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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 当社グループは「今の先鋭が10年後の当たり前を造る A DECADE AHEAD」をミッションに掲げ、我が国が直面する少子高齢化という社会課題への対応を大きな事業機会と捉えた「ライフテックカンパニー」として、AIクラウド&コンサルティングセグメントにおいて不動産/金融/IT/ヘルスケアを主な対象領域に、実務有用性の高いAI/ITソリューションを創出・提供しております。具体的には、労働人口減少に伴う働き手不足に対して業務効率化クラウドサービスや省人化ソリューションを展開するとともに、高齢者人口の増加に対して医療機関の経営/業務支援クラウドサービスや遠隔医療/予防医療ソリューションの創出に取り組んでおります。

 業務効率化クラウドサービスやソリューションを提供するうえで、実業(リアルビジネス)である不動産/金融/IT/ヘルスケア事業を手掛けることでお客様・業界のニーズや改善余地を自ら把握し、実務有用性の高いプロダクトづくりに取り組んでおり、「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」という独自の顧客価値の追求を経営の基本方針としております。

(2)経営環境・経営戦略

<AIクラウド&コンサルティングセグメント>

 AIクラウド&コンサルティングセグメントにおいてアプローチしうるマーケットとして、2025年度の金融DX市場3兆9,131億円(株式会社矢野経済研究所2022年7月29日発表『2022 金融機関DX向けソリューション市場の徹底研究』)、同年度のIT/ヘルスケアDX市場約3兆円(デスクトップリサーチを基に当社試算)、同年度の不動産DX市場1兆2,461億円(株式会社矢野経済研究所2021年7月28日発表『2021年版 不動産テック市場の実態と展望』)、合計約8兆円の大きな市場をビジネスポテンシャルと捉えております。

 業務効率化クラウドサービスやソリューションを提供するうえで、当社グループ自身が実業(リアルビジネス)を内包することで実務有用性の磨き込みを行うとともに、クラウドサービスの提供を通じて顧客から獲得することのできる良質なビッグデータを活用し、事業の強みと堅牢性を高めております。具体的には、オープン化されていない各種データを当社固有の学習データとして活用し、不動産価格推定をはじめとする予測/推定AIの精度を高めることで、他社が模倣困難な顧客価値を持続的に向上させています。この強みに支えられ当社サービスの解約率は低水準に抑えられており、LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を図っております。また、投資対効果を意識したセールス・マーケティング施策展開による低水準のCAC(カスタマーアクイジションコスト)を両立させることで、同事業の高い収益性を実現しております。

 翌連結会計年度のAIクラウド&コンサルティングセグメントを取り巻く市場環境については、業界横断でAI/ITを活用したビジネスモデルの革新が求められる中、当社事業にとって良好な状況が続くと想定しております。その中で当社グループは、顧客単価および収益性の高いヘルスケア/IT領域へのリソース優先投下により、AIクラウド&コンサルティングセグメント収益における同領域の構成比を高めることで収益ミックスを改善し、増益を伴った高成長SaaSプレイヤーとして前年度比54%増の高いトップライン成長及び41%増の営業利益成長の両立を目指してまいります。加えて、高収益の同セグメントの飛躍的成長により、全体収益のモデルミックスも良化させ、全社の収益性向上を進めてまいります。

 また、リアルビジネスを内包することで実務有用性の高いDXソリューションを創出・提供するユニークなビジネスモデルが優秀な人材を惹きつけ、ケイパビリティが増強されることで事業の成長・拡大が加速するエコシステムを実現しており、このエコシステムを横展開することで隣接領域においても優秀な人材を確保し、中長期的なサステナブルグロースを目指してまいります。

