企業tripla東証グロース:5136】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

 当社グループは、パーパスとして、「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する。」を掲げております。当社グループは、宿泊施設に対し、「tripla Book」を基本とし、様々なサービスを提供しております。宿泊施設が、自社予約を増やすことで収益を増加させ、費用を削減し、生産性を高めるよう、宿泊業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える総合的なエコシステムを提供して参ります。

 また、当社グループのCore Value(行動指針)として、7つを掲げております。特に、「Market-In for Customer Satisfaction」については、顧客にとって必要なものを開発するという思想を徹底し、新しいサービス・プロダクトの開発を進めております。世界15ケ国から集まった多様性が高い企業文化、多言語でのコミュニケーションを行いながら、パーパスの達成を追求いたします。

Core Value(行動指針)

・Market-In for Customer Satisfaction(顧客満足実現へのマーケットイン)

 マーケットイン思考を徹底し、顧客満足を常に追い求めます。市場が真に望むものを私達は提供します。

・Ownership(オーナーシップ)

 自らの担当領域は当然に自らが責任を持ちつつ、会社全体のために当事者意識を持って行動します。

・Actions with Results(結果に拘るアクション)

 行動し、行動により結果を出します。求められる結果は何かを常に考え行動します。

・Challenge for Innovation(イノベーションへの挑戦)

 常に革新と改善を続けます。環境は変わり続けます。現時点における最善が今後も最善であるとは考えません。

・Stretch the Team & Yourself(チームと自信の成長)

 常に学び、自分自身を成長させ続けます。チームに良い影響を与えることを約束し、チームも成長させ続けます。

・More with Less(生産性の追求)

 効率よく、より少ないリソースでより多くのことを実現するチームを作ります。

・Humility, Respect & Trust(謙虚、尊敬、信頼)

 謙虚、尊敬、信頼をバランスよく持ち、他者と接し、強いチームを作ることに貢献します。

(2) 経営環境

①市場環境について 

 当社グループのホスピタリティソリューション事業と関連性がある宿泊業界においては、数年間に及び新型コロナウイルス感染症による事業環境の悪化に苦しんで参りましたが、訪日観光客を中心に観光需要の回復は鮮明となっており、レジャー目的を中心とした宿泊施設の需要回復は、今後も期待できるものと考えております。観光庁が公表している宿泊旅行統計調査によりますと、当連結会計年度における延べ宿泊者数(訪日外国人旅行者を含む)は、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年の同月と比較し108%となり、その内訳として、日本人の宿泊者数は101%、訪日外国人の宿泊者数は136%となっております。

 上記の宿泊者数の数値は、国土交通省観光庁「宿泊旅行統計調査」に基づいて記載しております。

②市場規模について

 日本の宿泊市場の規模としては、およそ5兆円程度です(e-Stat 政府統計の総合窓口よりデータ抽出)。また、同じく世界の宿泊市場の規模としては、韓国1兆円、台湾8,000億円、インドネシア1兆円等です。なお、各数値は宿泊自体の市場規模であり、当社グループが対象としているITサービスの市場規模とは異なります。


③競争優位性について

 当社グループが提供する「tripla Book」は類似サービスを提供する事業者が複数存在する業界であります。その中の当社グループの優位性としましては、拡張性の高さ、多機能であることにあると考えております。

(拡張性の高さ)

 当社グループの「tripla Book」はクラウド型で提供しており、機能を開発後、速やかにローンチすることが可能です。開発速度としては平均30機能を月間でリリースしております。今後も、当社グループのCore Value(行動指針)である「Market-In for Customer Satisfaction」に基づき、当社グループの顧客、もしくは潜在的な顧客に対して徹底したヒアリングを行い、優先順位を付けた上で、求める機能の開発を進めて参ります。汎用的に使える機能の開発についてはすべて内製で開発する方針であります。また、「tripla Bot」、「tripla Connect」等の他サービスとも連携しており、より拡張性を高め、当社グループのパーパスである「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する。」を実現して参ります。

(多機能)

