村田製作所 【東証プライム:6981】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループでは、持続可能な社会の実現に向けて、CSRに関する各事項の取り組み(環境、社会、従業員、人権の尊重、腐敗防止、贈収賄防止、ガバナンス、サイバーセキュリティ、データセキュリティなど)を行っています。これらの取り組みを通じて、社会価値を向上させ、さらには経済価値との好循環を生み出すことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。
(1)サステナビリティへの対応
Ⅰ ガバナンス
当社グループでは、CSRに関する各事項の取り組みを経営における重要な課題の一つと位置付けており、ガ
バナンス体制を強化しています。取締役会は、CSRに関するすべてのリスクと機会について説明責任を負って
います。
また、当社グループのCSR活動の方向付けを行うために、取締役会監督のもと、CSR統括委員会を設置しています。当委員会の委員長を務める代表取締役社長は、CSRを監督する責任を負っています。
当委員会では、整合性の取れた全社的なCSR経営を継続的かつ計画的に推進するため、次に掲げる事項を実施し、活動状況などについては、定期的に取締役会に報告を行っています。
①CSRの理念・方針・ガイドライン等の策定と決定
②CSRに関わる全社的に重要な事項(課題)の抽出と取り組みの指示
③下部委員会活動(下記にて記載)の枠を越えた重要事項(課題)に対する会社としての方向付けと活動結果の
共有
④全社で共有すべき下部委員会が担うCSRテーマの方針とその目標及び活動結果の共有
⑤CSRに関わる顧客対応結果、顧客要求の状況把握と顧客対応への助言
さらに、CSR統括委員会には、コンプライアンス推進委員会、環境委員会、気候変動対策委員会、社会・地域貢献委員会、健康安全推進委員会、人権委員会の6つの下部委員会を設置し、組織横断的な活動を必要とするCSRテーマについて議論を進めています。
<CSR推進体制>
Ⅱ 戦略
先述のとおり、当社グループではCSRに関わる全社的に重要な事項(課題)を経営における重要な課題の一つと位置付けております。そのなかでも、特に重点的に取り組む領域を「社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)」に設定しています。
マテリアリティの中でも特に取り組みが先行している「気候変動対策」においては、「機会」と「リスク」の両面で捉え、企業としての社会的責任の実施とさらなる競争優位性の構築を進めており、順次、他のマテリアリティにおいても取り組みを拡大してまいります。(気候変動対策に関する取り組みに関しましては、後掲「(2)気候変動への対応」に記載しております。)
Ⅲ リスク管理
当社グループでは、CSR統括委員会のもと、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を、構造化したプロセスで定期的に評価しております。最新のマテリアリティ評価では、CSRに関する各事項(環境、社会、従業員、人権の尊重、腐敗防止、贈収賄防止、ガバナンス、サイバーセキュリティ、データセキュリティなど)を包含した9つの重点課題においてリスク及び機会を識別し、それぞれに応じた目標を設定した上で、各取り組みを経営の重要課題として取締役会で承認し、モニタリングしています。
また、オペレーション面においては、事業所で環境や安全などのマネジメントシステムを構築・運用し、CSRに関するリスクを評価しながら継続的な改善の推進を行っています。なお、これらのリスクはCSR統括委員会のみならず、リスク管理委員会のもと全社的な管理項目に組込むことで、包括的な評価が行われ必要に応じて追加対策を講じるなど、さらなるリスク低減へと努めております。
Ⅳ 指標と目標
当社グループでは、CSRに関する各事項を包含した下記重点課題の解決に向け、中期方針2024にて目標を掲げ、取り組みを進めています。
詳細は前掲「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)当社グループのマテリアリティ 企業活動全体での社会課題への取り組み」に記載しております。
(2)気候変動への対応
当社グループは気候変動の課題に向き合う企業のひとつとして、世界の気候変動対策に向けて果たすべき重要な役割があると考えています。気候変動は、コストの増加や事業の中断といったリスクをもたらす一方、社会に新たなニーズを生み、当社グループとして新たな価値を創出する機会でもあると認識しています。そのため、次の10年は、「文化の発展に貢献する」という当社グループの使命を果たしながら、革新的な技術やソリューションを生み出し、新しい領域に事業を拡大する機会であると捉えています。
以下内容において、気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)が推奨するフレームワークを活用し、気候変動がもたらすリスクと機会及びそれぞれに対する取り組みについて説明します。
Ⅰ ガバナンス
