MIRARTHホールディングス 【東証プライム:8897】「不動産業」 へ投稿
企業概要
1.リスクマネジメント基本方針
MIRARTHホールディングスグループは、お客さま・パートナー・役員・従業員及びその家族の安全の確保及び社会的責任の遂行、地球環境との調和、永続的な事業の継続、企業価値の向上をリスクマネジメントの基本方針とし、各リスクの抽出・管理を行っています。
また、推進体制として「リスクマネジメント委員会」を設置し、グループ全体においてリスクマネジメントの徹底を図っています。
2.リスクマネジメント体制
(1)リスクマネジメント委員会について
当社ではグループの安定的かつ持続可能な成長を支えるために、グループ全体のリスクを統括するリスクマネジメント委員会を定期的に開催することで、積極的かつ戦略的なリスク管理を実践しております。
① 開催頻度
リスクマネジメント委員会は年4回の定例会議に加え、業界や市場の変化等に対応するため必要に応じて開催しております。これにより、リスクに対する迅速な意思決定と適切な対応が確保されております。
② 委員構成
リスクマネジメント委員会には、代表取締役やグループCFO、グループCROをはじめ、社外役員を含む全ての取締役及び監査役がメンバーとなっており、リスクマネジメントが経営戦略の立案と実行に深く関係する体制となっております。また、内部監査室や法務部門の責任者も加わることで、包括的なリスク管理の視点から検討と意思決定を行っております。
③ 議事内容:
リスクマネジメント委員会の議事は多岐にわたりますが、主に以下の項目に焦点を当てています。
・リスクマネジメント委員会にて、「リスクマップ」としてあげられたリスク項目の対応状況
・上記以外のリスク項目について、対応方針の変更や見直し等のリスク対応状況
・新たなリスクについて、重要度や対応優先度についての協議、決定
・企業戦略とリスクポートフォリオの整合性の確認
・今後のリスクマネジメント運営方針の協議、決定
3.リスクマネジメントプロセス
当社グループのリスクマネジメントプロセスは以下のとおりです。
[概念図]
(1)リスクの特定
リスクマネジメントにおいては、世の中にある無数のリスクの中から、当社が対処すべきリスクの特定と、その優先順位付けが欠かせない要素となっております。当社グループでは以下フローに従い、リスクの特定と優先順位付けを行いました。
[リスク特定のフロー図]
① グループ各社におけるリスクの洗い出し
グループ各社に対し「事業戦略リスク」「オペレーショナルリスク」「ハザードリスク」について網羅的に洗い出し、その「影響度」と「発生頻度」等を評価し定量的なスコアリングを行い、この評価に基づいて優先順位を付けます。高い影響度と頻度を持つリスクは、優先的に対応を検討します。
また、あわせてそれぞれのリスクの現況やリスクシナリオ、機会や対応案についても一次的な検討を行います。
② リスクの抽出
①にて提出されたリスクについて、提出されたリスクを横断的に俯瞰・比較し、47項目を抽出しました。
抽出に際しては内外の環境分析や経営層のヒアリングを行い、優先度はもとより、当社グループの中期経営計画や、置かれている環境等を考慮いたしました。また、一次的な検討を行ったそれぞれのリスクの現況やリスクシナリオ、機会や対応案について、記載レベルの平準化、統一化を行い確定させました。
③ リスクの特定(リスクマップ掲載事項)
②にて抽出された47の重要リスクについて、コンプライアンス委員会の委員それぞれから、リスクマップに掲載すべき事項、及び最優先事項について個別に意見を聞き、リスクマネジメント委員会での協議を経て、リスクマップに掲載すべき16項目を抽出しました。
④ 最重要リスクの特定
③にて抽出されたリスクマップ掲載事項となる16のリスク項目から、当社グループが最優先で対応し、ウォッチすべき最も重要なリスクを6項目特定しました。
(2)リスクの評価
