企業兼大株主東洋水産東証プライム:2875】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、顧客第一主義のもと「お客様により良い商品、サービスを提供することにより喜びと満足のある生活に貢献する」ことを経営理念としております。「安全でおいしい商品」、「確実なサービス」をお客様にお届けし、お客様から支持されることによって信頼される企業グループを目指しております。そしてこれらにより利益ある成長を目指して企業価値を高めることが、社会、株主、従業員等すべてのステークホルダーの利益増大につながると認識しております。

(2) 経営戦略等

 当社は2020年~2022年3月期3ヵ年中期経営計画の成果と課題を踏まえて、2022年5月13日に2023年~2025年

3月期3ヵ年中期経営計画(以下「3ヵ年中期経営計画」という。)を発表いたしました。

 事業を取り巻くリスクの高まりを覚悟する中で、SDGsを強く意識し、当社が食を通じた社会課題解決に貢献する企業であるために、新たな事業領域へ挑戦し、世界基準で社会・環境の重点課題に取り組み、会社の発展を促し、社会の一員として持続可能な社会づくりへの貢献を推進してまいります。

 このような中、3ヵ年中期経営計画では、次の4つの基本戦略を掲げ、当社の創業100年を見据え、「5つの笑顔(お客様、社会、次世代、地球、社員)を届けることで社会の中で信頼され、必要とされ続ける企業グループ」という目指すべき姿の実現に向けて、「将来の成長に向けた礎を築く3年間」と位置づけ、「飽くなき進化」をテーマに部門の垣根を越えた取り組みを行ってまいります。

① 新たなる食文化・食生活の創造

・「既存主力商品」のさらなる成長

・「新たな需要を見据えた商品」の開発

・「新たな事業領域」への挑戦

② 海外展開の深化

・米国・メキシコにおける物量シェアの改善と営業利益率の向上

・ブラジル国内自社生産に向け販路拡大の継続

・インド事業の黒字化に向けた生産・販売の強化

③ 経営基盤の強化

・開発力の強化

・販売経路・方法の見直し

・ガバナンスの整備

・次世代の人材育成

・IT・AIの整備

④ 社会課題・環境への対応

・持続可能な社会の実現と企業価値の向上

(3) 経営環境

 当社グループが4つの基本戦略策定にあたり、認識している経営環境は次のとおりであります。

① 新たなる食文化・食生活の創造

 当社グループは、マーケティング強化により、新たな事業領域である「健康やわらか食」並びに「魚惣菜冷食」への展開を図っていきます。「健康やわらか食」では高齢化社会、健康志向等の社会課題を解消する新機軸商品で既存事業を一層強化します。「魚惣菜冷食」では水産食品事業と低温食品事業の強みを引き出し、新たな魚食習慣を創出することで次の成長に繋げていきます。様々な社会課題があるなか、グループ力を結集し、新たな価値・商品を創出していくことが企業として必要不可欠と考えております。

② 海外展開の深化

 米国・メキシコでの持続的成長に向けた取り組み、今後の成長を目指すブラジル、インドでの取り組みに集中することにより、海外での中長期における着実な成長路線を確立します。米国では販売チャネル別の戦略強化の取り組みを積極化します。新商品の市場投入を進めるとともに、若者世代への浸透を考えたマーケティング活動も強化させます。メキシコではカップ麺のシェアアップは継続した上で、袋麺の販売強化に取り組みます。ブラジルでは現地向けの新商品の開発、若者世代へのプロモーション強化等を通じて、販路拡大に取り組みます。インドではさらなる認知度アップを目指し、高付加価値商品の投入等を通じて、生産・販売の強化に取り組みます。

③ 経営基盤の強化

 「食」の事業を通じた「5つの笑顔」を実現するために、これまでの強みを土台に、開発力、営業力の強化、ガバナンスの整備、人材育成と最先端の機械設備を常に意識した経営基盤の強化に取り組みます。「これからの時代」に適合した企業経営基盤の構築が企業として必要不可欠と考えております。

④ 社会課題・環境への対応

 持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指すことが必要不可欠と認識し、気候変動への対応等、社会課題・環境に対して重点課題を定め、中長期の目標を設定し、課題の解決に取り組みます。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは3ヵ年中期経営計画の目標達成に向けて、基本戦略として掲げた施策に着実に取り組むとともに、消費者の変化、取引先の変化、事業を取巻く環境の変化にしっかりと対応し、当社グループの中長期ビジョンである「5つの笑顔」をお届けできる会社を目指して、一層の成長を目指してまいります。

