SANKO MARKETING FOODS 【東証スタンダード:2762】「小売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「価値ある食文化の提案」を企業理念とし、ともに働く仲間の幸福を最大限に追求し、当社で働く一人ひとりの経済的利益と精神的成長を達成することで、お客様へ最大の満足を提供し、地域社会へ貢献してまいります。社会に必要とされる「食ブランド」を創造するために、社会の変化の中で新たに生まれたニーズに合った新業態開発、既存業態のブラッシュアップを行い、お客様に喜びと驚きを提供することを目指して事業を行っております。当社グループは常にお客様起点で、価値ある食文化を提案し続けることで、持続的な成長を図り、企業価値の拡大に取り組んでまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と安定的な収益性を重視する観点から、水産6次産業化モデルの構築と店舗事業における収益基盤の再構築により、中期的に売上高営業利益率5%以上を目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
経済活動・消費活動の回復から外食並びに水産ともに両市場は回復基調にあるなか、当社グループでは水産事業のサプライチェーン構築が順調に進み、漁船から豊洲市場、そして飲食店舗までの水産6次化プラットフォームが完成いたしました。当社グループは、新たに「とる うる つくる 全部、SANKO」をスローガンとし、自らが漁船を持つ漁業者として魚を獲り(とる)、低利用魚や未利用魚、廃棄部位等を活用した独自の商品開発を推進することで魚の価値を最大化し(加工=つくる)、飲食・小売事業者として魚を販売する(うる)ことで、「産地活性化プラットフォーマー」として、オンリーワンのビジネスモデルを展開し、新たな市場を開拓(市場の創造=つくる)してまいります。当社グループは、こうした取り組みが、お客様の魚食離れの歯止めになるきっかけになるだけでなく、衰退する我が国の漁業を再興させるものになると考えております。
今後は、水産事業と飲食事業が一体となってグループシナジーを創出するため、漁業への取り組み、水産資源の最大化を図る商品開発、及びグループ全体の安定収益基盤となる「アカマル屋鮮魚店」や「サカナタベタイ」の出店等を推し進め、着実な事業の成長に取り組んでまいります。
(4) 経営環境
当社グループが属する外食産業を取り巻く環境は、お客様の価値観や行動様式、ニーズの変化、中食市場の成長に加え、新型コロナウイルス感染症に対する各種政策やワクチンの普及等により、行動制限が緩和され消費活動が活発となり回復傾向ではありますが、原材料価格や人件費及び光熱費等の高騰の影響もあり、予断を許さない経営環境が続いております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 収益改善施策の実施
現在、当社グループは短・中期的な事業構造改革を推し進めており、収益の改善を目指し次の施策に取り組んでおります。
イ.水産事業の6次産業化モデルの構築
当社グループは、「とる うる つくる 全部、SANKO」をスローガンに、当社グループ独自の事業ポートフォリオの構築を目的として、既存事業とのシナジーを追求した水産事業の6次産業化モデルを構築いたします。
2020年に静岡県沼津市を起点にスタートした水産プロジェクトは、沼津・下田で水揚げされた近海物の鮮魚や加工品等を当社飲食直営店舗で提供するだけでなく、法人営業による販路開拓を行うことによって、事業成長の推進力となりました。また、2023年には提携する漁業者からの鮮魚を漁獲、魚種、相場に関わらず一定の価額で全量買取りする取り組みを開始いたしました。
当社グループは、水産サプライチェーンを構築することを目的として、2021年11月に水産仲卸の株式会社SANKO海商(静岡県浜松市)、2022年7月に豊洲市場で7社しかない水産物卸売会社(大卸)である綜合食品株式会社(東京都江東区)を子会社化いたしました。また、2023年4月に水産物の小売店(鮮魚店)「漁港産直 積極魚食 『サカナタベタイ』」(千葉県市川市 MEGAドン・キホーテ本八幡店内)を新規出店、2023年10月にエンターテイメント型マグロ解体ショーのパイオニアである一般社団法人全国鮪解体師協会と業務提携、2024年2月に「炙り屋 せん」(東京都江東区、豊洲市場隣接の「豊洲千客万来」内)、及び「船上すし みこう」(東京都新宿区)を新規出店いたしました。両店舗は、SANKO船団が漁獲する朝獲れ鮮魚(船直便)や豊洲大卸の綜合食品及び浜松仲卸のSANKO海商といったグループ会社の仕入力を最大限に活かした新業態の店舗であります。
