企業兼大株主ダイフク東証プライム:6383】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営方針

 当社は、事業環境や社会環境の変化、デジタルトランスフォーメーションやサステナビリティ経営といった時代の要請に応えるため、2021年10月1日付で経営理念を改定し、「モノを動かし、心を動かす。」としました。当社グループの競争力の源泉であり、これまで培ってきた「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」、すなわち「モノを動かす」技術でお客さまへの提供価値を変革し、健全で心豊かに生きられる社会の実現を目指していきます。

<中期経営計画の総括>

2024年3月期を最終年度とする3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたものの、初年度は当初経営目標(連結売上高5,400億円、営業利益率10.5%、各年度ROE10%以上、連結配当性向3カ年平均30%以上)達成に向け、おおむね好調に推移し、計画2期目に売上高目標を6,000億円に上方修正しました。

2023年3月期以降は、原材料・人件費高騰に伴うコスト増加が顕著になり、利益面に大きな影響を及ぼしましたが、価格転嫁の促進や製品の標準化、部品点数の削減、工期短縮といった自助努力によるコスト削減を推進し、利益率改善に注力しました。

 この結果、2024年3月期は、売上高・ROEとも経営目標を達成しました。また、2023年3月期、2024年3月期と2期連続で営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を更新しましたが、2024年3月期の営業利益率は、わずかに目標には届かない結果となりました。

なお、連結配当性向に関しては、3カ年平均32.7%となり、目標としていた3カ年平均30%以上を達成しました。経営目標に対する達成状況、主な成果と課題は以下のとおりです。

<経営目標に対する達成状況>

 

2022年3月期実績

2023年3月期実績

2024年3月期実績

2024年3月期
中期経営計画
最終年度目標

連結売上高

5,122億円

6,019億円

6,114億円

6,000億円

当初:5,400億円

営業利益率

9.8%

9.8%

10.2%

10.5%

ROE

13.1%

13.2%

13.2%

10%以上

連結配当性向

31.6%

33.6%

32.9%

3カ年平均30%以上

3カ年平均32.7%

<成果と課題>

成果

・生産能力を増強(北米・中国・韓国)し、受注高・売上高増加に結び付けるとともに、生産性や内製化率の向上を図り、収益性も改善

・製品の標準化、部品点数削減、工期短縮などによるコストダウンで部材費高騰や人件費上昇の影響を低減

・グループチーフオフィサーを設置し、全社横断的な経営体制を強化

・再生可能エネルギーの導入を進め、2023年度のCO2排出量(スコープ1及び2)は2018年度比で46%の削減を達成見込み

 

課題

・海外プロジェクト管理の高度化による収益性の改善

・先端技術の導入加速や新規事業の創出による競争力の強化

・人材の確保、育成に向けた人的資本投資の拡充と人材マネジメント力の強化

・経営管理の高度化による資本効率やキャッシュ・フローの改善

<長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」及び「2027年中期経営計画」の概要>

 次なる成長と企業価値向上を目指すため、2030年のありたい姿として長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」を、その中間点として2027年12月期を最終年度とする「2027年中期経営計画」(以下、新中計)を策定しました。

 なお、当社は2024年12月期より決算期(事業年度の末日)を毎年3月31日から毎年12月31日に変更しました。詳細は、「第6 提出会社の株式事務の概要」をご参照ください。

<「Driving Innovative Impact 2030」について>

『未来を見据えた新たな発想での取り組みを強化し、ステークホルダーへ革新的な影響を生み出すことにより、目指すべき経済・社会価値を実現する』との強い想いを込めています。

<策定のコンセプト>

1.短期志向から長期・バックキャスト志向へ

 未来の社会像や課題を想起し、まず2030年のありたい姿を「Driving Innovative Impact 2030」として設定した上で、その中間点として「2027年中期経営計画」を策定しました。

2.経済価値と社会価値の両立へ

 経済価値と社会価値双方の視点を踏まえた統合目標を設定し、その実現に向けた施策・ロードマップを策定しました。

<2030年のありたい姿・2027年経営目標>

 

