LINEヤフー 【東証プライム:4689】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
1.サステナビリティ全般
(1)ガバナンス
当社グループは、自らの社会的責任を果たし、社会・環境の持続的な発展を目指すために、代表取締役社長を最終責任者としグループCFOをオーナーとする「ESG推進コミッティ」を設置しています。「ESG推進コミッティ」では、各グループ会社のCSR推進部門、コーポレート部門、事業部門と連携し、重点課題(マテリアリティ)やESG施策を推進しています。
「ESG推進コミッティ」のオーナーであるグループCFOは、ESG関連課題にコミットし、代表取締役社長と定期的に会合を持ち、必要に応じ最高経営会議・取締役会等に提言を行っています。また、独立社外取締役で構成された「ガバナンス委員会」においても、「ESG推進コミッティ」で検討・審議された課題への対応方針等を確認し、取締役会への報告を行っています。さらに当社は、代表取締役社長が委員長をつとめ、専務執行役員、常務執行役員等で構成されるリスクマネジメント委員会に連なる組織として、「環境分科会」および「人権分科会」を設置しています。これらの分科会では、グループ各社の環境・人権責任者が委員に就任し、当社グループとしての方針・施策検討や、グループ各社における施策の推進等を進めています。また、役員報酬にサステナビリティ評価(社会的貢献の達成度等)を組み込むことで、ESG推進における経営層の関与の深化を図っています。
(2)戦略
当社グループは、「UPDATE THE WORLD-情報技術のチカラで、すべての人に無限の可能性を。」をミッションとしています。私たちは事業を通じて社会にポジティブなインパクトをもたらすと共に、地球環境や人権等を含めた社会課題に向き合い、未来世代に責任を持ったサステナビリティ経営を推進していきます。推進にあたって、以下のサステナビリティ基本方針と6つのマテリアリティ(重要課題)を定めています。
1.サステナビリティを社会、事業の両軸で捉え推進する
2.グループ各社の特性を活かしながら、一丸となってサステナビリティに取り組む
3.前例に捉われずにチャレンジし、イノベーションを継続的に生む努力をする
① マテリアリティ策定プロセス
当社グループは、誰もが安心して「もっと自由に」「もっと自在に」インターネットのチカラを利活用できる未来を、ステークホルダーと共に創っていく意志を持って、重点課題(マテリアリティ)を策定しています。
② 評価マップ
ステークホルダーの期待と、当社内での分析を踏まえ、GRIスタンダード、主要なESG評価項目等を参考に、社会からの要請に照らして自社の活動を整理し、ステークホルダーと当社の双方にとって重要性の高い項目を抽出しました。
③ 特定マテリアリティ
評価マップを踏まえ、当社グループのミッション・ビジョンを実現する「6つのマテリアリティ」を特定しました。
④ サステナビリティに関するリスクと機会
当社は、グループ各社の重要なリスク等を考慮の上リスクカテゴリーを設定し、サステナビリティに関するリスクを含め網羅的にリスクを捉えています。内部環境や外部環境の分析、経営層や実務責任者による認識を踏まえ、特に重要度が高いリスクをグループトップリスクと位置づけています。グループトップリスクは、環境変化等による影響を考慮しながら適宜見直し、優先度をつけて対応策を実行し、進捗のモニタリングを行っています。リスクカテゴリーおよびグループトップリスクは「3 事業等のリスク」をご参照ください。なお、当社ならびに中核完全子会社であるLINE(株)およびヤフー(株)を中心に2023年10月1日を効力発生日としてグループ内再編を予定しており、機会については新会社における経営戦略とも連動させながら、開示を検討してまいります。その他、気候変動に関するリスクと機会については、サステナビリティに関する考え方及び取組内の「3. 気候変動に対する取り組み」をご参照ください。
(3)リスク管理
当社は、リスクマネジメント最高責任者を代表取締役社長としたリスクマネジメント体制を構築し、リスクの特定、分析、評価、対応等のERMプロセスを円滑に実施することにより、リスクの低減、未然防止等を図っています。リスク管理の詳細は「3 事業等のリスク」をご参照ください。
(4)指標と目標
