日本食品化工 【東証スタンダード:2892】「食品業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日において当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
わが社は、でん粉・糖の事業を通じ、生活者の多様な Well-beingに資する価値提供を推進し、長期的な企業価値の向上に努めます。
社会的・環境的な潮流変化を的確に捉え、将来あるべき姿に向けて、個々がより高い意欲を持って事業に参画することで、その実現を図ります。
(2) 経営環境
世界情勢は、ロシアによるウクライナ侵攻、及び中東紛争が長期化するなど、地政学リスクが高まりを見せており、世界的なインフレは落ち着きを見せ始めるといった見方もなされていますが、一方では、先行きの不透明感から、経済の成長が寧ろ減速する可能性もあると予想しています。我が国では、日銀による金融緩和政策の転換に裏付けられた今後の経済成長に大いに期待がかかりますが、円安と原材料コスト高騰が引き起こした物価高に対し、輸出やインバウンド需要の回復、賃上げと価格転嫁の好循環を真に実現できるのかという点が、今後の経済正常化への課題として注目されます。
長期的な見通しとしては、国内の人口漸減による糖質の総需要の減少傾向は、当社にとって今後の大きな課題となりますが、多様な生活者のより豊かな生活の実現に貢献しうる機能性素材・原材料に対するニーズは益々拡大していくと見られ、カーボンニュートラルに向けた取り組みなど、世界的なサステナビリティに対する意識の高まりにより、企業には持続可能な社会課題の解決とそれを通じた企業価値の向上が期待されていると考えています。
(3) 目標とする経営指標
当社主製品の一つである糖化品は、清涼飲料や酒類、食品、調味料などに幅広く使用されており、また、もう一つの主力である澱粉製品は食品用途のみならず、製紙を中心とした一般工業分野においても多く利用されております。当社では多様化する課題やニーズに応えられる高付加価値製品の提供をソリューション事業、コスト競争力をもった生活必需品の素材提供をプライマリー事業と位置づけ、そこにコーンオイルをはじめとする副産物事業を含め、サステナビリティ経営を事業の根幹とした事業体制にて、更なる企業価値の向上を目指しています。2022年に策定した「中期経営計画2022-24年度(中経2024)」においては、持続可能な社会を築く為の様々な課題解決に資する取り組みや、将来を担う人財育成の推進等を通じて、単年度連結経常利益17±4億円という指標を掲げており、2024年度は、中経2024の最終年度として、当社を取り巻く事業環境や2023年度の実績を踏まえつつ、連結経常利益17億円を目標として掲げております。また、今期の取り組みとして、資本コストや資本収益性についての現状解析を行い、経営指標としての次期中期経営計画(2025-27年度)への反映を計画しております。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
前述の経営環境を踏まえ、当社は“多様なWell-beingのために”というコーポレートメッセージを念頭に、2030年のあるべき姿を定めた「長期経営ビジョンNSK2030」の実現に向けて邁進いたします。同ビジョンでは、2022-24年度の3カ年事業計画(中経2024)を体制強化期と位置付けており、ソリューション提供機能の強化、プライマリー事業の収益安定化、経営基盤の整備、を中長期的な事業の基本方針として掲げております。2024年はその最終年度であり、体制強化期として立案・実行した諸施策を仕上げつつ、今後の飛躍に繋がるフレームワークを構築していくことで、同ビジョンにおいて施策展開期として見据えた2025-27年度の次期中期経営計画(中経2027)を描いて参ります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
生産面では、主原料のとうもろこしを安定調達するため、主要調達先である米国以外の供給先を確保し、また副原料、資材等においては複数購買にて、安定調達に努めてまいります。
また、当社が供給可能なさまざまな市場に対し、新機能、新用途を持つ高付加価値製品の開発、拡販を課題とし、加工食品用途向けの各種製品開発に一層注力するとともに、販売面では、食の高度化・多様化に対応すべく、食品・飲料素材に対する技術力を積極的に活用し、お客様に対する提案型営業を推進しております。積極的に推進を図る製品開発においては、未病領域を始めとした健康分野における健康志向製品、低・脱炭素領域での環境配慮型製品を中心に外部との協業も含め推進を図り、お客様にとって付加価値を高める製品提供を継続することに努めてまいります。澱粉関連では、一般工業分野、食品分野さらに医療分野において用途開発の可能性が大きく、今後ともお客様にとって付加価値を高める製品の開発を積極的に行い、対面業界への貢献を期してまいります。
一方、生活必需品とされる製品においては社会からの信頼に応える安心・安全な供給体制を構築するとともに、環境負荷の低減に努め、お客様に対し新たな価値の提案を図ってまいります。
グローバル市場に向けた事業展開は、当社の長期経営ビジョンNSK2030に定めた戦略の一つであるソリューション事業の拡充において極めて重要な位置づけとなります。タイ国の当社関連会社であるAsia Modified Starch Co., Ltd.(AMSCO)においては、タピオカ加工澱粉製品の生産体制強化や、欧米先進国、及びアジア諸国の経済発展に伴う食の高度化、多様化への対応をより一層推進し、社会課題の解決を提供できる企業としての発展を目指します。また、AMSCO事業以外に関しても、当社技術力のグローバル市場への展開を図るべく、当社製品、技術の海外展開を視野に入れたビジネスチャンスの探求に注力しており、それらの取り組みに資する人材育成も当社の課題としております。
引き続き製品の安心・安全な生産と供給体制の強化を図り、お客様のニーズにお応えできる確固たる体制を築いてまいります。
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