当社グループのアプローチ | ●取締役会は、気候変動を含むすべてのリスクと機会について説明責任を負っており、気候変動対策委員会等からの施策や判断に関する報告を受けて監督 ●代表取締役社長を委員長としたCSR統括委員会に、取締役常務執行役員が委員長を務める気候変動対策委員会より年2回の報告による、気候変動対策について経営レベルでの監督 ●環境目標の進捗管理、脱炭素関連の投資判断の審議 ●気候変動対策委員会での決定に基づき主管部門が全社の気候変動施策推進 ●役員報酬の株式報酬の一部において、社会価値目標の達成状況に応じて変動する報酬体系を導入(監査等委員を除く) |
2022年度 | ●気候変動対策委員会(臨時開催含む)を3回実施 審議事項: ▶TCFDに沿った気候変動における移行リスク・機会分析の深掘・開示 ▶省エネ効果の可視化を主目的とした製造におけるカーボンフットプリント(CFP)算出に向けて着手を決定 ▶当社グループにおいて初となるバーチャル及びフィジカルPPA契約の締結 |
当社グループでは気候変動対策委員会を中心に議論を進め、RE100やSBT等のイニシアチブへの対応やカーボンプライシング制度導入の意思決定を行っております。今後も中長期的な視点で企業価値を高めていくために、ガバナンス体制を強化してまいります。気候変動対策委員会では、イニシアチブ推進部会・再エネ推進部会・省エネ推進部会の3つの下部組織と連携して当社の気候変動対策の方針について議論しています。2022年度は臨時開催含む3回の委員会を実施し、さらなる省エネ施策の創出を目的としたCFP算出の検討や、ソーラーパネルと蓄電池を組み合わせたシステムの国内事業所への導入、バーチャル及びフィジカルPPAの契約締結などの再エネ導入について議論を行いました。
Ⅱ 戦略
当社は気候変動対策をモノづくりの企業として極めて重要な課題と考えており、Vision 2030及び中期方針2024においても「気候変動対策の強化」をマテリアリティのひとつに設定しています。気候変動を「機会」と「リスク」の両面で捉え、企業としての社会的責任の実践とさらなる競争優位性の構築を図ります。
当社は、IPCC※1やIEA※2などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」の2つのシナリオでリスクと機会を分析し、気候変動対策の強化を当社の重点課題として設定し、その進め方を検討しました 。具体的には、省エネ・再エネニーズの高まり、EV転換に伴う自動車産業の変容、情報通信インフラのさらなる高速化・大容量化等の社会変化に要求される高効率部品の需要に応えるため、軽薄短小・高効率・長寿命を競争優位とした製品開発を継続的に推進していきます。また、自社拠点に導入している太陽光発電システムと自社製品の蓄電池やエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた省エネ・再エネ施策を社外にも展開することによる脱炭素社会への貢献と新規事業の探索を目指します。
2022年度に、20ヶ所の主要な製造拠点及び事業所(当社グループ従業員数の8割をカバー)を対象としてシナリオ分析を行っております。当該分析結果(以下表ご参照)については、今後の経営計画の戦略に反映し、対応を具体的に計画してまいります。
※1 IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change): 気候変動に関する政府間パネル
※2 IEA (International Energy Agency): 国際エネルギー機関
Ⅲ リスク管理
CSR統括委員会が、社会、環境、経済の様々なマテリアリティ(重点課題)を、構造化されたプロセスで定期的に評価しています。最新のマテリアリティ評価では、気候変動による影響は重大なリスクとして認識しており、それに対しての監督や取組みを経営の重要課題として取締役会で承認しています。戦略面においては、気候変動対策委員会が変化する気候関連リスクを継続的に注視し、当社グループの気候変動に関する課題を設定し、その対応状況を管理しています。
将来の気候変動がもたらす潜在的なリスクと機会、及び事業戦略のレジリエンスを評価するために、2021年度には主に物理シナリオ分析を実施し、2022年度は移行機会とリスクの分析を深掘りしました。そのほかにも、サステナビリティ投資促進制度を2022年度より本格導入、社内カーボンプライシング制度活用を含むこれまでにない非連続なチャレンジも視野に入れた低炭素化に取り組みます。Scope 3の排出量削減についても取り組みに着手しており、2022年度はサプライヤー様十数社にヒアリング訪問を実施しました。
オペレーション面においては、事業所でISO14001認証を取得し、環境及び気候変動リスクを評価しながら継続的な改善を推進しています。
気候変動に起因するリスクは、リスク管理委員会のもと全社的なリスク管理の項目に組込まれています。
たとえば、悪天候時の対応のガイドラインは、事業の中断を最小限に抑えるために事業継続計画(BCP)に定められています。
また、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)などの業界団体や、RE100などのグローバルアライアンスに加盟し、気候変動に関連する新たなリスクや機会を含む最新動向の把握に努め、自社の取り組みや対応に活用しています。
