イリソ電子工業 【東証プライム:6908】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」という経営理念のもと、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋として、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。
このビジョンは、2016年、創業50周年時に作成し、更に50年以上存続できる企業でありたいとの想いを込めたものです。100年以上存続できる企業になるには、厳しい企業間競争に勝っていくと共に、気候変動等の地球環境問題や社会課題の解決に貢献し、社員を始め全てのステークホルダーの皆さまへの誠実な態度と行動が必要であると考えます。
このビジョンを実現し、イリソ電子工業を更に発展させていくために、社会との共存、社会貢献の取組を積極的に進め、当社の事業拡大を推進して参ります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
①CSR方針
当社は2022年10月に以下のとおりCSR方針を策定しました。当社の事業活動そのものが社会貢献や環境・社会課題の解決に寄与していると認識しており、例えば、当社のコネクタの活用が、お客様の作業性向上、作業時間削減、機器の小型軽量化、ロボット活用による生産の自動化を通じて、省資源、省エネ、労働人口減少対応へ貢献しています。
当社のCSRを「社会との共存、社会貢献」と改めて定義し、事業を通じた活動をCSRのメインとし、“サステナブルな企業”を目指して参ります。
②見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)における強化項目
・CO2排出削減(2030年、電力由来のCO2排出ゼロ目標)
・多様な人財の活用(外国人役員、女性役員・管理職の増加、経験者採用の増加、社内ローテーションの
推進)
・レジリエンス経営の強化(コロナ禍を契機とするリスクマネジメント、BCPの強化)
③ESGロードマップ(2023年6月に見直し実施)
④電力に由来するCO2削減ロードマップ(2023年6月に見直し実施)
⑤2023年3月期の主な取組実績
・CSR方針の策定
・イリソグループ企業行動憲章の改訂
「持続可能な社会の創造への貢献」、「サイバーセキュリティ、データセキュリティを含む危機管理の徹底と体制構築」、「持続可能な社会の発展を支える責任ある調達の推進」、「贈収賄防止」、「ダイバーシティを含む人権の尊重」に関する内容を追加及び改訂
・CSR調達ガイドラインの改訂
人権侵害・環境破壊等のリスクや、不正や武装勢力の活動資金源となる懸念のある「紛争鉱物」をサプライチェーンにおける重要な社会問題として認識し、CSR調達ガイドラインを改訂
・グリーン調達基準書の作成
製品への有害化学物質の混入を防止し、地球環境に与える負荷を最小限にすることを目的とし、調達する製品、部品、材料に使用を禁止する化学物質、使用を管理する化学物質を定めたグリーン調達を推進するために、「グリーン調達基準書」を制定しました。お取引先様のご理解・ご協力をいただきながら、サプライチェーン全体で製品に含有する有害化学物質の削減に取り組んでいます。
・金使用量の削減
コネクタのピンのめっきに使用される金において、比重、膜厚、処理エリアの見直をすることで、使用量を削減し、環境負荷を軽減しています。
・再生材料活用拡大による廃棄量の削減
コネクタのモールドに使用される樹脂において、今までは工程において出た端材を廃棄していましたが、再生材LCP(液晶ポリマー)化することで、廃棄量を削減し、環境負荷を軽減しています。
・省エネ設備への更新
電気使用量削減のために、工場を含む拠点の設備の省エネ化に取り組んでいます。本社では事業所のエアコンの更新工事を2023年3月期から4年間で段階的に実施し、これにより、本社事業所の年間電気使用量135MWhの削減を見込んでいます。2023年3月期は、対象の約15%の更新工事を実施し、この効果もあり、当社本社事業所の年間電気使用量は24MWh減少しました。なお、対象のうち、2024年3月期は約20%、2025年3月期は約30%、2026年3月期は約35%の更新工事を実施予定です。
また、茨城工場でも空調設備の改善及びエアコン更新工事により、使用電気量の削減を計画しています。
・当社ウェブサイトの「ESG/CSR」ページを整理・刷新して「サステナビリティ」ページを新設し、開示
情報を拡充
・TCFD提言に基づく情報の開示
・SCOPE1、2、3データの開示
(1)気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)
