ROBOT PAYMENT 【東証グロース:4374】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、「決済『+α』で世の中の課題を解決する」というブランドアイデンティティを掲げております。これまで20年以上に渡って運営してきた決済サービスをベースに、様々な新たな機能を付加して、「サブスクペイ」「請求管理ロボ」などを展開することで企業の課題の解決に貢献してまいりました。今後も継続的に既存サービスを強化しつつ、決済に『+α』の機能を加えた新たなサービスを展開していくことで、企業のさらなる課題の解決を目指してまいります。
また、収益構造については、安定的な経営基盤を引き続き強化すべく、リカーリングビジネスを志向し、収益が地層構造のように着実に積み上がるビジネスモデルを今後も推し進めてまいります。
(2)経営環境
当社の各事業を取り巻く経営環境については、以下の通りです。
① ペイメント
ペイメントが立脚するネット決済代行サービス市場は国内EC市場の成長を背景に今後も堅調な伸びが予想されています。それを後押しする材料としては、スマートフォンなどの利便性の高まりや新型コロナウイルス感染症に伴う新たな生活様式に関わるオンライン消費の浸透、さらにはそれを受けたより多様なサービスのオンライン化などが挙げられると考えております。
デロイトトーマツミック経済研究所株式会社「ECにおけるネット決済代行サービス市場の現状と展望2021年度版」(2021年8月)によれば、新たなEC利用者層の広まりや新しいオンラインビジネスの出現等を理由に、国内のネット決済代行サービス市場の市場規模は年率10%を超える成長を続け、2024年度には約5,690億円になると予測されております。
また、「サブスクペイ」はサブスクリプションサービスを展開する事業者に多くご利用頂いておりますが、株式会社ICT総研「2020年 サブスクリプションサービスの市場動向調査」(2020年2月)によると、サブスクリプションサービス市場は今後も様々な業種の参入もあり、活性化、拡大が予測されており、その市場規模は2023年には約1.4兆円(2019年比126%)まで拡大するとのことです。
以上の通り、EC市場、サブスクリプションサービス市場ともに、堅調な成長が見込まれていると認識しており、「サブスクペイ」の経営環境は良好に推移するものと認識しております。
② フィナンシャルクラウド
総務省が発行した「情報通信白書平成30年版」(2018年7月)によると、急速に進む少子高齢化の結果、我が国の15歳から64歳の生産年齢人口は既に減少の一途をたどっており、2017年の7,596万人が2040年には5,978万人まで減少することが推計されており、社会的・経済的な課題として労働力不足は深刻化していくことが見込まれます。また、日本生産性本部「労働生産性の国際比較」2023年版(2023年12月)によると、日本における就業者一人当たり労働生産性はOECD加盟38か国中31位となっております。一方、フィナンシャルクラウドが立脚しているSaaS市場はソフトウエア投資において、その占有率を徐々に増やしており、そのトレンドは今後も継続されることが見込まれております。また、総務省公表の「我が国のICT現状に関する調査研究」(2018年3月)によると、2017年の日本のSaaS導入率は41%に対して米国の導入率は79%であり、国内のSaaS市場は米国と比較するとまだまだ拡大する余地があることが推察されます。さらに、総務省が発行した「令和4年版 情報通信白書」(2022年7月)では、企業のクラウドサービス利用率が2021年には70.4%となっており、様々な企業でクラウドサービスが活用されてきていることが窺えるとともに、今後も普及が進むものと言及されております。それらを背景に、ソフトウエア投資における提供形態別の市場規模の推移では、今後SaaS型での提供のシェアが益々上がるものと予測されております。株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」(2020年9月)によれば、ソフトウエア投資におけるSaaS比率は2024年度には56%に達すると見込まれております。
(出典:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」(2020年9月)より当社作成)
また、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」で謳われている「2025年の崖」、電子帳簿保存法や電子インボイス制度などにより、請求業務を含む様々な業務改善やデータ活用といった切り口でソフトウエア投資が国内において広まっていくものと考えております。
以上の通り、人口減少及び相対的に低い労働生産性が我が国の経済成長の大きな壁となりうると考えられる中で、我が国経済の発展のために、人手不足を補い、労働生産性を向上させるために、ソフトウエア投資、特にその中でもSaaSの利活用がその利便性などから今後さらに注目されることが見込まれることから、フィナンシャルクラウドの大きな成長機会が存在していると考えております。
(3)経営上の目標の達成状況を客観的に判断するための指標等
当社の事業はこれまでのご説明の通り、既存顧客から継続的に上がるリカーリング収益が売上の大半を占め、安定的かつ主要な収益基盤となっております。そのため、両事業におけるリカーリング収益比率、さらにそのリカーリング収益を生み出している既存のアカウント数やアカウント毎の平均単価であるARPAを当社の経営上重要な指標として定めております。また、中長期的な企業価値向上の観点から利益を創出していくことも重要と考えており、その観点より営業利益も重要な指標と定めております。
