Shinwa Wise Holdings 【東証スタンダード:2437】「サービス業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「公明正大且つ信用あるオークション市場の創造と拡大」、「常に信用を重んじる中での慎重かつ大胆な挑戦」、「豊かで美しく潤いある生活文化の追求」の実現を目指して事業を進めております。
(2)目標とする経営指標
当社グループの効率的な経営の実現を目標として、ROE(自己資本当期純利益率)15%以上を連結での中長期的な指標として掲げております。
(3)経営戦略等
当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対応することが経営戦略上重要であると考えており、オークションにおける高額品の取扱い比率を高め、そして資産防衛ダイヤモンドやアートのプライベートセールの拡大により、増収増益を目指します。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
アート関連事業においては、近代美術オークションをはじめとする各オークションでの高額作品の取り扱いの増加から、市況は徐々に好転する方向にあります。
当社グループは、「日本近代美術再生プロジェクト」と題した、日本の20世紀の近代美術の再評価と価値付けに取り組んでまいりましたが、日本のインフレ環境下において、ようやく日本の近代美術が見直される環境が醸成されてまいりました。同時に、近代美術だけでなく、新たな柱となり得るコンテンポラリーアートの拡大を推進してまいります。また、「資産形成アート投資サロン」を通じて、アートコレクターを呼び込み、オークションに新たな富裕層の誘引を図り、高額品の取り扱いを増加させると同時に、外的要因に影響されにくい新たな事業の開発にも積極的に取り組んでまいります。
これまで、当社では、アートを中心に、宝飾品、時計、バッグ、ワイン・リカー等の様々な高額品アイテムのオークションを開催してまいりましたが、今後、特に宝飾品・時計部門を一つの大きな柱となる部門に育成する方針です。
また、オークション事業から派生した資産防衛ダイヤモンド事業は、各国の金融緩和政策から生じるインフレ懸念から、資産防衛としてのダイヤモンドへの需要が高まっており、引き続き売上の増大を目指します。
2022年3月設立したEdoverse株式会社が推進する仮想空間GameFiの構築を目指す「Edoverse(江戸バース)」のコンサルタントとしてクライアントに対するエドバース空間構築等のコンサルテーションを行ってきましたが、クライアントが新たな方針に基づく空間構築等を進めることになったことを受け、また、Shinwa Digital Arts株式会社はクライアントが進める新たな展開への移行を支援する役割に注力することとなりました。今後は、デジタルアート、NFTアートのマネジメントを行うことといたします。
その他事業のエネルギー関連については、アート関連事業に経営のリソースを集中させていくため、太陽光発電施設事業を縮小しておりますが、SDGsの観点から、持続可能な再生エネルギーとして自社保有の太陽光発電施設は保持しております。一方、マレーシアから日本へのPKS(ヤシ殼)輸出事業については、2024年9月3日開催の取締役会にて連結子会社である SHINWA APEC MALAYSIA SDN.BHD.の全株式を譲渡することを決議し、事業より撤退しました。
(5)第三者委員会による調査結果を踏まえた当社の課題
当社の連結子会社であるShinwa Prive株式会社等において、2019年5月期から2024年5月期までのプライベートセールに関する不適切な会計処理により、実態と相違がある売上計上が行われている疑いがあることが判明いたしました。これを受け、当社は、2024年7月4日開催の取締役会において、プライベートセールに関する会計処理において疑義が発生したため、専門的かつ客観的な調査が必要であるとの判断に至り、業績への影響の有無、社内体制の不備の有無や原因の究明および再発防止策の策定等を目的として、外部専門家で構成される第三者委員会の設置を決議いたしました。
その後、当社は、2024年9月6日、第三者委員会から調査報告書を受領し、子会社であるShinwa Prive 株式会社等が行った絵画等のアート作品のプライベートセールの中に、実質的には金融取引等と処理すべきもの及び売買契約締結時に売上計上されていたが引渡時に売上計上されるべきであったものが含まれていたとの評価を受けております。
当社は、第三者委員会より受領した調査報告書における報告内容の検討、及びこれを受けた自主調査の結果、売買取引と金融取引の分類及び売上計上時期に関し、必ずしも適切とはいえない会計処理が行われていたことを確認しました。このため、当社は影響のある過年度の決算を訂正することが適切であると判断し、2019 年5月期から 2023 年5月期の各有価証券報告書、2020 年5月期第1四半期から2024 年5月期第3四半期までの各四半期報告書について、訂正報告書を提出することといたしました。
また、第三者委員会からは、上記の発生原因として、上場企業の会計処理及び内部統制に詳しい公認会計士等が役員にいないことを含むアート作品のプライベートセールの業務執行(契約書締結フロー等を含む)に対する監視・監督の不備等のガバナンス上の問題、管理担当者と執行担当者の兼務、内部監査室のリソース不足等、上記の会計処理を止めることのできなかった組織上・内部統制上の問題の指摘を受けております。
これらの事実は、当社グループのアート作品のプライベートセールに関する事業活動におけるルールの遵守、内部統制評価計画策定、業務プロセスに対する評価手続等の点で、当社の業務プロセスに係る内部統制に不備があり、また、内部統制評価の計画及び評価結果の取締役会等への報告等の点で、当社の決算・財務報告に係るプロセスに不備があり、その結果、アート作品のプライベートセールに関して内部統制が機能しなかったことによるものと認識しております。