当社はサステナビリティに関する取組のうち、気候変動への対応を重要な経営課題の一つと捉え、TCFDの4つの開示項目に沿って、情報開示を行います。
①ガバナンス
・取締役会の指導・監督の下、ステアリングコミッティを組織し、取締役管理本部長を長として各本部
の本部長メンバーを中心にリスクマネジメント全体を統括します。
・各本部長が各部門と連携して中長期の気候変動の影響による事業へのリスク、機会の検証を年4回行
い、必要な対策を講じます。
・結果はステアリングコミッティの報告を経て、重大な影響の恐れのある事案については年2回取締
役会へ報告・付議します。
・監査等委員会はステアリングコミッティに対し、適宜助言を行います。
〈ガバナンス及びリスク管理体制図〉
②戦略
a. 事業戦略
当社は事業において気候変動が及ぼすリスクと機会について検討を行いました。リスクと機会とは、政策や規制等、社会的要求の変化等によって生じる“移行”リスク・機会と、異常気象の激甚化等によって生じる“物理”リスクを指し、それぞれ当社の損益に影響を及ぼす可能がある項目を特定しています。
シナリオ分析では、IEA(国際エネルギー機関)等が公表する「科学的根拠を有するシナリオ」を用いて、事業にどのような影響を及ぼすか検討しました。今回実施したシナリオ分析は、イリソグループにおける製品及びサービスの購入、開発、製造、販売、廃棄までのサプライチェーン全体を対象とし、4℃シナリオ、1.5℃シナリオの2つのシナリオを用いて、2030年時点における影響を考察・検討いたしました。
当社グループ全体で、2030年に電力由来によるCO2排出量を“ゼロ”、2050年にはカーボンニュートラルを目標としています。今回外部のシナリオを用い当社グループにおける事業インパクトを算出いたしました。その分析の結果、当社は自社事業におけるCO2排出量の削減と共にCO2排出削減に貢献するxEVに事業を注力することで、CO2排出量削減に貢献しています。
具体的には、ネガティブインパクトを抑制するため、エネルギー使用量の削減及びエネルギー使用原単位を改善する施策として、エネルギー効率のよい生産設備への入替促進等の実施、ポジティブインパクトの促進として、xEV向け事業への注力、地産地消化を推進し輸送効率の改善を推進します。また、製品そのものに着目したリサイクル原材料の活用、製造プロセスそのものの見直しによる生産効率改善も進めています。
b. 各シナリオにおける事業インパクト、財務的影響
(a)4℃シナリオ
4℃シナリオでは、気候変動対策が現状から進展せず、地球平均気温が産業革命以前と比較して21世紀末ごろに約4℃上昇するとしています。異常気象の激甚化や海面上昇等、物理的なリスクが大きくなる一方、企業活動や消費活動に対する締め付けは現状より強化されないとされています。
この4℃シナリオにおける事業インパクトは、気温上昇等による操業地域で働く社員について、健康リスクとなり対応コストが増加するほか、異常気象の激甚化によるサプライチェーンの混乱により仕入が遅延または停止により事業継続が困難となると認識しています。
長期ビジョンである2030年3月期に売上高1,000億円を達成する前提での2030年3月期の利益影響額は約6億円の減少と試算しています。(注)
(b)1.5℃シナリオ
1.5℃シナリオでは、カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、地球平均気温が産業革命以前と比較して21世紀末ごろに約1.5℃の上昇に抑えられるとしています。物理的なリスクの高まりは抑制される一方で、税制や法規制という形で企業活動や消費活動に対する締め付けが強まるとされています。
この1.5℃シナリオにおける事業インパクトは、カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、炭素税の導入や排出権取引の拡大により追加費用が発生する一方で、脱炭素社会に向け再生エネルギーやxEVの増加等、低炭素技術の需要が拡大することで当社製品の機会が増えると認識しています。
長期ビジョンである2030年3月期に売上高1,000億円を達成する前提での2030年3月期の利益影響額は約31億円の減少と試算しています。(注)
(注)2021年3月期を基準とする売上総利益への影響(2023年3月試算) (単位:億円)
| 4℃シナリオ | 1.5℃シナリオ |
ガソリン車の市場縮小とxEVの市場拡大の影響 | ― | 16.8 |
原材料コストへの影響 | ― | -43.8 |
異常気象の激甚化/降水・気象パターンの変化による被害額 | -6.7 | -3.8 |
その他 | 0.4 | -0.4 |
