日清オイリオグループ 【東証プライム:2602】「食品業」 へ投稿
企業概要
(1)サステナビリティ課題全般
当社グループは、「ビジョン2030」を目指す姿として掲げ、事業活動を通じた社会課題の解決により、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展、すなわちサステナビリティの実現を目指しています。当社は、サステナビリティ課題全般に関し、以下の通り考え方を整理し取組みを進めています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(ガバナンス)
当社グループは、取締役会が設置する審議委員会「サステナビリティ委員会(委員長は代表取締役社長)」にて、当社らしいCSV(社会との共有価値の創造)を軸とした事業活動の実践により当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展を実現するための基本方針の立案や重要課題の審議、CSV目標の設定・モニタリング等を行っております。その内容は取締役会に報告されるとともに、重要な案件については審議・承認されます。なお、2022年度は、サステナビリティ委員会は2回開催されています。
(戦略)
当社グループの価値創造の源泉は、無限の可能性をもつ植物資源と磨かれた技術力、そして価値創造力を掛け合わせた“植物のチカラ®”です。“植物のチカラ®”と私たちの“コアコンピタンスである油脂”を究めた強みでお客さまとともに社会課題を解決する油脂ソリューションを実現します。当社グループの事業にとって求められるニーズや当社グループがやっていくべきかという視点で定めた6つの重点領域(マテリアリティ)、すなわち「すべての人の健康」、「おいしさ・美のある豊かな生活」、「地球環境」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」の領域の中で多様な価値を持つ“生きるエネルギー”を生み出し、すべての人にお届けします。“生きるエネルギー”は社会課題を解決する一方で、次なる成長のための植物資源の循環や技術の進化を可能とする資本を生み出します。再度投入された資本によって、さらに油脂を究め、社会課題を解決する“生きるエネルギー”を生み出します。このプロセスの循環を通じて、当社らしいサステナビリティを実現していきます。(図1)
(図1)価値創造モデル
(リスク管理)
当社グループでは、取締役会が設置する審議委員会として「リスクマネジメント委員会」を設置し、サステナビリティ課題を含む、全社的なリスクを統括的に管理しています。影響度合と発生可能性をもとにリスクマップを作成し、優先順位付けを行ったうえで重要リスクを特定しています。2022年度は14個の重要リスクを特定し、主管部門を中心にPDCAサイクルによるリスクマネジメントを実施しています。また、リスクマネジメント委員会は全社的リスクの評価や対応方針・状況などを取締役会に報告しています。
( 14個の重要リスクの詳細につきましては、「3 事業のリスク (2) 当社グループにおける重要リスク」をご参照下さい。)
(指標及び目標)
当社は、今後予測される社会動向を分析し、当社における機会とリスク及び重要となる社会課題(図2)から、6つの重点領域(マテリアリティ)を設定しており、「重点領域」における課題解決を通じた社会との共有価値の創造(CSV)を、「日清オイリオグループビジョン2030」における成長ドライバーとしています。CSV目標の進捗状況はサステナビリティ委員会でモニタリングされており、その後の取組みに反映されています。
(図2)機会とリスク及び重要となる社会課題
社会課題:SDGs(国連)、食品産業戦略(農林水産省)、未来投資戦略(内閣府)、企業行動憲章(経団連)より抽出
「ビジョン2030」では「6つの重点領域」を定め、それぞれの重点領域での価値創造を通じた当社グループの企業価値の拡大を目指しており、その取組み状況を示すCSV目標と進捗状況は次のとおりです。
※1 MCTオイル・加工食品、健康オイル、サプリ的オイル、ウェルネス食品等、生活習慣病やフレイル等の対策に貢献できる商品
※2 低栄養、過栄養、パーソナルな健康課題等の解決に貢献できる商品
