動におけるGHG排出については下記ページをご参照ください。
https://www.chemi-con.co.jp/company/sustainability/environment/data.html
当社の気候変動に関する指標・目標に対する実績については、下記ページをご参照ください。
(リスク関連の指標・目標)
https://www.chemi-con.co.jp/company/sustainability/environment/target.html
(機会関連の指標・目標)
https://www.chemi-con.co.jp/company/ir/library/chemi-con-report/pdf/CHEMI-CON_REPORT2022p16-p18-J.pdf
(4)人的資本に関する戦略
上記「(1)サステナビリティに関する考え方」に記載の観点(①レジリエンスの強化によるリスクの低減と②質の高い成長力によるキャッシュ・フローの増加)は、人的資本への効率的な投資においても欠かせないと考えております。大まかな方向性と致しましては、「スキルや知見の獲得・向上・多様化による環境変化への適応力の強化」と「イノベーションの創出による売上の増加と高付加価値製品の開発による利益率の向上」を重要な人的資本戦略と位置付けております。係る戦略課題を解決するため、人材育成方針として「10年後を担う人財」を掲げ、「組織や仕組みの改革を行い境界を越えて挑戦できる人財」の育成を目指します。具体的には下記のような個別戦略を定めております。
個別戦略 | 概要 |
教育の充実化・柔軟な労働環境の整備 | 新たな事業領域の創出や変化する環境に対応できる人財育成のためには、教育制度の拡充やそのベースとなる柔軟な労働環境の整備がカギとなると考えます。なぜなら、教育制度の拡充による新たな知見の獲得は、イノベーションによる事業領域の創出の可能性を高めると共に、高付加価値製品の開発によりキャッシュ・フローの向上と環境変化に即応した開発によるレジリエンス強化をもたらすものであるからです。 そのためには、挑戦と変化を是とする仕組みや従業員の健康や満足度を向上させる柔軟な労働環境を整備することが肝要と考えております。 現在、当社グループでは、階層別研修、日本ケミコンビジネススクール、海外駐在実習制度、ITマスター制度、新規事業推進室の新設(通称:Chemi-Con EXseed)並びに在宅勤務制度、フレックス勤務制度、ウェルカムバック制度、DX推進などの諸施策を実施しております。 |
ダイバーシティの推進 | ダイバーシティの推進はそれ自体社会的価値があるのみならず、知見の結合(イノベーション)を誘発するような多様なアイデアが生まれやすい環境を整備する上でも欠かせないものと考えております。また、多様なバックグラウンドを持つ従業員を活用することは、人的資本の補完性がより強化されることにつながり、意思決定の正確性向上やリスク発現時のコストを低減することも期待できます。 現在、当社グループでは新たにダイバーシティ推進委員会(アドバイザー:社外取締役宮田鈴子)を設置し、各種施策を実施予定であります。 |
採用強化 | 事業戦略に適した中核人材の獲得や優秀な学生の確保は、事業競争力を向上させるため急務と考えております。現在、当社グループでは積極的にインターンシップを推進しております。 今後はさらなる採用手段の多様化等の施策を検討してまいります。 |
データ活用による人的資本経営 | 人的資本戦略の策定・ブラッシュアップ並びにその開示と対話にはHRテクノロジーによるデータの取得と利活用が欠かせないと考えております。 現在、当社グループでは新たにタレントマネジメントシステムを導入するなど、データ活用による経営を推進するための基盤を整備中であります。 |
(5)人的資本に関する指標及び目標
項目 | 実績 | 目標 | 範囲 |
中核人材として活躍を期待する主任、係長、管理職補佐クラスの女性比率 | 2020年度末比で1.03倍 | 2025年度末までに 2020年度末の1.5倍 | 単体 |
新卒採用における外国人比率 | 7.6% | 8.0% | 単体 |
中途採用者管理職比率 | 17.1% | 2030年度末までに20.0% | 国内連結 |
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