MIXI 【東証プライム:2121】「サービス業」 へ投稿
企業概要
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス、リスク管理、戦略及び指標と目標について
① ガバナンス
サステナビリティ推進業務を担当する本部を管掌する上級執行役員をサステナビリティに関する取組の責任者(以下、サステナビリティ推進責任者)としています。サステナビリティ推進責任者の諮問機関であるサステナビリティ事務局において、サステナビリティに関する取組についての検討を行い、検討された結果は、サステナビリティ推進責任者を通して3か月に1回、取締役会に報告しています。サステナビリティ事務局は、サステナビリティに関連するリスクと機会の特定や評価、対応についての検討を行うにあたり、リスク管理委員会に適宜助言を求めるとともに、各事業本部及びグループ会社に必要に応じてヒアリングを行います。またサステナビリティに関連するリスクと機会、対応策の進捗状況について、毎年見直しを行います。
② リスク管理
サステナビリティ事務局は、サステナビリティに関連するリスクと機会について、それぞれを発生可能性、影響度、対応策の有無などで評価し重要度を決定しています。特に気候関連問題の評価にあたっては、IEA、IPCC等の各種シナリオを参照し、必要に応じて関連する各事業本部及びグループ会社にヒアリングを行い、適宜見直しを実施しています。さらにリスクと機会に対する対応策を立案し、設定した指標により対応策の進捗を管理しています。
サステナビリティに関連するリスクについては、自社のその他のリスクと統合的に管理をするため、リスク管理委員会に適宜助言を求めます。また、リスクと機会のうち、重要度が高いものについては、サステナビリティ推進責任者を通して取締役会に報告しています。
③ 戦略及び指標と目標
サステナビリティに関する取組のうち気候関連問題については、TCFD提言に基づいてシナリオ分析を実施し、リスクと機会の抽出、必要な対応の検討を行いました。その結果、当社グループの事業において気候変動に伴う重大なリスクは確認されませんでしたが、当社グループでは、気候関連問題をはじめとしたサステナビリティに関する事象が当社グループの事業に与える影響についてガバナンス、リスク管理の取組を通して把握、管理していくとともに、機会の獲得に取り組んでまいります。また、当社グループが排出する温室効果ガス(GHG)についてScope1-2の排出量算定を行いました。今後はScope3の排出量算定に加え、各事業セグメントにおける省エネルギー化、再生可能エネルギー等の活用を通じた排出量削減に向けた取組についても検討してまいります。TCFD提言に基づく取組の詳細については当社ウェブサイト(https://mixi.co.jp/sustainability/issue/environment/tcfd/)をご参照ください。
(2) 人的資本に関する戦略及び指標と目標
当社の企業理念は、以下の4点で構成されております。
パーパス:豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。
ミッション:「心もつながる」場と機会の創造。
MIXI WAY(意思決定の軸):ユーザーサプライズファースト
バリュー(行動指針):発明 夢中 誠実
当社は、上記の企業理念に基づきコミュニケーションを軸とした事業を営んでおります。パーパスを実現するためには、事業を創出、また運営を行う当社の「人」こそを、最も重視すべき資本のひとつとして考えております。「人」の成長なくして当社のパーパスは実現し得ないことから、当社は、その実現に向け人的資本への積極的な投資を行うことを方針としております。
この方針に基づき、①従業員エンゲージメント向上への取組、②社員一人ひとりの活躍と成長を促進する人材育成、③社員と組織の成長を促進する仕組みと制度、④多様性の確保、⑤働く環境整備、⑥コンプライアンス教育の徹底という、6つの取組を行っております。これらのうち、①・④の取組の一部については現時点での指標と目標を設定しておりますが、当社の戦略に紐づく適切な指標については、引き続き検討を続けてまいります。
① 従業員エンゲージメント向上への取組
当社では、バリューに密接に紐づく「エンゲージメントスコア」を経営上の重要な指標として位置付け、全従業員を対象に年に1度の頻度でサーベイを実施しております。そのサーベイ結果を分析し、経営や各組織にフィードバックすることで、全社をあげてエンゲージメントの向上に取り組んでおります。サーベイ結果は全社へ周知・公開しております。
当事業年度のスコア及びその分析は以下の通りです。