※3 脂質の健康情報とは、低栄養・過栄養の改善、ボディメイクなどパーソナルな健康課題の解決に役立ち、かつ油脂の正しい理解や価値向上につながる情報発信を指す1次掲載値のみ(計画策定時に閲覧数の想定が難しい転載は含まない)
※1 食シーンにおけるおいしさや食による美を追求するために開発した新商品
※2 化粧品原料(IQL、NOST含)、セッツ自社衛生管理事業
※1 ホームユース商品のうち、食用油およびギフトを対象とする。
・ CO2排出量削減に向けた取り組み
2021年に「環境目標2030」を策定し、ビジョン2030で目指すサステナビリティの実現に向けて、①地球温暖化の防止、②資源循環の構築、③自然資源/自然保全、④環境にやさしい開発の推進について、長期視点で取り組んでいます。
地球温暖化の防止については、脱炭素化を推進する戦略ロードマップの実行によりCO2排出量を削減してまいります。今後は水素等もエネルギー源として活用する体制・設備の整備も計画しており、これらの取り組みにより製造量増加に伴うCO2排出増加量を抑制してまいります。
※ ISFは当社グループ全体の約9割のパーム油を調達
・ 持続可能な原料調達への取り組み
事業活動を通じて持続可能な社会を実現・発展させていくためには、サプライチェーン全体としての取り組みが重要です。当社グループでは、「日清オイリオグループ調達基本方針」を制定し、この方針に基づく取り組みを広げるとともに、原材料の調達においては、サプライチェーン全体を含めた主要な調達原材料ごとの方針を策定しています。
特にパーム油については、森林破壊ゼロ、泥炭地における新規開発ゼロ、先住民、労働者への搾取ゼロへのコミットメントを遵守する、トレーサブルで透明性のあるパーム油サプライチェーン構築に向け、アクションプランを策定し取組みを進めています。今後の取り組みの実効性を更に高めるため、農園までのトレーサビリティ比率の向上、モニタリングの仕組みの構築等に積極的に取り組んでいきます。
アクションプランの指標:パーム油認証油割合100%、RSPOのSG認証油50%以上の確保
※ 女性管理職比率は4月1日を基準日とする。
※ 女性管理職比率の21年度実績について、これまで3月末時点の実績値を公表してきたが、4月1日時点の実績に改める。
(4.6% → 5.0%)
(2)人的資本への対応
① 人的資本についての考え方
「ビジョン2030」および「Value Up+」で目指す姿の実現に向けて、社員一人ひとりの「成長」と「働きがい」を原動力に当社グループの組織能力を強化するべく、積極的な人的資本投資を行っていく方針です。人材が企業価値向上の最大の源泉であるという考え方のもと、人材の拡充や教育投資、働きやすい環境づくり等も含め、長期的視点で社員の成長や能力発揮に資する取組みを計画的に実行することで、全社員がビジョン実現に向けた強い想いを持ち、自身の能力を高めながら主体的に行動し、成長し続ける組織風土を醸成していきたいと考えます。
② 人材育成方針
長年に亘り人材育成を経営の最重要テーマとして位置付けており、「教育最優先の原則」のもと、社員の能力開発と発揮に主眼を置き、強い個を育て組織能力を最大化する取組みを推進しています。
また、ビジョン2030で掲げる成長シナリオを実現するためには、これまで以上に生産性向上を追求しつつ、新たな市場獲得・価値創造のために、多様な能力・経験・感性・価値観を有した人材が不可欠であると認識しています。厚みと広がりのある強固な組織・人材基盤を構築すべく、社員一人ひとりが自身の強みをさらに高め続けるとともに、経験者採用を強化することで、組織として社員の多様な強みや個性を活かすことができる環境の整備に取り組んでいきます。
これからも「社員の成長こそが会社の持続的成長の源泉である」という考え方に基づき、次代を担う人材の育成やリスキリングを強化するとともに、事業戦略遂行上で必要となる多様な人材を確保し、活躍を推進します。
③ 社内環境整備に関する方針
「健全かつ社員の持てる能力を存分に発揮できる職場環境を提供することが会社の責務である」との考え方のもと、柔軟かつ生産性高い働き方の実現、社内コミュニケーションの活性化、育児・介護・治療と仕事の両立支援、有給休暇の取得推進など、社員が安心して働くことのできる働きやすい職場環境づくりに取組んでいきます。
