デンソー 【東証プライム:6902】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
⑴ 全体像
当社は創業以来、社会のため、お客様のために、事業を通じて社会課題解決に貢献するというサステナビリティ経営を進めてきました。サステナビリティ経営の考え方は、当社の社是にも同様の精神が記され、脈々と受け継がれた当社経営の根幹であり、成長の原動力と考えています。サステナビリティ経営の着実な実践に向け、サステナビリティ方針を策定するとともに、社会課題を当社の長期ビジョン、優先取組課題(マテリアリティ)に落とし込み、事業活動を通じてその解決に取り組んでいます。当社のサステナビリティ経営の推進に向けた基本的なマネジメント体制は以下のとおりです。
サステナビリティ経営全体像
*1:経営審議会/経営戦略会議にて戦略審議
*2:品質保証会議、全社安全衛生環境委員会等、主管部門が事務局となり、公式会議体にて方針審議
① ガバナンス
取締役・経営役員をサステナビリティ推進統括責任者として、経営戦略本部が全社のサステナビリティ経営推進機能を担っており、方針や活動計画の立案、各部署の活動支援・フォローアップ、社内外コミュニケーション等を行っています。サステナビリティ経営の方向付けや全社活動状況のフォローアップ等は、取締役会監督のもと、会社の公式会議体(経営審議会等)で審議・報告を行っています。個別のサステナビリティテーマについては、主管部署が各専門委員会で審議を受け、関係部署と連携して活動を推進しています。
② リスク管理
当社では、多様化するリスクを最小化すべく、自社にとってのリスクを常に把握し、被害の最小化と事業継続の両面からリスクマネジメントを行っています。
具体的には、リスクマネジメント統括責任者「チーフ・リスク・オフィサー(CRO)」を議長とする「リスクマネジメント会議」を設置し、グループ全体のリスクマネジメント体制・仕組みの改善状況の確認、社内外の環境・動向を踏まえた重点活動の審議・方向付け等、グループ全体として、平時における経営被害の未然防止と有事における最小化に向けた対応力強化を推進しています。
また、生命・信用・財産・事業活動に関し、発生頻度と影響度、取り巻く環境等から主要なリスク項目を抽出した上で、それぞれに責任部署や各リスクの影響度・発生の要因・事前予防策・初動/復旧対応等を明確化し、未然防止、初動・復旧対策の強化に取り組んでいます。
その中で、特にリソースを投入し、対策を推進するリスクを重点リスクと位置づけ、危機管理の更なる強化に向けた計画・目標の設定とリスクマネジメント会議への実績報告を行うとともに、会社目標に組み込み、取締役会においても活動の進捗状況を確認しています。サステナビリティに関しては、気候変動リスク(自然災害)のほか、品質問題、環境汚染、労働災害、火災・爆発事故、情報セキュリティ事故、遭遇事変(疫病・戦争・テロ)等を、重点リスクとして選定しています。
なお、主要なリスク項目および重点リスク項目は、社会で問題になっているテーマや当社グループでのリスク発生の頻度・影響度等を考慮し、適宜見直しを実施しています。
⑵ 気候変動
気候変動の危機が迫るなか、当社では、持続可能なモビリティ社会のあり方を模索し、2030年長期ビジョンで掲げた「環境」の提供価値を最大化する目標に向けてサステナビリティ経営を加速させています。2019年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」への賛同を表明し、気候変動が事業に与える影響とそれによるリスクと機会をシナリオに基づいて分析、事業戦略へ反映していくよう検討を進めることで、事業の持続的な成長へとつなげる取り組みを推進しています。
① ガバナンス
当社は、全社安全衛生環境委員会において、気候変動に関わる重要事項を審議・決定しています。同委員会は年2回開催され、中長期目標の策定や省エネに関わる投資等の環境経営推進上の重要事項について協議・決定を行います。
また、事業に重要な影響を及ぼすと判断された案件(ビジョン、中期経営戦略、大型投資等)については経営審議会あるいは取締役会で審議しています。
全社安全衛生環境委員会の下部委員会には、事業グループごとの委員会、国内グループごとの委員会、海外地域別(北米、南米、欧州、中国、東南アジア)の委員会があり、委員長は担当役員です。さらにはエネルギー部会、物流部会、クリーン製品部会、生産環境部会の4つの部会が構成され、担当範囲を明確にして効率的、重点的に活動を推進しています。シナリオ分析結果を含む課題については、全社安全衛生環境委員会で共有する等、必要な手続きを検討・実施した上で、全社事業計画に反映し、速やかに実行していきます。