合計 | -6.3 | -31.2 |
(c)リスク項目と事業インパクトの分析
分類 | 事業インパクトの考察 | ||||||
大分類 | 中分類 | 小分類 | 発生する時間軸 | 計測する指標 | リスクの内容 | 機会の内容 | 影響度 |
移行 | 政策 ・ 規制 | 炭素価格 (炭素税) | 中期~ 長期 | 損益 | ・炭素税が導入された場合、輸送費用の増加が重大な財務影響を及ぼすリスク | ・早期から低炭素技術への投資や設備の採用により、エネルギーコスト削減だけでなく、炭素税が導入された場合の操業コストの増加を回避できる可能性 ・製品価格への炭素価格の反映を最小限に抑制し得る場合、市場における価格優位性が向上し売上・利益の拡大が期待できる可能性 | 大 |
排出権取引 | 短期~ 長期 | 損益 | ・国際社会の脱炭素化の潮流から、各国で排出権取引制度導入が拡大した場合、排出量削減に資する設備への切替コストが発生するリスク ・削減義務を達成できなかった場合、排出枠購入による費用増加のリスク | ・削減義務を超えて排出量を削減できる場合、排出権売却により収益拡大に繋がる可能性 | 大 | ||
GHG排出 規制への 対応 | 短期~ 長期 | 損益 | ・GHG排出削減規制の強化により、対応費用が増加するリスク | ・GHG排出規制等により自動車の電動化・省エネルギー化が進展し、コネクタ需要が拡大する場合、自動車市場に強みを持つ当社の売上・利益拡大に繋がる可能性 | 大 | ||
市場 | エネルギーコストの 変化 | 中期~ 長期 | 損益 | ・脱炭素化の進展、再エネ利用の急拡大によりエネルギー価格が高騰した場合、自社工場で製造している当社は操業コストが増加するリスク | ・脱炭素化の進展、再エネ利用の急拡大によりエネルギー価格が高騰した場合、インダストリアル市場他の企業の省エネルギー化を一層促進する結果、コネクタ需要が拡大する場合、当社の売上・利益拡大に繋がる可能性 | 大 | |
顧客行動 変化 | 中期~ 長期 | 損益 | ・顧客からの再生可能エネルギー利用やカーボンニュートラル対応等の要求に対応できない場合、ビジネスチャンスを喪失し売上が減少するリスク | ・自動車業界のサプライチェーン全体でGHG排出量を削減する動きに対して、サステナブル企業・製品と認知されることにより売上増加につながる可能性 | 大 | ||
物理 | 急性 | 異常気象の激甚化 | 短期 | 損益 | ・当社はグローバルに製造・販売地域を有するため、サプライチェーンが混乱し仕入が遅延/停止した場合、事業継続が困難となるリスク | ・異常気象による災害多発により、復興・救済用ロボットの需要が増加した場合、売上増加の機会となる可能性 | 大 |
慢性 | 平均気温の上昇 | 中期~ 長期 | 損益 | ・気温上昇地域で働く従業員の健康悪化リスク | ・気温上昇地域において冷房設備の需要が増加した場合、売上増加の機会となる可能性 | 中 |
(注) 1 移行リスク/機会(チャンス)とは、政策、規制・法制度、及びそれらに伴う社会的要求や事業環境等の変化によって生じる企業収支・財政に対するリスク・機会のことです。
2 物理的リスク/機会(チャンス)とは、地球温暖化ガスの排出量増加の影響が大きいとされる台風激甚化等の異常気象や平均気温の上昇・海面上昇等、物理的な事象が企業の収支・財政状態に及ぼすリスク/機会(チャンス)のことです。
③リスク管理
・当社の気候変動リスクは、ステアリングコミッティにおいて識別・評価・管理しています。
・各部門が行うリスク評価の結果に基づき、対策の要否や優先順位を考慮した上でステアリングコミッ
ティに報告します。
・評価の結果、重大な影響の恐れがある事案及び対応を、取締役会に報告・付議し決定します。
・各部門は、ステアリングコミッティ並びに取締役会の指示・指導に基づき、リスク低減計画を立案、
遂行します。
・なお、当社は、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築しており、気候変動リスク管理の
中には当該マネジメントシステムに基づく法令遵守等のリスクモニタリングも組み込まれています。
④指標及び目標
温室効果ガスの削減については下記を目標に設定して、現在は太陽光発電設置、各工場での自動化、めっきラインの効率化による生産効率向上での省電力、再生エネルギー使用への切替に取り組んでいます。将来的にはカーボンプライシングへの対応も行ってまいります。
(削減目標)
・電力由来のCO2排出量:2025年に実質100%削減
・SCOPE3排出量:2050年にカーボンニュートラルを達成
(推進目標)
a. 数値目標
項目 | 年 | 目標 | 年目標 |
