キッコーマン 【東証プライム:2801】「食品業」 へ投稿
企業概要
(1)ガバナンス
当社グループは、CEOをグループ全体の最高経営責任者とし、グループ経営会議をその意思決定のための審議機関としています。グループ経営会議ではサステナビリティへの対応を重要な経営テーマと位置付け、継続的にリスクならびに機会の協議を行いつつ、方針の策定や取り組み強化に向けた討議を適宜実施しています。また、その報告をもとに、当社取締役会はサステナビリティに関する当社グループの重要方針や進捗状況を決定、監督し、当社グループ経営戦略に反映させています。
当社グループはCEOが出席する企業の社会的責任推進委員会を設置しています。企業の社会的責任推進委員会では、社会課題全体の取り組み方針を定め、リスクや機会の把握と対応を実施しています。また、全社的な取り組みを推進するとともに、社内への浸透や社外への発信を統括しています。
気候課題を含む環境保全活動については、各グループ会社・拠点への目標・方針の具体的な展開を行い、グループ全体の環境関連ノウハウと技術の蓄積、変化への対応力の向上などを推進するため、当社常務執行役員(統括環境管理責任者)が委員長を務める環境保全統括委員会を設置しています。また、各拠点の環境管理責任者を中心とするメンバーで構成する環境保全推進委員会を環境保全統括委員会の下に設け、詳細なデータや事例の共有化を推進しています。
(2)戦略
当社グループは、当社グループ経営理念に基づき、当社グループの目指す姿と基本戦略を定めた長期ビジョン グローバルビジョン2030を2018年に策定しました。グローバルビジョン2030は、2030年に向けて「新しい価値創造への挑戦」をテーマに、当社グループの目指す姿を定めたものです。
[目指す姿]
1.キッコーマンしょうゆをグローバル・スタンダードの調味料にする
北米市場において「キッコーマンしょうゆ」が日常生活に浸透しているような姿を、世界中で展開し、各国の食文化との融合を実現していく
2.世界中で新しいおいしさを創造し、より豊かで健康的な食生活に貢献する
常に革新と差異化に挑戦することで、世界中の人々のおいしさや健康につながる価値ある商品・サービスを提供していく
3.キッコーマンらしい活動を通じて、地球社会における存在意義をさらに高めていく
地球社会が抱える課題の解決に寄与することにより、世界中の人々からキッコーマンがあってよかったと思われる企業になる
グローバルビジョン2030/体系図
地球社会には多くの社会課題があると当社グループは認識しています。そうした社会課題の中から、当社グループが優先的に取り組むべき重要な社会課題についての検討を行いました。検討にあたっては、[社会にとっての重要な社会課題]と[キッコーマンにとっての重要な社会課題]のふたつの視点で分析を行い、キッコーマン㈱CEOおよび執行役員による討議を重ね、「地球環境」「食と健康」「人と社会」の重要な社会課題3分野を特定しました。
当社グループは「地球環境」「食と健康」「人と社会」の重要な社会課題3分野の取り組みを通じて社会課題の解決に貢献することは事業機会につながると考えています。社会の持続可能な発展と当社グループの成長を両立させることで、グローバルビジョン2030を実現するとともに経営理念の実践につなげることをめざして取り組んでいきます。
当社グループは、中期経営計画2022-2024年度(中期経営計画)を策定し、グローバルビジョン2030の実現に向けて、2022年度を初年度とし、2024年度を最終年度として取り組む計画を示しました。中期経営計画では「環境変化に対応し、成長の継続と収益力向上」と「事業活動を通じ、社会課題解決に貢献」というふたつの重点課題を定めました。社会課題の解決に取り組み、その成果を事業の成長につなげることで、社会の持続可能な発展に貢献することをめざしていきます。
[中期経営計画重点課題]
1.環境変化に対応し、成長の継続と収益力向上
「環境変化に対応し、成長の継続と収益力向上」を実現するため、海外事業と国内事業でそれぞれの取り組みを実施します。
海外事業
海外しょうゆ事業は、長期的な目線で新市場の開拓、そして事業のステージに合わせた成長戦略を推進します。海外卸売事業は、業務用だけでなく家庭用市場のさらなる拡大を図り、拠点の整備・拡大をすすめるとともに、調達力の強化にも取り組みます。
国内事業
国内事業では、高付加価値化や一層の効率化をすすめることで収益力の向上をめざします。
2.事業活動を通じ、社会課題解決に貢献