② 戦略
気候変動が事業に及ぼす影響の把握と気候関連の機会とリスクを具体化するために、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の外部シナリオをベンチマークとして参照しました。また、自動車産業のシナリオ分析を確認しつつ、自社の中長期戦略における事業環境認識と照合しながら総合的にシナリオを想定の上、シナリオと自社中長期戦略との差異分析を行い、事業に与える影響が100億円以上に相当する項目を重要項目として抽出しました。
なお、上記シナリオの想定について、移行リスクはIEA「World Energy Outlook」の中で想定される「B2DS」、「SDS」シナリオをそれぞれ推進的・野心的シナリオと定義し、範囲としては2040年までのCO2排出量、炭素税、原油価格、再生可能エネルギー率、新車電動車率を定量化し、自社戦略との差よりリスクと機会を分析しました。また物理的リスクでは、IPCC第5次評価報告書より、「RCP8.5」「RCP6.0」をそれぞれ鈍化、推進シナリオと定義し、気象災害、海面上昇、生態システム悪化、水食糧不足等を定性化し、自社戦略との差よりリスクと機会を分析しました。
主なリスクと機会、重要項目への対応策は以下のとおりです。
主なリスク
重要事項 | 時間軸/影響 | 主要な財務上の潜在的影響 | 財務影響 (2025年度) | 対応策 | 対応費用 (2022年度) |
既存の製品及びサービスに対する新たな命令・規制 | 長期/ やや高い | 燃費・排ガス規制厳格化加速を背景とした売上減少 ・燃費規制の厳格化(2018年から2030年にかけてCO2排出量(上限)は約3分の1)や自動車の電動化(ハイブリッド自動車を含む)の加速(2018年:2%→2030年:47%)を想定。当該変化に対応できず、規制不適合による販売停止等により売上減少 | 3,000億円 | ・航続距離の延伸に向けた電動化製品の省エネルギー技術開発加速 ・新たな燃費規制に向けたハイブリッド自動車等の内燃機関の燃費向上に向けた開発加速 | 880億円 |
サイクロンや洪水等の異常気象の深刻化と頻度の上昇 | 長期/ やや高い | 工場操業停止・サプライチェーン分断による売上減少 ・洪水発生の可能性が高い日本・アジア(全生産の66%)で操業が停止することにより売上が減少 | 1,000億円 | ・建物・構造物への気象災害対策の実施 ・部材等の購入先の複数社化等によるサプライチェーンに対するリスクマネジメント強化 ・世界工場をIT・IoT技術でつなぐプラットフォームを開発。自然災害による生産変更等に即時に対応できるグローバル生産体制を構築 | 90億円 |
カーボンプライシングメカニズム | 中期/ 高い | カーボンプライシング導入加速に伴うコスト競争力低下 ・世界における炭素税や排出量取引制度、炭素国境調整措置等の新たな規制の拡大・厳格化により、内燃機関向け製品をはじめとしたすべての車載用製品に炭素コストが付加 | 120億円 | ・国内外の製造に関わるエネルギー由来のCO2低減に向け、炭素税の影響を受けない再生可能エネルギー由来の電力への戦略的かつ段階的な切り替え ・省エネルギーや生産プロセスの効率化の活動継続 | 30億円 |
主な機会
重要事項 | 時間軸/影響 | 主要な財務上の潜在的影響 | 財務影響 (2025年度) | 対応策 | 対応費用 (2022年度) |
研究開発及び技術革新を通じた新製品やサービスの開発 | 中期/ 高い | 電動車の需要増加に起因する売上増加 ・カーボンニュートラルを背景に各国で電動車が増加。ヒートポンプシステム等電動車の熱効率改善技術の需要も高まる ・インバータやサーマルの電動関連製品を含め、電動化対応により売上が増加 | 5,000億円 | ・省動力技術(エジェクタ、ヒートポンプ、蓄冷エパポレーター)、省能力技術(内外気2層ユニット)、小型化高出力技術(インバータ)等の電動化関連技術や、熱マネジメント技術(蓄熱、廃熱利用、吸着ヒートポンプ)の開発を加速 ・新燃料(e-fuel、水素等)に対応するエンジン制御システム等の技術開発も推進 | 900億円 |
事業活動の多様化 | 長期/ 中程度 | 脱炭素に資する技術需要増加に伴う売上増加 ・農業、物流、FA等、今まで培ってきた車載領域の脱炭素に寄与する技術開発で非自動車領域における事業機会を創出 ・CO2を吸収・再利用・貯蔵する技術を開発し2035年事業化を目指す | 農業・ FA等 3,000億円
