企業日本農薬東証プライム:4997】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは「研究開発型企業」として、技術革新をすすめ、安全性の高い環境に配慮した新製品の開発を行っています。

 当社グループにおける研究開発費の総額は、5,448百万円です。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりです。

(1) 農薬事業

・新規開発品目

 新規汎用性殺虫剤(開発コード:NNI-2101)は、本年度も一般社団法人日本植物防疫協会が実施する新農薬実用化試験に供試し、農薬登録申請に必要な有効な試験事例を集積しました。これら知見により幅広い殺虫スペクトル、既存剤に感受性の低下した害虫に対する有効性、優れた浸透移行性など、本剤の特長を示すことができたと考えております。また、多くの害虫や作物を対象に様々な処理方法で実用性が確認されつつありますので、利便性の高い害虫防除資材となるように農薬登録申請を準備中です。本剤はグローバル市場でも広く開発を検討しており、韓国やインドなど登録性や市場性の見込まれる国や地域から順次、開発を開始しております。さらに他の新規パイプライン候補剤としては殺虫剤1剤を開発検討中です。

 水稲用殺虫剤ベンズピリモキサンは、日本ではオーケストラフロアブルに加えて混合剤(オーケストラロムダンモンカットエアー、オーケストラスタークルエアー、オーケストラロムダンモンカット粉剤DL)の販売を開始し、さらに新規混合剤(開発コード:NNIF-2241フロアブル)の開発も開始しました。これら製品ラインアップの拡充により本分野の市場シェア拡大および水稲本田散布剤としてのブランド確立を進めてまいります。また、水稲の農薬市場が大きいインドでは、既に販売を開始したOrchestra剤に加え、速効性に優れるピメトロジンとの混合剤Orchestra Duet(2023年6月登録取得)の販売を開始しました。インドでも本剤ビジネスの最大化を目指して混合剤開発を進めてまいります。他の国ではベトナムでも2023年9月に本剤の登録を取得しており、水稲栽培の盛んなアジア広域で単剤と混合剤を合わせて市場ニーズに沿った製品の開発を進めてまいります。

 汎用性園芸殺菌剤ピラジフルミドは、国内では省力的で使い易い製品を目指して、無人航空機散布やセルトレイ処理など幅広い処理法での適用拡大(登録内容の拡大)を進めました。また、各国での開発も進めており、カナダ、ヨルダン、ペルーでは新規に登録を取得し、米国、メキシコ、コロンビア、エクアドル、チリ、サウジアラビア、ベトナムでは登録申請中です。今後もさらなるビジネス拡大を目指し、ブラジルおよびその他の地域でも開発の可能性を検討してまいります。

・国内製品

2022年度から開発を開始した園芸用殺虫混合剤(開発コード:NNI-2210)および園芸用殺菌混合剤(開発コード:NNF-2220)は、2024年内に登録申請の予定(2025年登録見込)であり、本製品の開発により国内製品ポートフォリオの充実や当社市場シェアの拡大を図ります。また、コルテバ・アグリサイエンス日本株式会社およびコルテバ・ジャパン株式会社(以下、両社あわせて「コルテバ社」といいます。)とは新規コルテバ社製品の導入や、それら有効成分を含む混合剤の開発について検討しております。既存剤では、ドローン散布も可能な無人ヘリ航空機散布やセルトレイ処理など省力防除技術に関する適用拡大を積極的に進めており、フェニックス顆粒水和剤、アクセルフロアブル、コルト顆粒水和剤、パレード20および15フロアブルなどの適用拡大を行いました。また、和歌山県のももで問題となっているクビアカツヤカミキリに対して、同県からの早期登録要望を受けて殺虫剤アクセルフロアブルの適用拡大を申請しており、2024年内の登録取得を見込んでいます。

・海外製品

 殺虫剤フルベンジアミドはさらなるビジネス拡大に向けて検討を進めており、市場の大きなブラジルに加えてアルゼンチン、ザンビア(2023年9月)でも登録を取得し、販売を開始しました。また、フィリピンとエクアドルで販売開始に向け準備中、コロンビア、アルジェリア、ジンバブエでは登録申請中であり、順次、販売国を拡大してまいります。

 殺虫剤トルフェンピラドは、新たにオマーン、パレスチナ、ベトナムで販売を開始しました。アルジェリア、サウジアラビアでも販売開始に向けて準備中であり、エクアドル、ホンジュラス、エルサルバドル、ベリーズ、チュニジアでは登録審査中です。

 殺虫剤ピリフルキナゾンは新たにオマーン、サウジアラビア、ドミニカで販売を開始しました。また、カナダ、チュニジア、イスラエル、エルサルバドルで登録を取得し、2024年の販売開始を目指して準備中です。ニカラグア、チリ、ニュージーランド、ベトナム、台湾では登録審査中であり、今後も登録国や地域拡大に向けた取り組みを進めます。

 殺ダニ剤ピフルブミドはタイで登録を取得(2023年3月)し、販売開始に向けた準備を進めております。また、ベトナム、エジプトで登録申請中であり、その他の国においても開発の可能性を見極めるための評価を継続しています。

 殺菌剤イソプロチオランは水稲いもち剤として普及販売していますが、中南米、フィリピン等ではバナナ分野への適用に向けて開発を進めています。また、その他に殺虫剤ブプロフェジン、殺虫・殺ダニ剤フェンピロキシメート、殺菌剤フルトラニル、除草剤ピラフルフェンエチル、除草剤オルトスルファムロンについてもグローバルでの登録維持や登録拡大検討を進めており、ビジネスの維持・拡大を図っています。

(2) 農薬以外の化学品事業

 当社がこれまで培ってきた創農薬技術を活用し、動物薬・医薬の探索研究にも注力しております。他社との共同研究を含む複数の有望プロジェクトを既に自走させており、当社ライフサイエンス分野の柱とすることを目標に研究を進めております。特に株式会社ADEKAとの共同研究では、坑寄生虫薬として期待される化合物群を見出し、本化合物群に関する特許出願4報が世界知的財産機構(WIPO)より国際公開されました。本化合物の動物薬メーカーへの導出を開始し、パイプラインの継続的な拡充に向けて本共同研究を加速していきます。

(3) その他

 特記すべき事項はありません。

 当社は引き続き研究開発型企業として、法令およびその精神遵守のもと、技術革新により安全で環境に調和した新製品を市場に提供することにより、顧客ニーズに応えるとともに、安定的な農産物生産を通してサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。また、新たに策定した中期経営計画「Growing Global for Sustainability(GGS)」に基づきグローバル展開を加速し、各国農薬登録規制に対応した新規有効成分を継続的に創出していくとともに、将来の市場環境変化を見据えた事業領域の拡大に挑戦してまいります。

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