リスクの評価方法は、各社各事業部門にて洗い出されたリスクについて、「影響度」と「発生頻度/発生可能性」を掛け合わせてスコアリングを行い、評価しました。
① 「影響度」について
人的な被害や、金銭的な損害、売上・利益の棄損、信用、監督官庁等からの処分・指導の5つの定義に基づき、それぞれの影響の大きさを「大・中・小」の3段階で評価しております。
② 「発生頻度・発生可能性」の評価について
「発生頻度」は当該リスクがどの程度の頻度で発生する可能性があるか、また「発生可能性」については、当該リスクの発生確率を当社所定の基準に従い「高・中・低」の3段階で評価しております。なお、リスクの項目により「頻度」あるいは「可能性」で評価することとしております。
なお、判断基準は次のとおりです。
リスク分析の判断基準
影響度 | 定義 | ||||||
等級 | 表記 | 人 | 金銭 | 売上/利益 | 信用 | 処分・指導 | |
3 | 大 | 顧客や従業員、ステークホルダーに死傷者が発生するもの | 1億円以上の財政的損失 | 売上高の目標(あるいは想定)を、10%以上の下方修正させる要因となるもの。 | ・営業利益、経常利益、当期純利益の目標(あるいは想定)のいずれかを、30%以上の下方修正させる要因となるもの。 | ・年単位の長期にわたり売り上げや利益に影響を及ぼす。 ・ステークホルダーとの良好な関係が破綻する。 | 監督官庁等から、免許停止処分以上の処分を受けるもの。 |
2 | 中 | 顧客や従業員、ステークホルダーに身体的・精神的な影響が相当程度およぶもの。 | 1,000万円以上、1億円未満の財政的損失 | 売上高の目標(あるいは想定)を、5%以上10%未満の下方修正させる要因となるもの。 | ・営業利益、経常利益、当期純利益の目標(あるいは想定)のいずれかを10%以上30%未満の下方修正させる要因となるもの。 | ・数か月に売り上げや利益に影響を及ぼす。 ・ステークホルダーとの間で一時的に良好な関係が停止する | 監督官庁等から、免許業上その他、法令や規約に基づく処分を受ける(処分内容が外部に開示される。) |
1 | 小 | 顧客や従業員、ステークホルダーに身体的・精神的な影響が軽微ながらおよぶもの。 | 1,000万円未満の財政的損失 | 売上高の目標(あるいは想定)を、5%未満の下方修正させる要因となるもの。 | ・営業利益、経常利益、当期純利益の目標(あるいは想定)のいずれかを10%未満の下方修正させる要因となるもの。 | ・一時的に売り上げや利益に影響を及ぼす。 ・ステークホルダーが当社に対し、不快な印象を持つ。 | 監督官庁等から、口頭注意、指摘を受ける(外部には開示されない)。 |
発生可能性(頻度) | 発生可能性(確率) | ||||
等級 | 表記 | 内容 | 等級 | 表記 | 内容 |
3 | 高 | 1年に1度以上の頻度 | 3 | 高 | 80%以上の確率で発生 |
2 | 中 | 数年に1度の頻度 | 2 | 中 | 20%以上80%未満の確率で発生 |
1 | 低 | 10年に1度の頻度 | 1 | 低 | 20%未満の確率 |
③ 「リスク」について
抽出された各リスクについて、関係する各社各部門がその現況をどのように理解し認識しているかについて、また当該リスクが顕在化した時に各社各部門において、どのようなことが想定されるのかを取りまとめております。
これらにより、漠然としたリスクを具体化し、リスク対応のイメージをより明確とさせています。
④ 「機会」について
当該リスクを「機会」と捉えたときに、どのようなシナリオが想定されるかを具体的にイメージさせ、リスクテイクしていく際の検討資料とします。
(3)リスクの対応
特定されたリスクに対する適切な対策や対処策を策定します。対処策にはリスクの軽減、回避、転嫁、受容などが含まれます。リスクが許容範囲内に収まるようにすべく、アクションレベルで具体的に記載します。