CO2吸収 ・再利用 ・貯蔵 3,000億円(2035年) | ・センサ・制御・ロボットやバイオ関連技術を最大限活用した農業生産技術や自動車の排ガスを浄化する技術を活かしたCO2吸収・再利用・貯蔵する技術等を創出 ・積極的なアライアンスによる新事業とその販路開拓 | 170億円 |
より効率的な生産及び物流プロセスの活用 | 中期/ やや高い | 工場の省エネルギー推進によるエネルギーコスト低減 ・全世界の工場における生産プロセスの効率化を進め、エコビジョン2025の「エネルギー使用量を原単位で2012年度比半減」が達成した場合、年間173万tCO2分の削減とともにエネルギーコストも削減 | 600億円 | 省エネルギー活動の継続と、さらなる生産プロセスの効率化に向けた省エネルギー生産技術開発の促進 | 90億円 |
(注)「財務影響(2025年度)」及び「対応費用(2022年度)」は2023年6月20日時点における暫定値です。
確定値は2023年9月末発行予定の「統合報告書2023」において記載予定です。
③ リスク管理
当社では、急速に変化する事業環境の中で、多様化するリスクを常に把握し、被害の最小化と事業継続の両面からリスク管理を行っています。気候変動関連のリスクについては、全社安全衛生環境委員会で報告した上、重要項目の把握と対応を明確化しています。なお、気候変動関連のリスク(物理的リスク)は、リスクマネジメント会議が特にリソーセスを投入して対策を推進する重点リスクの一つとして選定されており、全社リスク管理の観点からもグループ全体でリスク対応を強化しています。
④ 指標及び目標
「エコビジョン2025*1」に基づく活動計画の進捗状況や社会からの要請・期待等を踏まえ、2021年度より一層高い目標として「カーボンニュートラル」を掲げ、活動を開始しました。なお目標については、「2025年中期方針」にて明確化するとともに、優先取組課題(マテリアリティ)に関する「サステナビリティ目標」の一つとして会社経営目標にも落とし込み、前述の全社安全衛生環境委員会だけでなく、経営審議会及び取締役会で進捗状況を共有・フォローアップしています。「2025年中期方針」にて明確化した具体的な会社経営目標は以下のとおりです。
気候変動(CO2排出量削減)に関する目標
領域 | 目標(2035年) |
モノづくり | 完全なカーボンニュートラル達成(ガスも含む) (2025年:電力のカーボンニュートラル達成(ガスはクレジット活用)) |
モビリティ製品(電動化) | CO2排出量2020年度比▲50% *2 |
新事業(エネルギー利用) | CO2排出量2020年度比▲50% *2 |
上記目標はパリ協定の1.5℃シナリオを前倒しして設定したものですが、ステークホルダーの皆様にさらに共感をいただけるように、科学的知見と整合したSBTi(Science Based Targets initiative)の認証取得を目指します。
CO2排出量(グローバル/Scope1+2)の状況
(注)1.*1「エコビジョン2025」:すべての企業行動を通じて、環境問題やエネルギー問題の解決と自然との共生を図り、2050年の持続可能な地域・社会の実現に向けた、その中間時点となる2025年までのアクションプラン
2.*2 基準値:2020年度モビリティ製品によるCO2排出量
3.CO2排出量(グローバル/Scope1+2)の状況について、2018年度以降のCO2排出量より、「温室効果ガス総排出量算定方法ガイドライン」に準じて算出方法を変更しており、2020年度よりSGSジャパン株式会社による独立した第三者検証を取得しています。
また、2022年度のCO2排出量について、2023年6月20日時点の社内算出値は150.7万tです。本算出値については、2024年1月にSGSジャパン株式会社による第三者検証を取得予定です。
⑶ 人的資本
① 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する取組
i) 戦略
当社は、創業以来、「先進、信頼、総智・総力」というバリュー(デンソースピリット)を受け継ぎながら、100を超える世界初の技術や製品を生み出してまいりました。現在、自動車産業を取り巻く環境に大きな構造変化が起きるなか、環境と安心の大義実現に向け、モビリティだけでなく、インダストリー・ソサエティのフィールドでも新たな価値を提供すべく、これまで多様なお客さまに価値をお届けしてきた「実現力」にさらに磨きをかけています。実現力には、品質・コスト・供給を実現する「量産実現力」と、お客さま価値・コトの事業モデル・異業種パートナー連携を実現する「事業実現力」があり、この両輪が当社の強みであると考えています。これからも、多くのパートナーとともに、新しい“できる”を実現し、社会に実装・普及させていく存在でありたいと考え、「実現力のプロフェッショナル集団」を人と組織のビジョン(ありたい姿)に掲げました。ビジョン実現に向けた人財・組織改革を2021年度より具体的に着手し、「PROGRESS」という名称で人事施策・制度の刷新を進めています。
