旭有機材 【東証プライム:4216】「化学」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針、および経営戦略等
当社グループは企業理念の中で存在価値を「信頼の品質と真摯な対応による安心の提供」と定め、その実現のために「ものづくりのプロセスを、お役立ちで支える」という使命に基づいた事業活動を行っています。また、現状にとどまらず変化を先取りし成長を続けるためには、目指す姿として「「はじめて」に挑み「違い」をつくる」と定めました。この企業理念に基づく事業活動を行うことで、ニッチトップを磨き続ける企業文化をつくり、2030年に向けてグレートニッチトップ企業へと飛躍することを目指しています。また当社グループは、世界の人々(社会・地域)に対しSDGsの視点での取り組みを推進しているお客様に対して、お役立ちの精神で支えることにより、持続的な企業価値の向上を目指す一方で、事業活動及びサステナビリティ推進活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指してまいります。
当社グループは、これらのことを具体化すべく、2025年度を最終年度とする中期経営計画GNT2025(Great Niche Top 2025)を策定し、以下の4つの経営方針のもと事業活動を行っています。
① 海外(管材システム事業・樹脂事業)、半導体関連製品を中心に成長を追求する
② 「違い」をつくり付加価値を高め、利益率を向上させる
③ SDGs視点で事業展開を行い、経済価値と社会価値の両立を図る
④ 新たな社会課題の解決に貢献する新事業を創出する
当社グループは、プラスチックバルブなどの配管材料、フェノール樹脂を用いた素形材製品、発泡材料を用いた断熱材製品や土木材料、半導体製造に必要な電子材料や小型精密バルブ、各種水処理設備の設計・施工とメンテナンス、および温泉井や地熱蒸気井の掘削などの事業において技術開発と品質及びサービスの向上に努めます。
なお、国内外の半導体製造装置市場や半導体関連の工場建設需要、半導体デバイス用途などにおいて、事業環境がGNT2025策定時の想定より大きく変化し、旺盛な半導体関連需要を取り込んだ結果、2025年度の数値目標を2022年度に達成したことから、今後の事業環境や市場機会を見直しGNT2025の修正を行っております。
(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、GNT2025において、事業ポートフォリオ戦略として、事業を3つの基本方針「強化拡大」、「深化・安定成長」、「再構築」に分類し、その基本方針に沿って各事業部が継続的な成長と収益力の向上を目指して課題解決に向けた施策を着実に実行してまいります。
管材システム事業は、樹脂バルブの耐食性がつくりだすロングライフを広く知ってもらうことにより金属代替市場の創造に取り組んでいます。海外市場に関しては、継続成長が期待される米中の電子産業分野(半導体・液晶等)での深耕と拡販を行い、更にミドルレンジ製品による新興国での市場開拓と戦略商品(大口径バタフライバルブ、自動バルブ等)の投入により事業拡大を図ります。また、需要拡大に対応するため延岡製造所の製造能力の増強を推進してまいります。今後も継続した成長が見込める半導体関連市場に対しては、Dymatrix製品の低パーティクル化技術を更に追求し商品ラインアップ拡充による事業拡大を推進していきます。Dymatrix製品の旺盛なグローバル需要に応えるために新工場建設の検討も進めてまいります。国内市場においてはお役立ちの強化として、樹脂配管施工における工期短縮や人手不足の課題に対し、これまでに培った施工技術を活用した樹脂配管のプレハブ化及びプレハブ品の生産能力を増強します。併せて、最適な耐食ソリューションを提案できる人財の育成にも取り組みます。これらを生産面で支える延岡製造所においてはデジタル化推進に注力し、まずは製造現場データの見える化による生産性向上によりボトルネックの解消を図ります。そして、一気通貫生産による納期遵守率の向上を実現するデマンド・サプライチェーンを進化させ収益の向上を図ります。