(4)リスクのモニタリングと報告
抽出されたリスク項目の内、リスクマップに掲載した16のリスク項目については、4半期に一度の頻度で開催されるリスクマネジメント委員会において、それぞれのリスクの状況をモニタリングし、必要に応じて戦略やプロセスの修正を行ってまいります。なお、最優先リスクとして特定された6項目につきましては、これらとは別により詳細に現況とリスクシナリオ、機会、リスク対応についての効果を確認することで、リスクの変動を追跡し、報告を行うとともに、必要に応じた修正や調整をより詳細に行います。
[体制図及び運用フロー]
4.当社グループの具体的なリスクについて
(1)リスクマップ
(2)重要リスク一覧
項番 | 重要リスク | リスクの内容 | 機会 | 対応 | 関連マテリアリティ |
1 | 不動産市場の動向 | ・経済政策の方針変更(法規制、法令解釈や運用方針の変更) ・ライフスタイルの変化(DINKs、共働き世帯の増加、高齢者のマンションへの住み替え、テレワークの進展) ・住宅ニーズの多様化 ・政治情勢、景気動向の変化 ・人口動態の変更 | ・新商品・サービスによる需要創出、成長機会の獲得 ・減税政策の要件緩和 ・用地・物件取得機会の増加 | ・情報収集活動の強化 ・購買層のニーズ反映 ・多様な商品の提供 ・多様な資金調達手法の取り組み強化 ・継続的なパフォーマンスのモニタリング、対策の実行 | 地域社会の持続的な成長の実現 |
2 | 自社ポートフォリオの管理 | ・事業の採算変化 ・事業の継続、撤退の判断時期 ・仕入や投資と期間回収の不均衡の発生 | ・自社グループ利益体質の最適化、安定化 ・予算精度向上による対外的信用の獲得 | ・社内システム等の活用による、事業部ごと、PJごとの損益、採算性の可視化の推進 ・ポートフォリオ会議等を行い、過度な仕入・投資の抑制 | コーポレート・ガバナンスの強化 |
項番 | 重要リスク | リスクの内容 | 機会 | 対応 | 関連マテリアリティ |
3 | 人材の確保 | ・人材の定着や流出 ・業務品質、競争力の保持 | ・業務の生産性、品質及び、競争力の向上 ・新しいアイデアやイノベーションの創出 | ・競争力のある待遇や福利厚生の提供 ・教育プログラムやトレーニングの充実化 ・多様な人材を受け入れる文化の醸成と、包括的な職場環境の提供 ・人事制度の適切な評価と運用 ・1on1 ・DXの導入推進 | 少子高齢化、労働人口減少への対応 |
4 | 金利市場の変化 | ・金利動向 ・資金繰り ・住宅ローン金利の動向による顧客購入マインドの変化 | ・資金の運用(株式・債権・出資) | ・固定金利の活用検討 ・LTVの適切な管理(LTV65%以内) | 地域社会の持続的な成長の実現 |
5 | 気候変動 | ・自然災害などの発生リスクの増加 ・環境配慮型商品の提供に伴うコスト増加 ・気候変動対策への取組み遅延による投資家からの低評価による株価への影響 ・温室効果ガスの使用・排出規制や省エネルギー規制の強化 ・法規制強化による建築基準の厳格化 | ・環境問題への関心の高まりによる再生可能エネルギー市場の活性化 ・環境配慮型商品や、災害に強い商品、建物に対する需要の高まり | ・再生可能エネルギー発電所の開発 ・二酸化炭素排出量の削減 ・シナリオ分析 ・外部評価機関の基準に沿った社内体制の構築 ・グリーン認証の取得 ・建物や施設の耐震化の推進 ・BCP体制の構築 | 気候変動・脱炭素化への対応・再生可能エネルギーの安定供給と利用促進 |
6 | 内部統制機能の維持・強化 | ・不正行為、誤報告、情報漏洩、等の発生 ・損失の発生、信頼性への影響 | ・業務プロセスの改善による組織全体のパフォーマンス向上 | ・リスクの早期発見による適切な管理 ・リスク評価と監査の実施 ・トレーニングと教育の提供 | リスクマネジメントの強化 |
