UEX 【東証スタンダード:9888】「卸売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業集団が判断したものであります。
当社は昭和30年の創業以来、ステンレス鋼の流通を通じてわが国の産業の発展に寄与することを目的とし、販売先と仕入先双方のニーズを調整すると共に、お取引先にソリューションを提供することにより発展してきました。当社の企業理念である「日本一のステンレス・チタン商社として、世のため人のために役立ちたい。」は「UEXの志」という形にまとめられております。また、この企業理念を具現化すべく経営方針として『ステンレス・チタン商社として価値ある流通機能を提供することで社会に貢献し、永続的な成長を通じてステークホルダー(取引先・社員・株主)の満足度向上をめざします。』を定め、さらなる事業活動の発展に努めるとともに、法令遵守を徹底し、経営体制の一層の強化を目指してまいります。
国内経済は、日銀のゼロ金利政策の解除もあり長期間続いたデフレ局面からの転換期を迎えております。一方で諸コスト上昇に伴う物価高や長期化するウクライナ問題、中東地域を巡る地政学的リスクの高まり、中国経済の下振れリスクなど、依然として予断を許さない状況が見込まれます。ステンレス鋼業界におきましては、ニッケルを中心とした各種原材料価格の推移やエネルギー・諸資材の動向を引き続き注視していく必要があります。一方で、ステンレス流通業は成熟期を迎えており、従来の問屋機能だけに依存したビジネスモデルでは、当社企業集団の企業価値を大幅に向上させていくことは困難になってきています。国内市場で大きな拡大・成長が期待できない状況下にあって、他社との競争に打ち勝ち、シェアを拡大していくには、高い付加価値が期待できる加工品販売の強化を図るとともに、顧客のニーズに立脚したステンレスの用途開発の提案営業を行う一方、新成長分野への営業体制を構築していく必要があります。加えて、事業継続対策を兼ねた働き方改革にも取り組むことにより、業務の効率化を図っていく必要があると認識しています。
ステンレス鋼その他金属材料の販売事業におきましては、ニッケルをはじめとした原料価格が弱含みに推移するなか、流通各社は引き続き価格維持に努めたものの、ステンレス鋼市況は軟調な動きとなりました。また、全般に需要が減退傾向となったことにより、流通市場は盛り上がりに欠ける展開となりました。そのような状況のなか、引き続き在庫販売に重点をおいた営業活動を推進するとともに、加工品やチタンなど高付加価値商品の販売に注力したものの、営業利益は前連結会計年度に比べて減少となりました。当事業の課題は、付加価値を高める提案営業を一層推進することであり、その価値ある流通機能の提供により更なる収益の拡大を図ることと認識しています。
ステンレス鋼その他金属加工製品の製造・販売事業につきましては、国内建築分野のステンレス加工品販売事業および中国における造管事業ともに底堅く推移し、売上高は前連結会計年度に比べ増収となりましたが、一方で、営業利益は国内事業における製造原価の上昇に加え、海外事業においても販売費及び一般管理費が増加したことにより、前連結会計年度に比べて減少しました。当事業の課題は中国の造管事業において、顧客のすそ野を広げることでありますが、一方で、需要環境の変化を注視しつつ中国国内の不透明な景気動向にも注意しながら営業活動を進めてまいります。また、国内事業については、競争力を維持・拡大する為、機械設備の更新投資を積極的に実施していく必要があると認識しております。
機械装置の製造・販売及びエンジニアリング事業におきましては、顧客基盤の拡大が課題であり、引き続き積極的な営業活動を実施し、機械商社や機器メーカーとの連携強化を図ることが重要であると認識しております。
当社企業集団といたしましては、企業集団相互の連携を一層強化して、効率的な販売活動に注力するとともに、コーポレート・ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底により、経営の透明性を確保してまいります。
なお、当社企業集団は、今後の経営施策の実行にあたり、営業利益の絶対額及び営業利益率の目標値を設定するとともに、資本効率をはかる尺度としてROEを経営指標として採用し中長期的な目標を定めております。また、キャッシュ・フローの充実にも注力していく所存であります。
(その他の事項)
当社貿易部におきまして、貿易保険の保険金受給に関しまして不正な手続きにより支給申請を行い、過大な保険金を受給していたことが判明いたしました(令和6年4月1日)。
当社は令和元年から令和2年にかけ、韓国企業向けに鋼材輸出取引を実行した際に、株式会社日本貿易保険との間で保険契約を締結いたしました。その後、韓国企業からの支払い遅延が発生したことから、令和3年1月に保険金求償手続きを実施しましたが、事実と異なる不適正な申請書を提出していたことが発覚いたしました。結果として、本来受給すべき保険金に対し16,979千円を不正に受領しておりました。
当社は、4月2日にことの経緯を株式会社日本貿易保険に申し出、保険約款に従い受領した保険金の全額に遅延損害金16,565千円を加え合計186,351千円を4月30日に同社に返還いたしました。本件に関する会計処理は、令和6年3月期におきまして169,786千円を貸倒引当金、16,146千円を営業外費用として計上いたしました。
当社は4月15日に社外取締役を委員長とした社内調査委員会(外部弁護士を含む)を立ち上げ、本件の原因究明と再発防止策の策定を現在行っております。
このような事態が生じたことは誠に遺憾であり、株主の皆様をはじめ、お客様やお取引先関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛けいたしますことを深くお詫び申しあげます。
- 検索
- 業種別業績ランキング