PROGRESSの主な取り組み | |
キャリア | キャリア研修、専門性の強化、キャリアイノベーションプログラム |
人財育成 | トレーニー制度、異業種連携の共創プログラム、経営リーダー研修 |
評価・処遇 | 評価・昇格・賃金制度の運用刷新、多様なライフを支える福利厚生 |
働き方・カルチャー | エンゲージメントを高める取り組み、DX人財育成、多様性(女性活躍推進等) |
ii) 指標及び目標
a) エンゲージメントを高める取組
社員一人ひとりが成長し、挑戦し続け、成果を発揮するには、高いワークエンゲージメントが必要です。当社では、約2,500の職場、全社員約45,000人を対象としたエンゲージメント調査を毎年実施し、仕事のやりがい・働き方のポジティブ度・会社への愛着・職場への満足度等の観点で分析した上で、職場を11タイプに分類しています。自職場の結果は全員に開示され、話し合いを通じて、より良い職場づくりに取り組んでいます。
職場づくりの要である管理職に対しては、多様な人財を束ねるマネジメント力の向上に向けて、有識者の講演や対話スキル研修等を実施しています。獲得したスキルは、日頃の部下とのコミュニケーションや1on1、年3回の面談等で実践され、2022年度の「ワークエンゲージメント肯定回答率」は2021年度より3%上昇しました。
指標 | 実績 (2021年度) | 実績 (2022年度) | 目標 (2025年度) |
ワークエンゲージメント 肯定回答率 | 70% | 73% | 78% |
(注)「ワークエンゲージメント肯定回答率」は当社単体の数値を基に算出しています。
b) 人財ポートフォリオ変革の取組
当社の掲げる大義・戦略の実現に向け、3つのプロの獲得・育成・配置を進めています。
ア) 経営のプロ
未来の当社や新たな事業をけん引するリーダー人財を計画的に輩出するために、タレントマネージャーを設置し、グローバルに優秀人財を早期発掘しています。発掘した人財の育成・配置については、CHRO、地域CEO等で定期的に行い、成長を支援しています。次世代リーダーを育成するGlobal Leadership Development Programには、これまで約220人が受講しており、2030年度には、海外拠点長の現地人材比率50%を目指して、取り組みを強化しています。
イ) 領域のプロ
組織全体では、内燃領域から電動領域へのシフト、ハードウェアからソフトウェアへのシフト等、数千人規模で重点領域への人財流動性を高めています。一方、社員一人ひとりに対しては、激動の時代を切り拓く「実現力のプロフェッショナル」になるために、キャリアイノベーション施策を充実させています。特に重要なソフトウェア領域では、ソフトウェアエンジニア向けに保有スキルを客観的に認定する「ソムリエ認定制度」や、転身した後に必要となる知識・スキルを習得する、ソフトリカレントプログラムを展開しています。さらに2022年度には、事業ポートフォリオ転換を実現する組織能力の向上・最適配置に向け、約40領域で求められる専門性を約500分類に再定義し、約15,000人のオフィス勤務者の専門性レベルを5段階で可視化しました。今後は当データを活用し、事業戦略に必要なプロ人財の充足と活躍を目指していきます。
ウ) 多彩なプロ
性別・性自認・性的指向・年齢・人種・国籍・宗教、障がいの有無、経験、価値観等、目に見えない違いも含め、多彩なプロが活躍できる環境・組織風土の実現に向けて、グローバルに取り組みを進めています。
女性活躍については、採用・ライフイベントとの両立・昇格等フェーズごとにKPIを設定し、2021年度からは事技職に加え、生産関係職の管理職数も目標値として掲げ(2025年度 管理職数200人、班長以上数200人)女性向けロールモデル座談会や上司向けダイバーシティ研修といった取り組みを進めています。また、デンソーグループとして、国際女性デーには、北米・欧州・インド地域で講演会・パネルディスカッション等のイベントを開催し、一体感向上にも取り組んでいます。
指標 | 実績 (2021年度) | 実績 (2022年度) | 目標 (2025年度) |