7 | 原材料コストの変動 | ・利益率の変動による業績への影響 | ・コスト削減の機会 ・新たな供給源の開拓 | ・取り組むべきプロジェクトの取捨選択 ・長期契約の締結や価格固定契約の導入 ・商品先物取引やオプション取引の活用 ・予算見直しとプロジェクトの再評価の定期実施 | 地域社会の持続的な成長の実現 |
項番 | 重要リスク | リスクの内容 | 機会 | 対応 | 関連マテリアリティ |
8 | 再エネ市場の変化 | ・政策の変更、FIT制度変更による事業機会の変化 ・原子力発電所の再稼働 ・送電網等インフラ設備の維持管理 ・脱炭素化トレンドの変更 ・発電所開発における生態系への影響 ・新技術の開発、台頭 ・電力会社の出力抑制要請(再生エネルギー電力の供給過多) | ・再エネニーズの拡大による、売電価格の上昇 ・環境への貢献企業としてのブランディング ・FITに代わる新制度の導入 | ・電源の多様化推進 ・長期売電契約の締結 ・エネルギー企業との提携 ・PPAなど新たな事業への取り組み ・エネルギー事業におけるエリア戦略の実施 | 再生可能エネルギーの安定供給と利用促進 |
9 | 労務環境 | ・生産性やモチベーションへの影響 ・人材の流動化 ・ハラスメントの発生 ・労働時間による心身への影響 | ・従業員の満足度とモラールの向上 ・従業員の生産性が向上 ・優秀な人材の確保 | ・モニタリングの実施 ・相談・通報窓口の整備 ・違反者への罰則 ・規則やポリシーの策定 ・柔軟な労働制度の導入 ・定期的な健康診断やストレス管理プログラム ・福利厚生制度の充実 | 従業員の健康と安全の確保・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進 |
10 | DX推進への対応 | ・企業競争力への影響 ・情報管理等に関する評判等への影響 ・業務遂行への影響 | ・コスト削減 ・生産性の向上 ・顧客満足度の向上 | ・DX・ITを推進するための組織文化の変革 ・従業員のスキルアップや継続的な学習の機会の提供 ・適切なセキュリティ対策の実施 | 少子高齢化、労働人口減少への対応 |
11 | 役職員の不正 | ・レピュテーションや評判への影響 ・企業のイメージやブランド価値への影響 ・法的な問題や財務上の問題発生 | ・適切な対応による評価の実施 ・不正行為の予防し、早期発見 ・不正行為に対する抵抗力の増進 | ・研修の実施 ・法改正情報の発信 ・発生時の対応マニュアルの策定、運用 ・内部統制の強化 ・不正行為に対するリスクの共有 ・クローバック条項の導入 | 企業倫理、コンプライアンスの徹底 |
項番 | 重要リスク | リスクの内容 | 機会 | 対応 | 関連マテリアリティ |
12 | 情報管理体制 | ・機密情報の管理体制 ・企業の信頼性への影響 ・法令違反や規制違反による罰金や法的責任 | ・顧客の信頼を獲得 ・企業の信頼性向上 ・顧客満足度の向上 ・業務の迅速化 ・品質の向上 | ・情報セキュリティポリシー、プライバシーポリシーの策定・運用 ・定期的な情報セキュリティ監査やリスク評価の実施 ・システムやデータベースへのアクセス制限 ・ファイアウォールやセキュリティソフトウェアの導入推進 ・従業員に対する定期的なトレーニングや教育の実施 | リスクマネジメントの強化 |
13 | 品質管理の維持 | ・顧客満足度への影響 ・法的責任の発生 | ・顧客満足度の向上 ・ブランド価値の向上 | ・厳格な品質管理システムの導入 ・定期的な品質監査と改善活動 ・教育とトレーニングの強化 | 地域社会の持続的な成長の実現・人権の尊重、サプライチェーンへの対応 |
14 | 取引先の与信管理 (反社取引) | ・企業の評判や法的責任の発生 | ・顧客に対する安心の提供 ・法的リスクの回避 | ・KYCポリシーの策定、運用 ・トレーニングと教育 ・不審な取引や顧客行動のモニタリングの実施 | リスクマネジメントの強化 |