<ライフ&プロパティソリューションセグメント>

 ライフ&プロパティソリューションセグメントにおいては、アセットマネジメント事業を通じた当社グループからオフバランスされた不動産私募ファンドの預かり資産早期拡大に注力し、財務リスクを抑えながら安定収益の拡大を進めております。また、マンション/オフィス/ショッピングセンター/ホテル/シニア関連施設等、アセット種別の多様化や、暮らしを豊かにするライフスペースの価値創出に取り組んでおります。同セグメントに係るマーケットとして、不動産私募ファンド市場は、2023年12月末時点で35.0兆円と2022年12月末時点から5.3兆円増加(18%増)となりました(株式会社三井住友トラスト基礎研究所「不動産私募ファンドに関する実態調査 2024年1月 ~調査結果~」)。一方で、不動産仲介事業において取扱い件数の多い首都圏の中古マンション市場は、2023年4月~2024年3月における成約件数は36,595件であり、中古物件取引価格の上昇を伴いながら前年度比3.4%増となりました(公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年度)」)。スマートプロパティ事業においては、レジデンスのみならずオフィスビルや商業施設、介護施設といった多種多様なアセットに対する投資ニーズの高まりが引き続きみられます。

 翌連結会計年度のライフ&プロパティソリューションセグメントを取り巻く市場環境については、国内外の金利動向や不動産市場の先行きに不透明感はあるものの、AIクラウド&コンサルティングセグメントと共同での新規モジュール創出及び積極的な試験導入によりアセットのバリューアップや生産性の持続的向上に取り組むことで、売上水準維持および10%増の営業利益成長を予想しております。また、アセットマネジメント事業におけるAUM70%増を通じてストック収益の拡大を加速させるとともに、多種多様な運用アセットに対するDX化/ESG対応を進めることで、人々の暮らしを豊かにする新しい「ライフ×テクノロジー」の在り方実現を目指してまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」であるユニークなライフテックカンパニーとして持続的成長を目指しており、その中でもAIクラウド&コンサルティングセグメントにおけるストック収入の成長性及び継続安定性を重視しております。そのため、当社グループは、連結の売上高及び営業利益に加えて、ARRを重要な経営指標としてモニタリングしております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 上記(2)の経営戦略等を実行するために、以下のような課題に対処してまいります。

①「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」の付加価値向上と対象領域拡大

 当社グループがより多くの顧客企業やパートナー企業から提供価値を認められ、持続的に成長していくためには、実業(リアルビジネス)である不動産/金融/IT/ヘルスケア事業とテクノロジーを提供するAIクラウド&コンサルティング事業のシナジー追求による継続的な顧客提供価値の向上及びその領域の拡大が重要であると認識しております。当社グループは、現場からマネジメントレベルまでアウトプット志向のコラボレーションを推進する仕組みを構築し、経営トップ自らがメッセージ発信等の啓蒙を行い、シナジー追求を徹底するとともに、新規事業企画をハンズオンでリードしてまいります。

②優秀な人材の確保及び組織体制の強化

 当社グループは、持続的成長の実現に向けて、当社グループのミッションに共感し、高い専門性や技術力を有する優秀な人材の確保及び育成が重要であると認識しております。こうした優秀な人材の確保に経営トップ自らがコミットし積極的な採用活動を継続していくとともに、執務環境の整備やモチベーションを向上させる人事諸制度の導入を行うことで、組織体制を強化してまいります。

③情報管理体制の強化

 当社グループは、提供するサービスに関連して多くの顧客企業の機密情報や個人情報等を保有しており、その重要性について十分に認識しております。これらの情報資産を保護するため、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育・監査の実施のほか、情報セキュリティシステムの強化・整備に努めることで、引き続き情報管理体制の強化を図ってまいります。

④生成AI等、先進的技術の探索と事業活用

 当社グループは、「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」として顧客提供価値を維持/向上し続け、以て持続的成長を実現するためには、先進的なテクノロジーの動向を常に把握し、適切に事業活用することが重要であると認識しております。足許で台頭する生成AI等の先進的な技術及びそれらを取り巻く国際的な制度/方針について、経営トップはじめ経営陣が自ら様々な経路を用いて情報収集するとともに、先進的技術の事業活用におけるオポチュニティとリスクを定型/不定型の経営議論の中で機動的に検討することで、時機を捉えた適切な事業活用を図ってまいります。とくに、クラウドサービスの提供及びリアルビジネスを通じて収集/蓄積できる当社グループ固有のビッグデータを生成AIと組み合わせることで、専門的な知識を有し、かつ他社が模倣困難なAIをこれまで以上に短期間で開発可能になるため、当社グループにとって大きなビジネス機会になるという認識で、具体的なサービスの検討を行ってまいります。

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