<エンゲージメントスコア>
サーベイ内の設問のうち、「自発的な貢献意欲」、「自社に対する愛着・誇り」、「仕事を通じての達成感」に関する3つの設問の肯定的回答者の割合を総合した数値を「エンゲージメントスコア」としております。
結果は以下の通りです。
当事業年度 エンゲージメントスコア:67%
<当社の維持すべきポイント>
エンゲージメントに紐づく要素のうち、「整った業務環境の下、上司や同僚と良好な人間関係を築きながら裁量を持って働くことができている」という点において、当社従業員の80%以上が肯定的な回答をしており、今後も維持すべき点であると考えております。
<今後の取組ポイント>
エンゲージメントに紐づく要素のうち、「経営陣の伝える姿勢(自社の将来に対する期待感の醸成や変革への適応サポート)」、「経営陣の聴く姿勢(従業員の意見の受け入れ)」、「キャリア展望の拡充と成長機会の継続的な提供」に関しては、特にエンゲージメントスコアとの相関が高いため、結果を踏まえ、向上、あるいは引き続き重きを置いて取り組むべきポイントであると考えております。
・経営陣の伝える姿勢/聴く姿勢に関する取組
経営上重要度の高い決定に関する従業員の理解度を高めるための発信、従業員の声を経営に反映する取組、職場においてより本音で意見を言い合える文化の醸成など、さらなる改善に取り組んでおります。
・キャリア展望の拡充と成長機会の継続的な提供に関する取組
近年の育成施策の強化によりスコアとしては必ずしも低いということではないものの、個々人の成長を促進するにあたっては重要度が高いと認識しているため、個人の成長と組織の成長がつながり、一人ひとりの社員がより活躍と成長を感じられる文化作りに引き続き取り組んでまいります。
<2024年3月期の目標エンゲージメントスコア>
以下数値を目標エンゲージメントスコアとし、前項の取組を通じ、向上を図ってまいります。
2024年3月期 目標エンゲージメントスコア:70%
② 社員一人ひとりの活躍と成長を促進する人材育成
社員一人ひとりの活躍と成長を促進できるよう、以下に挙げる研修等の取組による人材育成の強化を行っております。なお、2024年3月期においては、従業員一人当たりの研修費用として年間41,000円を予算として計上しております。
・本部長以上向けの研修・支援
社内取締役及び本部長以上の従業員を対象に、経営戦略論、コーポレート・ガバナンス、リーダーシップ理論、マーケティング理論、ファイナンスなどの研修を実施しております。他、その重要性を全社に波及させることを狙いとしたチームビルディング研修の実施、また、個別課題に応じたコーチングも導入しております。
・部室長向けの研修・支援
全部室長を対象に、リーダーシップ論、マーケティング論、ファイナンスなどの研修を実施しております。また、個別課題に応じたコーチングも導入しております。
・マネージャー向けの研修・支援
全マネージャーを対象に、着任時のマインドセットやオリエンテーションの他、評価者研修を実施しております。また、有志参加にて部下との1on1に必要なスキルの研修を実施しております(希望により、リーダー職である従業員も参加が可能)。また、個別課題に応じたコーチングも導入しております。
・新卒・若手向けの研修・支援
内定者を対象に、各自が自主的に目標設定を行いその達成を目指す研修や、1泊2日の合宿研修等を実施しております。また、新卒入社時の研修や配属後のOJTフォローにより、新しい環境においてスムーズに立ち上がるための支援をしております。OJTを担当することになるトレーナー社員に対してもトレーナーとしての研修を実施しその活動を支援しております。さらに、入社3年目まで年次ごとに研修を行い、自身の成長を振り返る機会を設けております。
・選択型研修
全社員を対象に、選択型研修として各自で課題設定した内容に対して研修を受けられるよう、外部と提携し学習機会を設定しております。
・育成会議
階層別、本部別の育成会議を実施し、各会議において定められた育成対象者について、いかにしてさらなる成長を実現していけるのかを議論しております。
階層別育成会議としては、現在、上級執行役員・執行役員・本部長を育成対象とした会議が開催されており、このうち執行役員・本部長を対象としたものは当社経営のサクセッションプランも内包しております(当社では、取締役及び上級執行役員を「経営者」と位置づけております)。執行役員・本部長に対しては上級執行役員が、上級執行役員に対しては社内取締役が育成担当となり、個々のさらなる成長を促進しております。今後、部室長等、育成会議の範囲を拡大していく予定です。
