NexTone 【東証グロース:7094】「サービス業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、これまで経営理念である「権利者に選ばれ、利用者から支持される著作権管理事業者となる。」ことを目指し、公平・公正かつ透明性の高い著作権使用料の徴収・分配を行うこと、著作物利用に対し迅速かつ柔軟に対応すること、最新のテクノロジーを活用した効率的な管理・運営によりコストを削減することなどを推進してまいりました。
2023年9月の株式会社レコチョクとの資本業務提携により当社グループの事業範囲が拡大したことに伴い、改めてグループとしての存在意義を再確認し、音楽著作権管理にとどまらない総合音楽エージェントとして目指すべき理想像を明確にすることを目的として、2024年4月1日付でこれまでの経営理念に代わり、新たに企業理念として「For the Future of Music ~音楽文化・音楽産業の発展のために、私たちは挑戦を続けます~」、ビジョンとして「次代を奏でるオンリーワン・エージェント」を定めました。
当社グループは新たな企業理念とビジョンのもと、音楽と、音楽を愛するすべての人の未来のために、当社グループだからこそできる、当社グループにしかできない、新しい時代のエージェントを目指すことを基本方針とし、音楽文化・音楽産業のより一層の発展、持続可能でより良い社会の実現に貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループが事業遂行上重視している経営指標は、①取扱高(※)、②著作権使用料徴収額シェア、③管理楽曲数、④取扱原盤数であります。特に取扱高を重要な指標としており、著作権管理事業、DD事業、音楽配信事業等の徴収額を示し、市場シェアや会社の成長性を見るために有効な指標であることが当該指標を重視している理由であり、取扱高のさらなる拡大を経営目標としております。
(※)取扱高とは、著作権管理事業においては音楽著作権の利用者から徴収した金額(権利者へ分配する金額と当社の管理手数料からなります)を示し、著作権管理事業以外の事業では、取引先に対して役務提供の対価として請求を行った金額を示しております。
取扱高と売上高の関係については、著作権管理事業では取扱高から当社の管理手数料を差し引いた金額を権利者へ分配しており、当社は管理手数料部分のみを売上高として計上しております。他方で、著作権管理事業以外の事業においては、取引先への請求金額を取扱高として認識しており、原則として取扱高をもって売上高として計上しております。
また、上記の他、近い将来の目標であるプライム市場上場を見据え、財務上重視している経営指標として⑤売上高、⑥対前期売上高伸長率、⑦営業利益率、⑧経常利益を定めております。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
現在の音楽関連市場の事業環境は、一般社団法人日本レコード協会の調べによりますと、音楽ソフト(音楽ビデオ含む)の生産金額が前年同期比109%(2023年1月~12月)、有料音楽配信売上金額は、前年同期比111%(2023年1月~12月)と10年連続の増加となりました。
このような状況を踏まえ、当社グループでは、2025年3月期からの中期業績計画において以下のとおり各経営指標の目標値を設定しております。
①取扱高 目標:伸長率10-20%
②著作権使用料徴収額シェア 目標:中期的に10%、長期的に50%
③管理楽曲数 目標:毎期10万曲以上増加
④取扱原盤数 目標:毎期23万原盤以上増加
⑤売上高 目標:270億円以上
⑥対前期売上高伸長率 目標:10-20%
⑦営業利益率 目標:9%以上
⑧経常利益 目標:2年で合計25億円(プライム市場上場基準)
また、中長期的な成長戦略については以下のとおりです。
著作権管理事業においては、着実な成長継続のために、当面は第11区分(放送・有線放送)のシェア拡大に注力するとともに、近年参入した海外、第1区分(コンサートその他の催物における演奏等)及び第5区分(映画等の上映、遊技機等の上映・演奏、店舗内BGM)の確実な徴収、そして有力コンテンツの管理受託に努め、中長期的には第6区分(カラオケ演奏等、社交場における演奏等)に参入し、全支分権・利用形態の管理を目指します。