2030年のありたい姿

2027年経営目標

経済価値

連結売上高

1兆円

8,000億円

営業利益率

12.5%

11.5%

ROE

13.0%

13.0%

社会価値

「モノを動かす」技術で

  物流や生産現場などの社会インフラを支えます

  食や環境などの新たな領域で社会課題解決へ貢献します

<注力する領域・枠組み>

 経済価値及び社会価値の実現に向け、「Value Transformation 2023」の課題や事業環境・社会の持続可能性を考慮し、事業領域と事業・経営基盤領域それぞれに注力する枠組みを設定し、各種施策を実践していきます。

領域

枠組み

事業領域

・既存事業の進化

・新領域への挑戦

・次世代事業の創出

事業・経営基盤領域

・成長を支える仕組みの構築

・事業を支える財務戦略

・業務全体の刷新

・経営体制の強化、管理の高度化

・組織の強化

・環境負荷ゼロに向けた活動

・継続した安全活動

 長期ビジョン及び新中計の詳細は、『長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」、および「2027年中期経営計画」策定のお知らせ』(2024年5月10日公表)又は当社ウェブサイトをご覧ください。

https://www.daifuku.com/jp/ir/assets/20240510_3.pdf

〔図〕長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」と2027年中期経営計画


(2) 経営環境

① 事業環境

 日本においては人口の減少と物流2024年問題に伴う労働力不足が深刻化する一方、北米を中心とする海外においては人件費が急激に上昇し、物流・生産現場における自動化・無人化ニーズがグローバルで拡大しています。

 また、生成AIの普及に伴い半導体需要が飛躍的に増加すると同時に、経済安全保障の観点から各国政府が自国内における設備投資を促進しているため、各地域で半導体投資が活発化しています。

 各国政府がCO2排出量削減目標を掲げる中、xEV(BEV、HEV、PHEV、FCEVなど電動車の総称)関連投資も当面継続が見込まれます。

 これまで、限定的な自動化投資しか行われてこなかった空港においては、慢性的な労働力不足に伴う各種課題が顕在化しており、「空港のスマート化」が求められています。

 これらの事業環境を踏まえ、当社グループが提供するマテリアルハンドリングを核とする「モノを動かす」技術への期待がますます高まっていくことは確実であり、ビジネス機会を着実に捉え、更なる成長に繋げていきます。

② 競争環境

 生成AIに代表される先端技術の革新が急速に進展し、特定の技術力・製品を持った新興企業が参入してきています。また、低価格を強みとする中国企業も台頭しています。

 日本においては、国内競合企業が自社の製品と海外企業の先端製品を組み合わせることで提案力を強化する等、競争は激化しています。

 次世代技術に重点を置いた開発力を強化すると同時に、DX/AIリテラシーの向上に向けた人材育成に注力し、グローバルに最適・最良のシステムを提供するという当社グループの強みに磨きをかけ、厳しい競争に打ち勝っていきます。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 新中計の根幹となる事業ポートフォリオについては、従来どおり、①一般製造業・流通業向けシステム、②半導体・液晶生産ライン向けシステム、③自動車生産ライン向けシステム、④空港向けシステムの4つのコア事業に、⑤洗車機・関連商品と⑥電子機器を加えた6つの事業で継続的な発展を目指します。

 当連結会計年度は、グループ全体の構造改革で収益性向上を図るため、

・事業体質の見直しと新たな事業への挑戦

・現地法人の構造改革による収益性向上

・先端技術・新規事業開発とDX推進の継続

 などに取り組みました。

 各事業において、お客さまの近くで調達・生産して製品・システムを提供する、いわゆる「地産地消」の推進を図る中で、日本では滋賀事業所を5年程度かけて再編(一般製造業・流通業向けシステム及び半導体・液晶生産ライン向けシステム等を中心とした工場生産設備の維持更新や増強)するプロジェクトが進行中です。

 一般製造業・流通業向けシステムでは、インド(Daifuku Intralogistics India Private Limited)で新工場建設を、北米(Daifuku Intralogistics America Corporation)では既存工場と同規模の工場増設を進めています。