 単に予約をするのみでなく、「第1 [企業の概況] 3 事業の内容 (2)サービス概要」に記載のとおり、複数の機能があります。

④主要製品・サービスの内容について

 当社グループの主要なサービスの内容につきましては、「第1 [企業の概況] 3 事業の内容 (2)サービス概要」に記載しております。


⑤顧客基盤及び販売網について

 当社グループは主に、宿泊施設向けにサービスを提供しており、宿泊施設からの問い合わせや当社グループからの提案等により、受注しております。

(3) 中期的な経営戦略

当社グループの営業収益は、2023年10月期から2024年10月期にかけて58.8%の成長率となっております。今後の成長戦略としては、現状提供している「tripla Book」、「tripla Bot」、「tripla Connect」、「tripla Boost」、「tripla Pay」、「tripla Analytics」、「tripla Link」、「tripla Page」の導入施設数の拡大、取扱高・GMVの増加を行うことによる単価の向上を継続的に成長させることを重視して参ります。これらと並行し、パーパスである「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する。」の実現のため、現状営業収益の大半を占めている「tripla Book」、「tripla Bot」に加え、「tripla Connect」、「tripla Boost」、「tripla Pay」、「tripla Analytics」、「tripla Link」、「tripla Page」もクロスセルを進めて参ります。個々のサービスが収益を上げることは当然として、tripla Botのみを利用している顧客に対してtripla Bookを販売するといったクロスセルによる営業収益の増加、tripla Connectやtripla Boost等を用いて、顧客である宿泊施設の自社予約を増加させtripla Bookの収益を増加する等、各サービスが相互に関連し、一体となって顧客である宿泊施設の自社予約増加、収益最大化を図り、宿泊施設、当社の収益がともに最大化するWin-winのビジネスモデルを目指します。そのために必要なエンジニア等の人材を積極的に採用して参ります。

 また、APAC(アジア太平洋地域)へ販路拡大を目標としており、2023年3月には韓国支店の設立を行いました。また、2023年11月にはBOOKANDLINK PTE. LTD.及び同社の子会社であるPT. SURYA JAGAT MANDIRI(以下「BookandLink社」と言います。)の株式取得及び子会社化を行い、2023年12月には旭海國際科技股份有限公司(英文名称:Surehigh International Technology Inc. 以下「Surehigh社」と言います。)の株式取得に関する契約を締結いたしました。事業展開する地域を拡大することにより営業収益、営業利益の拡大を図るとともに、サービス・プロダクトの販路拡大(当社のサービスを海外子会社の販路で拡販するとともに、海外子会社のサービスを当社の販路で拡販する)、プロダクトの強化、エンジニアリングリソースの効率化等、グループ一体となってシナジーを創出して参ります。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、営業収益、営業利益を重視しております。当該指標を採用した理由は、税金や為替等の営業活動以外の影響を除外した上で、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、当社グループの成果を端的に表すことができるためです。

2024年10月期の営業収益1,867百万円の内、親会社であるtripla株式会社単体分が1,639百万円であります。単体の営業収益の95.3%は、「tripla Book」、「tripla Bot」の2つのサービスにより構成されており、特に、72.9%は営業収益の「tripla Book」により構成されております。tripla Bookの収益構造は、施設あたりの月額固定料金による「固定収益」、宿泊や決済の取扱高・GMV(Gross Merchandise Value)に応じて課金される「従量収益」に分けられます。従量収益はさらに、宿泊従量課金による従量収益と、決済従量課金による従量収益に分けられます。

 以上より、tripla Bookの営業収益の達成状況を判断する上で、導入施設数、取扱高・GMVを重要な指標としております。導入施設数を増加させることで固定収益を増加させ、取扱高・GMVを増加させることで従量収益を増加させることで、当社グループの目標である営業収益を達成いたします。ただし、取扱高・GMVが低い場合には、当社グループの目標である営業収益を達成しない可能性があり、導入契約施設数を増やすのみならず、取扱高・GMVも増やすことが重要となるビジネスモデルです。

 また、tripla Bot、tripla Connect等のその他のサービスについても、導入施設数が重要な指標であります。

 重要な連結子会社であるBookandLink社において開発、販売を行っている主たるサービスは、チャネルマネージャーであり、導入施設数が重要な指標であります。

 重要な連結子会社であるSurehigh社において開発、販売を行っている主たるサービスは、予約エンジン、チャネルマネージャー、ウェブサイトビルダー(注1)であり、導入施設数が重要な指標であります。