当社グループは特定したマテリアリティ毎に「実現に向けた取り組み」と「評価指標」※をまとめました。今後も評価指標の実績や具体的な事例等、サステナビリティサイトにおいて開示の拡充に努めます。「実現に向けた取り組み」と「評価指標」は、事業環境や社会情勢の変化に応じてUPDATEしていきます。ステークホルダーの皆さまとの対話を続けながら、インターネットのチカラを利活用できる未来の実現に向けて努めてまいります。なお、当社ならびに中核完全子会社であるLINE(株)およびヤフー(株)を中心に2023年10月1日を効力発生日としてグループ内再編を予定しており、目標に関しては新会社における経営戦略とも連動させながら、開示を検討してまいります。
※「評価指標」は取り組みの進捗をグループ内で把握し、更なる施策を検討する目的で設定しているため非開示情報を含みます。
※主な開示実績は以下サイトよりご覧ください。
https://www.z-holdings.co.jp/sustainability/stakeholder/01/#anc6
① データ/AIを活用した新たな体験(WOW/!)の提供
便利で感動的なユーザー体験は、新たな機能や優れたUI/UXの提供に加え、データ/AIを駆使したアプローチから生まれます。当社の存在意義は、多様なサービスのクロスユースを促進し、データ連携によりデータの質を高めた上でAI解析を行うという手順を効果的に繰り返し、新たな体験を生み出すことにあります。そのために体制構築・技術投資・教育等を推進してまいります。
実現に向けた取り組み | 評価指標 |
データ連携の推進とクロスユースの促進 | ・国内総利用者数 |
データAI活用方針と体制の構築(UPDATE) | ・AI倫理基本方針の適切な内容への見直し |
AIのサービス開発促進に向けた技術投資・教育の推進 | ・パテントスコア(特許の注目度を指標化) |
② 安心・安全なデジタルプラットフォームの運営
安心・安全なITサービスの提供は、社会のニーズであり、信頼、評価につながります。そのためには、事故ゼロを目指したグループ横断的な教育の実施が不可欠であると考えます。また、デジタルプラットフォーマーとしての責任として健全な運用の仕組みを構築し、その取り組み内容を透明性を持って開示してまいります。
実現に向けた取り組み | 評価指標 |
健全な運用の仕組みを構築 | [内部統制] ・開発工程チェックリストの作成と運用の徹底 ・透明性レポートの開示 [外部連携] |
セキュリティ・プライバシー保護関連の教育や技術の向上 | ・セキュリティ・プライバシー関連教育の実施(受講者数、受講率、実施回数) |
セキュリティ関連事故の低減・防止 | ・セキュリティ関連の第三者認証 |
③ しなやかで強靭な社会基盤の構築
不確実が増す世界は、社会のレジリエンスを高める必要に迫られています。デジタライゼーションにより新たな顧客体験の提供や新たな事業価値を創造してきた当社グループは、より長期的、より広い視野に立ち、社会基盤の構築に貢献していきたいと考えます。そのために、「防災・減災と復興支援」「3R推進」「DX推進」「情報格差の是正」を重点領域とし、社会と連携して取り組んでまいります。
実現に向けた取り組み | 評価指標 |
情報技術を活用した防災・減災の推進と復興時までの社会支援 | ・自治体との支援協定数による人口カバー率 |
リデュース・リユース・リサイクル(3R)の推進 | ・リユース事業取扱高 |
DX推進 | ・LINE公式アカウント数 |
サービスの継続提供と情報格差是正に向けた社会的アプローチを推進 | ・BCP関連指標(BPO、RTO、RLO等)によるマネジメント 上記リテラシー向上プログラムそれぞれの受講者・採用自治体の 人口カバー率 |
④ 人財の強化
「採用」「多様性」「学び・経験」「Well-being」という4つの視点から、人財の育成・強化に取り組み、新たな価値創造、成長戦略の実現に貢献してまいります。
実現に向けた取り組み | 評価指標 |
各社・グループの成長戦略実現に寄与する採用・人財獲得の推進 | ・新卒採用人数 |
新たな価値創出につながる多様性の確保 | ・男女管理職比率、男女管理職登用人数比率 |
学び・経験機会の創出 | ・研修時間 |
Well-beingの向上 | ・健康診断受診率 |
⑤ 未来世代に向けた地球環境への責任
事業活動にともなう環境負荷の低減、廃棄物対策、水資源、生物多様性の保全に取り組み、国際環境イニシアチブに賛同し国際社会と協調した中長期的目標を定め地球環境対策を推進します。
実現に向けた取り組み | 評価指標 |
気候変動への取り組み(脱炭素) | ・スコープ1&2のCO2排出量 |
自然資本の持続的な活用への取り組み | ・リサイクル率 |
環境領域への継続的な投資 | ・再エネ電力調達(再エネプラン、非化石証書、グリーン電力証書費) |
⑥ グループガバナンスの強化