樹脂事業は、自動車や建設機械等に必要な鋳物製品の製造に使われる素形材製品において、国内では高機能製品によるお客様の生産性や品質の向上、作業環境の改善等のお役立ちで収益性向上に貢献いたします。また自動車のEV化に伴う新たな事業機会を追求します。薄肉軽量化や複雑化していく傾向にある鋳物部品に対応し、CO2削減にも寄与する次世代の戦略商品を開発することにより、多様な鋳造工程に最適な製品を提案しお客様へのお役立ちに貢献します。海外では日本で培った技術の海外移転を加速させてレジンコーテッドサンド(RCS)のグローバルNo.1を目指します。また、現場発泡断熱材においては、原料となる原液システムの高断熱技術等による高機能化や施工機械の開発に加え、現場施工のしやすさや施工品質の向上を実現する材工一体プラットフォームを構築します。電子材料においては、当社の強みである低メタル技術・合成技術・精製技術を活かして電子材料の領域拡大を目指します。また将来の半導体市場の需要増に応えるべく、建設中の電子材料第二工場(愛知)および増設した南通工場(中国)のフル生産を早期に実現し、更に国内の第三工場と中国第二工場の検討も開始します。
水処理・資源開発事業は、水処理事業において多種多様な排水処理技術と工事力を磨き、最適なソリューション提供で収益力を向上します。また、省エネ、創エネに繋がる排水処理技術の探求により、バイオガス発電分野など新領域の事業拡大を目指します。更に水処理施設の維持管理分野においては、遠隔監視システムや再生塩素システム等の効率的な維持管理サービスを新たに提供いたします。資源開発事業では掘削の新工法導入で、工期短縮・コスト削減・安全対策の強化実現を目指します。また地熱発電分野における蒸気井案件も積極的に取込み再生可能エネルギーの普及に貢献いたします。
新事業の探索については事業探索で見出した社会課題(環境汚染・タンパク質クライシス)に貢献する「循環式閉鎖型陸上養殖」の技術確立に取り組むとともにビジネスモデルの検討も行います。
投資戦略については成長を加速化させるべくGNT2025の修正を行い、200億円増となる420億円の投資を中計期間(5年間累計)で見込んでおります。財務戦略は、設備投資・投融資の資金の源泉を資産の効率化を含む営業キャッシュ・フローとし、不足分はD/Eレシオ0.3を目安に借入による調達を実施してまいります。また株主還元については、業績動向・財務体質・将来のための投資に必要な内部留保等を総合的に勘案しつつ安定配当を確保し、継続的な収益拡大の達成による増配を目指します。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社はGNT2025のもとGreat Niche Top(グレートニッチトップ)企業を目指して、4つの経営方針を掲げ、様々な施策を推進し、旺盛な海外需要や好調な半導体市場の需要を取り込んだ結果、従来目標であった2025年度の数値目標を2022年度に達成しました。そこで今後の事業環境や市場機会を整理し、中期経営計画の進捗状況を確認し、施策や投資計画の見直しを行い数値目標等の修正を行いました。
最終年度(2025年度)における連結数値目標
GNT2025 | 従来 数値目標 | 修正 数値目標 | |||
連結売上高 | 730 | 億円 | 870 | 億円 | |
| 管材システム | 400 | 億円 | 525 | 億円 |
樹脂 | 235 | 億円 | 245 | 億円 | |
水処理・資源開発 | 95 | 億円 | 100 | 億円 | |
連結営業利益 | 60 | 億円 | 120 | 億円 | |
| 管材システム | 35 | 億円 | 95 | 億円 |
樹脂 | 18 | 億円 | 18 | 億円 | |
水処理・資源開発 | 7 | 億円 | 7 | 億円 | |
売上高営業利益率 | 8.0 | % | 14.0 | % | |
EBITDA ※ | (90) | 億円 | 160 | 億円 | |
ROE | 8 | % | 11 | % | |
ROIC | 6 | % | 9 | % |
※ 新たな数値目標としてEBITDAの項目を設けました。
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