オイレス工業 【東証プライム:6282】「機械」 へ投稿
企業概要
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。
(1)経済・金融市場動向に関するリスク
①景気後退による需要減少のリスク
当企業グループの製品は、自動車をはじめ各種産業機械や建築・建設物等に多く採用されております。世界や我が国の景気後退や経済成長の減速という事態が発生した場合、製品需要すなわちこれらの生産台数や着工件数が減少し、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②原材料の価格上昇及び調達リスク
当企業グループ製品の主要材料である鋼材、銅合金、樹脂系原料等は、需給バランス、為替レート変動等に伴い市場価格が変動することがあり、また一部調達先が限定されるものもあります。
昨今、世界的な原材料費高騰のリスクの顕在化に加え、潜在的には経済安全保障にかかる材料調達リスクがあります。当企業グループは、原材料価格の市場変動及び原材料調達リスクに柔軟に対応するべくサプライチェーンを見直し、生産の合理化、高品質な原材料をタイムリーかつ必要数を入手するための調達先の分散化の検討、代替材料の選定等による原価低減施策を講じております。これに加え、競合他社の価格動向に注視しつつ販売価格へ適切に反映することにより影響の軽減を図っておりますが、予測を超えて市場価格に急激な変化が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③為替レートの変動リスク
当企業グループは外貨建取引から発生する為替変動により影響を受ける可能性があります。また、連結財務諸表作成にあたって在外子会社の外貨建財務諸表を円換算いたしますが、在外子会社の外貨項目の価値が変動しない場合でも、為替相場の変動により当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。
なお、個別の外貨建取引においては、原材料の現地調達化を図ることや、通貨スワップ契約によるリスクヘッジ等により、為替レート変動の影響を抑制するように努めておりますが、予測を超える変動が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④国際税務リスク
当企業グループはグローバルに製造・販売拠点を有しており、在外子会社とも相互に取引を行っております。取引については適切な価格で行っておりますが、当該国の税制の改廃や税務当局との見解の相違等により、予期せぬ税負担が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。
なお、当企業グループは、各国の租税法制に準拠して納税しており、国際税務に関しては、専門家の助言を受けながら適切な租税管理に努めております。
(2)事業戦略及び戦略に関わる外部環境に関するリスク
①海外事業展開に伴うリスク
当企業グループは、自動車メーカーの海外進出に合わせ現地生産体制を強化してきており、北米、欧州、アジアに製造・販売拠点を有しております。その結果、海外向けの売上高は連結売上高の36.0%を占めておりますが、当企業グループの製品を製造・販売している各国の景気後退やそれに伴う製品需要の縮小、あるいは海外各国における政治・社会・経済体制の変動により、影響を受ける可能性があります。
特に、近年のウクライナあるいは中東地域での紛争などのような地政学的リスクについてはその影響の大きさから重要なリスクとして認識しており、当企業グループは、経営企画部と在外子会社を所管する事業部が連携し、在外子会社との緊密な情報交換及び継続的モニタリング、各国の動向把握・分析によりリスクの極小化を図ります。
しかしながら、当企業グループの製品を製造・販売している各国の景気あるいは政治・社会・経済体制に予想を超える急激な変動が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②特定業種(自動車産業向け)への高依存度リスク
当企業グループにおける自動車関連売上高は全体の47.1%を占めております。これまで、製品の優位性、新規用途での採用拡大及び、グローバル展開等により比較的安定的な業績を確保してまいりましたが、自動車産業そのものを変革するCASE(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))、カーメーカー以外の事業者による参入、産業構造変化に伴う構成部品の変動に加え、自動車市場の需要動向に大きな変化が起こった場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当企業グループでは、CASEをはじめとした自動車産業の将来を見据え新規開発を進めておりますが、今後はさらにその先を目指して技術領域を拡大し、開発速度を加速することで、変革に対応してまいります。
③価格競争リスク
当企業グループの主力販売先であります自動車業界をはじめとして、すべての業界におきましてグローバルで競争が激しく、また、原材料価格高騰の影響もあり、これまで以上に厳しい状況にあります。当企業グループは、技術的優位性のある高品質製品の開発、顧客が抱える課題を共に解決する提案型技術営業の充実による付加価値の提供、製品ラインナップの充実等により、顧客満足を獲得してまいります。