15 | 監督官庁への対応 | ・法的な義務違反や規制違反による罰金や法的責任 ・企業の信頼性や評判にも影響 | ・企業の信頼性の向上 ・業務プロセスの改善 | ・研修の実施 ・宅建試験他管理者資格の取得推進 ・報告や届出の義務を遵守するためのプロセスと責任者の明確化 ・報告と届出の期限の監視 | リスクマネジメントの強化 |
16 | 新規事業への参入 | ・新規市場や、関連する法規制への理解浸透 ・資金調達 ・新規事業の採算性 ・地域社会との関係 | ・成長の機会の提供 ・競争力の強化 | ・市場のニーズや競合状況の把握 ・地域とのパートナーシップの構築 ・撤退基準の明確化 | 再生可能エネルギーの安定供給と利用促進・地域社会の持続的な成長の実現 |
(3)最重要リスク説明
① 不動産市場の動向
大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 事業環境リスク |
小分類 | 不動産市場の動向 | 担当部署(本部/部) | グループ経営企画部 |
発生頻度/可能性 | 高 | リスク影響度 | 大 |
リスクシナリオ | 当社グループでは不動産関連事業がその収益の多くを占めております。よって、不動産市場の動向を的確に捉えることは、当社の今後を左右する最重要事項であり、特に住宅需要の変化には注視しております。住宅需要は、景気動向をはじめ、お客様のライフスタイルの変化の影響を受けやすく、また、住宅取得に関する国の各種施策や、その他の不動産を取り巻く法規や規制やルールの制定や改廃、解釈の変更等の影響を受け、更には国や地域の人口動態の影響も看過できないものであります。 | ||
機会 | 新商品や新サービスの創出のきっかけとなり、用地・物件取得機会の増加が見込まれます。 不動産市場動向に左右されない、不動産事業以外の事業の模索や拡大が見込まれます。 | ||
対応策 | 不動産市場の動向については、経営企画部門において、月に1度、外部の専門家を交えた定期的な情報交換を行うとともに、その動向について社内に共有を行っております。市場のトレンドやニーズについては、当社の製販一体のメリットを生かし、顧客趣向や購買動向を、商品企画に反映できる体制を構築しており、これにより多様な商品の提供を行っております。 また、経済動向を見据え多様な資金調達手法について検討と取り組みを強化しており、これにより市場の変動に柔軟に対応できる仕組みづくりを行っております。 また、不動産事業のみに依存しない事業ポートフォリオの構築を進めております。主にはストック事業であるエネルギー事業、フィー事業であるアセットマネジメント事業の拡大を図っており、安定収益の確保に注力しております。 |
② 自社ポートフォリオ管理
大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 事業内容リスク |
小分類 | 自社のポートフォリオ管理 | 担当部署(本部/部) | グループ財務部 グループ経営企画部 |
発生頻度/可能性 | 高 | リスク影響度 | 中 |
現況及び リスクシナリオ | 当社グループでは不動産事業を中心に、エネルギー事業、アセットマネジメント事業に取り組んでおります。これら3つのセグメントにおいて、個別の事業の採算性の検討は非常に重要なテーマであり、これら事業のバランスの良いポートフォリオを保持することは、当社グループの永続的な発展に必要不可欠です。よってこれらそれぞれの事業セグメントにおいては、個別の事業の採算性や、事業の継続・撤退の判断を迅速に行うことが求められ、また、当社グループが目標として掲げている財務指標のコントロールは、リスク管理の観点からは欠かせない要素となります。 | ||
機会 | 効果的な資産配分と投資戦略を実施することで、高いリターンを追求できます。また、多様なセグメントに投資することで、リスクを分散しつつ収益機会を広げることができます。 最適な事業ポートフォリオの構築により、収益性の高い事業への集中投資により、リターンを増加させる機会となります。 | ||
