企業兼大株主ダイセル東証プライム:4202】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、23,393百万円であります。

 なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 セグメント別の活動状況は以下の通りです。

(1) メディカル・ヘルスケア事業

 当事業に係る研究開発費は2,394百万円であります。

[ヘルスケアSBU]

 ヘルスケアSBUは、ヘルスケア分野において特徴ある素材や技術の開発を進めております。

 コスメ事業領域では、サステナブルな素材を化粧品市場へ提供するため、天然原料を使用した酢酸セルロースの真球状微粒子「BELLOCEA®」を開発、販売しております。また、ECHA(欧州化学物質庁)の提案するマイクロプラスチック規制に対応可能な高い生分解性と感触を両立する微粒子の開発に力を入れております。

 健康食品事業領域では、腸内細菌によって体内で生成される成分(腸内細菌代謝物)に着目した研究開発を行っております。2021年度ザクロに含まれるポリフェノールの代謝物としてウロリチンA含有素材「ウロリッチ®」を上市したのに続き、ホップ由来ポリフェノールの代謝物や、その他腸内代謝物の開発を進めております。ウロリチンAは、当社が世界で初めて発酵法による商業的な生産に成功し、その研究開発成果が令和5年度日本栄養・食糧学会技術賞を受賞いたしました。

[ライフサイエンスSBU]

 ファーマテックBUは、キラル事業がターゲットとする低分子合成医薬に加え、成長市場の中・高分子/バイオ医薬市場においてソリューションを提供いたします。光学分割用カラム事業は、新規製品の継続的開発・上市とテクニカルサービスの充実により世界トップシェアを維持しております。新規耐溶剤型キラルカラム第12弾のCHIRALPAK® IN製品を上市いたしました。また、既存汎用カラムと差別化した当社独自のアキラルカラムについて、新規アキラルカラム第4弾のDCpak® PMPC製品を上市いたしました。継続してこれらを用いたペプチド、核酸医薬などの中分子医薬のアプリケーション開発を実施しております。バイオ事業では再生医療分野におけるエクソソーム精製濃縮装置の開発を行っております。社外協業先との検証結果を反映した装置の詳細設計を完了し、試作機1台の作成準備を進めております。

 メディカル事業開発部は、「One Time Energy®」というエネルギー制御を基盤とした新規投与デバイス開発では、日米欧において医薬品の臨床試験への移行を目指すプロジェクト、および、複数の国内外の新薬大手メーカーや、ベンチャー企業との当社デバイスを用いた評価実験、共同実験が進んでおります。また、並行して既存薬剤の投与に付加価値をつけた新しい治療用途の開拓も国内外の研究機関と進めております。

(2) スマート事業

 当事業に係る研究開発費は4,049百万円であります。

 スマートSBUは、快適なスマート社会に必要な技術・製品で、ソリューションを提供いたします。ディスプレイ・オプト分野(偏光板保護フィルム(TAC)の品質改善、視認性・使用感改善の機能性フィルム、ウエハーレベルレンズ)、IC/半導体分野(半導体ならびにフラットパネルディスプレイ製造用フォトレジスト材料、超高純度溶剤、エレクトロニクス用機能性溶剤、半導体向けプロセス材料)をターゲットにした研究開発を進めております。2023年度は、①電子ブック、PC向け表面フィルムの新規上市、②ウエハーレベルレンズの用途拡大検討、③EUV向けフォトレジスト材料のユーザー展開、④高純度溶剤の電子材料製造プロセスへのソリューション提案、⑤NEDO「ポスト 5G 情報通信システム基盤強化研究開発事業」にて半導体実装に関する技術開発を進めました。

(3) セイフティ事業

 当事業に係る研究開発費は6,023百万円であります。

 セイフティSBUは、一度だけ瞬時に、安全に、確実に、エネルギーを生み出す自社技術ならびにその技術を活用した製品群「One Time Energy® DAISI®」と自動車安全領域で培ったノウハウを土台に、新たな安全安心を社会に提供いたします。自動車エアバッグ用インフレータ、それに使用するガス発生剤、イニシエータだけでなく、EV化に対応した車載用の電流遮断器などの研究開発を継続しております。また、再生可能エネルギーのインフラ設備などの自動車用途以外へのサンプルワークを開始いたしました。

(4) マテリアル事業

 当事業に係る研究開発費は3,837百万円であります。

 マテリアルSBUは、ダイセルの原点である素材事業で培った技術で地球規模のニーズに多様なソリューションを提供いたします。

 アセチルBUでは、アセテート・トウなど、セルロース誘導体の品質、生産性の向上に取り組んでおります。また、長年培ったセルロース化学技術を応用し、海洋生分解性を向上させた酢酸セルロースCAFBLO®(キャフブロ、Cellulose Acetate for Blue Ocean)を開発いたしました。汎用プラスチック代替を目指した用途開発を実施しております。

 ケミカルBUでは、脂環式エポキシ樹脂とポリカプロラクトンにおいて、市場が拡大する有望アプリを選定し、シェア向上の活動を継続しております。

(5) エンジニアリングプラスチック事業

 当事業に係る研究開発費は6,825百万円であります。

[ポリプラスチックス㈱]

