THK
【東証プライム:6481】「機械」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
THKグループは、機械の直線運動部分を“軽く”“正確に”動かすため、“すべり”を“ころがり”化する重要な機械要素部品を世界へ供給しています。「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」という経営理念のもと、1971年の創業以来、創造開発型企業として「LMガイド(Linear Motion Guide:直線運動案内)」をはじめとする機械要素部品を供給し、工作機械、半導体製造装置など様々な機械装置の高精度化、高剛性化、高速化、省エネルギー化を実現し、必要不可欠な部品として産業の発展に貢献してまいりました。
当社グループは、LMガイドを開発して以降、世界のトップメーカーとして、お客様の多様なニーズにお応えする中で蓄積してきたノウハウによる高品質な製品や幅広い提案力により、お客様から高い信頼を獲得しています。近年では産業分野のみならず、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように、世界中で多くのお客様より供給が求められる中、エッセンシャルビジネスとして本業を通じた社会貢献を実現しながらも、気候変動など地球環境が変化する中で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進め、企業価値の向上を図ってまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、地理的な領域拡大を目指した「グローバル展開」、用途的な領域拡大を目指した「新規分野への展開」、AI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底活用する「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げ、事業領域の拡大を図っております。
グローバル展開では、日本・米州・欧州・アジアの4極において、現地で生産して販売するという「需要地における販製一体体制」を構築しています。近年は、とりわけ中長期的に需要の拡大が見込まれる中国やその他の新興国において、販売網の拡充ならびに生産体制の強化を図っています。加えて、先進国においてもユーザーの裾野が広がる中で着実に需要を取り込むべく販売網を拡充し、さらなる成長へと繋げています。
新規分野への展開では、LMガイドを中心とする製品群の現在の主な顧客は資本財メーカーですが、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用を図っています。
ビジネススタイルの変革では、デジタルテクノロジーが急速な進展を見せる中、AI、IoT、ロボットをはじめとする新たなテクノロジーを販売、生産、開発などのあらゆる面で徹底的に活用することにより、ビジネスの進め方や仕組みの変革を図っております。
そして、これらの取り組みを推し進める中、単にものづくりだけではなく、ビフォーサービスからアフターサービスまでの一連の工程をビジネスとし、お客様との接点を広げ、真にお客様に貢献していく「ものづくりサービス業」をビジョンにかかげ、その姿を鮮明にしていきます。
そのような中、これまでは、機械を作るマシンビルダーの課題解決を中心に「機械要素部品ビジネス」を展開してきましたが、今後は、マシンビルダーの先にいる機械を実際に使うマシンユーザーの課題解決にも展開し、「FAソリューションビジネス」としてより一層強化します。特に機械要素部品の進化という観点からすると、マシンユーザーとの接点を増やすことによりマシンビルダー、マシンユーザー双方にとっての課題解決にもつながる良い製品を開発していきます。さらに、このようにして複層化された顧客から集めた、様々な情報を開発・生産などあらゆる面へと還元し、成長分野への開発強化や事業基盤の強化へと繋げてまいります。そして、これらの取り組みを加速させるため、「機械要素部品ビジネス」と「FAソリューションビジネス」それぞれに対応した営業部隊を大きく二つに編成し、役割を明確にしました。
今後もこれらの取り組みを加速させるとともに、その前提となる、サステナビリティ、ESGの取り組みを強化し、企業価値の向上を図ってまいります。
(3) 経営環境
当社グループを取り巻く環境は地政学リスクの高まり、インフレの進行、中国経済の低迷などにより先行きの不透明感がさらに増しています。さらに、デジタルテクノロジーの進展、地球環境保護機運の高まり、そして先進国の生産年齢人口減少等の様々な課題に直面しています。しかしながら、「5G」「AI・IoT」「CASE」「インダストリー4.0」「自動化・省人化・省エネ化」といった変化のキーワードが表れています。そして、これらのキーワードから、半導体製造装置・FA関連向け製品、サービスロボット関連製品、医療機器向け製品、電動アクチュエータ、Omni THK、OMNIedgeなどの当社グループが提供する製品やサービスが求められており、その成長ポテンシャルは中長期かつ飛躍的なものになると考えられます。したがって、これらの需要を顕在化させるとともに着実に取り込むべく、成長戦略を推し進めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は2022年2月に、「2026年度経営目標」を掲げましたが、ビジネスチャンスが拡大する一方、事業環境が当時と様変わりする中で、これらの変化に対して当社自身が適時適切な対応を取れずその達成が困難になるとともに、当社の自己資本利益率(ROE)が低迷するなど株主の皆様のご期待に応えられていない状況が続いていました。そのような中、2024年1月に寺町崇史が代表取締役社長に就任し「強くすべきところは徹底的に強くし、変えるべきところは勇気をもって変えていく」との所信表明を行い、同年11月には従来の経営目標を全面的に見直し、新たな経営方針として「ROE 10%超の早期実現」を発表しました。
その実現のための施策として、収益性、資本政策、及びコーポレートガバナンスと全方位的にこれまでの当社の課題と向き合う中で、まずは資本政策を見直しました。収益性については「事業の選択と集中」を掲げ、投下資本利益率(ROIC)と資本コストを厳しく比較・精査の上、聖域なく事業の選択と集中を進め、当社製品の需要増加に伴う売上収益に頼るのみではなく、筋肉質になりながら中長期的にリターンを高める体制を構築してまいります。構造改革によって創出した利益は株主の皆様に還元するだけでなく、高い規律性をもって成長投資も実行していきます。
さらに目標達成の実効性を高めるべく取締役会の構成の見直しや第三者機関による実効性評価などコーポレートガバナンス強化も進めています。PDCAを回すためのモニタリング体制の強化、役員報酬制度の強化、さらなる取締役会構成の見直し、そして、環境をはじめとするサステナビリティ関連の施策の強化など、様々な取り組みを強力に推し進めていきます。
これらによってROE 10%超を早期に実現し、その達成後も安定的な株主還元を継続できるよう、株主資本コストを上回るROEは勿論のこと、その水準をさらに高めていくことにより、企業価値向上を図っていきます。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
新たな経営方針「ROE 10%超の早期実現」における経営指標としては、ROEの分母である自己資本の当面の必要水準を3,000億円程度とし、分子としては当期利益300億円に必要な営業利益として400億円を設定しました。基本的にはマーケット成長に伴う売上収益の増加には頼らずに、自助努力で目標を達成してまいります。すなわち、産業機器事業、輸送機器事業において聖域なく改革を推し進めていきます。そのために2026年度までの2年間を構造改革期間とし、各種改革を推し進め、筋肉質な高収益構造へと変革し2027年度~29年度の間の早期にROE 10%超を実現します。
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