④ 健康経営の取組み
「社員の健康は、本人や家族の幸せの基盤であるとともに会社が持続的に発展していくための最も大切な財産である」との考えのもと、社員一人ひとりが活力高く働き、健康的で豊かな人生を送れるよう、社員の健康保持・増進に積極的に取組んでいます。重点テーマとして「生活習慣病予防」、「禁煙促進」、「こころの健康」を設定し、疾病予防や食習慣改善、禁煙の支援、運動・コミュニケーション促進などの取組みを進めていきます。
⑤ 人的資本に関する指標
2023年3月31日現在
| 2022年度実績 | 2024年度目標 |
年間教育研修費(一人当たり) | 68千円 | 80千円 |
経験者採用比率 | 35% | 40% |
管理職に占める女性の割合(※) | 6.3% | 8.0% |
年次有給休暇取得率 | 75.6% | 80.0% |
「働きがい」を感じる従業員の割合 | 63.0% | 70.0% |
上記は、日清オイリオグループ㈱正規雇用従業員を対象としています。
(※)管理職に占める女性の割合について、2022年度実績は2023年4月1日時点、2024年度目標は2025年4月1日時点で算出します。
(3)気候変動への対応
日清オイリオグループの事業活動は植物資源をベースとしております。植物の生育に大きな影響を与える気候変動への対応は経営の重要テーマであり、2021年3月にTCFD提言に賛同を表明いたしました。気候変動に伴うリスク・機会の分析、財務影響などのシミュレーション等を通じてTCFD提言へ対応し、積極的に情報開示を行ってまいります。
1.TCFD提言が推奨する4つの開示項目
項目 | 内容 |
ガバナンス | ・日清オイリオグループは、事業活動を通じた社会課題の解決により、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展(サステナビリティ)の実現を目指しています。 ・気候変動に伴う課題は、取締役会にて審議し意思決定を行っています。また、サステナビリテ ィ実現に向けた基本方針の立案、戦略・施策は、取締役会の審議委員会であるサステナビリティ委員会の審議を経て、取締役会が承認しています。 ・取締役会は気候変動課題解決に対して責任を持ち、目標進捗の監督を行います。また必要に応 じてサステナビリティ委員会や外部有識者を通じて十分な知見を獲得し、積極的に課題解決に取組みます。 ・気候変動課題解決への貢献に対して提供されるインセンティブは、ESG目標の達成度に基づき取締役(社外取締役を除く)の賞与の支給基準に反映されています。 ・気候変動対策として、環境目標2030の設定、専門部署(サステナビリティ推進室、環境ソリューション室(2023年4月))を設置しています。 |
戦略 | ・当社グループは、2021年度より、2030年に実現すべき姿「日清オイリオグループビジョン2030」と、その最初の4か年の取組みとなる中期経営計画「Value Up+」をスタートさせました。 「日清オイリオグループビジョン2030」では、当社グループの強みの中核である油脂をさらに磨き上げ、成長の原動力とし、健康やおいしさ、美の多様な価値を創出いたします。その実現のため事業基盤となる地球環境の保全に努めます。また、原料のサステナビリティをグローバルトップレベルに深化させていきます。 ・戦略立案にあたっては気候シナリオ分析を行い、2024年までの「Value Up+」を短期戦略、2030年までの「日清オイリオグループビジョン2030」を中期戦略、2050年までに「カーボンニュートラル実現」を目指すための長期戦略の検討を進めています。 ・原料サステナビリティにおいて、持続可能性に配慮した原料(認証油等)の需要拡大に対応すると共に、気候変動に伴う気候パターンの変化による植物原料の生産量低下・価格上昇リスクに対応するため、同一原料の複数産地からの購入やサプライチェーンの複線化によるリスク回避を行っています。 ・温室効果ガス排出量の少ない製品開発や環境負荷低減につながる商品開発が販売増加の機会となると認識し、環境にポジティブインパクトのある製品・サービスの開発等を行っています。一例として、調理時の使用量を抑えた製品、独自製法で賞味期限・使用期間を延長する製品、環境に配慮した容器包装を使用した製品等が該当し、ステークホルダーとの共創を通じ新たな価値を創出していきます。 ・化粧品業界では、気候変動の影響により、原料のナチュラリティ(植物性志向や環境への配慮)を求める動きが広がっており、当社はこの動きへの対応がビジネスチャンスと捉え、化粧品油剤のリーディングカンパニーとなり、世界での存在感を高めることを目指していきます。 |
