銚子丸 【東証スタンダード:3075】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は事業を継続的に発展させていくために、経営理念を全従業員に徹底することにより企業体質の一層の強化と、商品のレベルアップ、お客様への「おもてなし」の充実を図り、この理念を実現することを経営の基本方針としております。
(経営理念)
「人間の生命を支える最も基本的な飲食を通し、より多くのお客様に、よりおいしく・よりよいサービス・より速く、をもって私達の『真心』を提供し、お客様の『感謝と喜び』を頂くことを私達の使命と致します。」
(2)経営戦略等及び経営環境
回転寿司業界においては、競合他社との差別化の流れの中で、グルメ回転寿司の業態と低価格回転寿司の業態の二極化が今後も続くものと考えております。グルメ回転寿司及び立ち寿司業態に属する当社は、同業態の競合他社との差別化を図るために、「より高価な食材を新鮮で食べ応え充分な状態で市場価格よりもずっとお得感のある価格帯で」提供することを目指しており、この実現のために産地の開拓、素材の吟味、商品開発など当社独自の商品力の向上に邁進し、さらに、立ち寿司により近い技術の向上に取り組んでいくことを経営戦略としております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
コロナから解放される中で、イートイン需要が急回復し、外食業界全体の営業活動が活発化する一方で、一昨年から続く業界全体で価格改定の動きにも落ち着きが見られることから、売上は順調に推移することが期待されます。反面で、利益面では、原料・資源コストの継続的な上昇、外食業界における恒常的な人手不足による人件費の傾向的な上昇等、先行き不透明な状況が続くことが予想されます。
このような環境の下、当社は「収益構造・運営オペレーションの改革と新たな価値創造」をテーマとし、次の4項目を重点課題に掲げ、取り組んでまいります。
① DX戦略
イートイン需要が急回復する中で、来店客数は未だ回復途上にあります。一方で人手不足の状況が深刻化し、店舗ごとの技術者(すし職人)不足も顕在化する中で、従来型の成功モデルの出店による「店舗数拡大→売上増」を追う手法は通用しなくなりつつあります。
このような状況において、当社は、DX推進本部において、店舗オペレーションのロボティクス等による機械化・省力化、決済方法のキャッシュレス化の推進に加えて、フルオーダーシステム等から収集した各種の顧客・販売データを統合し有効活用するための共通基盤及び基幹・周辺システムの構築を進め、販売促進や消費・サービスの高度化に注力してまいりました。このような中で、2023年11月にネイティブアプリ「縁アプリ」を導入し、登録会員数の増強に努めるとともに、これを活用したダイレクトマーケティングを新たに展開することにより、来店客数の増大を図ってまいりました。
今後は、共通基盤及び縁アプリの機能拡張・サービスの高度化による集客力の更なる強化を図るとともに、仕入マスタ・メニューマスタ等の各種マスタの一元管理や外部システムとの連携を目的とした統合データ基盤の構築に注力することで、よりムリのないオペレーション、よりムラのないサービス、よりムダのない食材管理を実現し、利益の最大化を目指してまいります。
② 人財戦略
外食業界の人手不足の深刻化は不可避となっています。これに対して、当社は、人財戦略本部において、人を増やす「採用」、技術者を育てる「育成」、辞めない職場を作る「リテンション」を3つのテーマとし優秀な人財確保を推進しております。この一環として、2024年2月には、コロナ下で抑制を余儀なくされた正社員に対する給与について職位等にかかわらず一律30,000円の引き上げを実施しました。
また、同本部に女性活躍推進担当を配置し、女性が働きやすい職場環境及びキャリアアップ支援体制の整備と女性正社員の採用数の増加、及び女性店長・女性管理職の積極的な登用に取り組んでおります。
今後は、3つのテーマの充実に加え、店舗の運営手法をモデル化し、それに則した適正かつ効率的な営業を可能にする教育プログラムの確立と、その実践に注力してまいります。また、経営理念に基づく目指すべき姿をモデル店として具現化し、全従業員が体感・共感・共有できる研修環境を整備し全店に波及させることで、幅広い人財が活躍できる土壌の形成と誰もが挑戦できる社風づくりに努めてまいります。
③ 店舗戦略
一都三県のロードサイドを中心とした「すし銚子丸」、都心部商業施設並びに郊外型大規模商業施設を中心とした「すし銚子丸雅」に加えて、2024年3月には、インバウンド集客が見込める都心部施設に「鮨Yasuke」を新たに出店しました。これらブランドについては、その特性に合致した物件候補地を厳選し、特に神奈川地区をはじめとする未出店エリアでの出店を強化し、新規顧客層の獲得を図ってまいります。併せて、新たに高級江戸前立ち寿司店にも挑戦してまいります。
なお、立ち寿司業態である「江戸前すし百萬石」ブランドについては多店舗展開できるモデルを模索してまいります。
既存店については、人件費をはじめ様々な経費の上昇に耐え得る収益性を確保するために、席数増加・作業性・イメージアップ・省力化を重視した大規模・中規模改装を計画的に実施してまいります。並行して、不採算店舗の退店及び好立地へのリロケーションを推進することで、利益体質の強化に努めてまいります。
④ 米国外食市場における新たな価値創造
今後の人口減少に伴う国内市場の縮小を背景に、外食の分野においても海外成長市場への進出は喫緊の課題となっております。海外市場の中でも米国は市場規模の大きさとともに多様な食文化を享受し、特に日本の食文化に対する需要も高く、外食事業者にとって魅力的な市場と考えております。
このような状況に対応するために、当社は、ロイヤルホールディングス株式会社、及び双日株式会社との3社にて、米国での共同事業展開に関する合弁事業契約を締結し、2024年3月に現地(カリフォルニア州)に合弁会社を設立いたしました。米国における日本食レストランは堅調な増加傾向にあり、特にカリフォルニア州はロサンゼルスなどの大都市を中心に米国最大の日本食レストラン数を誇り、日本人移民の歴史も長く、特にロサンゼルスは日本食レストランの多様性に富み、寿司ブームなど、米国の日本食ブームの火付け役としての役割を果たしています。まずは同エリアで現地の嗜好を確認しながら新業態のブラッシュアップを図り、各社の事業分野での強みを生かし、単独では成し得ない新たな価値を創造することを目指してまいります。
以上のとおり、「DX推進」、「人財確保」及び「店舗開発」への傾斜的な投資により収益構造・運営オペレーションの改革を推進することで利益の最大化を実現し、更なる投資余力を生み出し、これを再投資することで更なる売上増加と利益の拡大を循環させる「サスティナブル(継続可能)企業」の確立を目指してまいります。併せて米国外食市場における3社協業による新たな価値を創造し、企業価値の更なる向上に努めてまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は事業を継続的に発展させていくためには、安定した財務基盤を維持しつつ、売上高を着実に増加させ、適正な利益の確保を図っていくことが、必要であると考えております。そのために、売上高経常利益率、自己資本比率、ROEを重要な経営指標として位置付け、その向上に努めてまいります。
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