 なお、4つの基本戦略に基づいたセグメント別の取り組みは次のとおりであります。

① 水産食品事業

・簡便、個食、健康等の価値を付与した商品の強化による魚離れの原因解消

・国内、海外工場の再編により、競争力の高い商品を供給する仕組みの構築

・仕入、製造・加工、物流、販売の見直しによる資産(在庫)の効率化

② 海外即席麺事業

・世代別、エリア別に、消費者・小売・競合の状況を踏まえた拡販によるシェア取り戻し

・労働者確保、生産体制の再考により製造数量増、物流費・動力費の上昇抑制を図る

・ノンフライ麺等、健康意識への高まりや環境に配慮した商品の提案等新カテゴリー発掘

③ 国内即席麺事業

・既存主力商品(「赤いきつねうどん」、「緑のたぬき天そば」、「麺づくり」等)のさらなる強化

・価値訴求型商品(「マルちゃんZUBAAAN!」等)の育成と開発推進

④ 低温食品事業

・既存主力商品(「マルちゃん焼そば3人前」)の商品・販売施策強化によるさらなる成長

・価値訴求型商品の育成

・簡便商品・健康訴求商品(「パリパリ無限シリーズ」)の強化

・冷凍麺・冷凍食品の市場拡大への対応

⑤ 加工食品事業

・備蓄需要等、商品特性を最大限に活かした、商品企画・販売施策の実行による売上の拡大

・たんぱく質強化等、健康カテゴリーの強化

・具材の開発等、他部門との連携強化

・原料価格上昇への対応や、生産の効率化等、収益基盤の安定化に向けた取り組みの推進

⑥ 冷蔵事業

・食品を中心とした取扱いの拡大とともに食品以外の取扱い拡大にも挑戦

・働きやすい、利用しやすい冷蔵倉庫の環境整備を目指し、効率化や省力化への取り組みを推進

・持続可能な事業として、環境負荷低減となるフロン冷媒設備の更新に関する取り組みを推進

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益であります。

 3ヵ年中期経営計画の最終年度である2025年3月期において、当初は売上高430,000百万円、営業利益42,000百万円を目標としておりましたが、海外即席麺事業が牽引し、売上高、営業利益ともに、当初の目標を上回るペースで達成いたしました。つきましては、当初の目標を見直し、国内事業の3ヵ年目標の達成、海外事業のさらなる成長により、売上高510,000百万円、営業利益72,000百万円を目指します。

 セグメント別の売上高及び営業利益の目標は次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

営業利益(百万円)

 水産食品事業

29,700

500

 海外即席麺事業

235,000

51,500

 国内即席麺事業

103,500

10,000

 低温食品事業

58,500

7,500

 加工食品事業

21,000

500

 冷蔵事業

24,300

2,000

 その他

38,000

900

 調整額

△900

合計

510,000

72,000

(6) 3ヵ年中期経営計画の達成状況

 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

(7) 2025年3月期の取り組み

 2025年3月期につきましては、コストアップの影響の継続が見込まれますが、当社の創業100年を見据え、「5つの笑顔(お客様、社会、次世代、地球、社員)を届けることで社会の中で信頼され、必要とされ続ける企業グループ」という目指すべき姿の実現に向けて、「将来の成長に向けた礎を築く3年間」と位置づけ、「飽くなき進化」をテーマに部門の垣根を越えた取り組みを行ってまいります。

 なお、2025年3月期における取り組みは次のとおりであります。

① 新たなる食文化・食生活の創造

・主力商品の商品企画と販売企画をさらに強化いたします。

・単身世帯の増加・時短簡便需要の拡大等により、今後も伸長すると考えられる「トレー米飯」、「フリーズドライスープ」の商品企画と販売を強化いたします。

・即席麺・生麺・冷凍麺で展開している「焼そば」において、「焼そばはマルちゃん」企画を展開し、さらなる需要を喚起いたします。

・年々厳しくなる夏の酷暑への対応として、水でほぐすだけで簡単に調理のできる「つるやか」シリーズの販売を強化いたします。

② 海外展開の深化

・米国において、新規顧客層の開拓や、世代別のマーケティングを継続し、主力商品の需要増加への対応を強化いたします。

・米国において、高価格帯商品の拡売への取り組みを継続するとともに、新機軸商品の展開を促進し、さらなる上乗せを図ります。

・メキシコにおいて、マルチャンの品質・簡便性・価格優位性を活用し、主力商品であるカップ麺のさらなる定着を目指します。

・メキシコにおいて、袋麺を第2の柱とするため、販売の強化を継続いたします。

③ 経営基盤の強化

・東洋水産グループの経営基盤の強化を支えるため、引き続き設備投資を行います。

 なお、主な設備投資の予定につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載のとおりであります。

④ 社会課題・環境への対応

・TCFDの枠組みに沿った開示に向けたシナリオ分析の実施や、SCOPE 1・2・3 の数値把握等を行い、非財務情報の開示を強化いたします。

・国内において、包装資材に使用するプラスチック量のさらなる削減を目指します。

・メキシコにおいて、環境への配慮の取り組みとして、発泡カップから紙カップへの切り替えを順次開始いたします。

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