プロトコーポレーション 【東証プライム:4298】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループは、気候変動問題への対応を重要な経営課題の一つとして掲げ、事業運営における影響や対応を明確にするとともに、TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」、「リスク管理」、「戦略」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進してまいります。
また、人的資本、多様性に関しても同様に重要な経営課題の一つとして掲げ、事業運営における戦略や対応を明確にするとともに、「戦略」、「指標と目標」について、積極的に情報開示を推進してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
[気候変動に関するガバナンス(気候変動マネジメント体制)]
気候変動に関わる基本方針や対応事項等については、代表取締役社長を委員長とする内部統制委員会において検討・審議をしております。内部統制委員会は毎月開催され、内部統制の状況に留まらず、気候変動・気候関連の各種リスク・機会を分析・評価し、短期、中/長期の対応策を検証し、強化する体制を整えております。
加えて、内部統制委員会の下部に気候変動リスク・機会の洗い出しや評価などの業務を遂行するための分科会を設置しております。気候変動に係る分科会についても、毎月開催される内部統制委員会に合わせて、検討・報告を行っております。また、当社の取締役会は、当社の経営理念に則って長期ビジョンを策定するにあたり、気候変動に関し、実効性のある経営資源の配分や事業ポートフォリオが設計されているか、また、その推進状況につき監督、議論、助言を行っております。
自然災害等への危機管理体制については、有事の際、代表取締役社長を対策本部長とするリスク管理対策本部を設置する運用となっており、同対策本部は、社内部署による情報連絡チーム及び必要に応じて顧問弁護士等を含む外部アドバイザリーチームで構成され、迅速な対応にて損害の拡大を防止し、これを最小限に止める体制を整えることとしております。
[人材の育成及び社内環境整備に関するガバナンス(人的資本、多様性に関わるマネジメント体制)]
人的資本、多様性に関わる基本方針や対応事項等については、管理部門が中心となり分科会を開催し、個と組織の活性化を目的とし、人材ポートフォリオの把握、学びの場の提供、役員・社員エンゲージメントの向上のための施策を検討・策定しております。人的資本への投資について、当社の取締役会は、当社の企業目標、経営理念、求められる社員像に則っているかの評価を行い、長期ビジョンを策定するにあたり、実効性のある経営資源の配分や事業ポートフォリオが設計されているか、また、その推進状況につき監督、議論、助言を行っております。当社は、企業価値創造の源泉となる人的資本への投資について、積極的に経営資源を配分してまいります。
(2) 戦略
[サステナビリティ全般に関する方針、戦略]
当社は、企業が継続的に活動していく過程において、人権を尊重するとともに、人と社会、地球の持続可能性に貢献する事業を推進していくことは重要な事項と考えております。社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応が中長期的な企業価値の向上に重要な要素であることを認識し、あらゆる企業活動の基盤となる企業行動憲章にサステナビリティに関する規定をするとともに、当該企業行動憲章における規定に基づき、「サステナビリティ基本方針」を定め、公表をしております。また、当該方針に則ったサステナビリティ・ESGをめぐる課題へ継続して取り組み、その内容について当社ホームページ及び英語版ホームページにおいて開示しております。当社は、企業行動憲章に基づき、顧客・従業員・株主・投資家・取引先・行政・地域社会などのステークホルダーと良好かつ円滑な関係の維持に努め、持続可能な社会の構築に積極的に取り組んでまいります。
企業行動憲章 1.法令遵守 業務を行う上で関係するあらゆる法令およびその精神を正しく理解し、これを遵守します。また不正行為の未然防止に万全を期すこととします。 2.社会貢献 商品・サービスの提供を通じて、社会への貢献に努めます。また良き企業市民として、豊かで健全な社会の維持発展に向け企業活動を主体的、かつ積極的に展開し、広く社会に貢献していきます。 3.企業経営 公正、透明、自由な競争ならびに適正な取引を行います。また政治、行政との健全かつ正常な関係を保ちます。 4.情報開示 株主はもとより、常に広く社会とのコミュニケーションを保ち、企業情報を積極的かつ公正に開示します。 5.職場環境 社員の多様性、人格、個性を尊重すると共に、安全で働きやすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現します。 6.環境保全 環境問題への取組みは、人類共通の課題であり、企業の存在と活動に必須の要件であることを認識とし、「持続可能な発展」に向け、自主的、積極的に活動します。 7.反社会的勢力の排除 市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力には毅然とした態度で臨みます。また、業界団体や警察等との連携を強化し、その排除に取組みます。 |
サステナビリティ基本方針 |
[人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略]