 半導体・液晶生産ライン向けシステムでは中国(大福自動搬送設備(蘇州)有限公司)で新工場が稼働を開始したほか、韓国(Clean Factomation, Inc.)では工場をリニューアルし生産能力が拡大しました。

 一方、市場が大きく変化している中国の自動車生産ライン向けシステム(大福(中国)自動化設備有限公司)、及びプロジェクト管理の不備により一過性コストを計上したオセアニアの空港向けシステム(Daifuku Oceania Limited)では抜本的な構造改革に着手しました。

 また、すべての現地法人で、営業利益率10%以上の早期達成に向けた改善計画を実行しており、一部では既に成果が表れています。

 事業領域の拡大に向けては、新規事業や先端技術の開発も重要テーマです。2024年4月、代表取締役社長(CEO)直下にCTO(Chief Technology Officer)をトップとする専担組織「ビジネスイノベーション本部」を新設しました。「次世代技術」に重点をおいた開発力の強化と、オープンイノベーション推進により、成長のドライバーとなる先端技術開発を強化すると同時に、企業価値向上に貢献する新規事業を創出していきます。また、DX/AI人材の育成に向けた取り組みも強化していきます。

 また、「サステナビリティ」「コンプライアンス」「ガバナンス」「安全」についても引き続き重要な課題であると捉えています。

① サステナビリティ経営

 持続可能な社会の実現に向けて、企業の役割がますます大きくなる中、特に「国内外脱炭素目標の設定と評価」「ダイバーシティの推進」等にこれまで以上にグローバルレベルで取り組んでいくことが求められています。当社グループではこれまで、サステナビリティ経営の推進組織として、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を2020年4月に設置し、その取り組みについて適宜、取締役会に報告してきましたが、これを「サステナビリティ経営委員会」及びその下部組織として「サステナビリティ推進委員会」に再編しました。前者で経営戦略の重要な議論や計画の進捗・成果の確認などを行って経営の高度化を図り、後者が経営戦略に基づきグループ横断の取り組み等を推進していきます。

2022年11月より、当社グループ最大の工場である滋賀事業所においてメガソーラーを含め事業所内で使用する電力をすべて再生可能エネルギー由来へと切り替えたのをはじめ、グループ各社でも再生可能エネルギー導入を進めてきました。これにより、「ダイフク環境ビジョン2050」で設定している2030年の当社グループのスコープ1、2のCO2排出量削減目標(2018年度比50.4%減)の早期達成が視野に入ってきました。このため長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」策定に合わせて、2030年のCO2排出量削減目標を60%減に上方修正しました。

人的資本への投資では、グループ人材マネジメント基盤を構築し、グローバルかつダイバーシティの観点で、各事業の特性に応じた専門人材の育成・登用に努めています。

② コンプライアンスの徹底・グループガバナンスの強化

 コンプライアンスが事業活動すべての前提になることに変わりはありません。単に法律を遵守すればいいということに止まらず、当社グループの今と未来を支えるのは、一人ひとりの高い倫理観と責任ある行動であることを、教育・研修などを通じグローバルベースで徹底していくとともに、不正が起こりうる可能性を想定して事業構造の改革に引き続き注力していきます。

 コーポレートガバナンスについては、当連結会計年度は取締役10名中5名の社外取締役を選任しています。また、企業経営経験者、財務・会計や法律の専門家、女性・外国人の登用など取締役会の多様性も確保しています。

③ 「安全専一※」の徹底

 一人ひとりの社員が最大のパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりに努めていくうえで、社員やその家族、お客さま、お取引先の生命・健康・安全を確保することが何よりも優先されます。「安全は、『第一』『第二』と相対的な順位を付けるものではなく、絶対的なもの、『専一』なものである」という意識をグローバルに浸透させ、引き続き、グループ一体となって災害や不安全行為の撲滅に取り組んでいきます。

※「安全専一」は、古河機械金属株式会社の登録商標です。

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