グローバルビジョン2030で定めた重要な社会課題3分野に基づいて方針やテーマを定めました。これらを着実に実行することで、事業活動を通じた持続可能な社会の実現に取り組みます。
(3)リスク管理
当社グループでは、事業の安定的な発展を実現し、ステークホルダーへの責任を果たすため、当社グループの活動を取り巻くリスクに備えた取り組みをすすめています。また、当社グループが多数の事業をグローバルに展開していることを踏まえ、さまざまに異なるリスクと機会を把握・管理するため、担当する子会社および部門を執行役員および執行役員待遇(※)が指揮し、リスク顕在化の未然防止に努めています。
※執行役員待遇は、当社子会社等の重要役職者で、 当社執行役員と同等の役位に相当する者をいいます。
2010年10月、当社グループを取り巻くさまざまなリスクに対する的確な管理と実践を目的に、リスクマネジメントに関する基本的事項を定めた「キッコーマングループ リスクマネジメント規程(リスクマネジメント規程)」を制定しました。リスクマネジメント規程ではリスクを「経営における一切の不確実性」と定義し、以下のものを含むとしています。また、リスクの定義を自然災害や事故だけに限定せず、気候変動を含むサステナビリティに関する内容も含んだものとして認識しています。
① キッコーマングループに直接または間接に経済的損失をもたらす可能性
② キッコーマングループの事業継続を中断・停止させる可能性
③ キッコーマングループの信用を毀損し、ブランドイメージを失墜させる可能性
当社グループは、中長期的なサステナビリティに関するリスクを評価・管理し、適切に対応するために外部組織やステークホルダーとの対話を通じて確認しており、必要に応じて当社の取り組みに反映させています。また、当社グループの事業に関わるリスクを網羅的に毎年評価しており、サステナビリティはそのリスクのひとつとして取り組んでいます。そのうえで、事業に影響するリスク事案を特定するとともに影響度合いを分析し、取締役会への報告を行なっています。
(4)指標及び目標
当社グループでは、環境保全活動は当社グループ経営理念の実践における重要な柱であると認識しています。当社グループは1992年に環境理念(※)を制定し、その後も中期環境方針などを定めて取り組みをすすめてきました。
(※)キッコーマングループ環境理念
https://www.kikkoman.com/jp/csr/environment/charter.html
この考え方に基づき、当社グループは2030年に向けた環境ビジョン「キッコーマングループ 長期環境ビジョン」を策定しました。持続可能な社会の実現に向けて、長期的に取り組む分野、テーマ、目標を定め、グループにおける環境活動をより強化してまいります。
気候変動
近年、世界各地で高温や熱波による健康被害、深刻な干ばつによる水不足、豪雨による洪水などが多発し、その被害が大きくなってきています。こうした異常気象には気候変動が大きく関わっており、地球規模で、生命、財産、経済活動を脅かす社会課題となっています。このような背景から、当社グループでは2030年度までに2018年度比でCO₂排出量を50%以上削減することで、気候変動対策に取り組みます。この目標の達成をめざして、プロセス改善、エネルギー効率の高い設備の導入、再生可能エネルギーの活用や技術革新などの施策を推進します。
食の環境
私たちの食生活は豊かな環境に支えられています。当社グループでは水環境の保全と持続可能な調達に取り組むことで、食の環境の維持に努めます。水の効率的な活用とともに、工場で使用した水をできるだけきれいにして自然に還します。また、環境に配慮した持続可能な原材料の調達をすすめます。
資源の活用
貴重な資源を有効に活用するために、食品ロスの削減や環境配慮型商品の展開に取り組みます。食品ロスを削減する施策として、製造や流通の段階で発生する廃棄物の削減をすすめます。生産部門においては再資源化率100%をめざし取り組みます。加えて、容器などに使用する石油由来の原材料削減をはじめ、開発、製造から商品使用後の廃棄段階に至るまで、バリューチェーン全体を通じた環境配慮型商品の展開をすすめます。
(5)人的資本
人的資本への対応
キッコーマングループを取り巻く環境が大きく変化する中、社会へ向けて価値を創造し、当社グループが持続的な成長を続けるためには、人財が重要になると考えています。当社グループのこうした姿勢はグローバルビジョン2030や中期経営計画でも示されています。
人的資本の取り組みを重視し、人財価値を高めることで持続的成長・企業価値向上を実現します。