(4)経営戦略
当社は上記の通り、経営上重要な指標を定めております。各指標を着実かつ持続的に向上させる取り組みを行い、企業価値の最大化を目指してまいります。具体的な取り組みについては、下記「(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご覧ください。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 新規契約アカウントの増加
・当社及び当社が提供するサービス「サブスクペイ」・「請求管理ロボ」の認知度はまだ改善の余地が多いと考えており、webマーケティングを中心に投資対効果に留意しつつマーケティングを強化し、認知向上・お問い合わせの増加を目指してまいります。
・マーケティングの強化に伴い増加するお問い合わせに適時適切に対応し、新規契約に結び付けるために、営業人員の増員や教育にさらに注力してまいります。
・全国各地に販売網を有する大手販売パートナー等との連携を強化し、当社のみではアプローチが難しい企業への拡販も強化してまいります。
② ARPAの向上
現在提供しているサービス機能強化・新規プロダクト開発、エンタープライズ顧客向け営業組織の構築を通じてエンタープライズ顧客へのアプローチを開始し、ARPAの向上を実現することが収益性の向上には必要と考えております。また、それを可能とする体制の整備・強化、外部パートナー等との連携が必要不可欠と考えております。
③ 解約率の低減
当社が提供している「サブスクペイ」・「請求管理ロボ」は、ビジネスモデルの特性上、顧客の事業成長に比例して、1顧客あたりの収益が増加していく特徴があります。そのため、事業が成長している既存顧客の解約率を低減させることは当社の収益力の向上に必要不可欠と考えております。サービスの機能強化を継続的に実行するとともに、カスタマーサクセス部隊を中心に顧客満足度向上を目指し、解約率の低減を引き続き目指してまいります。
④ 優秀な人材の確保
当社は、今後、上述したようなミッションを達成し、中長期的に事業拡大を継続していくためには、営業、カスタマーサクセス、エンジニア、経営企画等において優秀な人材の確保が不可欠であると考えております。当社のミッション、ビジョンに共感してもらえる優秀な人材を獲得し、合わせて、教育プラン、評価制度、働きやすい環境を整備することで、個人のスキルアップを促しつつ、当社への定着率の向上に努めてまいります。
⑤決済「+α」のプロダクトの拡充とその拡販
当社は、「決済『+α』で世の中の課題を解決する」というブランドアイデンティティを掲げております。これまで20年以上に渡って運営してきた決済サービスをベースに、様々な新たな機能を付加して、「サブスクペイ」「請求管理ロボ」などを展開することで企業の課題の解決に貢献してまいりました。今後も継続的に既存サービスを強化しつつ、決済に『+α』の機能を加えた新たなサービスを展開・拡販していき、新たな収益の柱を増やすことによって、中長期的な収益の多角化、最大化を目指してまいります。
⑥ 利益およびキャッシュ・フローの創出
当社の収益構造については、リカーリング収益が収益の大半であり、顧客のサービス利用が継続すればするほど収益が地層のように積み上がるモデルとなっております。特に「請求管理ロボ」においては、ITサービス業界における伝統的なシステムの一括売り切り型のモデルと比較すると、サービス開始直後において、売上高に対する開発費用や顧客獲得費用の割合が相対的に大きくなる傾向があり、収支的には赤字が先行するという特徴があります。
一方で、当社が創業以来サービスを継続している「サブスクペイ」は、ネット決済代行サービス市場の堅調な成長にも支えられ、当社のキャッシュカウビジネスとして売上、利益ともに安定的に成長をしております。そのため全社で見るとキャッシュ・フローが安定しており、外部からの資金調達に大きくは依存しない体制となっております。
当社としては、売上高成長のために引き続き積極的に投資は継続しながらも、全社の営業利益率の改善を目指し、全社的な利益やキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。
⑦ 内部管理体制とコーポレート・ガバナンスの強化
当社が持続的な成長を維持していくためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化・効率化が重要であると考えております。それらの実効性を高めるための環境を整備し、組織的な統制・管理活動を通じてリスク管理を徹底するとともに、業務の標準化と効率化を目指しております。また、コーポレートガバナンス・コードの基本原則に従い、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーからの社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命とし、コンプライアンス体制の強化、迅速かつ正確な情報開示の充実に努め、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。2020年10月には取締役会の諮問機関として指名・報酬諮問委員会を設置いたしました。同委員会は委員の過半数が社外役員によって構成されており、取締役の指名、報酬体系の決定プロセス等について、より透明性と客観性を確保してまいります。
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