企業note東証グロース:5243】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 以下の文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

(1)経営方針

 当社は「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」をミッションに掲げ、クリエイターがテキストやマンガ、写真、音声等のコンテンツを自由に投稿・販売することができ、ユーザーはそのコンテンツを楽しんで応援・購読できるメディアプラットフォーム「note」を中心とした事業を展開し、あらゆる分野のクリエイターの、いちばん基本的な活動の場所となることを目指しております。

(2)経営環境

 当社を取り巻く経営環境については、スマートフォンアプリ等を通じての個人間取引やサブスクリプション型ビジネス、インターネット上でサービスを提供するSaaSのトレンドが引き続き拡大しているなか、特に新型コロナウイルス感染症の流行拡大以降に見られる社会的な変化が後押しとなり、あらゆる人がオンラインでコンテンツや商品を発表・販売する動きが広まり、クリエイターエコノミーが拡大している状況であると認識しています。

 こうした環境において、当社はメディアプラットフォーム事業として、あらゆる人がインターネット上で文章等のコンテンツを投稿・販売できるプラットフォーム「note」と、企業の情報発信をDX(デジタルトランスフォーメーション)する「note pro」を提供しており、個人・法人問わず創作活動・情報発信の場として、需要は引き続き拡大しているものと考えております。

 当社の「note」がアプローチする市場は、文章やマンガ、写真、音声、動画等のコンテンツに関する市場です。総務省情報通信政策研究所「メディア・ソフトの制作及び流通の実態に関する調査(2023年6月)」によれば、オンライン化されたテキストコンテンツの市場規模は1.6兆円とされています。また、オンライン化されていないコンテンツも含めたデジタルコンテンツとしては、2021年の市場規模は9.2兆円となっており、オンライン化されたコンテンツに牽引されながら、成長を続けています。

 当社はこれらのオンラインテキストコンテンツ市場・デジタルコンテンツ市場にアプローチしておりますが、今後あらゆるコンテンツのデジタル化・EC化が進展していくことに伴い、これらの市場規模はさらに拡大していくものと考えております。


※1 出典:総務省情報通信政策研究所「メディア・ソフトの制作及び流通の実態に関する調査(2023年6月)」

 市場規模は2021年のもの。

※2 出典:一般社団法人 日本経済団体連合会「Entertainment Contents 2023(2023年4月)」

 市場規模は2021年のもの。

※3 2023年11月期の数値。

 当社の「note pro」がアプローチする市場は、Webサイト構築に関する市場です。「note pro」は独立したWebサイトをノーコードで開発できる特徴から、「note」のプラットフォームを基盤に企業の情報発信をDX(デジタルトランスフォーメーション)することにより、まずはメディア企業が保有するコンテンツの流通や国内法人のPR・採用・ブランディングといった情報発信を幅広く支援していくことを目指します。そして、さらにビジネス機能の強化を進めることにより、個人法人問わずインターネットにおけるあらゆるビジネス活動の拠点となるべく、全ての国内Webサイトをターゲットとする市場にアプローチしていくため、「note pro」の市場規模は次のように推計しております。


※1  総務省「令和3年経済センサス-活動調査」全産業企業等数の総数368万社と、総務省「令和4年就業構造基本調査」フリーランス総数257万人を合算した数値。

※2  note proのARR=80,000円/月 x 12ヶ月=960,000円として計算。

※3  Webサイト構築サイトの市場シェアデータ"Historical yearly trends in the usage statistics of content management systems” (https://w3techs.com/technologies/history_overview/content_management/all/y)を参照し、None及び商品性が異なるWordpressとECサイト構築のShopifyを除外した上位サービス(Joomla、Squarespace、Wix、Drupal)のシェア合計から、7%を獲得可能と設定。

※4  Siteefy「How Many Websites Are There in the World?」世界のWebサイト数(2023年12月時点)にWordpressの日本語のサイトシェア5.8%を乗じて推計(https://wordpress.org/about/stats/)

(3)経営戦略

 当社の「note」は、CtoC(個人から個人へ)の情報発信メディアであり、かつ有料記事による課金ができる「CtoC × 課金」のモデルで、電子書籍・電子新聞やWebメディア、ブログ等の他のメディアと比べてもユニークなポジションを形成しています。加えて、Creative、Technology、Designの3つが一体となった当社の強みを活かしたプロダクト開発力を活かし、クリエイターや読者からの要望やフィードバックを適時に吸い上げ、速やかに機能改善・拡充等に反映することでつくり上げてきた優れたUI/UXが高く評価されており、クリエイターの裾野は拡大してきています。また、株式会社日本経済新聞社、株式会社文藝春秋などのメディアや、EコマースのBASE株式会社等さまざまな企業との提携によって、「note」に投稿された作品がマルチチャネルでさらに拡がり、クリエイターサクセスが促進されることで、オンライン・オフラインを問わずクリエイターの創作活動を後押し、既存メディアにとっては新しいクリエイターを発見する場となっております。