① 戦略
1) 目指す姿
「多様な人財一人ひとりの活躍」と「社員が能力発揮できる組織」によって、地球社会における存在意義のある企業を目指します。「多様な人財一人ひとりの活躍」を実現するには、会社組織のビジョンに共感し、社員がエンゲージメントを高め、成長意欲を持って主体的に行動することが重要だと認識しています。そして、「社員が能力発揮できる組織」を実現するために多様性を認め挑戦できる組織風土と社員が健康で生産性を向上し、働くことができる環境整備に取り組んでいます。
2)人財育成方針及びその取り組み
仕事における高度な能力をもち、能力を発揮して自律的に行動することで社内外のニーズを満たし、市場に価値を与えることが出来る「プロ人財」を育成します。
グローバルビジョン2030では、「No.1バリューの提供」に向けて、環境変化を先取りし、人的資本を含む経営資源を活用する方針を示しました。一人ひとりのプロ人財が活躍し、グローバルビジョン2030を実現するために、人財に関するあるべき姿と現状のギャップを埋めること、すなわち人財戦略を推進します。サクセッションプラン・人財プールの構築、計画的な人財育成などの人財マネジメントを行い、グローバル視点で適所適材配置を横断的にすすめます。
2022年度は専門性人財の確保としてDX人財育成の強化のため国内グループ従業員約1,400名を対象にデジタルリテラシー向上の研修を実施しました。
3)社内環境整備方針及びその取り組み
人を大切にする企業文化を育み、社会の持続可能な発展に貢献するため、人権を尊重し事業活動を行います。また、多様性を認め合い生産的に働くことができ、社員が失敗を恐れず挑戦できる組織風土をつくります。このような環境整備により、一人ひとりが自己実現するとともに活き活きと課題に取り組むやりがいのある組織を目指します。
2022年度は社員の働きがいに関する項目を中心に調査設問を拡大したエンゲージメント調査を国内グループ会社を対象に実施しました。調査結果より、心理的安全性の向上が重要と判断し、最重要テーマとして各所属において改善アクションプランを立案し活動をすすめています。さらに重点組織においては現状分析を経営トップと共有し、研修や意見交換会など特別プログラムを実施しました。今後は対象を海外グループ会社に拡大してまいります。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
当社グループは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進することは、すべての社員にとって働きがいのある職場を実現し、お互いの価値観を認め、共有し合うことで、新たな価値を創出し企業価値を向上すると認識しています。当社グループではダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンに関する基本方針を定め、取り組みの強化を推進してきました。
「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン基本方針」
私たちキッコーマングループは、性別、年齢、国籍、人種、性的指向や障がいといった多様性を認め、様々なキャリアや働き方を尊重します。その能力を最大限に発揮できる職場づくりを推進し、いつも従業員同士が切磋琢磨している挑戦的な企業を目指しています。 そして、多様性を活かすことにより、世界の食文化との出会いの中で時代や文化にあった新しいおいしさや価値を創造し、地球社会にとって存在意義のある企業を目指します。 |
② 指標及び目標
社員の活躍には一人ひとりが能力発揮できる組織風土が重要であるため、社内環境整備方針に示した「多様性を認め合い生産的に働くこと」を測る指標として、女性管理職比率、障がい者雇用率、男性育児休業取得率、年次有給休暇取得率の目標を掲げました。これらの目標の達成に向けた取り組みをすすめます。
<目標に対する実績>
2023年3月31日現在
2024年度目標 | 2022年度実績 |
女性管理職比率向上 10%以上 | 9.2% |
障がい者雇用率 2.5%以上 | 2.44% |
男性育児休業取得率 100% | 64.5% |
年次有給休暇取得率 80%以上 | 77.4% |
※対象会社は当社及び国内グループ会社です。
ただし、障がい者雇用率は上記の内、雇用義務対象会社に限ります。
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