対応策 | 月に1度、ポートフォリオ会議を開催し、会社の状況を過度な投資や事業用不動産等の取得を抑制しております。また、社内システムを活用し、事業部ごとに事業の採算性が正確に把握できるような仕組みの構築を進めております。 |
③ 金利市場の変化
大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 事業環境リスク |
小分類 | 金利市場の変化 | 担当部署(本部/部) | グループ財務部 |
発生頻度/可能性 | 高 | リスク影響度 | 大 |
現況及び リスクシナリオ | 当社グループは、事業の運営・発展のため、金融機関等から短期及び長期の有利子負債を調達しています。新規の資金調達が必要となる場合、市場金利の上昇局面においては資金調達コストが増加する可能性があります。また、市場金利の上昇は、住宅購入者の購買意欲の減退や、投資家の要求する不動産の期待利回りの上昇をもたらすことで、当社グループの分譲収益の減少や所有資産の価値の下落に繋がるおそれがあり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。 | ||
機会 | 金利上昇局面においては、短期的に企業負担があるものの、預金金利も合わせて上昇することから、長期的には個人の資産増が期待されます。 個人資金の増加により消費が増大し、それに伴い企業活動が活性化し設備投資意欲が増加することが見込まれます。 | ||
対応策 | 借入金による資金調達にあたっては、借入期間の長期化・固定金利化を進めるとともに、多様な金融機関との安定的な関係性の構築を進め、短期的な金利上昇のリスクへの対応を図ってまいります。また、今後の金利動向による、住宅ローン金利の動向や不動産取引市場におけるキャップレートの変動には、引き続き注視するとともに、今後もバランスシートの適正なコントロールを通じて、金利上昇リスクの軽減に努めてまいります。 |
④ 気候変動
大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 事業環境リスク |
小分類 | 気候変動 | 担当部署(本部/部) | コーポレート コミュニケーション室 |
発生頻度/可能性 | 高 | リスク影響度 | 中 |
現況及び リスクシナリオ | 温室効果ガスの使用・排出規制や省エネルギー規制、気候変動に起因する自然災害や事故などの発生は、当社の事業拠点やサプライチェーン、顧客に影響がおよぶ可能性があります。特に、国の政策としての法規制の強化は、マンション等の建築物に対する省エネ基準の厳格化や、環境配慮型商品の採用・提供等が求められることに繋がり、これに伴い当社の収益面に影響が生じる可能性があります。また、当社グループにおける気候変動への取組み状況は、投資家の当社への投資判断に影響を及ぼすことが考えられます。 これらのリスクを適切に評価し、対策を講じることが重要です。気候変動への適応策の構築や省エネルギー化による環境負荷の少ない開発、脱炭素化に寄与する事業展開など、リスク軽減のための取り組みを進めることが求められます。 | ||
機会 | 当社グループでは、エネルギー事業を成長事業と位置付けており、再生可能エネルギーの需要拡大は重要な機会として捉えています。発電規模及び関連サービスの提供を拡大することで、他社との差別化を図り競争力を高めることができます。また、低排出な設備や再エネ電力の導入、防災への関心の高まりは、住宅においては住み替えや修繕の需要を生み、また、そのような需要を喚起することで、当社事業の成長を促進する機会となります。 | ||