「note」はこうした取り組みにより、クリエイターが増え、コンテンツが増えると読者が集まり、コンテンツが売れてさらにクリエイターが集まる、というクリエイター・読者・コンテンツの相互作用によるネットワーク効果がはたらくことで、広告宣伝費をかけずに自律的に拡大する、以下のグロースモデルによって、競争優位性を獲得してきました。


 さらに「note」が提供する価値を最大化するためには、以下の図に示すように、CREATION(いい作品を生み出す)・DISTRIBUTION(広く人々に届ける)・FINANCE(収益化する)という3つの課題にバランスよく取り組むことが重要であると考えています。グロースモデルに沿った自律的な成長に加え、各項目を着実に伸ばすさまざまな施策に取り組んでまいります。


 当社は「note」というプラットフォームをインターネット上の「街」と捉えており、個人・法人に関わらずあらゆる人が集まり、インターネットにおける創作・ビジネスをはじめとしたあらゆる活動の本拠地となることを目指します。この実現のため、今後は「note」の強化だけでなく「note」を軸とする既存のエコシステムを拡張させ、より多様で数多くのクリエイターサクセスを創出していく方針です。

 エコシステムを拡張させる具体的な施策としては、下記の図に示すとおり2つの方向性を想定しており、これまで「note」の開発・強化を通じて培ってきた技術を活用したメディア・法人向けツールの外部提供と、「note」に集まるあらゆるジャンルのコンテンツやユーザー資産を活用した新サービスの立ち上げに取り組んでいます。


2024年11月期は、エコシステムを拡張させるため、①ポイント機能の導入やアプリの機能強化等を通じた「note」のさらなる強化、②「note」に集まる資産を活用した「note」外の新サービス立ち上げ、③「note pro」のビジネス機能やAI関連ツールの開発・強化によるメディア・企業への外部提供拡大、④AI関連技術への投資による「note」の提供価値向上をはじめとする創作にまつわるバリューチェーンの革新、の4点に重点的に取り組んでまいります。

 これらの取り組みによる成長イメージは以下のとおりです。2024年11月期はコスト規律を維持しながら人材への戦略的な成長投資を実施し、2025年11月期以降は「note事業」「note pro事業」の成長に加えて新規事業の貢献により、売上高成長率20~30%の実現と早期の通期黒字化達成を目指してまいります。


(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では、財務指標のうち成長投資の源泉となる売上総利益を最重視し、最大化を目指しています。

 事業上の重要指標として、「note」については流通総額(GMV)を、「note pro」についてはARRを設定し、各事業の売上高の継続的かつ累積的な増加を目指しています。

 そのほか、プラットフォームの更なる拡大のため、累計ユニーククリエイター数、累計会員数、公開コンテンツ数といったメディアプラットフォームに関する各種指標についても推移を注視しています。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 コンテンツ配信業界を取り巻く環境は、底堅く推移しております。こうした中、この業界で課題とされるコンテンツの充実や読者へのレコメンド機能をはじめとしたサイトの最適化等システムへの対策が急務となっております。

 当社はこうした課題に対して、「note」の事業活動を通じてビジネス上の継続基盤を強固にするとともに「note pro」の事業活動を通じて導入企業の増加を図るなど、今後も既存事業の強化を図りつつ、これまでに培ってきた技術や資産を活用した新規事業に取り組み、「note」のエコシステムを拡張していく方針です。

 以上の取り組みにおいては、それぞれ次のような課題があると認識しております。

① 「note事業」「note pro事業」のさらなる拡大

「note」については、累計ユニーククリエイター数、累計会員登録者数、公開コンテンツ数といったメディアプラットフォームとしての各種指標を継続的に伸ばすほか、多くのユーザーを抱える影響力の大きなプラットフォームとしての健全性を重要な課題として認識しております。またクリエイターの継続的な創作活動を後押しすることで「note」上で継続的に購読されるコンテンツの割合を増加させるために、クリエイターと読者のコミュニケーションの充実と、クリエイターの創作意欲を喚起することが必要と考えており、エディタの機能刷新やコンテストを実施しております。その結果、ユーザー数及び流通総額は着実に積み上げられております。