また本部別の育成会議は、各本部に所属するHRBP(人事ビジネスパートナー)が中心となって開催しております。育成対象は本部の組織・人材状況や課題により様々ですが、社員一人ひとりが活躍・成長できるよう、各種施策に取り組んでおります。
・360度フィードバック
代表取締役社長から部室長までを対象とした360度フィードバックを年に1回実施しております。結果をそれぞれにフィードバックすることで、個々のさらなる成長のきっかけとなるよう取り組んでおります。これは育成施策の一環として実施するものであり、結果については評価とは結びつけないこととしております。
③ 社員と組織の成長を促進する仕組みと制度
研修の実施にとどまらず、社員がより一層「活躍と成長」を感じられるための環境づくりとして、制度や仕組みの整備を進めております。以下の内容は2019年以降、段階的に取り入れてきたものです。これらの取組を通じて、社員のキャリア充実と事業成長の両立を目指しております。
・人事制度の改定
8年ほど継続して運用されていた人事制度を2022年4月に改定施行いたしました。一定の等級までを既存の制度同様に「能力等級制」とする一方で、上位等級は「役割等級制」とし果たすべき役割とその創出する成果によって昇降格及び昇降給を行うことといたしました。この改定により、活躍する可能性がある社員について、顕在化している「能力」だけではなく今後期待する「役割」に基づいた抜擢人事がより進めやすくなるなど、メリハリの利いた人事制度となりました。
・1on1
当社社員の90%以上が上司・部下や同僚との1on1を週次で実施しております。その内容は多岐にわたり、キャリアの相談から評価に関する中間面談、日々の業務相談やプライベートの話題まで、それぞれが状況に応じて1on1の機会を活用しており、1on1が文化として定着しております。
・事業部支援
当社は、人事関連施策について全社共通のルールを一律で運用するのではなく、アレンジ可能な「型」として運用方法を提示することで、全社で共通の「軸」を大切にしながらも、各本部に最適化された運用の追求を可能としております。「各本部最適」と「全社最適」とのバランスが保たれるよう、人事本部内で本部毎の組織支援担当者を任命し、各本部に所属するHRBP(人事ビジネスパートナー)と連携しております。人事本部スタッフによる全社情報の共有や評価会議支援の他、全社制度と本部内施策の接続、組織・人員に関する課題解決、労務問題の対応など連携は多岐にわたります。
・タレントの可視化
さらなる事業成長のため、キーマンの定義を行いそれにマッチする人材に活躍と成長の機会を適切に提供するための仕組みづくりを進めております。現在既に活躍している人材だけでなく、さらに先の将来を担う新卒入社社員までその対象を広げ、全社的なタレント可視化に取り組んでおります。
・マネジメント行動指針
マネジメントを担う社員の行動指針として「MIXI Management Beliefs」を設けております。この中では、マネジメントの役割定義と、その役割のために必要な行動が定義されております。人事による役職者対象研修の企画の土台にもなっており、各役職者が役割を果たすにあたっての指針とすることを促しております。
④ 多様性の確保
当社では「ダイバーシティ&インクルージョン」をマテリアリティのひとつとし、多様性を受け入れる文化づくりを行っております。
継続的に多様性の確保を促進してまいりますが、具体的な目標の設定は、戦略・方針や事業成長に合わせた最適な組織構成とすることを念頭に行うこととしております。現在、女性と外国人の管理職登用については注視しており、状況は以下の通りです。※本項内に記載の比率は2023年3月末時点のものとなります
<女性の管理職登用について>
社員全体に占める女性社員の比率は30.0%、管理職に占める女性社員比率は16.1%、係長職級まで含めると20.5%となっております。働きやすい環境を実現するための制度の充実や育成を通じ、今後さらに管理職への積極的な引き上げを行いたいと考えております。なお、女性管理職比率については、2024年末時点で15%以上とすることを目標としております。
<中途社員の管理職登用について>
社員全体に占める中途社員の比率は86.8%、管理職に占める中途社員比率は91.0%と非常に高くなっております。事業の多角化に伴い異業種からの中途入社者も増加し、多様なバックグラウンドを持つ社員が在籍し、活躍しております。
<外国人の管理職登用について>
社員全体に占める外国籍社員比率は3.3%、管理職に占める外国籍社員比率は2.0%です。係長職級まで含めると3.0%の比率となっており、育成を通じて引き上げの余地があると考えられます。