対応策 | 再生可能エネルギー発電所の開発を推進するとともに、環境性能の高い物件開発や物件における再エネ活用を推進し、環境への負荷を最小限に抑える取り組みを徹底します。また、四半期に一度開催されるサステナビリティ委員会にて、気候変動ポリシー・温室効果ガス削減計画に基づく審議を行い、必要な社内体制構築を進めるなど、組織全体で事業推進における温室効果ガス削減に取り組みます。 |
⑤ 内部統制機能の維持・強化
大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 組織・ガバナンスリスク |
小分類 | 内部統制機能の維持・強化 | 担当部署(本部/部) | グループ経営企画部 グループ内部監査室 |
発生頻度/可能性 | 中 | リスク影響度 | 大 |
現況及び リスクシナリオ | 内部統制の重要性は論を待たず、当社グループとしてもその拡充はグループ各社にガバナンスを利かせる有効な方策であり、不正行為やコンプライアンス抵触事案の発生抑止、また万一発生した際の迅速な対応へと繋がるものと考えており、今後もその拡充と充実化を図っていきたいと考えております。 | ||
機会 | リスクの早期発見やリスクの適切な管理を行うことで、企業の信頼度の向上とともに、永続的な事業提供に繋がります。また、業務プロセス改善等により、組織全体のパフォーマンスが向上します。 | ||
対応策 | 内部統制に関わる人員を増員するとともに、内部統制に対するトレーニングと教育を実施・提供することで、機能の強化をはかっております。また、監査とあわせてリスク項目のモニタリングが行われることで、内部統制機能の更なる強化を図ってまいります。 |
⑥ 労務環境
大分類 | オペレーショナルリスク | 中分類 | 人事労務 |
小分類 | 労務環境 | 担当部署(本部/部) | グループ人事部 |
発生頻度/可能性 | 中 | リスク影響度 | 高 |
現況及び リスクシナリオ | 労務環境は、労働者の健康と安全、企業の生産性と持続可能性、法令遵守、社会的評価など多方面に渡り、企業において重要なファクターであると認識しております。 特に昨今では適正労働時間の管理はもとより、リモートワークへの対応や従業員への健康管理等、従業員が健全に就業できる職場環境の構築が、優秀な人材の確保やその定着に大きく影響するものと考えております。 現在当社では Well-beingの方針のもと、その環境構築のため在宅勤務の適用拡大や従業員幸福度のサーベイに基づいた各種施策の投下、またハラスメント防止を目的とした研修などを実施しております。 従業員の健全な労務環境の整備の不備・遅延は、優秀な人材の確保やモチベーション低下による生産性に影響を及ぼすだけではなく、当社の社会的評価の低下にもつながり、事業を継続していくうえで競争劣位になるリスクを含んでいるものと考えております。 | ||
機会 | 本リスクに対し、周りに先んじた社会環境に応じた労務環境構築、法令順守した環境を構築することにより、優秀な人材の確保や生産性の向上をもたらし、当社事業継続において優位に働くものと考えております。 | ||
対応策 | 労働環境においてはグループ人事部にてグループ各社の労働時間の月次管理を行い、そのチェック体制の構築とそのリスクに軽減に努めております。 従業員のエンゲージメントに関しては、人事制度における評価の運用の質の向上や、1on1による風通しの良い職場環境の構築、また幸福度調査実施による従業員の状況把握とその結果に基づいた改善策のKPIを設定し、その推進に務めております。また取締役の評価にも従業員のエンゲージメント向上の項目を組み込んでおり、経営レベルでの取り組みを行っております。 |
5.危機管理体制(クライシスマネジメント)
当社は、不測の事態が発生した場合に迅速かつ的確に対応を行うために、危機管理体制を整備しています。事業にもたらす損害の影響度に応じ危機を以下の4段階の管理レベル分けし、危機管理チームを設置し対応にあたります。
(1)委員会体制
