企業TORICO東証グロース:7138】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは「世界を虜にする」をビジョンに掲げ「世界に“楽しみ”を増やす」というミッションを実現するために、「漫画全巻ドットコム」をはじめとするマンガビジネスを展開しております。

 また、上記理念のもと、当社グループの役員及び従業員全員の共通価値観として以下5つを定め日々の活動を行っております。

1.「遊び」にマジメに、2.とにかく速い、3.自分ゴト化する、4.日々挑戦、日々進化、5.隣人を饗す

(2) 経営環境

 当社グループの経営環境の認識は、以下の通りであります。

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きと共に行動制限も段階的に緩和され、旅行及び外食に対する個人消費が緩やかに持ち直す等、社会経済活動の正常化が徐々に進みました。一方で、2022年2月からのロシアのウクライナ侵攻により顕在化した地政学的リスクの長期化や原材料・資源価格の高騰、サプライチェーンの混乱による経済活動への影響、世界的なインフレの加速と米国をはじめとする主要各国での金融引締め、急激なドル高円安による輸入価格の上昇などわが国経済を取り巻く世界情勢は予断を許さず、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。

 当連結会計年度の当社主力のECサービスの属する市場環境としましては、アフターコロナでの行動制限の緩和と共に外出を伴う消費行動が正常化に向かう一方で、相対的に巣ごもり需要が沈静化し、出版流通業界全体において売上高が前年比を下回る状況が年間を通して顕在化しております。公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所が発刊している出版月報2月号及び出版指標2023年春号によると、当第連結会計年度にあたる2022年4月~2023年3月の書籍雑誌推定販売金額は、前年同期比6.4%減となっており、当社が属する紙コミックスの同期間の市場動向も出版流通業界全体の傾向と同様に前年同期比で13.4%減の状況となっております。

 そのような市場環境の中で、当社主力の漫画全巻売りECサービスの需要に関しては、マンガを原作とする作品のアニメ・映画化等のメディア化によるヒットとの連動性が一般書店以上に高いと考えており、その点で当連結会計年度は、特に下半期(2022年10月~2023年3月)において映画「THE FIRST SLAM DUNK」の大ヒットによる原作コミック需要の高まりが発生し、事前の積極的な在庫確保で需要を確実に吸収できた事や、主要都市の映画館との協業により原作漫画を全巻セットで販売するプロモ―ションの実施等により、紙コミック市場が下降トレンドの状況下においても売上の維持拡大に取り組む事ができております。

また当社グループが成長サービスとして位置付けるイベントサービスについては、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の落ち着きと共に行動制限が解除された事で、お客様の来店上の制限がなくなり、海外観光客によるインバウンド需要も徐々に回復する事で、市場環境は回復しております。

そのような環境の中で、当社は、2022年3月に新規オープンした名古屋店舗を含む国内4店舗と、2022年12月に営業開始した台湾店、現在出店準備中のシンガポール店を含む海外2店舗、国内外の自社運営ECサイト及び他社ECモールの活用による出店強化でサービス拡大を積極的に進めております。

(3) 中期経営戦略

 当社グループは、マンガ事業の単一セグメントでありますが、主要サービスごとの中期経営戦略は以下のとおりであります。

(ECサービス)

 当社グループの主力サービスであるECサービスについては、まず近年見られる現象として、マンガ作品のメディア化(TVアニメ、TVドラマ、映画、動画配信サービス、ゲーム、演劇等)が老若男女幅広い層への認知を生み出し、強いブーム性のある新たなコミック需要を喚起するという傾向が続いております。今後もブーム性の強弱はあれど、メディア作品の原作としてのコミックのニーズの高まりは継続していくと思われます。

 また、過去2年程度は新型コロナウイルス感染症対策における、在宅での可処分時間の増加やいわゆる「巣ごもり消費」の特需の強い影響を受けておりましたが、現在の行動制限が緩和された後においても、自宅におけるエンターテイメントの選択肢として、メディア化された原作マンガ作品を楽しむこと、その購入経路として当社サービスへの認知度が維持拡大されてゆく事を想定しております。

 そのような、経営環境を背景に、当社グループは現時点でコミックを全巻セットで販売するサービスにおいては、引き続き優位な販売シェアを獲得できていると想定しており、以下に掲げる強みを武器に、サービス競争力をさらに高めていくことを基本戦略としております。


強み
① ロングテール戦略による差別化

 当社グループは「コミックのまとめ買い」サービス事業者のパイオニアとして、事業開始以来15年にわたりデータを蓄積、更新し続けることで独自のデータベースを構築してまいりました。このデータベースと全巻セットに特化した倉庫運営によって、漫画全巻ドットコム内での2023年3月末時点の購入可能コミック全巻セット数は41,465セットと、競合他社を引き離し優位なポジションを築いていると考えております。