リスク管理 | ・取締役会の審議委員会であるリスクマネジメント委員会が、事業に対する財務または戦略面での重要なリスクを選定しており、気候変動に伴う物理的リスク、移行リスクの管理を行っています。 ・重要なリスクはグループ全体を対象とし、影響度合いと発生可能性を分析し、重要度を3段階に分けて評価しています。また時間軸としても短期・中期・長期に分けています。 ・重要なリスクは担当部門を特定し、PDCAサイクルによるリスクマネジメント及び緊急時対応を実施しており、リスク対応状況の評価として、リスクマネジメント委員会による取締役会への報告、内部監査室によるモニタリングを実施しています。 |
指標と目標 | ・当社グループは、環境理念、環境方針にもとづき、サステナビリティの実現に向けた具体的な取組みとして「環境目標2030」を策定。気候変動対策として温室効果ガス排出量削減を掲げ、「スコープ1及び2の温室効果ガス排出量をSBT WB2℃目標に準拠し、2030年度までに31% 削減する(2016年比)」を進めています。「スコープ3は、購入した製品・サービスおよび輸配送(上流)の排出量の70%に相当するサプライヤーに、2026年までに科学に基づく削減目標設定を促す」を目標としています。 ・温室効果ガス削減は、カーボンニュートラルを見据えた脱炭素化ロードマップに基づき、高効率機器導入や太陽光・水素等の非化石エネルギーへの転換によるスコープ1・2削減、サプライチェーンへの働きかけによるスコープ3削減を推進しています。スコープ1・2・3排出量は統合報告書(サステナビリティデータ集)で公開しております。 ・また、水資源を有効に活用するため、「2030年までに生産活動における用水原単位を2016年度比16%削減する」に取組み、下流域でも使用できるよう法令に基づく水質管理を行っています。 ・廃棄物削減の取組みとして、軽量容器やロングライフ製品等の環境にやさしい開発による発生抑制、生産工程における副産物を活用したバイオマスボイラーの導入やゼロエミッションの実践による再資源化を行っています。 |
2.気候変動シナリオ分析
気候変動シナリオ分析の前提として、産業革命以降に気温を2℃上昇に抑えた世界、4℃上昇した世界を想定、それぞれの世界観のなかでリスクと機会の検討・抽出を行いました。同時に当社グループの事業活動への影響が大きいリスク・機会については、対策の検討と財務影響の試算を行いました。また、気温上昇を1.5℃に抑えた世界、4℃以上に上昇した場合について検討を進めています。
気候関連リスク
事業活動への影響が大きいリスクとして、2℃上昇時は炭素税によるコスト増加やCO2排出枠購入費用の発生等、4℃上昇時は自然災害が頻発・激甚化することに伴う原料生産量低下による調達コストの増加、台風等による洪水・停電等が生産工場で生じる事による製品供給能力の低下とそれに伴う売上減少が想定されました。
リスク分類 | 事業への影響 | 影響度 | ||
移行 | 政策・法規制 | カーボンプライシング | 炭素税の上昇・制度改正により、エネルギー・容器・輸送等のコスト増加のリスクがあります。また、企業のCO2排出量取引制度の導入により、排出枠購入費用が発生する可能性があります。 | 大 |
訴訟 | 気候変動による社会環境の変化や法規制の強化の影響により、サプライチェーンでの法令違反や森林破壊・人権問題による訴訟を受けるリスクがあります。 | 中 | ||
技術 | 脱炭素設備・生産方法への置き換え | 生産体制の脱炭素化に向けた大規模な設備導入が進められ、設備投資費用増加が見込まれます。また、投資が想定通りの効果を発揮しないリスク、資金不足によりブレイクスルー的な新技術を導入できないリスクがあります。 | 大 | |
