エノモト 【東証プライム:6928】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「経営理念」「エノモト企業倫理行動指針」等に基づき、事業活動を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを目指しております。私たちの社会や豊かな地球環境を未来の世代に繋いでいくため、サステナビリティを意識し、人権の尊重、社会との調和を図りながら、事業活動に伴う環境負荷の低減を推進し、環境に配慮した製品の提供や技術開発、業務改善及び社会貢献活動に積極的に取組みます。
(1)ガバナンス
気候変動対策など環境への取組を推進するため、2022年4月より環境委員会を設置しております。委員会は四半期に一回開催され、取締役サステナビリティ推進室長を委員長とした各部門長から構成されており、サステナビリティに関する方針・目標・実行計画の策定、サステナビリティ目標(KPI)に対する推進管理や評価、個別施策の審議、重点課題の策定と推進を担っています。
また、その内容を四半期に一回、経営会議で審議した後に取締役会に報告しており、取締役会は中期環境計画に定められた項目の進捗状況に対する監督を行う仕組みとしています。
その他の重点課題に対する体制としましては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。
(2)戦略
①気候変動への取組
当社グループは気候変動に伴って引き起こされる様々なリスク・機会を事業運営における重要な観点の一つとして捉えており、TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループに及ぼすリスク・機会に関して検討いたしました。また、国際エネルギー機関(IEA)や国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などが公表しているシナリオを参考にしながら、1.5℃~2℃シナリオと、4℃シナリオの2つのシナリオを用いて、政策や市場動向の移行(移行リスク)に関する分析と、災害などによる物理的変化(物理リスク)に関する分析を実施いたしました。
当社グループでは、下記の4つのステップを通してシナリオ分析を実施いたしました。また、気候変動のシナリオについては脱炭素社会に向かう1.5℃~2℃シナリオと温暖化が進む4℃シナリオを選択し、各リスク、機会について分析、評価いたしました。
<分析のプロセス>
気候変動シナリオをもとに当社グループの事業に影響を与えるリスク・機会を抽出し、定性・定量評価を行った結果、重要なリスク・機会として判断されたものは以下の項目となります。また、当社グループとしては気候変動リスクの時間軸を短期(~3年)、中期(3年~7年)、長期(7年~27年)と定義しております。
気候変動リスク・機会と事業インパクト
リスク | 要因 | 事業への影響 | 時間軸 | 対応策 | |
移 行 リ ス ク | 政策・規制 | 炭素税の導入・炭素税率の上昇 | ・炭素税が導入され、CO2排出量に対して炭素税の負担が発生 | 長期 | ・再生可能エネルギーへの切り替え ・省エネルギー設備の導入 |
・再生可能エネルギー導入などに伴う電力価格上昇で電力料金費用の増加 | 中期 | ||||
物 理 リ ス ク | 慢性 | 平均気温上昇、降水パターンの変動 | ・労働環境の悪化、気候変動起因の病気による従業員の生産性低下 | 中期 〜長期 | ・屋根への遮熱塗料塗布による温度上昇の軽減 |
海面上昇 | ・沿岸地域の施設・設備被害による生産能力の低下 | 中期 〜長期 | ・生産拠点の分散化、他工場での代替生産を検討 | ||
・原材料の供給途絶による、工場の生産能力の低下 | 中期 〜長期 | ・調達先へのBCP対策の要請 | |||
急性 | 異常気象の激甚化 | ・洪水などにより自社・サプライヤー生産拠点損壊に伴う生産能力の低下 | 中期 〜長期 | ・止水板の設置や電気設備の嵩上げによる防水対策 ・BCPを策定。水害を想定した訓練の実施 | |
・保有不動産・設備の損壊、設備損壊に伴う事業継続への影響 | 中期 〜長期 | ||||
機 会 | エネルギー源 | 再生可能エネルギー電源の導入 | ・エネルギーコストの減少 | 長期 | ・自己消費型太陽光発電所の建設及び導入計画の策定 |
製品と サービス | 環境配慮商品の開発促進 | ・パワー半導体に用いられるリードフレームの需要増加 ・燃料電池に用いられるGDL一体型セパレーターの需要増加 | 中期 | ・パワー半導体用リードフレームの増産に向けた設備投資の促進 | |
市場 | 低炭素・クリーン技術の進展 | ・水素社会の進展による燃料電池用部品の需要拡大 | 中期 〜長期 | ・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)共通課題解決型産学官連携研究開発事業に採択され、燃料電池部品の研究開発を加速 | |
レジリエンス | BCP対応製品ニーズの拡大 | ・蓄電池の市場増加に伴うGDL一体型セパレーターの売上増加 | 中期 〜長期 | ・各業界のトップランナー企業と次世代製品を共同開発中 |
②人材戦略
当社グループにおける、人財の育成に関する方針は、「経営の中心は人であり、健全なものづくりを通じて、豊かな社会の実現に貢献する」という経営理念に基づいております。
中長期的な経営戦略として、長期経営ビジョン「金型の技術で未来を創る より小さく より速く 最先端の技術で 暮らしとビジネスのベストパートナーを目指す」を策定し、ありたい姿として「失敗を恐れずチャレンジする職場環境づくりを通じてイノベーションを生み出す」を掲げ、それらの達成に必要不可欠な従業員一人ひとりの成長と能力の発揮を最大化するために、以下の取組を進めております。
各階層において課題に沿った教育を実施しており、各管理職には人財育成、組織力向上を目的に1年に渡る研修を実施しているほか、全従業員が対象のWEB研修や通信教育等でいつでも、どこでも学ぶことのできる環境を整え、成長及び学びの意欲を支えております。
また、毎年の自己申告調査や上司と部下による定期的な1on1ミーティングにより、個人の存在意義を深め、本音で話し合い、失敗を恐れずチャレンジできる職場づくりを実施しております。
加えて、一人ひとりが心身ともに健康な状態で能力を存分に発揮するために、週の労働時間について本人や管理者に通知するアラーム機能などの過重労働防止策、健康手当の支給や禁煙外来受診料の会社負担、特定保健指導の実施によって従業員の健康管理に注力しております。
