企業兼大株主大同特殊鋼東証プライム:5471】「鉄鋼 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中における将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」が大同特殊鋼グループの経営理念です。高機能素材を追求するMissionを達成し、人と社会の未来に貢献していくことが当社グループの存在意義(Purpose)であると認識しております。高機能素材の価値を極め、顧客ベネフィットを創造し、サステナブル社会の実現に貢献することで持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

(2) 経営環境及び対処すべき課題

 今後の経営環境は、世界的な金融引き締めにともなう影響や中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れリスクや、ウクライナ情勢の長期化や中東紛争などの地政学リスクを内包した環境が継続すると見込まれます。当社の主要需要先である自動車関連の需要は、半導体を中心とした部品供給不足の緩和による生産増加が一巡し、実需に見合った水準になると想定しております。産業機械関連の需要は2024年度後半にかけて緩やかな回復が期待され、半導体関連需要については、シリコンサイクルの本格的な上昇局面を見据え、需要が上向くタイミングを見極めていく必要があります。

 中長期的な視点では、国際情勢が一段と不安定化し不確実性が高まる中、世界経済は低い成長率に留まるものと想定されます。また日本国内における人口減少・少子高齢化の進展、脱炭素社会や循環型社会への転換など、暮らしの中の社会基盤にも大きな変化が起こるものと想定されます。一方、当社の事業環境においては、自動車における電動化の進展、情報・通信分野におけるAI用途拡大・高度化などを背景とした半導体市場の成長、宇宙など通信衛星開発市場の拡大、世界的な人口増加を背景とした航空需要の増加、再生可能なクリーンエネルギー需要の拡大、高齢化社会の到来にともなう高度医療市場の拡大など産業構造の変化が予想されます。このように当社を取り巻く外部環境が大きく変化していくなかで、2030年の“ありたい姿”「高機能素材の価値を極め、顧客ベネフィットを創造し、サステナブル社会の実現に貢献する」を達成するための変革の時期、トランジション・マネジメントであると位置づけ、下記の経営方針に沿った行動を全力で推進していきたいと考えております。

[2026中期計画 経営方針]-トランジション・マネジメント-

社会経済・産業構造の変化を事業好機とし、事業ポートフォリオの変革を遂行し、

新たなビジネス・ドメイン(顧客×提供価値×手段)で持続的な利益成長を実現する

<行動方針>

① 事業ポートフォリオの変革

 今後の成長市場である半導体関連分野、CASE(自動車)、クリーンエネルギー分野、航空宇宙分野、医療分野の需要を捕捉するための取り組みを強化します。お客様との密接なコミュニケーションを通じた顧客ニーズの把握、新たな生産技術の開発、市場拡大にともなう需要増加を捕捉するための適時適切な設備投資、海外を含めたサプライチェーンの構築を進めることで、高収益製品を生み出し成長市場に提供していきます。

 情報・通信分野で成長が期待される半導体関連については高耐食材料開発を進めるとともに、グローバルにサプライチェーンを強化し、販売拡大、市場拡大に対応するための設備投資を行っていきます。e-Axle用特殊鋼製品に関しては、これまでの製造技術に関する知見を活かし、さらに信頼性の高いソリューションを提供してまいります。また、主機・補機・センサー用磁石については、重希土類フリーなど特長ある製品を提供するための戦略的な投資を実施してまいります。クリーンエネルギー分野においては、高温・高圧水素環境下で耐え得る耐水素脆化用鋼の開発、工業炉用水素バーナーの実用化を進めることなどでお客様のニーズに応えてまいります。より一層の拡大が期待される航空宇宙分野における自由鍛造品や医療分野のチタン製品に関し、将来的な需要増加を見据え、戦略的に設備投資を行ってまいります。特に航空機関連においては、永続的プレゼンス獲得に向け、航空機エンジンの大型回転体用Ni基合金で、アジア初のプライム認定を獲得することを目指し、約300億円を投資して高合金生産プロセスを抜本的に変革するプロジェクトに着手していきます。

 これらの取り組みにより、成長市場製品の売上高比率は2026年度で15%、2030年度で25%以上を目指します。

② 経営基盤の強靭化

 長期的な成長を支える経営基盤の強靭化を進めてまいります。知多工場一貫プロセスの能率向上、渋川工場の高合金溶解能力増強、星崎・知多第2工場の高機能素材製造能力拡充を進めるなか、ヒト・モノ・カネの経営資源の最適配分を行うことで、新しいポートフォリオに即した効率的で強靭な生産プロセスを整備していきます。また、2023年度にCQM部(Corporate Quality Management)を発足しており、品質マネジメントのさらなる強化も実施してまいります。

 人的資本に関しては、事業成長に必要なグローバル人材および高度専門人材の確保、グループを含めた次世代経営人材の育成、さらに高度技術人材およびDX推進人材の育成などにより従業員のスキル向上を図り、労働生産性を高めてまいります。

 財務面では、マイナス金利政策の解除など今後の緩やかな金利上昇を背景に借入金利の上昇が想定されるなか、事業ポートフォリオ変革にともなう設備投資資金、運転資金の増加が見込まれます。一方で、安定的にPBR1倍以上を確保するための資本効率向上も求められ「財務健全性の維持」「資本効率の向上」を両立させる必要があります。これらに対応するため、運転資金、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)管理強化やROICによる投資判断を導入するなど、財務基盤の強靭化にも取り組んでまいります。

③ ESG経営の高度化

 持続的な企業価値向上を目指し、ESG経営を推進するため、2023年1月に「ESG推進統括部」を設置し、地球環境の保護、社会への責任と貢献、ガバナンスの各種取り組みを強化してまいりました。

 今後におきましても、長期的な視点でステークホルダーの期待を上回る「特殊を超える価値」=“Beyond the Special”を創造する企業であり続けるため、自律的なサステナビリティ活動を推進するとともに、サプライチェーンへの展開を進めてまいります。気候変動に関しては、「2030年でのCO排出量を2013年対比で50%削減、2050年でのカーボンニュートラル実現」に向け、CO排出量の削減を着実に実行してまいります。社会への責任と貢献に関しては、特に人的資本投資の加速、ダイバーシティの推進、ウェルビーイングの追求とエンゲージメント向上などの人的資本戦略を推進してまいります。ガバナンス面としては、政策保有株式に関して、2023年度に4銘柄357億円の売却を行い、みなし保有株式を含めた純資産に対する比率を20%以下とするよう活動しましたが、株価上昇により23.4%となりました。なお、今後については2026年度までに15%、長期的には10%以下の水準を目指し継続的に縮減を進めてまいります。

<2026中期経営目標>

 

2023年度実績

(日本基準)

2026年度“めざす姿”

(IFRS)

営業利益

421億円

600億円以上

ROE

(自己資本利益率)

12.5%

(除く特別損益7.8%)

9%以上

D/Eレシオ

0.41

0.5目安

投資額

(3年累計決裁額)

2021-2023年累計

947億円

2024-2026年累計

1,500億円

株主還元

(一過性損益を除く)

配当性向

31.6%

配当性向

30%以上

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