しかしながら、今後新興国メーカー等の台頭による低価格品の伸長に起因して値下げ要求が続きますと業績に影響を及ぼす可能性があります。
④知的財産権リスク
当企業グループは、持続的成長に向けた重要課題(マテリアリティ)の一つとして「社会課題の解決に資する先進的な製品・技術の開発・提供」を掲げており、「摩擦」「摩耗」「潤滑」にかかわるトライボロジー技術と、ダンピング(振動制御)技術の二つのコア技術の研究開発活動を通じ、国内外において特許権、商標権及びその他の知的財産権を出願しております。これらは事業活動を優位に運ぶための参入障壁となる一方、特許等の権利満了に伴い他社が参入してくるリスクも内在しております。当企業グループは、技術開発又は製品開発により周辺特許も含めた新たな特許等を取得し、他社の参入を排除していきますが、売上高に占める割合が高い製品について他社の参入を許した場合は、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当企業グループが第三者の知的財産権を侵害したとして第三者から訴えられた場合、係争費用のみならず、損害賠償の支払や製造販売の差し止めが発生するおそれがあり、その結果、市場そのものを失う場合には、当企業グループの事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに備え、当企業グループでは、製品開発段階から知的財産管理規程に従い第三者の知的財産権の侵害可能性、新たな発明等の権利化の可能性等について十分な調査・検討を行っております。また、ノウハウについては秘密情報管理規程に基づいた適切な保護、管理を徹底しております。
⑤公共投資縮減のリスク
当企業グループにおける構造機器事業の売上高は、全体の19.3%となっております。当事業に係る売上は、我が国の公共投資事業の予算額等に影響を受ける可能性があります。
当企業グループは、事業収益性の改善、事業規模に見合った人員数への見直し、コスト構造の改善等により公共投資額の影響を受けにくい体制への強化、橋梁・建築に加え、新たに柱となる市場の創出を目指し、製品開発に取り組んでおります。
(3)業務運営に関するリスク
①品質不適合発生によるリスク
当企業グループの製品は、高精度・省力化を必要とする多くの機械・産業分野や最終製品で使用され、自動車の他、鉄道車両、水車・水門、橋梁等の社会基盤分野や様々なビルの免震・制震装置、一般住宅にも幅広く採用されております。
当企業グループは、あらゆる顧客・市場の要求に適合する品質保証体制とするために国内外各社の事業において、国際品質マネジメント規格(ISO9001又はIATF16949)を取得しています。さらに、当企業グループの顧客が要求する固有の品質基準等に対応する管理を徹底しております。
製品開発においては、初期段階から研究開発・生産技術・製造・営業などの部署がそれぞれの視点から品質課題を抽出し、過去の社内外の品質トラブル情報なども活用して解決するという手法を取り入れており、新製品として発売するまでの段階においても、製品設計・工程設計のデザインレビューにより品質面の検証をおこないリスクの極小化を図っております。
しかしながら、製品に未知の重大な欠陥が存在し、当該欠陥に起因する事故、リコール及び顧客の生産停止等の事態が発生した場合、当企業グループの社会的信用の低下等につながり、また、補償により多額の支出が生じた場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当企業グループはグローバルな製造物責任保険に加入しておりますが、損害賠償等の損失を十分にカバー出来るとは限りません。
②環境リスク
当企業グループは、持続的成長に向けた重要課題(マテリアリティ)の一つとして「環境対応」を掲げており、「オイレスグループ環境方針」を定め、地球環境保全に向けて環境負荷の低減と水環境の配慮に努めております。また、当企業グループでは、地球温暖化、水質汚濁、産業廃棄物、有害物質、土壌汚染等に関する環境法令及びその他の要求事項を遵守するため、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムを構築し推進しております。
しかしながら、想定外の事態が発生した場合には、何らかの法的若しくは社会的責任を負う事態が生じるおそれがあります。その場合、対応費用の発生及び当企業グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。
加えて、気候変動問題については、2020年の政府宣言にもあるとおり、「2050年カーボンニュートラル」が世界的潮流となっております。地球温暖化に起因する災害発生により当企業グループの事業に被害が生じるリスクがあることに加え、脱炭素社会の実現に向けて世界が進む中では、企業としての環境対応の取組みが不十分である場合、顧客からの信頼を失い、顧客のサプライチェーンから当企業グループが排除される可能性があります。また、ESG対応を重視する株主・投資家等からの信頼を失う可能性もあります。