当社は、役員・社員のノウハウは中長期的な企業価値の向上に重要な要素であると考えております。役員・社員を人財と捉えて社内研修等の成長機会の充実を図っているほか、全ての社員が仕事と生活の調和を図り、その能力を発揮できるようにするために働きやすい雇用環境の整備に努めております。
■雇用環境の整備
① 子育てを行う従業員のワークライフバランスの整備
・ 妊娠中や出産後の女性従業員の健康の確保について、従業員に対する制度の周知や情報提供及び相談体制の
整備の実施
・ 子どもが生まれる際の父親の休暇取得の推進
・ 育児休業取得の推進と職場復帰しやすい環境の整備
・ 子どもを育てる従業員が利用できる制度の整備
・ 育児・介護休業法に基づく育児休業や時間外労働・深夜業の制限、雇用保険法に基づく育児休業給付、労働基
準法に基づく産前産後休業など諸制度の周知
直近では家族手当の増額、育児時短勤務の延長(小学3年生まで)、時差出勤制度の整備など、制度の充実を
図っております。
② 働き方の見直しと多様な労働条件の整備
・ 所定外労働の削減のための措置の実施
・ 年次有給休暇の取得の促進のための措置の実施
・ 在宅勤務やテレワーク等の場所にとらわれない働き方の導入
これらを支援すべく、実態に応じたテレワーク勤務制度、赴任手当の増額、またより自分らしく働けるための
服装自由化等も行っております。
■次世代育成支援対策
ハローワーク(公共職業安定所)が紹介する対象労働者を短期間試行的に雇うトライアル雇用の継続・推進を通じて、労働者の職業訓練を推進しております。
■成長機会の充実
当社では、役員・社員の成長機会の充実を図ることを目的に、社内研修等を実施しております。また、サクセッションプランを支える人材プールとして機能させるための人材育成体系を導入しております。当該育成プログラムは、当社の未来を創る次世代経営層を輩出する仕組みとして位置付け、対象者を社内から選抜し、当社の経営理念に則った次世代経営層の育成を目指しております。
(3) リスク管理
[気候変動に関するリスク管理]
当社グループでは、当社グループの事業に影響を及ぼす気候変動のリスクおよび機会を認識し、シナリオ分析を実施しております。異なる気象及び経済環境下においても、持続可能な事業活動を行うことを目指し、1.5℃以下シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が1.5℃以下)及び4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が4℃以上)の両観点から考察しております。
その結果、1.5℃以下シナリオでは、政策・法規制の動向や、顧客の嗜好の変化等が、当社グループの事業へ大きな影響を及ぼし、4℃シナリオでは災害の激甚化による営業拠点やサプライチェーン等への被害による影響が大きいことがわかりました。気候変動による事業への影響は、世界的な脱炭素化への動きや、ユーザーの嗜好の変化等により変化してまいりますので、今後もこうした社会的動向を考慮しながら、当社グループの事業戦略に反映してまいります。
[認識した気候変動リスク・機会]
カテゴリー | 事業への影響 | 影響の 発生時期 | 影響度 | 対応策 | ||
1.5℃ | 4℃ | |||||
移行 リスク | 政策・ 法規制 | 炭素税導入などにより、資材の仕入れコストが増大する。 | 中/長期 | 中 | ― | ・CO2排出に係る中長期的な削減目標と活動の検討 |
気候関連問題に係る法改正や規制強化により、中古車販売においてもガソリン車販売規制が適用され、中古ガソリン車の市場が縮小する。 | 中/長期 | 中 | ― | ・規制動向の先行調査と早期対応の実施 | ||
エネルギー効率向上に関する規制が導入されることにより、事業所・サーバーの電力コストが増大する。 | 中期 | 中 | ― | ・LED照明の積極導入、省エネの推進 | ||
技術 | EV車バッテリーの適正価格評価ができないことにより、EV中古車市場の形成に時間を要する。 | 中/長期 | 中 | ― | ・中古車の車両状態情報を開示するサービスである「グー鑑定」においてEV中古車の車両状態を適正に評価できるよう取り組みを推進 | |
市場 | 規制強化や環境意識の高まりなどにより、ユーザーがガソリン車を選択しなくなり、中古車市場でのガソリン車需要が減少する。 | 短期 | 中 | ― | ・多様化するユーザーニーズをとらえた新サービスの提供
・M&Aの活用などによる新規事業領域の展開強化 | |
公共交通機関の選択、モーダルシフト(自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用に転換)、カーシェアリング等の加速により自動車販売台数が減少し、市場が低迷する。 | 長期 | 大 | ― | |||
評判 | 消費者の環境意識の向上や、金融機関・機関投資家からのESGへの取組に対する要求の高まりにより、当社グループの気候変動対策に遅れが生じた場合に、ステークホルダーからの評価が低下する。 | 短/中期 | 中 | ― | ・CO2排出に係る中長期的な削減目標と活動の検討 |
カテゴリー | 事業への影響 | 影響の 発生時期 | 影響度 | 対応策 | ||
1.5℃ | 4℃ | |||||
物理 リスク | 急性 | 風水害により営業拠点・自社倉庫が被災した場合に、操業の中断・長期停止が発生する。また、サプライチェーンが被災した場合に、資材調達の中断・縮小が発生する。 | 中/長期 | ― | 中 | ・営業拠点、自社倉庫、仕入先の分散化 ・事業継続計画(BCP)の見直し、強化 |
慢性 | 猛暑日(35℃以上)の発生頻度が増加した場合に、事業所内の気温上昇を抑えるための空調の増強などにより支出が増加する。 | 中/長期 | ― | 小 | ・省エネの推進 | |
