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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針について

 当社は、企業理念として次の「Mission」「Vision」「Value」を掲げております。

Mission「ひとを幸せにする」

Vision「私たちは在宅療養に新しい価値の創造を行い、すべての人が安心して暮らせる社会を実現します」

Value「(Be a challenger:努力と挑戦を続け、成長し続けます。)

 (Be innovative:新しいことを追求し、新たな価値を創造し続けます。)

 (Be sincere:真心をもって誠実にひとに向き合い、信頼に溢れる豊かな人生を築きます。)

 (Be positive:物事を自分事として捉え、何事もチャンスと解釈し、前進させます。)

 (Be professional:法と秩序を守り、ひとに安心と感動を与えるプロ集団を目指します。)」

(2)経営戦略について

 今後の方向性は、主力サービス「iBow」の市場シェアを拡大させるとともに、第2のサービス「iBow 事務管理代行サービス」も拡大させることで訪問看護市場におけるプラットフォーマーとしての地位の確立を目指します。

 また、主力サービスで得られる情報を匿名加工情報(特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報)として活用することでPHR(注)を活用したデータビジネス(地域包括ケア事業)につなげ、当社の事業領域の拡大と企業価値の向上を図ってまいります。

 当社の事業領域は、療養治療・観察の慢性期医療と終末期医療分野という、長期的で継続的な医療・介護分野です。現在はiBowを中心に在宅療養の核となる訪問看護ステーションに向けて業務支援システムとBPOサービスを提供しております。日本では、医療・介護・健康分野の情報化として、PHRを中心とした医療データの利活用が推進されております。当社においてもこのPHR情報を地域包括ケアシステムの中に取り込み、患者を中心とした関係者が、安全で安心して情報共有ができる仕組みの構築と提供を考えております。

 また、2021年より開始している在宅治験支援をはじめ、在宅医療データの活用による第3のサービスの確立が当社のさらなる成長に大きく貢献すると考えております。

(注)パーソナルヘルスレコードの略語であり、個人の健康・医療・介護に関する情報のことを指します。

(3)経営戦略上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、事業規模と収益性を測る指標として、売上高および営業利益を重視しております。

 また、主力サービス「iBow」においては、サブスクリプション型のサービスを提供しているため、当社がサービスを提供する稼働ステーション数の増大、市場シェアの拡大、月次平均解約率の低減および顧客平均単価の向上を重要な経営指標としております。複合サービスを展開し、市場シェアの拡大、満足度の向上(解約率の低位安定)、顧客単価向上の循環が当社のサステイナブルな成長の基礎と考えております。

(4)経営環境について

 当社の顧客である訪問看護ステーションの事業環境は、1992年に老人保健法等の一部改正により新設された老人訪問看護ステーションからの指定老人訪問看護が始まり、1994年の健康保険法等の一部改正で創設された訪問看護ステーションから高齢者以外の在宅療養者にも指定訪問看護が提供されることとなり、以降、指定訪問看護事業所は「老人」をとり「訪問看護ステーション」となっております。

 2000年の介護保険制度施行後は、訪問看護が介護保険制度の居宅介護サービスのひとつとして位置付けられて要介護認定者等にも訪問看護を提供することになり、2006年には要支援者に対する訪問看護は予防給付の「介護予防訪問看護」とされ、介護給付の「訪問看護」と区分され今日に至っております。

 2011年には「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が制定され、地域包括ケアシステムの実現に向けて、医療ニーズを伴う要介護者への介護・看護一体的提供が進められています。

 訪問看護制度は、乳幼児から高齢者まで家族も含めて、医師と連携し疾病や障がいの悪化防止、病院等からの在宅移行支援、在宅療養生活支援(24時間体制で緊急対応も含む)、エンドオブライフケアを行うのが訪問看護で、予防・医療・介護機能を合わせもち生活支援を行う看護は地域包括ケアシステムの要となっております。

 以上のことを踏まえ、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・看護職員需給分科会の中間まとめ」によると、2025年までに、超過勤務時間が月10時間以内で有給休暇5日以上取得する場合を前提とした場合、2016年時点の訪問看護に従事する看護職員数は4.6万人が2025年には11.7万人が必要と試算されております。これは、在宅療養の需要が増え、2025年には2倍以上の訪問看護師等の従事者が必要になることを指しております。

 日本国内においては、少子高齢化が進み、就業人員の減少が見込まれるなか、試算通りの看護師等の確保が可能であると楽観視できないものと当社は考えております。一方、需要は伸びていく状況にあるため、当社は当社のシステムやサービスを提供することで、一人一人の訪問看護師等が効率的に業務を進めることができる状況を作り出し、訪問看護師が増えない状況を、一人当たりの訪問件数を増加させることでカバーすることにより、この需給問題の解決になるのではと考えております。

 また、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師等の受入れが一般的になり、訪問看護ステーションにおいても就業されるようなことが生じたときには、当社の「iBow」も多言語化への対応等が必要になってくると考えております。

(5)社会ニーズの高まる訪問看護市場の拡大

 訪問看護ステーションは、介護保険と医療保険の利用者に訪問看護を提供し、両保険に対する請求に基づき報酬が支払われております。介護給付費と医療費の割合でみると、7,652億円のうち介護給付費が3,723億円(48.7%)、医療費が3,929億円(51.3%)になっており、年々医療費割合が増加し、訪問看護への支払額は、13年間で約3倍に拡大しております。

・訪問看護業界における医療費と介護給付費

(単位:億円)

年度

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

合 計

2,048

2,214

2,376

2,682

2,940

3,282

3,689

4,155

4,666

5,215

5,824

6,682

7,652

医療費

665

740

808

956

1,086

1,256

1,485

1,742

2,023

2,355

2,727

3,254

3,929

介護

給付費

1,383

1,474

1,568

1,726

1,854

2,026

2,204

2,413

2,643

2,860

3,097

3,428

3,723

(出所:医療費は厚生労働省「国民医療費の概況」(2009年~2021年)、介護給付費は同省「介護給付費等実態統計」(2009~2021年)、合計は当社集計)

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①市場環境および顧客ニーズにタイムリーに対応できる開発体制の強化

 当社は創業以来、「世にある物は活用し、世にない物を作りだす」を合言葉に、訪問看護ステーション向け業務支援システム「iBow」を提供してまいりました。今後さらなる市場スケールの拡大に対応するため、開発体制の強化が必要と考えております。そのため開発人材の確保が必須と考えており、継続的な開発人員採用活動および人材教育を実施し、開発体制の強化に取り組む方針であります。

②内部管理体制の強化による事業基盤強化

 当社は、業務運営の効率化やコーポレート・ガバナンス、リスクマネジメントのための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。引き続き経営の公平性や透明性を確保するために内部統制の実効性を高め、内部管理体制の強化に取り組み、事業基盤を強化いたします。

③システム信頼性の継続的な維持や品質の向上、設備環境の強化

 当社は、顧客に安心して当社サービスを利用していただくためには、システム稼働の安定化が重要な課題であると認識しております。セキュリティ・開発・保守管理体制の整備は不可欠であり、今後も引き続き投資を行い、システムの継続的な安定化、品質の向上に取り組む方針であります。

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