当社は、これらの不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制及び全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセス並びに業務プロセスに関する内部統制について開示すべき重要な不備 に該当すると判断いたしました。また、上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が、当事業年度の末日までに是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が事業年度の末日以後になったためです。
なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表及び連結財務諸表において適切に反映しております。
(6)上記課題に対する当社の対応状況
当社グループは、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、第三者委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて、適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
・グループ全体におけるコンプライアンス意識の抜本的改革
・内部監査部門の組織体制の再整備
・公益通報関連者規程の改定及び周知徹底
・内部統制を実効あらしめるための業務フローの改善及び職務権限関連規程の改定
・適切な経理処理を遂行するためのグループ経理関連規程の改定
・グループ会社を含む役職員への実効性のある研修・教育の実施
次に、当社グループは、上記⑸の課題および重要な不備を是正するために、以下の措置を実施することと致しました。今後も、再発防止策の実行を推進してまいります。
ア コンブライアンス及びリスク管理体制の再構築
①当社の内部統制及びガバナンス体制に対する当社のステークホルダーからの信頼を回復することを目的として、2024 年9月18日付でガバナンス委員会を設置いたしました。
ガバナンス委員会設置の目的として、⑴内部統制システムの整備、⑵会計の知識の強化、⑶リスクコンプライアンス委員会が担当する事項に対する助言・勧告、⑷上記目的のために必要なグループ再編の検討、⑸取締役会の運営に関する整備、⑹取締役及び監査役に対する評価及び取締役・監査役候補者の指名、⑺その他上記目的のために必要と認める事項を掲げており、同委員会で検討作業を進めております。
同委員会の答申が出ましたら、当社は、ガバナンス体制強化のため、同委員会の提案を踏まえた各種施策を講じて参ります。
②第三者委員会からの調査結果および再発防止のための提言を踏まえて、再発防止に向けた具体策の立案に加え、コンプライアンス体制の強化に関する各種施策について速やかに検討を行う目的として、2024年9月18日付でリスクコンプライアンス委員会を設置いたしました。
リスクコンプライアンス委員会設置の目的として、(1)グループ全体に関わるリスクコンプライアンス体制の基本方針ならびに推進体制(組織・体制・人事)に関する事項、(2)グループ全体に関わるリスクコンプライアンス体制に関する規程・規則、マニュアル等に関する事項(各規程・規則、マニュアル等の相互の整合性の検討・整理を含む)、(3)グループ全体のコンプライアンス推進およびリスク管理推進に関する教育・啓蒙計画に関する事項、(4)グループ各社のコンプライアンス遵守状況およびリスク管理状況の確認・判定、指導・支援策に関する事項、(5)法令・リスク管理規程違反あるいは会社に対する不正行為等に関わる問題の確認・調査、改善・予防策に関する事項、(6)報告・相談、内部通報制度の整備策に関する事項、(7)重大な法令・リスク管理違反、危機発生時(不祥事を含む)の対応策・再発防止策に関する事項を掲げており、同委員会では現在、内部監査部門の充実、内部通報制度の整備、規程類の整備、グループ全体における研修等に向けた検討作業を進めております。
当社は、同委員会における議論の内容を踏まえて、コンプライアンス体制の強化およびリスク管理にかかる各種施策を講じて参ります。
③上場企業の会計処理及び内部統制に詳しい公認会計士を役員に選任することの検討を進めております。
④コンプライアンスに対する意識を高く保つために、役員及び従業員向けに専門家によるコンプライアンス研修を実施することを予定しています。
イ 公益通報者規程の改定
①外部通報窓口を新たに追加し、通報窓口を、総務人事部と常勤監査役に加え、外部弁護士の3つとします。
②各子会社担当者に事前に相談・通報することについても許容する旨、規程に盛り込みます。
ウ 業務フローの改善及び規程の改定
①職務権限関連規程、内部通報関連規程、内部監査関連規程、文書管理関連規程、取締役会関連規程、監査役会関連規程お一部改定し、社内ヘ周知します。
②上記の前提となる業務フローの改善等の見直しを進めています。また、適宜、社内規程類の定期的な見直しを実施し、規程・マニュアルの記載内容と業務実態との間で齟齬がないか定期的に確認し、齟齬があれば規程又は運用の見直しを行います。
エ 内部監査体制の再構築
内部監査部門を強化すべく、専任の内部監査室長および内部監査部員を選任致します 。
今回、投資家の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。当社は 適正な内部統制の整備及び運用のさらなる強化に取り組み、内部管理体制の強化およびコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ることが重要であると考え、着実に施策を講じてまいります。
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