さらに、多様な働き方を支援するため、以下の取組を行いワークライフバランスの充実を推進しております。
・時間単位で取得可能な有給休暇制度
・失効した有給休暇を育児目的や子の看護、介護に使用できる休暇の積立制度
・小学校3年生までの育児短時間勤務
・連続5日間の有給育児休業制度
・不妊治療のための休暇制度
これらの取組への評価の一つとして厚生労働省より子育てサポート企業「くるみん認定」を2012年に、その上位認定である「プラチナくるみん認定」を2018年に受け、現在に至るまで継続しております。
女性活躍の面では女性社員の積極的な採用および管理職への登用に向けた取組や女性が活躍し出産・育児後も復帰しやすい制度を設けております。
・つわり休暇制度
・妊産婦の通院のための休暇制度
(3)リスク管理
①気候関連のリスクを識別・評価するプロセス
当社グループでは、気候関連リスクを含む、グループ全体へのリスクを網羅的に管理するとともに、リスクの発生防止、軽減、対応に取組むため「リスク管理規程」を定め、リスク管理委員会を設置しております。気候変動リスクに関しては、環境委員会によって当社事業特性などの内部環境や、国の政策などの外部環境を踏まえ、懸念されるリスクの洗い出し、影響度評価を行っております。また、リスクの種類および重要度に応じて、経営会議を通して取締役会に報告しております。
②気候関連のリスクを管理するプロセス
環境委員会において識別・評価された気候関連リスクに関しては、リスクの発生防止、軽減、対応のために随時リスク管理委員会に共有され、対応方針を検討しています。リスク管理委員会では、リスクの影響度と発生頻度の2軸にて、優先して取組むべきリスクを特定しており、重要度の高いリスクに関しては、取締役会に報告された後、環境委員会と連携して対応策を実施しております。
③全社のリスク管理への統合プロセス
全社のリスクを管理するリスク管理委員会は原則として四半期に一度、各リスク項目への進捗状況の確認を行い、同頻度で「リスクカタログ」を用いて対策後の残余リスクの算定、対応後の評価を実施しております。気候変動リスクに関しても、全社的なリスクと同様のプロセスで管理され、統合的なリスク管理体制を構築しております。
(4)指標及び目標
①気候変動への取組
当社グループでは、気候関連リスクと機会を評価する指標としてScope1、2、3の温室効果ガス排出量を設定し、目標としてはこれまでの単体(国内)でのScope2削減目標※から2050年カーボンニュートラルに向けた水準の見直しを実施いたしました。
これからの取組としては、グループ全体(海外含む)のScope1、2排出量を2030年度に37.8%削減(2021年度比)を目指します。今後は中期環境計画のもと2050年カーボンニュートラルに向けてバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減の取組に努めてまいります。
※2030年度33.3%削減(2012年度比)
2022年度におけるScope1、2排出量
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| 排出量 (tCO2e) |
Scope1+2 |
| 16,782 | ||
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| (内訳) | 国内 | 7,363 |
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| 海外 | 9,419 |
| Scope1 |
| 219 | |
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| (内訳) | 国内 | 36 |
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| 海外 | 183 |
| Scope2 |
| 16,563 | |
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| (内訳) | 国内 | 7,327 |
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| 海外 | 9,236 |
※環境省・経産省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量の算定に関するガイドライン」に基づき算出しています。
※Scope2排出量に関しては、マーケット基準にて算定しております。海外の排出量についてはIEAデータベースの排出原単位を用いております。
※排出量算定の対象期間に関しては、海外子会社も含め、2022年4月~2023年3月としております。
②人材戦略
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した人財の育成に関する方針について、次の指標を用いております。当連結会計年度における当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。なお、当該調査は提出会社従業員及び関係会社への出向者を対象としたものであります。
指標 | 目標 | 実績 |
ES調査 偏差値 (注)1(注)2 | - | 49.2 |
定着率 (注)1(注)3 | - | 97.8% |
女性従業員数 (注)4 | 98人 | 104人 |
健康診断における疾病の有所見率(注)5 | 69.0% | 69.0% |
(注)1.本指標については具体的数値目標を設けることはいたしておりませんが、継続的改善のためモニタリングを行っております。
2.外部委託した調査機関において算出した上場会社間における偏差値であり、調査対象者にはパートタイマー等の直接雇用者である臨時従業員を含んでおります。
3.2022年4月1日時点の常用労働者数に対する年間の離職者の割合を基に算出しております。
4.本指標における目標値は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく一般事業主行動計画において定めた2024年3月末における目標値であり、実績値は2023年3月末時点の常用の女性労働者数でありパートタイマー等の直接雇用者である臨時従業員を含んでおります。
5.厚生労働省が算定する有所見率に準じて算出しており、調査対象者にはパートタイマー等の直接雇用者である臨時従業員を含んでおります。
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