三菱ケミカルグループ 【東証プライム:4188】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループは、各社において独自の研究開発活動を行っているほか、グループ会社間での技術や市場に関する緊密な情報交換や共同研究、研究開発業務の受委託等を通じて、相互に協力し、連携の強化を図るとともに、グループ外の会社等との間でも共同での研究開発を積極的に行うなど、新技術の開発や既存技術の改良に鋭意取り組んでおります。
当社グループの研究開発人員は3,867名、当連結会計年度における研究開発費の総額は1,216億円となっており、各事業部門別の研究内容、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
(1) スペシャリティマテリアルズセグメント
ポリマーズ&コンパウンズ、フィルムズ&モールディングマテリアルズ、アドバンストソリューションズに関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
・環境汚染や人の健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物であるPFAS(パーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称)を一切使用することなく高難燃性を実現した高付加価値ポリカーボネート樹脂「XANTAR™(ザンター™) XFシリーズ」を2023年9月に開発しました。
・軽量でありながら高強度、高靭性、高耐熱性といった特長を有するセラミックマトリックスコンポジットについて、セラミック繊維の代わりに当社グループが製造するピッチ系炭素繊維を用いたうえに表面に酸素透過バリア層を設けることで、耐熱温度1,500℃を実現したセラミックマトリックスコンポジット材料(C/SiC)を2024年2月に開発しました。
・速硬化性、耐熱性、高靭性等の特長をもつ炭素繊維プリプレグについて、独自の材料設計技術により、含浸させるエポキシ樹脂を植物由来品に置き替え最大で約25%のバイオマス度を実現した「BiOpreg#400シリーズ」を2024年3月に開発しました。
・独自の材料設計技術と製造技術により、高いバイオマス度、柔軟性、高い裂け強度、優れた加工性等の特長をもち、自然界の微生物によって分解される生分解性バイオポリエステル樹脂を2024年2月に開発しました。
本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は318億円であります。
(2) 産業ガスセグメント
産業ガスに関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「燃料アンモニア利用・生産技術開発/工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術開発」に参画し、アンモニア-酸素燃焼技術の開発を進めています。AGC㈱横浜テクニカルセンターのガラス溶融炉で、アンモニア-酸素燃焼技術の実証試験を2023年6月に世界で初めて成功させました。
・大陽日酸㈱とRasirc, Inc.社は共同でALD成膜技術の開発に取り組んでいます。窒化膜ALDには無水ヒドラジンが、酸化膜ALDには過酸化水素ガスがそれぞれ既存の窒化材、酸化材よりも良好なプロセスを実現できることを実証しています。有機溶媒と混合させることで安全性を高めた無水ヒドラジン供給ソース(Rasirc製BRUTE®-Hydrazine)を供給源とする高純度ヒドラジンガス供給システムを2024年2月に開発しました。
・化合物半導体の製造に必要となるMOCVD装置及びHVPE装置を製造・販売するとともに、用途拡大、改良改善のための開発に取り組んでいます。2023年6月、GaN(窒化ガリウム)系量産型MOCVD装置UR26Kに新機構として「基板自動搬送システム」と「一体型ドライ洗浄システム」を追加することに成功しました。従来機に比べ、およそ50%の大幅な生産効率向上に貢献します。
・重水素化アンモニアの製造プロセスを確立し、2023年5月に国内で初めて量産体制を構築しました。また、使用済み重水を再濃縮する装置を開発し、国内企業として初めて商業化しました。重水リサイクル体制の構築により、効率的でサステナブルな重水の利用を可能にするとともに、重水素化アンモニアをはじめとする重水素標識化合物のグローバルからの需要に対し、安定供給に貢献します。
本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は45億円であります。
(3) ヘルスケアセグメント
医薬品に関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
・エダラボン経口懸濁剤(開発コード:MT-1186)について、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を適応症として、2023年5月にスイス(製品名:「RADICAVA® Oral Suspension」)で承認を取得しました。同剤は、米国・カナダ・日本で既に承認されています。
・SGLT2阻害剤「カナグル®錠 100mg」(一般名:カナグリフロジン水和物)について、口腔内崩壊錠(OD錠)の剤形追加承認を日本において2024年3月に取得しました。
本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は630億円であります。
(4) MMAセグメント
MMAに関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
・アクリル樹脂にゴム粒子をコンパウンドすることで、自動車ボディに求められる耐衝撃性の向上を図ったポリメチルメタクリレート材料を本田技研工業株式会社と共同で開発しており、本開発品を使用したコンセプトモデルを2023年10月に公開しました。
本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は33億円であります。
(5) ベーシックマテリアルズセグメント
石化、炭素に関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
・アラブ首長国連邦アブダビ首長国において、世界初となる商業規模のCO2およびグリーン水素由来のポリプロピレン製造を含むカーボンリサイクルケミカル製造事業の実現に向けた共同調査について、Abu Dhabi Future Energy Company PJSC - Masdar及び株式会社 INPEXとの間で、2023年7月に契約締結を発表しました。
本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は79億円であります。
(6) その他
エンジニアリング等に関する研究開発を行っており、その他部門における当連結会計年度の研究開発費は4億円であります。
上記のほか、研究開発費には、特定の事業部門に区分できない基礎研究に要した研究開発費が108億円あります。
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