企業兼大株主東芝テック東証プライム:6588】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、2024年5月23日に「中期経営計画(2024~2026年度)」を策定・開示しており、以下の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、当該「中期経営計画(2024~2026年度)」に基づき記載しております。したがって、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在ではなく、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが入手し得る情報に基づいて判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

 当社グループは、理念体系にある経営理念、ビジョン、行動指針に基づき、新しい価値創造へのこだわりと挑戦を続けるとともに、お客様の期待に応える商品やサービスの提供をはじめとして、ステークホルダーとの約束を実現することを事業運営における基本方針としています。当社グループは、経営理念、ビジョン、行動指針の実践を通じて、社会課題の解決に貢献する新たな価値を共創によって生み出しグローバルトップのソリューションパートナーを目指してまいります。


(2) 経営環境

当社グループの各報告セグメントの経営環境についての認識は、次のとおりであります。

(リテールソリューション事業)

 当社の顧客である流通小売業においては、消費者の行動変化によるネットショッピングや決済手段の多様化への対応、生産性向上のためのデジタルトランスフォーメーション(DX)対応、人手不足に対する省人化対応、店舗内メディアを活用した販売促進利用等の様々なニーズに加え、廃棄ロス・販売機会ロスの削減、環境負荷の低減等の多様な社会課題を解決するソリューションが求められています。

 当事業においては、国内外に幅広く顧客基盤及び販売網を有し事業を展開しておりますが、競合他社との競争激化が続く厳しい事業環境にあります。

(ワークプレイスソリューション事業)

 オフィス向けプリンティング市場は、新型コロナウイルス感染拡大よる印刷量の急激な減少から回復傾向にあるものの、それ以前から続くペーパーレス化の進展は継続しており、世界市場全体では今後も緩やかな減少傾向が続くと見込まれます。

 また、働き方改革に伴うリモートワークの拡大に加え、オフィスや現場におけるさまざまな業務のデジタル化ニーズが顕在化しており、当社の顧客各社は、DX需要を成長分野と位置付けて、情報技術(IT)を使ったソリューションの開発・提供に力を入れています。

 当事業においては、国内外に幅広く販売網を有しておりますが、需要の鈍化や競合他社との競争激化が続くなど厳しい事業環境にあります。

(3) 中長期的な経営戦略と目標

 上記の経営環境下において、当社グループは、2024年5月23日に策定した「中期経営計画(2024~2026年度)」の全社戦略のとおり、グローバルな顧客基盤、販売・保守網等のタッチポイントを活かすべく、①基盤事業の収益力強化、②新規事業の領域拡大、③経営変革・人財強化・サステナビリティ強化の取り組みに経営資源を重点的に配分します。それらの取り組みを通して、当社はグローバルトップのソリューションパートナーを目指してまいります。各報告セグメントにおける具体的施策は、以下のとおりであります。

(リテールソリューション事業)

 流通業界における省人化ニーズへの高まり、DXの推進及び多様な社会課題等の事業環境の変化は、当社グループが社会に貢献できる大きな事業機会に繋がっています。これらの事業機会に対して、圧倒的なグローバル顧客基盤を活用した「マーケットイン発想」の事業構想と実行及び「業界トップのグローバルプレイヤーならではの充実した戦略的パートナーシップ」により、当社ならではの高収益新規事業拡大を加速し、収益性の向上を図ります。

・基盤事業の収益力強化

 グローバル共通のハードウェア開発・製造共通化により収益力を強化します。また、国内・海外ともに機能を拡充してきたグローバルリテールプラットフォーム「ELERA」によるデータ活用ソリューションビジネスを本格的に拡大してまいります。加えて、グローバルに展開された保守網を活用し、当社の機器だけでなく他社のIT機器をカバーする保守サービス(BPO)を提供することで、小売業の抱える人材不足の解消に貢献し、収益拡大を図ります。

・新規事業の領域拡大

 強みであるタッチポイントを起点にデータビジネス事業ドメインを従来の小売業から、決済業者、物流業、広告、メーカー・卸に拡大しデータのバーティカルインテグレーションを図ります。これを実現するため、AI/生成AI活用及び流通業界のコンソーシアム参画とエコシステム実現に注力してまいります。AI/生成AI活用については、AIとプラットフォームをセットで開発する新会社を2024年10月に設立(予定)し、体制強化をいたします。このような取り組みを通して、新規事業におけるサービス・ソフトウェアの割合を拡大し、更なる収益力の強化を図ります。

(ワークプレイスソリューション事業)

2020年に実施した構造改革により、強靭でスリムなグローバル・オペレーション体制を構築し、収益性の改善に邁進しています。「中期経営計画(2024~2026年度)」の期間においては、㈱リコーとの複合機等の開発・生産を担う合弁会社であるETRIA社(登記名称:エトリア㈱)(注)の組成により高付加価値商品ラインナップの拡充を図るとともに、協業により成長領域への集中と提供価値の変革を加速させます。

・㈱リコーとの合弁会社であるETRIA社の組成(基盤事業の収益力強化)

 オフィス向けプリンティング機器の開発・生産に関する両社の技術的な強みを持ち寄り、企画・設計開発機能の拡充を図ります。また、部品や材料の共同購買や生産拠点の相互活用を進めるとともに、地政学リスクの高まりに柔軟に対応するレジリエントなサプライチェーンの構築を進め、より一層強いものづくりの実現を目指します。