 各社の各種サービスにおいて、重要な指標である当該指標等を拡大させることで、営業収益の継続的かつ累積的な増加を実現して参ります。

 なお、各指標については「第1 [企業の概況] 3 事業の内容 (2)サービス概要」に記載しております。

(5) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループが事業を行うにあたり、対処すべき課題として以下の点に取り組んでおります。

1 サービス・プロダクトの強化

 当社グループは、さらなる事業成長のためには、サービス・プロダクトの強化が必要であると認識しております。2024年10月期においても、「tripla Book」を始めとした各プロダクトについて、その契約施設数を順調に伸ばして参りました。今後もさらなる契約の増加、既存契約の解約抑止のため、競合や顧客要望を意識しながら継続的に機能強化をしていくことが必要であると考えております。2024年10月期においては、「tripla Analytics」、「tripla Link」、「tripla Page」等の日本での展開を開始いたしました。

2024年10月期においては、3件の企業買収を行いました。2023年11月にBOOKANDLINK PTE. LTD.(以下「BookandLink社」と言います。)及び同社の子会社であり主としてインドネシアで事業展開を行っているPT. SURYA JAGAT MANDIRI(以下「SJM社」と言います。)の株式を取得し子会社化いたしました。また、2024年2月には旭海國際科技股份有限公司(英文名称:Surehigh International Technology Inc. 本社:台湾 以下「Surehigh社」と言います。)、ENDURANCE TECHNOLOGY SOLUTION PTE. LTD.(本社:シンガポール 以下「Endurance社」と言います。)の株式を取得し子会社化いたしました。これらの子会社と連携し、サービス・プロダクトの開発を進めて参ります。

 各社が提供しているサービス・プロダクトを日本で展開開始することについては2024年10月期中に実行できましたので、今後各サービス・プロダクトを強化するため、必要な開発投資を行って参ります。また、日本で展開しているサービス・プロダクトを海外販路で展開する等の相互連携を今後進める予定です。

2 内部管理体制の強化  

 当社グループが安定してサービスを提供し、継続的に成長し続けるためには、コンプライアンスを重視した内部管理体制の強化、日本及び海外での法令準拠及びコーポレート・ガバナンスの充実に向けた取組が重要だと考えております。2024年10月期においては子会社が増加したため、グループ全体の内部管理体制の強化を行って参ります。今後も事業規模の拡大に合わせ、管理部門の一層の体制強化を図り、企業価値の最大化に努めて参ります。

3 顧客基盤の拡大

当社グループは、事業成長のためには、契約施設数の増加が必要であると認識しております。顧客基盤の拡大を行うためには、プロダクトの強化を行うとともに、営業等の人材の確保と在籍する人材の継続的な強化に努めて参ります。

4 利益及びキャッシュ・フローの創出

2024年10月期においては、当社グループの営業収益の大部分は、tripla Book、tripla Botによって構成されております。今後はtripla Connect、tripla Linkを始めとした他サービスについても収益貢献を加速させて参りたいと思っております。

 当社においては、プロダクト開発やユーザーの獲得に関する投資を先行して行い、事業拡大を図ったことから、2021年10月期までは営業損失を計上しておりましたが、事業の拡大に伴い、契約施設数が順調に積み上がり、ユーザーの利用を促進することで、先行投資として計上される開発費用やユーザーの獲得費用を含む営業費用が営業収益に占める割合は低下したことから、2022年10月期以降は黒字となりました。2025年10月期から2027年10月期の計画数値について、2024年10月決算発表とともに公表させて頂きましたが、継続的な黒字を計画しております。今後も利益及びキャッシュ・フローの改善に努めて参ります。

5 財務上の課題

 当社は2022年10月期以降黒字であるものの、2021年10月期までは営業赤字が継続しておりました。また、tripla Bookによる宿泊予約についてのユーザーからの預り金の増加を除くと、営業活動によるキャッシュ・フローは赤字が継続しておりました。今後、計画している十分な営業収益が獲得できない場合には営業赤字、営業活動によるキャッシュ・フローは赤字となる可能性があります。そのような場合に備え、常に一定水準の手元流動性を確保し、信用獲得に努めて参ります。手元流動性確保のため、金融機関との良好な取引関係の継続や内部留保の確保を継続的に行い、財務基盤のさらなる強化を図って参ります。

(注) 1.ウェブサイトビルダー:ウェブサイトを作成するためのサービス。「tripla Page」及びSurehigh社の提供する「微官網」がこれにあたる。

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