機会 | 技術 | EV車バッテリーの査定方法が確立され、EV中古車の価値が適正に評価されるようになり、中古車市場においてEV中古車の需要が高まる。 | 中/長期 | 中 | ― | ・中古車の車両状態情報を開示するサービスである「グー鑑定」においてEV中古車の車両状態を適正に評価できるよう取り組みを推進 |
影響の発生時期は以下の想定をしております。
短期:~ 2025年、中期:2026 ~ 2030年、長期2031 ~ 2050年
(4) 指標及び目標
[気候変動に関する方針に関する指標を用いた実績]
当社グループの2022年3月期及び2023年3月期の温室効果ガス排出量総量は以下のとおりであります。今後、中長期的な視点で温室効果ガスの削減に貢献できる目標設定に向けて取り組んでまいります。
| 2022年3月期 | 2023年3月期 |
Scope1:直接排出量(t-CO2) | 3,037.0 | 3,154.6 |
Scope2:間接排出量(t-CO2) | 2,999.7 | 4,238.7 |
Scope1+Scope2小計(t-CO2) | 6,036.8 | 7,393.2 |
Scope3:Scope1、2以外の間接排出量(t-CO2) | 80,584.6 | 163,845.6 |
(注) 当社は、2023年3月期に新たに5社を連結子会社としており、2023年3月期の温室効果ガス排出量総量には、当該5社の温室効果ガス排出量が含まれております。
[人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標]
当社は、女性の活躍を経営課題の一つとしており、社内の意識改革を含め、職場環境づくりに取り組んでおります。具体的な取り組みとして、取締役に女性を選任すること(2023年6月現在で4名)、社内イントラネットにおける女性労働者の健康確保に関する相談窓口の設置、育児休業・産前産後休業の取得、子供が生まれる際の父親の休暇取得等を推進しております。
■多様性の確保について
当社は、国籍や性別、年齢、障がいの有無などにかかわらず、全社員が主体的・能動的・自律的に、楽しく活き活きと働くことができる企業風土の実現を目指しております。そのために人材の多様性から得られる活力は重要な人的資本であると認識しており、女性や外国人、障がい者等の多様性のある採用を積極的に実施するとともに、その人材配置・育成・教育・登用等においても積極的に取り組んでいく予定となっております。
当社ホームページ(https://www.proto-g.co.jp/proto/general-html/)において、女性の採用割合、女性の平均勤続年数比率、また子育てを行う労働者等の職業生活との両立を支援するための雇用環境の整備等についてその計画と定量目標を掲げております。
定量的目標
① 女性の採用割合を50%以上とする
取組実績
女性の採用拡大
2021年4月1日~ 女子学生に向けた積極的な広報の展開
2023年4月1日~ 女性の採用拡大に向けたインターンシップの実施
2025年4月1日~ 女性専用採用窓口の設置
| 時期 | 女性採用割合(%) | ||
正社員 | アルバイト | 全体 | ||
現状 | 2023年3月 | 14.6 | 75.0 | 28.2 |
目標 | 2024年3月 | 44.5 | 50.0 | 46.0 |
2025年3月 | 47.0 | 50.0 | 48.0 | |
2026年3月 | 50.0 | 50.0 | 50.0 |
定量的目標
② 男性の平均勤続年数に対する女性の平均勤続年数比率55%以上を目指す
取組実績
男女の平均勤続年数の差異を埋める
2021年4月1日~ 男女の役割分担意識に基づく慣行の見直しなど職場風土の改善
2023年4月1日~ 拠点をまたいだネットワーク作り支援の一環として、女性の交流機会の創出
2025年4月1日~ 社内報にて、育児休業制度や短時間勤務制度などを定期的に周知
| 時期 | 男女の勤続年数の差異(%) |
現状 | 2023年3月 | 42.3 |
目標 | 2024年3月 | 51.8 |
2025年3月 | 53.5 | |
2026年3月 | 55.0 |
■女性、外国人の管理職への登用
当社は国籍、性別等にかかわらずその能力・成果に応じた人事評価、管理職登用を行うことを基本方針としており、2023年3月31日現在、女性社員は50名、外国人社員は2名であります。社員数に占める割合がまだ少ないことから、測定可能な管理職への登用目標を示すことは困難ではありますが、まずはそれぞれ採用実績を向上することで管理職登用の向上に取り組むこととし、今後は実績値の開示についても検討してまいります。
女性の活躍推進の観点では、子育てを行う労働者等の職業生活との両立を支援するための雇用環境の整備を積極的に行い女性のキャリア育成の選択肢が増えるよう取り組んでまいります。
■中途採用者の管理職への登用
当社は、中途入社者の管理職への登用面では多様性を確保しており、2023年3月31日現在、その登用率は81.6%です。また社員数における中途採用者の割合は81.5%であることから、採用種別における管理職登用率は偏りなく適切な範囲であると捉えております。
■社員の健康・労働環境への配慮
社員の健康・労働環境への配慮については、毎年実施する健康診断の結果を踏まえ、必要に応じて再検査の受診を勧奨しており、社員の健康管理にも十分留意しております。また、労働環境の整備により生産性の向上を図り、社員の時間外労働時間の削減を推し進めております。
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