また、業界慣習に新風を吹き込むべく、当社の強みであり他の音楽著作権管理事業者に無いデジタルコンテンツディストリビューション事業、音楽配信事業、その他(ビジネスサポート事業(キャスティング事業、システム開発・保守運用事業、ソリューション事業、エージェント事業等))の各事業をそれぞれ推進し、更にこれらから生まれる新規事業を含めた音楽関係ビジネスに係る様々なサービスを提供する総合エージェントとして、中長期的な成長を目指してまいります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 著作権管理事業における業務効率化とサービス向上への取組み
順調に増加している管理作品数に対応するべく、引き続き業務効率の向上を目指し、作業プロセスの見直し及びシステム開発を継続いたします。またAI・RPA等の技術の導入により業務の自動化を推進し、これまで研究・開発を進めてきたシステムの実用化を進めています。
また、近年参入した海外徴収や演奏権(第1区分及び第5区分)管理においては、関係団体、利用者団体等と連携し、安定した事業スキームを構築のうえ、より精度の高い使用料徴収を実現してまいります。
② ソリューション型営業による取引拡大
定額制音楽配信サービス(※)や動画配信サービスの拡大、ライブ配信サービスの普及等、音楽を取り巻く環境は大きく変貌しており、権利者ニーズにもより一層の細分化・多様化の傾向が見受けられます。
このような環境の中で、著作権管理業務においては、権利者の意向を反映した柔軟な管理手法を取り入れながら、時代の変化、権利者ニーズの変化に迅速に対応できる業務運営を行っております。また、デジタルコンテンツディストリビューション事業やその他(ビジネスサポート事業)においてコンテンツの利用促進を図り、さらには、音楽出版業務・システム開発業務において、音楽出版社の計算業務代行や印税計算システムの開発運用を行い、音楽出版社の実務面に至るまで幅広いサポート体制を構築しております。レコード会社などの権利者向けには、直販ビジネスやDX(デジタルトランスフォーメーション)・運用等の支援も行っております。
当社が展開する各種の業務・事業をより発展させ、複合的な提案を実施することによって、権利者の潜在的なニーズを掘り起こし、作品・コンテンツの取扱拡大に注力してまいります。また、作品・コンテンツの利用促進を図りながら、権利者へのマーケティングデータの提供や新規事業の開発にも引き続き注力し、当社サービスの付加価値向上に努めてまいります。
(※)定額制音楽配信サービス…毎月一定額の利用料を音楽配信サービスの運営会社に支払い、インターネット上のサーバーに登録されている楽曲を無制限に聴くことができるサービス。サブスクリプション型音楽配信サービスともよばれる。
③ 演奏権 第6区分(社交場・カラオケ演奏等)管理への進出
当社設立以来の重要課題である演奏権管理において、2022年4月1日より、カラオケ演奏等及び社交場における演奏等を除く利用区分(主としてコンサート、映画上映等)に参入いたしました。残る第6区分につきましても、引き続き権利者・利用者団体等のご理解ご協力を得ながら可及的速やかに参入し、著作権エージェントとしてフルラインサービス体制を目指してまいります。
④ NexToneグループの各種業務及びサービスを支えるシステム整備とDX推進
ビジネス・プロセスのシステム化による「安定的な業務品質の担保」を重要課題としつつ、AI技術や様々なデータ活用による業務効率化やコスト低減、さらには営業施策としてのシステム活用等、多方面にわたりシステムの観点からのアプローチも継続し、グループ全体DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してまいります。
また、各種の利用実績確認など、これまで以上に膨大なシステムデータの解析・処理が必要となる業務領域についても、AI等を活用した品質向上施策の更なる精度向上と他業務への展開を図り、次代に合わせた事業展開を推進してまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループは、内部管理体制の強化を経営上の重要課題の一つとして認識しており、グループ各社との連携のもと、内部統制機能の一層の充実とガバナンス体制の確立に努め、リスク管理の徹底を図ることで、株主の皆様をはじめ各ステークホルダーの皆様との良好な信頼関係を保ちながら、社会的責任を果たしてまいります。
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