電力消費原単位 (電力消費量/工場売上高) | 2030 | 2021年度比-30% | 2021年度比-3.5%/年 |
電力消費原単位 (電力消費量/1人あたり売上) | 2030 | 2021年度比-30% | -3.5%/年 |
電力消費量削減 | 2030 | 2021年度消費量維持 | ― |
社有車EV化 | 2030 | 100% | ― |
調達先のSCOPE1~3調査 (CO2排出量の把握) | 2030 | 調達額比80%カバー | 2023年度:15%、 以降+10%/年 |
b. その他の目標
・脱炭素貢献商品開発、ケミカルリサイクル等の技術開発支援利用電力の見直し
・CO2排出が少ない電力会社、再エネ由来電力の利用
(2)人的資本経営に関する取組
当社は、経営理念である「~未来に続く架け橋として~人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」に基づき、全社員参加型経営と、お互いの人権と尊厳を大切にするインクルーシブな職場環境の醸成に務めております。
①ガバナンス
当社は人財の育成及び社内環境整備について以下のようにガバナンスしています。
・組織の改編や重要人事、経営幹部並びにグローバル人財の育成、ダイバーシティ等の会社の持続的な
成長に関わる人財戦略については、執行役員以上がメンバーとなる経営戦略会議での審議を経て実施
されます。また、各部門の代表者から構成される安全衛生委員会が全社的なエンゲージメントの向上
や健康経営の推進に努めています。
・これらの施策については従業員主体で運営される「従業員代表委員会」からの意見や、各事業拠点へ
の役員視察での現場での対話を踏まえて、より実効性のある形に見直しを行っております。
〈ガバナンス及びリスク管理体制図〉
②方針、戦略
当社は、「顧客価値を創造する100年企業」=サステナブルな企業となるために、中期経営計画等において、車載市場に次ぐ第二の柱の確立、技術開発力の強化、品質力、コスト力、生産効率、生産能力の向上を掲げております。必要な人員の確保(採用、定着、育成)を行うと同時に、グローバルで多様な価値観を持った人財が活躍できる組織体制と職場作り(ダイバーシティへの取り組み)、安全・安心な職場環境の整備も重要であると認識しています。
a. 人財育成方針、戦略
女性、外国人、経験者採用者だけでなく、技術職、事務職等、様々な背景や価値観を持った社員が各々の特性に合わせ、充分に力を発揮できるよう努めております。
具体的には、次のとおりの人財育成を行っております。
・中堅社員、リーダークラス、新任管理職等の階層別にその段階に応じた研修
・それぞれの社員が業務を遂行する上で必要なスキル習得のための研修
・多様性の尊重、ハラスメント防止等の基礎知識向上を目的とした全社員向け研修
b. 社内環境整備方針、戦略
育児・介護、そのほかの様々なライフイベントが発生する際等でも仕事と両立できるよう支援制度を整えることで、すべての社員が継続して働きやすい職場となるよう環境整備を進めております。
具体的には、次のとおりの環境整備をしています。
・在宅勤務制度、フレキシブルタイム制度の導入
・育児・介護、ボランティア活動等に利用できる失効有給休暇の積立制度の導入
・子の看護休暇の有給化
c. ダイバーシティに関する方針、戦略
当社は、多様な一人ひとりの個性を尊重し、その特徴を活かすことこそが豊かな価値を生み出し、それが企業成長につながると考えております。中長期的な企業価値を向上させていくうえで、能力発揮度合いに基づく公正な評価を踏まえた登用・処遇を行い、女性、外国人、経験者採用者に限らず、多様な個性、特徴、多様な経験をもつ人財育成を行うことを心掛けております。
d. 安全に関する方針、戦略
当社は「安全はすべてに優先する」という言葉のもと、当社で働くすべての人々が、より豊かに、平和に、文化的な生活を維持するために、負傷・疾病を防止し、安全で健康的な労働条件を提供することを第一に優先し、すべての人々が、生き生きと働ける明るい快適な職場環境づくりを、全員が参加し、アイデアを自由に出し合うオープンな協議により進めることを労働安全衛生方針としております。
e. 賃金体系、昇格・昇給体系の改善
(a)男女間賃金格差
当社は、2023年3月末現在、3,104名の社員を有しており、国内537名、海外2,567名と約80%が海外人財で構成されております。国内の賃金格差状況は、全社平均でみると女性社員の年収は男性社員の70%程度となりますが、これは主に従事する業務による違いに起因します。同一等級での平均年収を比較すると、管理職での賃金格差はなく、非管理職では時間外労働の違いより約13%の賃金格差が生じています。
男性を100とした場合の女性の賃金(%) | ||