危機が発生した場合、対策組織長が危機の管理レベルに応じて直ちに対策組織の設置を命じ、事態の早期終息を図ります。
| 管理レベルA | 管理レベルB | 管理レベルC | 管理レベルD |
対 策 組 織 | 設置区分 | 対策組織設置 | 各部署 | |
対策組織長(※1) | 社長 | 総務業務管掌役員、経営企画業務管掌役員 | ||
事務局長:総務業務管掌役員(※2) | ||||
事務局 | 総務業務担当部署 | - | ||
主管部署 | 対象危機に対する直接責任部署、または 対策組織に指名された部署 |
連絡窓口 | 総務業務担当部署 |
管理レベルの設定 | 管理レベルの決裁は社長が行う (不在の場合は、グループCROとし、尚も不在の場合には総務業務管掌役員が代行する) |
※1 対策組織長が出張等により不在の場合は、管理レベルA、BについてはグループCROが代行し、尚も不在の場合は総務業務管掌役員がこれを代行する。
管理レベルC、Dにおいては発生した危機に基づく職責に応じた最上位の者が責任者を代行する。
※2 対策組織長を代行する等事務局長が不在の場合、管理レベルA・Bは総務業務担当部署の長が代行する。
(2)委員会構成(メンバー)
危機の管理レベルA、Bは、対策組織長を社長、事務局長を総務業務管掌の本部長として、危機の管理レベルC、Dは、発生した対象危機について業務分掌表に基づく職責ある各部署を主管部署として委員会を構成します。
(3)運用基準
対象危機に対して対策組織長である社長が管理レベルの設定を行います。管理レベルA・Bは、対策組織長を社長として事務局を設置し、管理レベルC・Dは、対策組織長を各事業本部長(または本部長)として責任部署を指名し、危機対応にあたります。
<事業継続計画(BCP)>
当社は、地震などの大規模自然災害や感染症、人為的な災害(戦争、テロ、事故等)の事態が発生した場合において、可能な限り事業を維持し早期復旧するために事業継続計画(BCP)策定の取組みをしています。
(1)基本方針
当社は従業員の安全を確保し、組織全体の事業活動を可能な限り維持または早期復旧に努めることで、ステークホルダーに対して社会的責任を果たすことを基本方針とします。
(2)運用体制(サイクル)
当社は、グループ全体に影響を与える可能性のある重大事項等は、即時報告として情報を把握して必要に応じて意思決定を行います。即時報告に該当する項目は以下のとおりです。
符号 | 項目 | 例 |
1 | 人命に関する重大事項 | 従業員や事業に関する者等における死亡者の発生 |
2 | 資産の保全に関する重大事項 | 保有資産・建設現場等に火災・倒壊等の重大被害が発生 |
3 | 事業継続に関する重大事項 | 重要業務が継続困難となる状況の発生(システム障害、資金の枯渇、本社立入禁止等) |
4 | 企業としての信用に関する事項 | 個人情報流出等の法的紛争が生じる危険性を含む事項、顧客トラブル等レピュテーションリスクに繋がる可能性がある事項、対外広報に関する事項 |
5 | その他グループに重大な損害を生じさせるおそれがある事項 |
即時報告に該当しない項目は、定期報告として発災3時間後を第一報として、以降17時まで3時間ごとに情報を把握し、発災翌日以降から1週間が経過するまで行います。
事業継続計画(BCP)の策定に伴い、事業継続マネジメント(BCM)の体制を構築し、BCPの実効性をPDCAのサイクルのもとブラッシュアップを行い、定期的な教育、訓練、見直しをします。
(3)BCP対応範囲
当社の組織全体の操業度が著しく低下し、復旧まで時間がかかる局面を対応範囲とします。
(4)発動基準
当社は、日本国内及び海外事業拠点に震度6弱以上の地震の発生時、または不測の事態により組織全体の事業継続が維持できない等の非常事態の発生時に、対策組織長がBCPを発動するものとします。
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