市場 | 持続可能性に配慮した購買行動の高まり | パーム油等において、持続可能性を担保した製品への購買行動が高まり、結果として原料コストが上昇するリスクがあります。また持続可能性を担保できない場合、製品価値の低下から消費者離れに繋がり、売上が減少するリスクがあります。 | 大 | |
評判 | 気候変動を含む持続可能性に配慮した投融資の加速 | 気候変動を含む持続可能性に対応する取組みが遅れた場合や、当社取組み状況の情報開示が不十分な場合、株価の低下や融資が停滞するリスクが生じます。また、当社の意図しない風評の拡散により企業価値が低下するリスクがあります。 | 中 | |
物理的 | 急性 | 原料産地・生産拠点での自然災害の頻発・激甚化 | 原料産地でハリケーンや洪水等の被害が拡大した場合、減産に伴う原料価格の高騰により、調達コストが上昇するリスクがあります。また、生産拠点が被災した場合、生産・販売・物流能力が一時的に低下し、売上が減少するリスクがあります。 | 大 |
慢性 | 気象パターンの変化 | 気象パターンが極端に変動した場合、主原料である大豆やパーム等の生産量が減少し、原料価格高騰による調達コスト増加のリスクがあります。また原料の品質・安全性や製品の安定供給に悪影響を受けるリスクがあります。 | 中 |
気候関連機会
事業活動へ大きく影響する機会として、CO2排出量を抑えた製品開発・販売、持続可能な原料の使用等による顧客満足度向上による売上増加が挙げられます。また、自然災害発生時の事業継続性強化も社会的価値の向上に繋がると捉えています。
機会分類 | 事業への影響 | 影響度 | |
資源の効率性 | エネルギー効率向上 | 効率的な機器の導入や高度な生産管理により、生産拠点でのエネルギー効率が向上し、生産コストを削減出来ています。 | 大 |
エネルギー源 | 再生可能エネルギーの | 再生可能エネルギーを活用し、CO2排出量(スコープ1&2)を抑えた製品を販売し、付加価値を訴求する事で、サプライチェーン排出量削減を目指す顧客満足度の向上と売上増加につながります。 | 中 |
製品・サービス | CO2排出量の少ない | 顧客のサプライチェーン排出量削減要求に応え、調理時に吸油の少ない、通常品より賞味期限が長い等、LCA視点でCO2排出量を抑制した製品を開発する事で、顧客満足度向上による売上増加につながります。 | 大 |
市場 | 持続可能性に配慮した | 気候変動の影響を縮小するため、森林保護の重要性が高まっており、持続可能性に配慮した原料(製品)の需要が拡大しています。特に油脂の中で最も生産量が多いパーム油で、顧客が望む認証油を提供する事が、取引先との関係強化や新たな販売機会の獲得につながり、売上増加を達成できると認識しています。 | 大 |
化粧品業界での植物 | ナチュラリティ(植物性志向や環境への配慮)が広まる化粧品業界をターゲットとするファインケミカル事業において、植物由来製品の需要拡大による当社売上の増加を想定しています。また、油脂事業に続く主力事業に成長させることで、グループ全体の収益安定化に繋がります。 | 大 | |
強靭性 | BCP強化 | 気候変動に由来する自然災害の頻発・激甚化に備えたBCPを強化することで、緊急時の製品供給体制を維持し、企業の社会的価値を高める事が可能です。結果として、売上高の増加や株価上昇に加えて資金調達の優位性に寄与すると捉えています。 | 中 |
容器包装のリサイクル | 気候変動対応として、脱化石燃料化が進行しています。当社では製品容器の主原料にプラスチックを使用しており、リサイクル企業への投資による資源循環の確立、バイオプラスチックやプラ代替容器への切替えを行う事で、今後の容器原料の安定調達が図れると考えています。 | 中 |
気候関連リスク・機会への対応策
当社グループの事業活動へ大きく影響するリスク・機会への対応策は以下の通りであり、CO2排出量削減、環境・人権に配慮した持続可能な原料調達、法令順守・訴訟の回避、付加価値型製品の開発・販売、自然災害を考慮したBCP強化等を軸に対応を進めてまいります。
今後は、影響度の精査や、より長期にわたる植物原料の生育、基幹エネルギー源、顧客要求の変化等を分析していきます。
項目 | 対応策 | |
リスク | 機会 | |