かかる認識のもと、当企業グループでは、製品や技術という本業で環境負荷低減に貢献することはもちろんのこと、CO₂排出量削減など当企業グループ各社での環境対応も継続して推進してまいります。CO₂排出量削減については、2030年度までにCO₂総排出量を2013年度比46%削減するという環境目標を定めております。なお、前述の環境目標に続くものとして、当企業グループ全体で「2050年カーボン・ニュートラル」を実現することを2023年度からの環境目標として設定しております(CO₂総排出量の対象は、Scope1及びScope2)。
③労務・人材リスク
当企業グループは、人材への取り組みが中長期的な企業価値の向上に向けた重要な経営課題(マテリアリティ)であるという認識のもと、人権尊重、ダイバーシティの推進、人材育成、適正な労働慣行の実現など、全ての従業員の成長を支援し、働きやすい職場環境の実現を推進しています。
しかしながら、生産年齢人口の減少に加え、労働市場環境により優秀な人材が確保できない場合、人材不足により技能が適切に伝承されない場合、有能な人材が流出する場合、また人的資本投資及びその効果が十分でなかった場合には、新規技術開発が停滞するなど企業成長が抑制され、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況の下、当企業グループは、経営、技術開発、製造、営業その他の機能において優秀な人材の確保に努めており、人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。そして、必要な人材を採用し、長く勤めてもらうための環境を整備し、技術等の継承のため「育てて」「任せる」後継者育成・指導を計画的に行い、そのための投資も積極的に進めております。
④情報セキュリティリスク
当企業グループは、研究開発、生産、販売等に関する機密情報に加え、お客様や従業員の個人情報を保有しております。これらの情報管理につきましては各種情報の取扱規程による情報管理、社員教育等を実施し、また、情報セキュリティに関する国際規格ISO27001:2013を取得して情報セキュリティシステムの安定的運用に努めております。
これらの機密情報、個人情報の漏洩によるリスクのほか、サイバー攻撃などによる不正アクセス、自然災害、事故、コンピューターウイルスその他の要因により情報システムに重大な障害が発生した場合、当企業グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がありますが、これらの影響を極小化するために、当企業グループでは、ネットワークの冗長化、重要データのバックアップと複数のデータセンターによる保管等により、システムの復旧が容易になされる体制を構築しております。
(4)法的手続・災害等のイベント性のリスク
①法的リスク
国内、海外を問わず、独禁法、安全保障貿易管理、贈収賄等、当企業グループの事業に関連する法令・規制は多岐にわたっています。
これらの法令等へのコンプライアンスの徹底が十分でなく適用法令等の違反が発生した場合、あるいは過去に行った事業活動に対して法令違反を問われることがあった場合には、処罰、処分その他の制裁、あるいは社会的信用やイメージの毀損により当企業グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当企業グループでは、「オイレスグループ企業行動憲章」「オイレスグループ企業行動規範」及び「オイレスグループコンプライアンス実行の手引き」に加え、役員及び従業員に対する各種研修等を通じ、これらの法令等へのコンプライアンスの徹底を図っております。
②災害・感染症・テロ等の事業継続に影響を及ぼす事象のリスク
当企業グループは、日本国内はもとより、米州、欧州、アジアに製造・販売拠点を有しておりますが、これらの事業拠点において、大規模地震・水害・火災等の災害、感染症の世界的蔓延(パンデミック)、企業に対するテロ攻撃、紛争による政情不安が発生した場合には、原材料調達への影響、あるいは生産設備や人的資源等の経営資源に被害が生じ、サプライチェーンが寸断され製品の供給停止が起きることで、当企業グループの事業継続に大きな障害を与えることがあります。こうしたリスク事象の発生頻度は高くはありませんが、万一事象が発生した場合には、当企業グループの経営成績と財政状態に大きな影響を及ぼすことになります。
かかるリスク事象に対して、当企業グループは、大規模地震等の不測の事態が発生した場合の対策として事業継続計画(BCP)を策定して、有事の際の行動計画にしたがって災害から早期に復旧し製品を安定して供給するべく、減災あるいは調達先の分散化の検討、代替材料の選定など事前対策等を進めております。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置付けが5類感染症に移行いたしましたが、今後も従業員の健康と安全の確保と感染再拡大による事業継続への影響を考慮し、感染防止等に向けた対策を継続いたします。
なお、自然災害等に因る被害については、保険により補償される部分もありますが、その全てが補償される訳ではありません。テロ対策も含めて重要な経営課題として対応には万全を期してまいりますが、リスクを完全に回避することは困難であります。
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