当社グループのアプローチ | ●気候変動に起因するリスクは、リスク管理委員会のもと全社的なリスク管理の項目に組込み、グループ重要リスクと識別・評価。シナリオ分析によるリスクと整合させ、取組みのモニタリングを実施していく ●気候変動影響による「移行リスク」「物理リスク」を網羅的に抽出。それぞれの影響度を評価 ●オペレーション面においては、事業所でISO14001認証を取得し、環境リスクを評価しながら継続的な改善を推進 |
2022年度 取り組み状況 | ●移行シナリオに沿ったリスク・機会の分析を実施、開示 ●各国におけるカーボンプライシング導入への対策として社内制度「サステナビリティ投資促進制度」を導入 ●世界の気候変動を取り巻くトレンドをキャッチし、自社の取り組み・対策に活用 |
Ⅳ 指標と目標
当社グループは気温上昇を1.5℃に抑える世界的な取り組みに貢献するため、SBT認証取得やRE100への加盟を進めてきました。当社グループの事業規模は拡大する見込みですが、CO₂排出削減や再エネ導入比率向上を目指し、バリューチェーン全体での脱炭素化を加速させてまいります。
考え方 | ・省エネ/再エネ/再エネ証書を自社の脱炭素を進める3本柱とし、CO₂排出量の削減を行ってまいります。またサプライチェーン全体を通じたCO₂排出量の削減も進めるべく、取引先とも今まで以上に連携に努め、対策を講じられるよう検討しています。 |
(3)人的資本の取り組み
Ⅰ 人的資本の考え方
当社グループでは、経営資本を”社是の実践を通じて培ってきた価値創造の源泉”と位置付けており、なかでも「人材」は価値創造の中核であると考えています。さらに、従業員一人ひとりが当社グループの原点である社是に共感し、自分事として実践していくことを常に大切にしています。”Innovator in Electronics”として持続的な価値創造を実現するために、次の3つの柱を軸に人的資本の取り組みを進めてまいります:
・変化する事業環境に対応するための「人材の獲得と育成」
・やりがいと成長を感じることで生み出される「エンゲージメント」
・総合力を発揮し続けるための「多様な人材の活躍」
<人的資本の考え方>
Ⅱ 人的資本の取り組み
当社グループは個人の多様性を尊重しつつ、チーム、部門、拠点を超えて信頼・連携し合い、総合力を発揮することで、Innovator in Electronicsであり続けることができると考えています。今後も総合力を発揮し続けるために、グローバルで多様な人材が活躍できる環境を整えてまいります。また当社グループでは、CSとESを最上位の価値観に置いています。従業員が仕事を通じてやりがいと成長を実感し続けることが会社の成長に不可欠だと考えており、その指標として従業員エンゲージメントを掲げています。さらに、ますます激しく変化する事業環境の中で、当社グループが変革し続けていくための人材の獲得と育成に継続的に投資し、人材基盤をさらに強化してまいります。
<人的資本の取り組み>
3つの柱 | 変化する事業環境に対応するための「人材の獲得と育成」 | やりがいと成長を感じることで生み出される「エンゲージメント」 | 総合力を発揮し続けるための「多様な人材の活躍」 |
課題 | • Vision2030を実現するための人材の獲得、育成、配置ができていること • 将来の経営の備えができていること | • 従業員が自律性を持って全体最適で行動ができていること •安全な職場で、従業員が自身の健康を実感して働けていること | • 全従業員が、ボーダレスに多様な経験が得られていること • 多様な人材が、連携・調和し組織の力に昇華できていること |
主な 取り組み | 1.人材の惹きつけと獲得 2.人材育成 3.次世代幹部候補の継続的な育成 4.DX人材の獲得と育成
| 1.グローバルサーベイを活用した組織風土の改善 2.経営層と従業員の対話促進 3.働きやすい環境・制度の整備 4.安全安心な職場と健康経営 | 1.グローバルローテーションの推進 2.多様な経験を持つ人材の獲得と活躍 3.多様なキャリアパスの活用 4.女性活躍推進 |
人的資本 に関わる 全社経営目標 | 当社グループでは、全社経営目標のうち人的資本に関わる下記の二項目を中長期的な指標として設定しております: 1.海外間接部門従業員の他拠点での勤務経験比率(「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)当社グループのマテリアリティ 企業活動全体での社会課題への取り組み」参照) 2.従業員エンゲージメント肯定回答比率(「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略 Ⅱ 中期方針2024 社会価値目標に対する進捗状況」参照) |
※上記取り組みの詳細は、下記の当社公式ウェブサイトをご参照下さい。なお、アクションや指標を含め、人的資本の取り組み内容は社内外環境変化に応じて随時更新する予定です。
https://corporate.murata.com/ja-jp/company/hr/capital
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