新卒中途ともに国籍を問わない採用をしているため、現状特別な支援を設けてはおりません。ただ、事業のグローバル化の影響もあり直近の雇用ニーズは増加傾向にあるため、必要に応じて育成施策の強化に努めてまいります。
<多様な人材が心地よく働ける環境づくりに向けた具体的な取組>
入社者に受講を義務付けている「ダイバーシティ&インクルージョン研修」で、性別や国籍・文化の多様性に限らず、性的指向/性自認・価値観・ライフスタイル等の多様性についても互いに尊重し合うよう啓発しております。また、当社就業規則では、性の多様性(LGBTQ+)の尊重についても明記しております。個人が望まない性的言動や不利益な取扱いの禁止に加え、「結婚に準ずるパートナーの定義」として同姓婚におけるパートナーも一般的な配偶者と同等に扱い、「結婚祝金」や「慶弔休暇」等、異性婚と同等の提供を行っております。
⑤ 働く環境整備
事業の特性や社員の様々な価値観・ライフスタイルやステージに合わせて選択肢を増やし、多様な人材が活躍できる環境を整備しております。同時に、個々のキャリアのサステナビリティを踏まえ、社員の健康面に配慮した健全な労働環境の構築も積極的に推進しております。
・「マーブルワークスタイル」のアップデート
当社は、「マーブルワークスタイル」という、部署ごとに最適な出社回数を選択でき、12時までに出社可能な範囲で日本全国どこにでも居住可能とする制度を設けております。2020年7月より試験運用、2022年4月に正式に制度化いたしましたが、2023年4月、さらに、「働く時間」の柔軟性を高めることを目的にフルフレックス制を試験的に導入、また、「働く場所」の柔軟性を高めるためにサードプレイスでの就業を可能とする「マーブルロケーション」を開始し、「マーブルワークスタイル」制度をさらに拡充することといたしました。働く時間と場所を柔軟にすることで、各個人のライフスタイルを尊重しつつ、組織成果を上げるための選択肢を整えております。
・育児休暇取得と復職率
小学生未満の子どもを養育する社員に向けては、既存の時短勤務制度に加え「時短フレックス制度」を導入しております。所定労働時間を短時間とした上でさらにフレックス制度の対象ともなるため、業務に応じて緩急をつけた勤務が可能となる制度です。結果として、女性の育児休暇取得率と育児休暇からの復職率は100%を継続中です。また、男性の育児休業取得率は39.5%(2023年3月集計)であり、前年比で10ポイント以上の増加となっております。男女問わず家庭・育児と両立できる働き方が可能となるよう、引き続き支援を行ってまいります。
・休暇制度の柔軟化
2023年4月に「ケア休暇」を新設いたしました。「ケア休暇」は、自身の体調不良、家族(二親等以内)の看護に利用できる休暇となります。自身や家族にとって必要なタイミングでしっかり休暇を取得して体調を回復し、パフォーマンスが高い状態で仕事をすることで成果を上げやすい環境を作ることを狙いとしております。また、2021年4月に「リザーブ休暇」という、失効した年次有給休暇を積み立て、特定の事由(私傷病・慶弔・災害等)に利用ができる休暇制度を導入しておりましたが、2023年4月に、自身もしくは配偶者の妊活のための通院、家族(二親等以内)の看護を事由として追加することで、従業員が「ライフステージの変化があっても仕事を続けられる安心感」を感じることができるような休暇制度を設計しております。
・健康経営の推進
当社は、健康経営優良法人2023に認定されており、従業員の健康増進による生産性向上や離職率低下などの効果による、長期的な経営安定性の向上を目指します。健康経営を推進していく取組として健康診断・検診等の活用や推進、ストレスチェックといった基本的なことをはじめ、保健指導、ヘルスリテラシーの向上、病気の治療と仕事の両立支援、感染症予防対策、長時間労働者への対応などを実施しており、今後は従業員支援プログラムなどの導入や社内外への積極的な発信で啓蒙も行い、より充実した内容へと拡充していきます。
⑥ コンプライアンス教育の徹底
当社ではコンプライアンス教育の一環として、危機管理研修をe-learningで提供しております。全ての従業員が受講をし、毎年100%の受講率を達成しております。危機管理研修の内容としては、情報セキュリティ研修/法務関連(コンプライアンス基礎、下請法や景品表示法)/ハラスメント研修など全8講座の受講を義務付けております。また管理職向けには、就任時におけるハラスメント防止研修を義務付けており、コンプライアンス遵守に対する高い意識を持って取り組んでおります。
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