女性管理職人数 | 事技系 130人 技能系 132人 | 事技系 139人 技能系 136人 | 事技系 200人 技能系 200人 |
(注)「女性管理職人数」は当社単体の数値を基に算出しています。
② 社内環境整備に関する取組
i) 戦略
a) 安全衛生
デンソーグループとしての事業基盤の確立のためには、安全衛生管理の向上は必要不可欠です。
当社が制定した「安全衛生環境基本理念」(1969年)に基づき、「安全で働きやすい職場づくりこそ、人間尊重と高生産性を両立させ得る最善策」という方針のもと、デンソーグループにおける安全衛生の継続的な向上に取り組んでいます。
b) 社員とともに進める健康づくり
心身の健康は、いきいきと働くための源であり、社員とその家族の幸せに不可欠なものです。当社では、社員の健康増進を経営課題の一つと位置づけ、「健康経営*1」を推進しています。
2016年9月に「健康宣言」を発表するとともに、健康増進に向けた社員の意識向上と職場単位の活動促進を図るため、心身両面の健康施策の充実に取り組んでいます。
また、国内外のデンソーグループ各社で健康経営を推進するため、2019年2月に「デンソーグループ健康経営基本方針」を策定しました。この基本方針をグローバルに共有し、各国・各社の実情を踏まえた健康経営を実践することで、一人ひとりの健康意識(ヘルス・リテラシー)を向上させ、より働きやすい環境づくりにグループ全体で努めていきます。
(注)*1「健康経営」:NPO法人健康経営研究会の登録商標
ii) 指標及び目標
a) 安全衛生
安全衛生の向上のため、安全点(災害の大きさや種類に応じてリスクを点数化した指標、低いほど良好)について目標を設定し、災害発生に至った要因を未然防止の視点から、作業面・設備面・管理面について評価しています。
2022年度は「重大災害・爆発火災防止」と「機械作動部・重量物等の“1種災害”低減」を重点に、部門トップによる安全コミュニケーション巡回、異常処置等の際に手を出すことにより起こる災害の防止強化、リスクの高い設備等を重点とした爆発火災防止点検等、全員参加の活動に取り組みました。
結果、重大災害・爆発火災は0件を継続できましたが、安全点目標は、国内グループにおける災害増加により一部目標未達となりました。災害要因を分析した結果、その多くが“やり難い場所・姿勢”を伴い、安全確保が作業者に強く依存しており、「人に頼る作業のリスク再評価・低減」と「動くところに手を出すな」を重点方針に織り込み、災害抑止に向け、引き続き活動を展開しています。
安全点
区分 | 目標 (2022年度) | 実績 (2022年度) | 評価 (2022年度) |
当社 | 50.0点 | 23.0点 | ○ |
国内グループ | 36.0点 | 46.0点 | × |
海外グループ | 48.5点 | 24.5点 | ○ |
b) 社員とともに進める健康づくり
「健康日本21*1」で目標値が設定されている「健康行動」と「健康データ」に該当する、一人ひとりの健診データより点数化した当社オリジナル指標「生活習慣スコア*2」を設定し、全社平均値を会社経営目標値としています。
職場の健康責任者(部門長)及び健康推進リーダーに職場別集計値を通知し、効果的な健康アクションプランを立案しています。
社員一人ひとりには強み・弱み・同年代の比較・今後取り組むべきアドバイスを記載した通知書を配布し、意識啓発を行っています。
2022年度は、健康的な生活習慣実施率の底上げによって、2017年度比10%アップを目指して活動を推進しました。また、自社開発した健康アプリ「デンソー健康ステーション(DKS)」は、生活習慣スコアのみならず、健康診断データ、社員食堂での喫食データ(カロリー・塩分量等)の確認、体重・歩数・血圧等も登録できる仕組みとなっており、日々の健康管理に活用されています。
生活習慣スコア
区分 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
目標値 | 74.5点 | 76.0点 | 77.0点 |
実績値 | 72.5点 | 74.0点 | 74.5点 |
(注)1.*1「健康日本21」:厚生労働省が策定している生活習慣病の未然防止とともに健康寿命を延ばすことを目標に国民の健康増進を促進するための方針
2.*2「生活習慣スコア」の算出方法
「健康行動」が80点満点、「健康データ」が20点満点で構成される合計100点満点のスコアで、年に1回の健康診断の結果に基づき算出しています。
3.生活習慣スコアは当社単体の数値を基に算出しています。
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