 最新の人気コミックから他社では取り扱いが無いような往年の名作コミックまで幅広い品揃えを持つことによって、今後も「コミックのまとめ買い」という購入方法、ライフスタイルを広げていき、紙コミックの市場規模拡大に貢献し、拡大した市場成長を享受できる立場にあると自負しております。

② 好循環をもたらす販売力と仕入力

 長年にわたる出版社との強いネットワーク、独自データベースと経験値がもたらす低返本率により、出版社は返本リスクの低減、出版取次は返本物流コスト負担の軽減に繋がっています。また、出版取次からの配本数は返本率・販売量が反映されており、当社の安定的な仕入力 は他社がすぐに到達し得ない参入障壁であると自負しております。

 この仕入力に、既存購入会員(495,699名/2023年3月末)のリピート購入、既存データを活かした新規顧客の獲得による販売力が加わることで、「返本することなく大量に販売する」ことが「在庫を切らさない安定的な仕入れ」につながるという好循環を継続的に生み出しています。


③ マンガを軸足としたサービス横断による相乗効果

 当社グループは、紙コミック、電子コミック、マンガ関連イベント運営とフォーマットに囚われない多面的なサービスを提供しているため、様々なマンガファンとのコンタクトポイントを有しております。単一サービスでは成し得ない各サービス間のユーザーの循環によって、ユーザーに対し継続的に価値を提供し、長期的な収益を目指してまいります。


 具体的な戦略、施策としては以下を推進していく予定です。

施策
① 広告宣伝/広報/マーケティング強化によるブランド認知度向上

TV、ラジオ、ネットニュース、ネット広告等メディアでの露出を通じて「漫画全巻ドットコム」の認知度は徐々に広がりつつありますが、「コミックのまとめ買い」の手軽さ、楽しさの認知を一層広げていくことが売上拡大を図るにあたり重要であると認識しております。

② データベース活用による売上拡大・コスト削減

 データベースを最大限活用することによって、サービスの利便性向上、顧客満足度の向上、欠品/過剰在庫の回避、効果的な新規サービスの開発等を実行することが、今後の売上拡大・コスト削減への大きな要素であると考えます。また、更なるデータ活用の精度向上は当社グループの成長余地であると認識しています。

③ 自社物流倉庫機能の強化

 ブーム性のあるコミックから年に数回しか注文のないコミックまで幅広い顧客需要へ対応すべく、随時、倉庫オペレーションの効率化・自動化、必要に応じて増床していくことによって機会損失を最大限回避して参ります。また、欠品の減少、注文から出荷までの時間短縮を更新し続ける組織体制の構築を推進して参ります。

(イベントサービス)

 当社グループが成長サービスとして位置付けるイベントサービスについては、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の落ち着きと共に行動制限が徐々に解除された事で、お客様の来店上の制限がなくなり、併せて海外観光客によるインバウンド需要も徐々に回復する事で、市場環境は回復傾向にあると考えております。また、直近コロナ禍での店舗営業の自粛期間中にEC販売を強化する為に推し進めてきた、イベントサービスの主力商材である関連グッズの自社企画力、製造力の強化が進んでおり、併せてキャラクター関連フィギア等の他社グッズの取り扱い経路も開拓できている事で、店舗・EC何れの販売チャネルでも豊富なグッズ商材を扱える状況になってきております。

 そのような環境の中で、当社イベントサービスの特徴である、アニメ化される人気作品から熱量の高いファンを抱えるニッチ作品までを幅広く企画実施できる事と、自社でのグッズ企画・製造能力を保有している事を強みに、中長期的なイベントサービスの成長性は当社が展開するサービスの中で最もポテンシャルが高いと考えております。当社グループではイベントサービスを戦略的拡大サービスと位置づけ、2026年3月期迄に全体売上の25%を超える規模への拡大を目指しております。

 特に海外市場においては、海外マンガファンのニーズも高く、強く支持されていることから、世界キャラクター物販市場への積極的な拡大に挑戦していく予定です。マンガがアニメ化されネット動画で拡散されることで、マンガ作品の認知度は世界的に高いものの紙コミック、電子コミックは言語の違い、海賊版等の障壁でビジネスを拡大出来ていない一方で、グッズに関してはどの地域であっても手軽に購入出来る非言語商材であるため世界的なニーズが存在していると考えます。


 また、当社は、現在2022年3月に新規オープンした名古屋店舗を含む国内4店舗と、2022年12月に営業開始した台湾店、現在出店準備中のシンガポール店を含む海外2店舗、国内外の自社運営ECサイト及び他社ECモールの活用による越境ECサイトの出店強化を推し進めておりますが、今後も、進出国に適した取扱い商品、販売形態を模索しながら、積極的且つボーダレスな拡大戦略を進めていく計画です。


