Retty 【東証グロース:7356】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「新たな食体験を創り上げ、人生をもっとHappyに。」をビジョンに掲げ、「食」という多くの人にとって生活に密着した領域で、テクノロジーを駆使して新しい価値を創造し、食に関わる人々をより豊かにしていくことで社会に貢献していきたいと考えております。具体的には、実名型グルメプラットフォーム「Retty」を通じて、人々が最適な「食」と巡り合える機会を創出することで、日常の中にある「食」をより楽しめるものに、より豊かなものにしていきたいと考えております。また、これらに加え、飲食店を経営する上で必要不可欠なデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援するプロダクトを展開していくことで既存集客領域のみに留まらず、人々の食に関わる様々な体験に対してより幅広く貢献して参りたいと考えております。
(2)経営環境と中長期的な経営戦略
国内における飲食店市場は、一般社団法人 日本フードサービス協会「令和2年外食産業市場規模推計について」によると15兆2,908億円(飲食店、宿泊施設、喫茶・居酒屋等、料亭の合計)の市場規模と推計されております。飲食店における販促費市場は、飲食市場全体の3%程度と言われており、4,500億円程度がFRMの市場規模と当社は見込んでおります。
また、株式会社電通「2022年 日本の広告費(2023年2月24日)」において日本の総広告費は7兆1,021億円(前年比104.4%)に対して、インターネット広告費は3兆912億円(前年比114.3%)となっております。このうち、当社の対象となる業種に絞り込むと、1兆2,148億円程度(インターネット広告市場 × 業種別構成比にて市場規模を試算(4マス媒体の業種別広告費率を引用))が広告コンテンツにおける市場規模と当社は見込んでおります。
一方で当社は、飲食店から収受する定額のサービス利用料が主な収益となっており、2023年、当初においては新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が残存しておりましたが、5月に新型コロナ感染症の感染症法上の分類が2類相当から5類へ移行したことを契機に飲食業界の景気も緩やかに回復しております。解約率が継続的に高い特定代理店の影響などもあり、FRMお店会員(固定)プランにおける有料保有店舗数の減少によって当社は継続して売上高が減少、赤字が継続していることから、当社は①成功したコスト構造改革の維持、②黒字化の実現に向けた売上の維持・成長を実行することが急務と認識しております。具体的には以下のとおりです。
① 成功したコスト構造改革の維持
当社は固定費を中心とした徹底的なコスト削減を実施し、2023年9月期第4四半期においては、224百万円/四半期の固定費を前年同期比で削減しております。具体的にはオフィスの縮小移転に伴う支払家賃の削減、外注費やアルバイトの工数見直しによる人件費及び採用費の削減等を実施し大きく固定費を圧縮することに成功しています。今後も継続して固定費のコントロールを継続し、黒字化の実現確度を高めて参ります。
② 黒字化の実現に向けた売上の維持・成長
上述コスト削減の実施だけでなく、主要事業であるFRMにおいては、当事業年度を通して前年同月比で100%以上を記録し回復・成長を続けるネット予約人数や2023年10月に実施されたお店会員アップデートによってLTV(※)の改善を目指します。また、他代理店と比較して解約率の高い一部代理店について関係性を再検討し、代理店チャネルの整理を行なったことなどから、店舗数・売上共に積み上がりやすい状態が実現できており、今後はFRMの参画店舗数及び売上の積み上げを目指します。FRM以外の領域においても、広告コンテンツの事業回復・拡大やHR関連事業の立ち上げなどにより売上の成長を目指します。
(※)「顧客生涯価値」を意味するLife Time Valueの略称。飲食店1件当たり、当社と取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの売上をもたらすかを表す指標のこと。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、利用者の実名に基づく飲食店オススメ口コミ情報及び全国の飲食店情報等を蓄積した実名型グルメプラットフォーム「Retty」を運営しており、その価値を図る指標として、ネット予約人数を重要指標としております。ネット予約人数を維持・拡大することはFRMにおける送客効果の維持・向上につながります。
サービス別では、当社の主力サービスであるFRMにおいては「Retty」を通じたオンラインでの販促を提供することで、飲食店からサービス利用料を得ていることから、参画店舗数を重要指標として運営を行っております。当該参画店舗数は、営業人員数、一人当たり獲得件数、解約率に分解できますが、現時点ではこれらのうち、営業人員数を増加させることが参画店舗数の増加に対し最も効果的であると考えており、当該営業人員数を重視して運営を行っております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の今後の経営課題とその対策は以下の3点になります。
① 「Retty」の利便性向上を通じた月間利用者数・ネット予約利用者数の増加
当社が今後において中長期的な成長を実現していくためには、運営サービスである「Retty」の知名度を向上させることによる新規ユーザーの獲得、及び実名型グルメサービスを基軸としたおすすめによるお店選びや「Retty」を通じたシームレスな予約体験を提供することによるリピートユーザーの増加及びその結果としてのネット予約数の増加が必要不可欠であると考えております。足許徐々に外部環境が回復しつつある状況を踏まえると、今後更に「Retty」の利便性を向上させることで月間利用者数やネット予約利用者数の回復を図ってまいります。
② 営業体制の拡充
当社の新規参画店舗数は、営業稼働人員数に応じて増加するものであり、販売代理店の営業体制の拡充及び当社従業員による営業体制の構築が必要不可欠と考えております。当社は、これまで多くの販売代理店と契約を締結することによって営業稼働人員数を増加させ、それに伴って参画店舗数を拡大してまいりました。今後については参画店舗を拡大させていくための営業体制の拡充と同時に販売商品や獲得コストの見直しによる営業効率の改善を実施することで更なる販売力の向上を図ってまいります。
③ 技術力の強化について
今後、更なるサービスの拡充・強化に向けてビッグデータの分析・活用を加速させていくためには、その基盤となる技術力を継続的に強化していく必要があります。現時点において、開発者比率(「Retty」の開発及び改善を担当するプロダクト部門の人員数の合計を総従業員数で割り返した数値です)は、半数程度となっておりますが、今後は更に優秀な技術者の育成、先端技術への投資、技術志向な風土の維持等を通じて、技術力の向上に取り組んでまいります。
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