S&J 【東証グロース:5599】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、ミッションとして「私たちは、最適なセキュリティサービスをより多くのお客様へ提供し、事業の成長を支える環境づくりに貢献いたします。」を掲げ、具体的な行動は次のとおりとして事業を推進しております。
a.最適なセキュリティサービス
当社は、その時々の脅威トレンドを反映し、日本のお客様のニーズに応える“最適なセキュリティサービス”を提供し続けることで、事業を拡大し続けていきます。
b.より多くのお客様へ提供
昨今のセキュリティ被害の状況を鑑みると、セキュリティ課題は大手企業だけではなく、多くの企業・団体が共通してもつ課題と言えます。当社は、1社でも多くのお客様へセキュリティサービスを提供することが社会貢献につながると捉え、事業の拡大を目指していきます。
c.事業の成長を支える環境づくりに貢献
当社は、セキュリティサービス提供の目的を『お客様の事業を支える環境づくり』と定義し、セキュリティだけの視点にとどまらず、お客様の事業環境、経営視点でセキュリティサービスを提供し続けることができるように日々精進していきます。
(2)経営環境
当社を取り巻く経営環境として、国内のネットワークセキュリティビジネス市場の市場規模は、2021年度の5,779億円から2027年度には8,667億円と拡大し、同期間における市場全体のCAGR(年平均成長率)は7.0%と堅調に推移する予測となっております(出典:株式会社富士キメラ総研「2022 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧<市場編>」)。
また、直近では、大企業へのサイバー攻撃のみならず中堅・中小企業や医療機関、インフラ施設等へもランサムウェア被害が拡大し、サプライチェーンに影響が及ぶサイバー攻撃が発生している状況において、経済産業省より「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer3.0」(2023年3月改定)が改定されるなど企業や団体の経営者の意識が変化し、サイバーセキュリティに関するリテラシーが高まりつつあります。このような環境のなか、新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークによる就業やクラウドサービスの利用が推進されたことにより、企業内の限られたネットワーク環境だけを保護するセキュリティ対策から、企業・団体の従業員が利用する端末を含めたあらゆる環境に対応できるセキュリティ対策が求められている状況にある等の要因もあり、需要は堅調に推移し続けております。
(3)経営戦略
当社は、セキュリティサービスとしてコンサルティングサービスとSOCサービスを提供しており、クラウド製品への対応を進めていくことに加え、コンサルティングとSOCサービスを連動させたコミュニケーション型SOCによるリテラシーの高いお客様のニーズをとらえていき、更なる成長を計画しております。セキュリティ対策が脆弱な企業・団体へのサイバー攻撃が増加傾向にありますが、自社内では対応できていないことも多い状況にあり、システムインテグレーターやベンダーとしてもそれぞれの会社ごとの環境や状況に合わせた対応が可能ではない事例も見られ、市場の要望と供給側とのあいだでギャップが生じております。
当社といたしましては、このようなギャップを埋めるべく、日本国内にて開発したシステムを使用し、「やりすぎず、不足しない、変化に合わせた最適なサービス」を提供していくことを目指し、お客様ごとの環境や状況にあわせた必要なサービスを提供しております。また、セキュリティ被害に合ったお客様への一時的対応を迅速に行うことで事業継続のお手伝いをするとともに、そのようなお客様へ継続的なアドバイスによる優先順位をつけた効果的なセキュリティ態勢の構築を支援するコンサルティングサービスと、特定の機器に限定されないお客様環境にあわせたSOCサービスを両輪としてセキュリティサービスを提供することにより、サービスの深掘及びストック型売上の拡大に努めてまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続的なサービスの提供によるストック型売上の積上げであるARR(注1)を成長性の重要な経営指標としております。これは当社のコンサルティングサービス及びSOCサービスが継続的な取引を基盤としており、成長を継続する上での重要な要因であると認識しているためであります。また、売上高営業利益率を収益性の重要な指標としており、売上の拡大に見合う経費の増加とすることで収益性を確保しているためであります。
(注1)ARR:Annual Recurring Revenue(年間経常収益)の略称で、年度末時点における継続的な契約による繰り返し得られる収益のこと(一時収益は含まない)
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①優秀な人材の確保
当社が事業を拡大していくためには、高度なサイバーセキュリティ技術を有する優秀な人材の確保が重要な課題であると認識しております。このような人材の確保のため、採用活動の強化、社内における教育制度の充実等を進める方針であります。
②営業力の強化
サイバーセキュリティを重要な経営課題とする企業の増加に伴い、サイバーセキュリティ対策に対するニーズは高まってきております。このようなニーズに適切に対応するため、営業力の強化が重要であると考えており、事業に精通した営業人員を増強してまいります。
③既存サービスの収益拡大、安定化
現状において当社収益の約73%(2024年3月期)を占めるSOCサービスは、お客様に継続的にサービスを提供するもので、当社収益の安定的な基盤となるものであります。また、当該サービスを提供しているお客様から有事対応サービス提供依頼の受注など、同一顧客へのサービス深掘りにもつながっていくものであります。そのため、当該サービスに関する新規顧客先の開拓・増加のための営業活動を強化してまいります。
④新規サービスの拡充
KeepEye®(当社が開発したEDR製品で、お客様のご利用PCの挙動ログを抽出しマルウェア等によるサイバー攻撃を検知し隔離する機能があり、有事の際は当社SOCによる調査、分析によるサービス提供を行うもの)、AD監視サービス(当社が開発したAD Agentを利用してファイルサーバにおける重大な脅威を検知し、いち早く攻撃への対処を実施するもの)などの新規サービスを拡充し、お客様からの様々なニーズに対応できるようにすることにより、当社事業基盤の強化を図ってまいります。
⑤システムの安定稼働
当社のサービスは、コンピュータシステムと通信ネットワーク(インターネットデータセンターを含む)を活用して行う場合が多いため、セキュリティレベルの高いシステム及びネットワーク環境の安定稼動、緊急時回復時間の短縮などの体制強化に努めてまいります。
⑥知名度の向上、ブランドの確立
当社の事業成長のためには、当社及び当社サービスの知名度を向上させ、サイバーセキュリティ業界における当社サービスをブランドとして確立させていくことが不可欠であると認識しております。セミナーや講演会の開催等を通じて知名度の向上を計るとともに、技術力を高めていくことによりブランドの確立を推進してまいります。
⑦内部管理体制の強化
事業環境の変化に対応して事業を拡大していくためには、内部管理体制の充実も重要な課題であると考えております。そのために、事業展開に応じた適切な人員配置、組織体制の整備を進めてまいります。
⑧財務体質の強化
当社は、金融機関からの借入がなく十分な手許流動性は確保されており、本書提出日現在において対処すべき財務上の課題はありません。ただし、今後の事業拡大にあわせて売上や業容の拡大による資金需要の増加に備えて、さらなる内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により、引き続き財務体質の強化を図ってまいります。
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