ETRIA社の組成により両社の保有するリソースをイノベーションの領域や個々の差異化領域により注力できるようにシフトし、競争力を高めて事業基盤の強化を図ります。さらに、パートナー戦略による文書管理システムソリューションや、当社が持つバーコードプリンタやRFID等を活用した自動認識技術を活かしたソリューション等の成長領域事業を加速してまいります。

(注)合弁会社の現在の登記名称はリコーテクノロジーズ㈱ですが、2024年7月1日付にてエトリア㈱に変更する予定です。

 当社グループは、「中期経営計画(2024~2026年度)」において、当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益、営業利益率(ROS)、親会社株主に帰属する当期純利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投下資本利益率(ROIC)を掲げており、最終年度である2026年度に、売上高は5,500億円、営業利益は330億円、営業利益率(ROS)は6.0%、親会社株主に帰属する当期純利益は170億円、営業活動によるキャッシュ・フローはプラス350億円、投下資本利益率(ROIC)は15%を達成することを目標として定めております。なお、当該目標値は、当社が有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

上記の経営方針及び経営戦略を実行するに当たっては、各事業におけるバランスある利益の実現と長期的収益体制の構築が必要であり、その実現のために当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、次の重要施策の実行を加速することであると認識しております。

・新規事業拡大の加速

 リテールイノベーションへの積極投資として、購買体験・店舗の変革需要の高まりを支援するための投資拡大を実施します。

 新規事業拡大の加速を支える4つの取り組みとして、デジタル人財強化、「ELERA」の進化、共創の場の充実、パートナー連携強化を実施します。

・高付加価値ビジネスへの移行

リテールソリューション事業において、より付加価値の高いソリューションサービスへのシフトを進めることにより、収益性の拡大を目指します。

・グローバルリテールソリューション事業の競争力強化

 保守サービスの拡大、グローバルリテールプラットフォーム「ELERA」を軸としたソリューションビジネスの拡大を通して、既存顧客の維持及び新規顧客の獲得、さらに収益性の高いリカーリングモデルにシフトしてまいります。

・ワークプレイスソリューション事業の更なる収益性強化

ETRIA社の組成により強靭でスリムなオペレーション体制の構築を進めるとともに、ソリューションの競争力を高めることで更なる収益性強化を目指します。

 また、上記の重要施策に加え、外部環境の変化による経営への影響を低減するため、これまで実施した構造改革の効果を継続的に維持することに加え、更なる業務の効率化や間接経費のコントロール、製造原価改善等のコスト削減施策とともに、市場動向を踏まえた売上拡大施策を実施いたします。

(5) 次期の見通し

 今後の世界経済は、景気の緩やかな回復が続くことが見込まれますが、海外における金融引締め、中国経済の成長鈍化等の景気減速懸念に加えて、地政学的リスクの高まりや金融資本市場の変動等の影響により、景気は先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

 このような状況下におきまして、当社グループは、「社会課題の解決に貢献する新たな価値を共創によって生み出し、グローバルトップのソリューションパートナーへ」の基本方針の下で、持続的な成長の実現に向けて、各種施策の実行にグループ一丸となって取り組む所存でございます。

 具体的には、当社のフィジカルアセットであるグローバルな顧客基盤と営業・保守網を活かし、パートナーとの共創によりエコシステムを構築し付加価値の高いソリューションの提案を進めることで、社会課題の解決に貢献するとともに、企業価値向上を目指してまいります。

2024年度(第100期)における各報告セグメントの主要施策は、次のとおりであります。

(リテールソリューション事業)

 主力商品である国内及び海外市場向けPOSシステム、国内市場向けオートIDシステム、並びにそれらの関連商品の拡販と、顧客のDXを推進するトータルソリューションの提供を行ってまいります。具体的には、グローバルリテールプラットフォーム「ELERA」及び戦略的パートナーシップによるソリューションビジネスの拡大、地域に即した営業・マーケティングの展開、リカーリングビジネスの強化、販売サービス網の最適化、当社の機器だけでなく他社のIT機器をカバーする保守サービス(BPO)等の取り組みを通して国内事業の更なる収益力強化、海外事業の収益改善を図ります。

(ワークプレイスソリューション事業)

 主力商品である海外及び国内市場向け複合機、海外市場向けオートIDシステム、国内及び海外市場向けインクジェットヘッド、並びにそれらの関連商品の拡販と、幅広い商品群・マーケットを活かしたトータルソリューションの提供を行ってまいります。同時に、地域に即した営業・マーケティングの展開、販売サービス網の最適化、新興国事業の強化等により、強靭でスリムなグローバル・オペレーション体制を構築し、収益体質の強化に努めてまいります。

 なお、当社は、当社グループの複合機及びオートIDシステムの開発及び製造に関する事業を、当社と㈱リコーとの合弁会社であるETRIA社に対して、2024年7月1日付にて承継させる予定です。

 また、当社は、当社グループのインクジェットヘッド事業の全てを、理想科学工業㈱の完全子会社である理想テクノロジーズ㈱に対して、2024年7月1日付にて承継させる予定です。
 

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