(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な成長と企業価値の拡大を図るために、事業規模の拡大を重視しており「売上高」を重要な指標と考えております。

 また、当社は、紙コミックのECサービスを主としており、売上総利益率はある程度、固定化されているものの、倉庫物流業務の効率化などの企業努力と、各種マーケティング施策等で、顧客にどれだけ付加価値のある楽しみを提供できたかを測る指標として「売上高経常利益率」を重要な指標としております。売上高経常利益率は、営業活動が効率的に行われたかどうかを見るために有効な指標であることが当該指標を重視している理由であり、業界構造の観点から書店平均的数値は1%以下と推測されるなかで、当社では常に業界平均を上回る利益率の水準を実現する事を中期計画における経営目標の目安としております。

また当社の取締役会等でサービスの月次推移を報告するにあたっては、販売者数や月間アクティブユーザー数、コンバージョンレート、顧客単価等をKPIとして使用しており、2024年3月期利益計画における各KPIは、販売者数(約47.2万人)や月間アクティブユーザー数(約254万MAU)、コンバージョンレート(約1.55%)、顧客単価(約9,500円)を計画に達成に必要な目安と定めその推移を確認しております。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、これまで培ってきたビジネス基盤をさらに強化することで成長の持続を図ると共に、新規マンガビジネスの領域への積極的な取り組みを行うことで、高い成長率を維持することが重要と認識しております。また、コーポレート・ガバナンスの充実も重要な課題と認識しております。

① サービスのブランド価値向上

 当社のコミック全巻セットECサービスは、国内の紙のコミック書籍市場全体が近年減少し続けるトレンドの中で、大きな成長を継続しており、且つ「コミックのまとめ買い」サービス需要においては、当社は同様のサービスを専業的に供給する事業者として、2023年3月期においては、年間サービス売上高約44億円規模まで拡大しております。当社はこのような販売実績のアドバンテージをさらに強化すべく「漫画全巻ドットコム」をはじめとする各サービスのブランド価値向上に努めて参ります。

② 海外事業展開の推進

 当社は、日本国内で展開するマンガビジネスの需要が、世界のマンガファンにも同様に大きな潜在需要があることを、これまで国内に訪れた外国人顧客の消費行動や、海外からのアクセスで利用されたサービス実績から認識しています。当社独自のビジネスノウハウを活かして国内からの発信のみならず、海外拠点を通じたEC、イベントビジネスを積極的に進めることで収益機会の拡大を図っていく方針であります。まずは文化的に親和性の高いアジアを足掛かりとして、将来的には全世界への事業拡大を目指して参ります。

③ システム技術及び物流機能の強化

 当社は、多くのサービスをインターネット上で提供しており、サービス提供にあたりシステム稼働の安定性を確保することが重要な課題と認識しております。そのため、各サービスへのアクセス増大時の負荷分散や顧客満足度の向上に向けた機能開発、設備投資等の継続的な実施を行って参ります。また、商品取扱量の増加に合わせた物流倉庫機能の強化が重要であり、安定性・安全性の向上に取り組んで参ります。

④ 優秀な人材の確保及び内部統制、コンプライアンス体制の強化

 当社は、今後更なる事業拡大を推進するにあたり、従業員のモチベーションを高める人事施策や労働環境の構築に努めながら、当社のミッションやバリューに共感し、今後の事業展開に賛同し、積極的に活躍できる優秀な人材の採用に取り組んで参ります。また、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化を図って参ります。

⑤ M&Aの活用

 新規事業及び周辺事業の拡大の為には、M&Aも有効な手段であると考えております。M&Aを行うにあたっては、投資対効果はもちろん、対象企業の将来性や当社ビジネスとのシナジーの有無を十分に検討した上で、積極的に取り組んで参ります。

⑥ 持続可能な社会への取り組み

当社は、今後の企業活動が長期的な視点で社会に与える影響を考慮し、経済価値のみならず持続的に社会価値を創出する企業を目指し経営を進めていくことが必要だと考えております。特に全ての従業員に対して年齢、性別、国籍に関わらない公平な賃金の支払いに努めるとともに、ジェンダー・ペイ・ギャップの解消を目指していく事や、各自の能力を十分に発揮できる成長機会の提供と入社時の雇用形態に捉われない公平な評価を目指していく事を重視しております。

⑦ 流動性の確保及び企業価値の拡大
当社株式の流通株式数は投資家による売買を通じて変動することとなりますが、今後においても取引所が定める株式要件を充足し続けるために、流動性確保に努める方針です。また、当社の経営方針・経営戦略に沿い、事業規模・売上高ならびに利益額・利益の成長を通じて企業価値を継続的に向上させることで流通株式時価総額の拡大に努める方針です。
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