カーボン | エネルギー効率 | ・温室効果ガス排出量を2030年までに2016年度比31%削減する目標を設定 ・脱炭素化ロードマップの策定と実践 ・徹底した省エネ活動や、より効率的な設備への移行、再生可能エネルギーの拡大、新技術の導入 ・インターナルカーボンプライシングを活用した、積極的な設備導入 |
脱炭素設備・ | ||
持続可能性配慮志向の高まり | ・日清オイリオグループ調達基本方針(パーム油、大豆、カカオ)及び日清オイリオグループ人権方針を策定 ・環境・人権に配慮した認証原料の調達を強化 - パーム油のRSPOサプライチェーン認証取得拠点(SG及びMB)の拡大 - 特に欧州で求められるRSPO認証SG品を重点的に拡大 - 複数の認証油を販売できるよう、マレーシアMSPO、インドネシアISPO調達に向けた準備 - 大豆等の原料について持続可能性を高める調達活動を推進 ・認証原料に対する顧客及び消費者理解を醸成 ・温室効果ガス排出量の少ない製品開発等、環境にポジティブインパクトのある製品・サービスを開発 ・サプライチェーンに関わるステークホルダーを含めて法令順守を徹底し、訴訟リスクを低減 | |
| 化粧品業界での植物由来製品の需要拡大 | ・付加価値エステル類の生産能力増強と化粧品認証へ適応した施設化を目的に、横浜磯子工場内に化成品工場を新設 ・成長事業の牽引力となるアジア市場の拡大と基盤となる先進国市場におけるグローバルビジネスを推進 |
自然災害の頻発・ | BCP強化 | ・原料供給の安定化、価格上昇リスク抑制のため、サプライヤーの複線化、原料産地の分散化、品質確認体制の強化 ・生産拠点の風水害や地震等に対応した補強を計画。横浜磯子工場の護岸設備や搾油設備、ユーティリティの耐震補強を実施 ・プラスチック原料のリサイクルを行う企業への投資により、将来的な容器包装原料の安定調達を実現。また、プラスチック代替容器の開発を推進 |
(4)自然資本への対応
日清オイリオグループの事業活動は植物資源をベースとしています。主要原料となる大豆、パーム、菜種、カカオなどの“植物のチカラ®”を活用して、食品、飼肥料、化成品、化粧品原料などの製造・販売を行っています。大豆(米国、ブラジル)、パーム(マレーシア、インドネシア)、菜種(カナダ、オーストラリア)、カカオ(西アフリカ、南米)などは世界各地から輸入しており、特定の自然資本及び産地に依存しています。その認識のもと、植物資源の持続可能性確立に向けて、原料調達方針を策定するとともに、産地状況の調査、認証原料の調達、植林活動による生態系保全・復元などを進めており、特にパーム油は2024年までに農園までのトレーサビリティ100%達成を目指しております。また、植物資源を活用した、環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスの開発にも取組んでいます。
情報開示及び目標、取組みは以下のとおりです。
項目 | 内容 |
情報開示 | ・日清オイリオグループ環境理念、環境方針の公開 ・日清オイリオグループ調達基本方針の公開 ・パーム油調達方針の公開、NDPE宣言の実施、アクションプラン及び実施状況を公開 ・大豆調達方針の公開 ・カカオ調達方針の公開 |
目標 | (パーム油) ・パーム油の農園までのトレーサビリティ体制を構築する(2024年に100%) - 持続可能なパーム油調達推進に向けて、パーム油認証油割合、2024年に100%を確保 - RSPO認証油のSG比率、2024年に50%以上を確保 (大豆) ・大豆の持続可能性を高める取組みを推進する (カカオ) ・持続可能なカカオの調達を推進する (自然保全活動の推進) ・植林による自然保全活動(例:マレーシアでのマングローブ植林(2022~2024年に4,000本(約4ha))) (水資源) ・生産に利用する水資源の効率的活用のため、2030年に生産活動における用水の原単位を2016年度比16%削減する (環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスの開発) ・2023年度までに50件、2024年度までに80件(2021年度からの累計) |
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