当社グループは、これからも全国の産地に入り込み、地域の皆様(地元漁師や漁協その他水産事業者、地方自治体等)と共に地域ビジネスの創出に取り組み、これまで飲食事業で蓄積した3次産業のノウハウを活かした「売れるものを創る」ことで、水産事業の6次産業化モデルの構築を引き続き進めてまいります。
当社は、当社グループのサステナビリティ基本方針に沿った持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上を果たすべく、「生産者とともに歩む『産地活性化プラットフォーマー』」を目指してまいります。
ロ.店舗事業における収益基盤の再構築(水産シナジー、高効率、ライセンス等)
テレワークの定着や外出自粛等の影響から、お客様の消費行動の中心は都市部から郊外に分散されつつあり、この傾向は今後も続くものと想定されます。これまでの串焼きやおでん、煮込み料理を中心とした大衆酒場「アカマル屋」のほか、当社グループシナジーを最大化し、かつ、お客様に還元するための新業態として、「アカマル屋鮮魚店」を開発いたしました。「アカマル屋鮮魚店」は鮮魚店併設型の大衆酒場であり、下田・沼津からの朝獲れ鮮魚や浜松のSANKO海商、豊洲の綜合食品と連携したまぐろの解体ショーの実施など連日お客様で賑わう新しいコンセプトの大衆酒場であります。これら「アカマル屋」のビジネスモデルは、高効率かつ高収益モデルのブランドであり、今後、商圏及び立地条件を見極めたうえで積極的に出店してまいります。なお、東海エリアの大型商業施設内フードコート等で飲食店9店舗を継承した店舗のうち1店舗を、2024年4月に「まぐろの海商」(海鮮どんぶり)として、イオンモール浜松市野フードコート内にリニューアルオープンいたしました。「まぐろの海商」は、マグロ一筋40年のSANKO海商(静岡県浜松市)の目利きが仕入れ、職人が加工するマグロや鮮魚をメインにした丼や、自社船を含むSANKO船団が漁獲する魚と豊洲の大卸・綜合食品の仕入力を最大活用した海鮮をふんだんに活用したメニューを提供しております。
また、大きな固定投資を伴わない受託事業では、今後もこれらの事業について慎重な出店判断を行ってまいります。「東京チカラめし」につきましては、今後もアジア地域でのライセンス契約獲得に取り組んでまいります。
ハ.コストの削減
当社グループの取り組みとして、引き続きコストの見直し及び削減をより強力に進めてまいります。具体的な取り組みとして、業務プロセス及びITシステムの見直しによって業務の省力化を実現することで、人件費等をより一層極小化いたします。さらに本社費用等、様々な施策によりコストを削減いたします。
② 財務基盤の強化
イ.資本注入
2023年1月に発行した第5回新株予約権の行使により5億63百万円を調達いたしました。調達した資金は、運転資金、新規出店資金及び新規事業資金等に充当してまいります。また、2024年4月に発行した第2回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第6回新株予約権の行使により2億2百万円を調達いたしました。調達した資金は、運転資金、新規出店資金及び新規事業資金等に充当してまいります。
ロ.金融機関との関係強化
前述した収益改善施策の実施による営業収支の改善効果が表れるには一定の時間を要することから、今後も安定した資金繰り管理を目的として金融機関との関係強化と調達交渉に努めてまいります。
ハ.運転資金の十分な確保
事業の利益管理をより一層強化し、また、経営環境の変化を慎重に見極めながら投資を実行し、確実な回収を実現することで、運転資金の十分な確保に努めてまいります。
以上のように、当連結会計年度において進める構造改革の効果が経常的に見込まれることから、収益改善及び財務基盤の強化が図られ、これによって安定的に営業収支が改善する見込みであります。
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