全ての従業員 | 60.8 | |
| 正社員 | 70.3 |
| 管理職 | 98.9 |
非管理職 | 87.0 |
(b)施策
多様な社員の活躍が当社成長の重要な一要素であることを認識し、ジェンダーギャップの解消とワークライフバランスの確保を積極的に推進しております。2023年3月期では、以下の施策を実施致しました。
・女性社員が主となっていた「一般職」の職制を廃止し、女性活躍の更なる推進及び賃金制度上の
格差是正を実施。
・賃金制度の改定や昇格制度の運用改訂により、若年層を積極的に管理職へ抜擢することで、社内活
性化及び男女間賃金格差の是正を図っており、管理職ポストへの女性登用の増加を目指します。
③リスク管理
当社が今後事業を継続、発展させていく上で、人財の確保・育成が重要であり、必要な人財の確保、社員の成長のための人財育成、社員個々人の能力発揮による組織の活性化が不可欠であると考えています。必要とする人財採用が困難となること、社員の離職や健康状態の悪化により人財育成が進まなくなること、社内環境の多様性が損なわれることにより個々人の能力発揮が阻害されることがリスクであり、社員に対し、安全で健康的な労働条件の提供及び、多様性のある社内環境を整備することでリスク低減に努めています。
・当社の人的資本リスクは経営戦略会議において識別・評価・管理しています。
・各部門、各事業拠点からの報告は安全衛生委員会や従業員代表委員会にて担当部門を交えて協議さ
れ、対策の要否や優先順位を考慮したうえで経営戦略会議に報告されます。
・審議の結果、重大な影響の恐れがある事案及び対応を、取締役会に報告・付議し決定します。
・人事部門、安全衛生委員会は、経営戦略会議ならびに取締役会の指示・指導に基づき、リスク低減計
画を立案、遂行します。
・なお、当社はISO45001に基づく労働安全衛生マネジメントシステムを構築しており、人的資本リスク
管理の中には当該マネジメントシステムに基づく法令遵守等のリスクモニタリングも組み込まれてい
ます。
④指標及び目標
中期経営計画等で掲げている車載市場以外の第二の柱の確立、技術開発力の強化、生産力・コスト力・品質力の向上を図るため、必要な人財の確保と育成を目指しており、現在、新卒・中途採用ともに技術系人財の採用強化、金型製作会社のM&A、海外拠点を含む専門人財の採用を強化しています。また、給与水準の段階的な引上げにも取り組んでいます。
ダイバーシティの観点では、当社グループでは管理職に占める女性の割合は25.1%ですが、当社単体では2.2%に留まっており、課題として認識しています。このダイバーシティの課題と、社内環境に関する課題の解決に向け、下表の通り当社単体の指標・目標を設定し、取り組んでまいります。
課題 | 解決に向けた取り組み | 指標・目標 | 2023年3月期実績 |
グローバルで多様な価値観を持った人財が活躍できる職場作り | ・新卒での女性採用強化 | ・新卒採用に占める女性比率:2025年 30% | ・新卒採用に占める女性比率:27.8% |
・女性育成強化 | ・女性管理職比率:2030年 5% | ・女性管理職比率:2.2% | |
・海外拠点での外国人の重要ポジション登用による育成 | ・本社外国人役員比率:2025年 10% ※執行役員含む | ・本社外国人役員比率:5.6% ・本社役員の経験者採用比率:77.8% | |
経営方針「顧客第一、業界No.1」を追求し、長期ビジョン売上1,000億円の実現とその先を見据えた組織体制作り | ・次世代経営者候補の充足 ・グループ全体で人財の可視化 | ・1年間にキャリアアップのための研修を受講した正社員の割合:2025年 35%(3年に1回受講) | ・1年間にキャリアアップのための研修を受講した正社員の割合: 23.1%(5年に1回受講) |
・離職防止による長期的な人材育成と組織体制作り | ・正社員離職率:5%未満維持 | ・正社員離職率:4.8% | |
・コンプライアンス意識の徹底 →eラーニング、弁護士による研修の実施 | ・コンプライアンス研修受講率:100% | ・コンプライアンス研修受講率:89.9% | |
安全・安心な職場環境作り | ・安全衛生委員会主導での安全情報の各拠点への展開し労働災害をなくす | ・労働災害度数率:0 | ・労働災害度数率:0.53 |
・ISO45001国際規格取得 | ・国内/海外全工場IS045001取得率:100% | ・国内/海外全工場ISO45001取得率:100%達成 | |
・健康経営施策の推進 | ・子の看護休暇取得率:2025年 100% ・ストレスチェック偏差値:55(評価B) | ・子の看護休暇取得率:33.5% |
- 検索
- 業種別業績ランキング