企業兼大株主熊谷組東証プライム:1861】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1) 経営方針

 熊谷組グループビジョンのもと持続的成長と企業価値向上を目指し、2024年5月に前「中期経営計画(2021~2023年度)」において掲げた「長期構想」を踏襲した『熊谷組グループ 中期経営計画(2024~2026年度)~持続的成長への新たな挑戦~』を策定した。「社会から求められる建設サービス業の担い手」という役割のもと、時代を問わず社会課題と真摯に向き合い、目指す社会の実現を図っていく。

■熊谷組グループビジョン〈熊谷組グループが目指す企業像〉

 「高める、つくる、そして、支える。」

 独自の現場力(優れた技術力を豊かな人間力で活かす現場力)を高め、独自の価値であるしあわせ品質(建造物の外形的・機能的な品質に加え、そこに集う人、そこを使う人が満足し続けられる品質)をつくり、時代を超えてお客様と社会を支え続ける。

■長期構想〈2030年以降を見据えた経営方針〉

 社会から求められる建設サービス業の担い手として、限りある資源が循環し、ひと・社会・自然が豊かであり続ける社会の実現に貢献する。

■中期経営計画〈2024~2026年度の方針・戦略・目標〉

 「持続的成長への新たな挑戦」をスローガンとして掲げ、これまでの取組みを継続させ「稼ぐ力」「選ばれる力」を徹底的に強化するとともに、周辺事業を加速させ、両利きの経営を目指す。

(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 我が国経済は雇用・所得環境が改善する下で、政府の各種政策の効果により緩やかな回復が続くことが見込まれるが、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れがリスクとして存在している。さらに、中東地域をめぐる情勢など地政学的な問題が経済に与える影響にも十分留意する必要がある。

 建設業界においては、民間企業の建設投資は企業収益の改善等を背景に底堅く推移すると思われる。また、公共投資については、2024年度予算は前年度とほぼ同水準が確保され、自然災害の激甚化・頻発化や社会インフラの老朽化など、人々の暮らしや産業の発展を支える基盤の持続性に大きな懸念が生じる中、防災・減災、国土強靭化への計画的な投資により引き続き堅調に推移すると予想される。一方で、原油高や建設資材高といった採算悪化や需要減退を招くリスク要因の動向を注視していく必要がある。

(3) 経営戦略

 当社グループは2024年度を初年度とする「中期経営計画(2024~2026年度)」を策定した。今般策定した計画は、前「中期経営計画(2021~2023年度)」において掲げた「長期構想」を踏襲し、当社グループが目指す「限りある資源が循環し、ひと・社会・自然が豊かであり続ける社会」の実現に向けた取組みを示しており、「目指す将来の姿」として掲げていた2030年度の“連結経常利益500億円”を、改めて2035年度の長期構想上の目標とした。また、本計画のスローガンとして「持続的成長への新たな挑戦」を掲げ、①建設事業の強化、②周辺事業の加速、③経営基盤の充実を基本方針として、計画期間中の“連結経常利益300億円”を数値目標と定めた。

(4) ESG課題への取組み

 熊谷組グループビジョンのもと事業活動を通じて社会課題解決に貢献するとともに持続的成長による企業価値向上を目指していくため、2019年4月に「ESG取組方針」を策定し、CO2排出抑制、再生可能エネルギー事業、都市再生事業、人財育成、ステークホルダーとの関係強化などに全社を挙げて取り組んでいる。

 なお、2024年5月に重要課題(マテリアリティ)の改定と個別課題の見直しを行った。

「ESG取組方針」

 ■当社は、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の視点から解決すべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、持続可能な事業活動を追求していく。

 ■当社は、グループが保有する技術・経験・ノウハウを活用して新たな価値を創造し、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献する事業活動を展開していく。

 ■当社は、事業活動を通じてステークホルダーとのコミュニケーションによる信頼関係の構築に努め、企業価値の向上を目指していく。

 「ESG取組方針」のもと、持続可能な社会の形成と自らの持続的な成長のため、ステークホルダーにとって重要と考えられる課題をESG視点で特定し、事業活動を通して社会課題の解決(社会価値)と事業収益の拡大(経済価値)の双方を追求する。

 なお、2023年4月に当社を代表とする特定建設工事共同企業体が施工する「北海道新幹線、羊蹄トンネル(有島)他」工事における、コンクリート品質管理試験において、試験実施頻度に関する虚偽報告を行っていたことが判明した。本事案判明後、社長を委員長とする特任対策委員会を立ち上げ、経営から独立した法遵守監査委員会の監視・指導・勧告のもと、原因究明及び再発防止対策、当該コンクリートの健全性、他の工事における同様の不正の有無の調査を実施した。この調査の結果、虚偽報告期間中に施工したコンクリートの健全性に問題はないことを確認するとともに、他の工事においても問題は確認されなかった。また、原因究明のためのヒアリング等の結果、コンプライアンス意識の不足、品質管理に関する基本的認識の不足、作業所における報連相の不足、マネジメント能力の不足、品質管理体制の不備が当事案の主要因であることを確認し、これらの原因の分析・精査を踏まえ、役職員の教育の徹底、品質管理体制の強化及び作業所における諸問題の把握といった再発防止対策を講じ、これを実施している。

 当社は、「ものづくりの原点」に立ち返り、確かな品質こそが「信頼」の核であることを改めて認識し、信頼回復に向け、不退転の決意をもって引き続き再発防止に取り組んでいく。

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