 また、「note pro」については、セールス&マーケティングの強化や機能拡充により、有料契約数を飛躍的に増加させることが重要と考えております。 具体的には、「note pro勉強会」などのマーケティング目的のイベントや「note pro」のサクセス事例を増やすこと等を通じ、「note」を利用する法人を中心とする幅広い企業に対し認知拡大を図るほか、ChatGPTを活用し効率よく記事を書けるツール「AIアシスタントβ」においてビジネス用テンプレートの活用など法人向け特別機能を追加したり、noteの記事を通じて読者のメールアドレスを取得できる機能を導入するといった、情報発信をサポートするだけでなくビジネス成果につながる新たな機能の開発・強化を行なっています。その結果、有料契約数を伸ばしております。

② 新規事業の立ち上げと拡大

 当社は今後、「note」を軸とする既存のエコシステムを拡張させ、より多様で数多くのクリエイターサクセスを創出していく方針です。エコシステムを拡張させる具体的な施策としては、これまで「note」の開発・強化を通じて培ってきた技術を活用したメディア・法人向けツールの外部提供と、「note」に集まるあらゆるジャンルのコンテンツやユーザー資産を活用した新サービスの立ち上げの2つを想定し、取り組んでいます。

 これらの取り組みにより新規事業を立ち上げ、拡大させていくことで、さらなる成長とミッション達成を実現してまいります。

③ 優秀な人材の確保と育成、それに合わせた組織体制の構築

 コンテンツ配信業界においてインターネットに関する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それらに対応した新商品及びサービスが常に生み出されております。これらの最新ニーズ及び新商品並びにサービスを的確に察知し、迅速な意思決定を行える体制を整え、常に市場をリードしていくことが当社の成長につながります。これを実現するために、国内のニーズを的確に察知できる人材の確保が可能な体制を構築してまいります。

 当社の経営理念に共感し、意欲、業務推進能力を兼ね備えた人材の中途採用を実施することはもちろんのこと、事業拡大及びサービス品質の向上等により知名度を上げることで採用力を強化し、当社が必要とする優秀な人材を継続的に確保・育成するべく取り組むと同時に、拡大する人員に合わせ、効率的な組織体制の構築に取り組んでまいります。

④ 内部管理体制の強化

 当社は成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。当社が効率的に拡大できる体制の確立に向けて、コンプライアンスの徹底及び内部統制の強化を重要な課題として認識しております。これまでも体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に伴って人的補充を行い、定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、監査等委員監査の実施によるコーポレート・ガバナンスの充実などを行っていく方針です。

⑤ 情報管理体制の強化

 当社は、事業推進上、利用動向等の個人情報や機密情報を保持しております。このような情報が流出した場合や不適切な取り扱いがなされた場合、当社の信頼性や企業イメージが低下し、契約獲得や今後の事業展開への影響が生じるおそれがあります。

 そのため、個人情報等の機密情報を取り扱う際の業務フロー、社内規程の整備、定期的な社内教育の実施、セキュリティの整備等により、今後も引き続き、情報管理体制の強化を行ってまいります。

⑥ 業務の効率化による生産性向上

 需要拡大に備えた増員は、一方で人件費等のコストアップにつながり当社の利益圧迫要因となります。当社では全業務のプロセスの見直しを行い、無駄を削減し業務の効率化を図ってまいります。また、基幹システムを中心にシステム投資を強化し、インフラ面を改善するとともに業務の省力化による生産性向上を図ってまいります。

⑦ 業務基幹システムの維持・強化

 当社の業務は、お客様を個別にかつ的確に管理し、必要な時に迅速に情報把握をできることが業務遂行上重要であり、その管理の根幹をなす当社の基幹システムを安定的に稼働させることが経営戦略上非常に重要な課題です。昨今の事業拡大、事業の継続的発展に伴い当該システムに対する負荷は、比例的に増大いたしますので、機能の拡充を継続的に実施していく方針です。

⑧ 財務上の課題について

 当社は、現状先行投資が必要なフェーズであると捉えており、当事業年度まで営業損失かつ営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが継続しております。

 今後においてもこれまで以上に優秀な人材の採用・育成を行うことでサービスの機能を継続的にアップデートするとともに、知名度と信頼度の向上のための広報・PR活動等を積極的に進めるため先行的な投資を継続する方針であり、一定期間において費用が先行する可能性がありますが、プラットフォームの流通総額向上に伴うストック売上高の継続的な向上により、黒字化を目指しております。

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