 世界に認められるエンジニアリングプラスチックNo.1のソリューションプロバイダーに向け、次世代自動車システム、ポスト 5G/6Gの最先端通信など、将来的なエンジニアリングプラスチックの成長が期待される市場をターゲットに、当社の価値提供型ビジネスの更なる高度化を推進いたします。また医療分野、ファインパウダー、3Dプリンター用途での市場開拓、長繊維強化材料、PEK等新事業での市場展開など新たな機能を提案すべく、ダイセルグループ内技術とのシナジー創出による新技術開発を行います。急速に高まるカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーに関するニーズに応えるべく、バイオ原料の活用やエンプラリサイクルチェーンの実現に向けた環境負荷低減技術開発に注力いたします。グローバル市場展開の促進に向け、5拠点の海外テクニカルソリューションセンターとのネットワーク体制を強化し、特に中国市場を中心に新規市場開発案件の創出、ならびにコンセプト提案を進めます。

[ダイセルミライズ㈱]

 コンシューマー事業、レジン事業の二つの事業分野にて、社会や顧客の課題を解決する製品開発を進めております。顧客ニーズに即したリチウムイオン電池向けのカルボキシメチルセルロース製品の開発、改良、モノマテリアルを訴求できる食品包装用新規バリアフィルムの開発、リサイクル原料使用など各種環境対応樹脂製品の開発、および海外ネットワーク活用による各種製品のグローバル展開を進めております。

(6) その他事業

 当事業に係る研究開発費は263百万円であります。

[ダイセン・メンブレン・システムズ㈱]

 分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。水処理および医薬分野における新規分離膜の開発に注力しており、特に排水再利用、有価物回収、食品濃縮に適した新規チューブラー膜の開発を進めております。

(7) コーポレート

 当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。なお、コーポレート部門に係る研究開発費は、全報告セグメントに配賦しております。

[リサーチセンター]

 大学や公的研究機関との産学連携を積極的に進め、有識者との共同研究等により、中長期で求める新しい技術、機能、素材の基礎研究を進めております。ワンタイムエナジー利用に関する研究では、共同研究講座を開設していた熊本大学とさらに2023年5月に包括連携協定を締結して、研究対象を「安全・安心」分野に加えて、「健康」、「便利・快適」、「環境」の分野へも拡充して、社内他部門も参画して共同研究に取り組んでおります。モノづくりにおける五感点検の強化に関する研究では、民間企業と共同で、遠隔制御システムと五感認識機能の機械化・判断技術を用いて、製造設備の日常点検・メンテナンス作業の在宅化に向けた検討を継続しております。

[事業創出本部]

 コーポレート部門の事業企画と研究開発部門を一体化した事業創出センターと事業創出に必要な評価技術を構築する評価解析センターを設置し、お客様に密着するカスタマーインの取り組みを通じて、事業創出の加速に取り組んでおります。また大学・外部研究機関と共同研究体制を構築し、ナノダイヤモンドなどカーボンニュートラルに寄与する新規素材、新規加工技術、新規生産技術創出の検討を進めております。評価解析技術では、微量有機成分の絶対構造解析技術として「結晶スポンジ法」の獲得、ミクロ・ナノ構造解析技術の強化(電子顕微鏡、X線CT、放射光施設の利活用)を進めております。

[生産本部生産技術センター]

 当社グループ横断的な体制で新事業の工業化、既存製品の品質改善、プロセス改善、増産検討、プロセス革新による新規プロセス・技術構築の推進を加速し、地球環境と共生する循環型プロセス構築を図っております。特に酢酸セルロースおよび有機主力製品のプロセス革新による大幅なコストダウンおよび省エネルギー化のための技術の開発を進めております。さらに、カーボンニュートラルへの寄与を目指し、マイクロ流体デバイス技術、新規分離膜の開発を大学・外部研究機関と共同で取り組んでおります。また、シミュレーショングループでは、企画から事業化まで一貫した技術開発を実現し、マーケティング業務、エンジニアリング業務でのデジタルトランスフォーメーションを強化する取り組みを行っております。具体的には、IPランドスケープ活用のためのツール開発、プロセスシミュレーション、流体解析、計算科学、マテリアルズ・インフォマティクス等AI技術の充足を進めております。

[バイオマスイノベーションセンター]

2050年のカーボンニュートラル達成にむけ、地球環境に優しいプロセスで、日本の豊富な森林資源、農業廃棄物などの余剰バイオマスから高機能・高付加価値な製品を創出する技術の確立と、その技術を基に地域での地産地消のモノづくりによる一次産業の活性化の実現に取り組んでおります。2023年度より超穏和溶解技術を基に地域活性化を図るバイオマスラボと新バイオマスプロダクトツリー構築をミッションとするテクニカルサービス&応用開発グループの体制を取り、バイオマス素材の溶解、分子設計技術開発戦略から以下の具体的な実績作りを加速いたしました。

 バイオマスラボ:木材の穏和な条件での溶解技術は、家具業界、内装材業界での塗装代替としてのバイオマスフィルムの採用と地域連携による余剰バイオマスの活用を目指しサンプルワークを進めました。

 テクニカルサービス&応用開発グループ:木材の穏和な条件でのセルロース抽出技術およびセルロース誘導体合成・加工技術の工業化検討、サンプル提供を開始し、顧客ニーズに基づいて応用研究・開発まで幅広く取り組みました。

[無機複合実装研究所]

 スマート社会実現に貢献する新たな素材開発を目的に、今後大きな成長が見込まれる次世代パワーデバイスや次世代通信規格6Gに求められる素材として無機有機複合材料に着目し、探索・基礎研究から顧客ニーズに基づく応用研究・開発まで幅広く取り組みました。

<商標帰属先の表示>

BELLOCEA®、ウロリッチ®、CHIRALPAK®、DCpak®、One Time Energy®、DAISI®、CAFBLO®は、当社の日本およびその他の国における商標または登録商標です。

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