九電工 【東証プライム:1959】「建設業」 へ投稿
企業概要
本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2024年3月末現在において判断したものである。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、「快適な環境づくりを通して社会に貢献します。」「技術力で未来に挑戦し、新しい価値を創造します。」「人をいかし、人を育てる人間尊重の企業をめざします。」を企業理念の柱に掲げ、電気、空気調和、冷暖房、給排水、情報通信などの設計・施工を営む総合設備業として、社会的使命を果たすと同時に、お客さまや地域社会とともに発展し続ける企業であることを経営の基本としている。
また、これらの事業に関連する環境、エネルギー効率化、リニューアルなどの分野についても、一層の技術開発の促進と品質の向上に努め、お客さまの信頼と期待に応えると同時に、新規分野・新規市場への積極的な事業展開を図ることで、社会構造の変化に適宜適切に対応しながら、企業価値の向上をめざしている。
当社グループでは、企業理念を柱として、将来のメガトレンドを視野に、創立100周年(2044年)にかけて想定される社会環境の中で、当社のビジネス機会や展開にも注視しながら長期ビジョンを策定し、持続可能な社会づくりに向けて私たちが果たす役割〈3つの貢献〉やビジョン実現に向けた基本姿勢を具体的に定めている。
この「長期ビジョン」を九電工“イズム”として浸透させ、継承しつつ、時代の進化や当社グループを取り巻く環境の変化に応じて、その内容をブラッシュアップさせていく予定である。
〔中期経営計画2020-2024〕
当社グループは、前中期経営計画の成果を検証、分析し、継続して取り組むべき課題を整理したうえで、企業理念に基づいた長期的な戦略の過程で2024年度までに達成すべき目標として本中期経営計画を策定している。
本中期経営計画では、「持続的な成長を実現するための経営基盤の確立~3つの改革の実現~」をメインテーマに掲げ、前中期経営計画で得られた成果と反省を踏まえ、当社グループが新たな成長を遂げるためには、これを支える基盤づくりが最重要であるとの認識に立ち、現状の施工力に見合った電気・空調衛生工事の受注量を確保・維持しながら、たとえ景気後退局面に陥ったとしても熾烈な競争を勝ち抜くことができる「強靭で筋肉質な企業体質」づくりに全力を傾注する。
具体的には、コア事業を支える技術者の確保に加え、施工管理方法の見直しや技術者の適正配置による「施工戦力改革」、競争力の源泉となる品質・コスト力向上をはじめ、働き方改革も見据えた「生産性改革」、クリーンで透明性の高い企業風土をつくり上げるための「ガバナンス改革」の「3つの改革」を実現し、本中期経営計画最終年度、その後の創立100周年(2044年度)での飛躍的な成長・発展を目指す。
さらに、当社グループは、本中期経営計画に掲げた「3つの改革」と前中期経営計画の総括に伴い定めた「継続取り組み課題」に加え、事業環境の変化に対応すべく「新たな取り組み課題」を定めている。2021年度には「環境経営の推進」を定め、環境経営に関する中長期目標を、2022年度にはサステナビリティに関する基本方針などを設定・策定し、2023年度からは、サステナビリティ経営のさらなる加速や増加する大型手持ち案件への対応を実現するため、「人的資本経営の推進」と「大型プロジェクトにおける進捗管理の徹底」を新たに課題として加えた。また、2024年度からは、「人的資本経営の推進」を「環境経営の推進」と統合したうえで、「サステナビリティ経営の推進」と呼称を変更し持続的な成長に向け取り組んでいる。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の建設業界においては、都市再開発や企業の設備投資を背景とした堅調な需要の継続が想定される一方で、時間外労働上限規制の遵守に伴う施工力不足や物価の上昇、とりわけ人件費の高騰が続くものと懸念されている。
当社グループにおいても、過去最大規模の仕掛工事量を抱える中、施工要員の確保と長時間労働を生じさせない最適な要員体制の確立が重要であり、これらを直面する最大の課題と認識している。
中期経営計画も最終年度となり、3つの改革や継続取り組み課題を完遂すべく、取り組みを進捗させるとともに、人的資本経営を含むサステナビリティ経営についても経営戦略として浸透させ、かつてないスピードで変化する環境に適応していく必要がある。
このような環境認識を踏まえ、最終年度である2024年度の経営基本方針のテーマについては、2023年度の「新しい時代に向けた生産性の向上」を引き継ぎ、その最重要取り組みを「働き方改革の加速」から「働きがいのある働き方改革へ」と改称したうえで、中期経営計画の重点課題の解決に向け、着実に取り組みを実現し、当社グループの成長へと繋げていく。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標を判断するための客観的な指標(KPI)は、売上高、経常利益、経常利益率、投下資本利益率(ROIC)であり、中期経営計画策定当初、最終年度である2024年度の目標値を、売上高5,000億円、経常利益500億円、経常利益率10.0%以上、ROIC10.0%以上としていた。中期経営計画期間中、新型コロナウイルス感染症の蔓延や人手不足の深刻化、急速な円安の進展や資材価格の上昇など、経営環境の大きな変化を受けつつもこれらに対処すべく都度新たな取り組み項目を設定し、KPIの達成に向け総力を挙げて取り組んできた。しかしながら、許認可等の取得遅延に伴う大型風力発電プロジェクトの先送り、宇久島太陽光工事の本格着工の順延や、人件費をはじめとした想定以上のコスト上昇を受け、2024年4月26日に発表した中期経営計画最終年度である次期の業績の見通しについては、売上高5,000億円、経常利益430億円としている。数値目標に対し、業容の拡大については十分に成果が現れたが、収益及び収益率については、増加傾向にはあるものの、足元の物価高等を踏まえ、引き続きグループを挙げてその改善に注力していく。
なお、当該数値は、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした次期業績の見通しであり、その達成を保証するものではない。
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