業界・事業のスピード・成長に合わせた当社らしいグループガバナンスの体制を構築・向上させてまいります。特に人権やデータガバナンス等、中長期にわたる継続的な取り組みが必要な領域は、リスクマネジメント委員会(分科会)を中心に、取り組みを推進していきます。また、コーポレート・ガバナンスの強化を目的として取締役会の実効性をさらに高め、当社グループの企業価値向上を図ることを目指します。
実現に向けた取り組み | 評価指標 |
グローバルな水準のデータガバナンス体制の構築 | ・データガバナンス分科会の活動実態・充実化 |
人権に関する基本方針(人権ポリシー)の遵守と推進 | ・サプライチェーンを含む人権デューデリジェンスの実施 |
「当社らしさ」のあるコーポレート・ガバナンス体制の構築・向上 | ・取締役会実効性評価の内容(コーポレート・ガバナンス報告書等での報告) |
2.人的資本・多様性に対する取り組み
(1)戦略
AI人財をはじめとした「多様な価値を生み出す人財の育成・強化」は、当社グループの競争力の源泉と考え、「採用(人財獲得)」「多様性」「学び・経験」「Well-being」という4つの視点から、人財の育成・強化を進め、新たな価値創造、成長戦略の実現を目指し取り組んでいます。
例えば、「学び・経験」の側面では、より多くの学びや経験機会を創出するため、企業内大学「Zアカデミア」や社内のAI人材を育成する「Z AIアカデミア」を開設し、グループ全体のAIに関するナレッジ・実践力の底上げ・人材育成を図ってきました。ヤフー(株)では、複数の技術研修や各種人事制度を通じて優秀なIT人材の採用・育成を行っており、プログラミング未経験の社員へITに関する教育を行う取り組みも行っています。2022年11月には、IT人材不足の課題に向き合い、プログラミング未経験者からエンジニアへのリスキリングを支援する「Yahoo!テックアカデミー」も開設しました。またLINE(株)では、LINE流のプロダクトの作り方やチームで働くことを体感するプログラムとして職種横断のハッカソン型のプロダクト開発を実施しています。
また、従業員ひとりひとりの心身の健康とパフォーマンスを引き出すための多様な働き方の実現やWell-beingの向上にも積極的に取り組んでいます。
その結果、当社は、経済産業省および日本健康会議による「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」通称「ホワイト500」に5年連続で認定を受けています。
これらの方針の実現を進めるにあたっては、「採用・人財獲得」「多様性」「学び・経験」「Well-being」4つの視点から、それぞれ評価すべき指標を特定し、その状況をモニタリングしています。
(2)指標と目標
実現に向けた取り組み | 評価指標 | 2021年度※ | |
各社・グループの成長戦略実現に寄与する採用・人財獲得の推進 | 新卒採用人数 | 553名 | |
中途採用人数 | 2,221名 | ||
新規採用男女比率 | 女性 | 34.7% | |
男性 | 65.3% | ||
新たな価値創出につながる多様性の確保 | 男女管理職比率 | 女性 | 21.9% |
男性 | 78.1% | ||
男女管理職登用人数比率 | 女性 | 27.4% | |
男性 | 72.6% | ||
外国人比率 | 19.0% | ||
障がい者雇用率 | 2.1% | ||
男女の平均年間給与(中央値)比率 | 1.21:1 | ||
育児休業取得率(男女) | 女性 | 100% | |
男性 | 41.8% | ||
学び・経験機会の創出 | 従業員一人あたりの研修時間 | 37時間 | |
従業員一人あたりの研修費用 | 132,358円 | ||
Well-beingの向上 | 健康診断受診率 | 91.6% | |
ストレスチェック受験率 | 86.1% | ||
ハラスメントチェック受講率 | 79.4% | ||
有給休暇取得率 | 64.4% | ||
新しい働き方の浸透度(テレワーク利用者数等) | 91.0% |
※2021年度の集計数値となります。2022年度数値は2023年6月末日までにサステナビリティサイトにて公開予定です。
https://www.z-holdings.co.jp/sustainability/stakeholder/esg/#anc2
当社ならびに中核完全子会社であるLINE(株)およびヤフー(株)を中心に2023年10月1日を効力発生日としてグループ内再編を予定しており、今後の方針や指標ならびに目標に関しても、改めて新会社における経営戦略とも連動させながら、見直しを進めていくこととしています。
3.気候変動に対する取り組み
(1)ガバナンス
当社グループは取締役会の監督のもと、代表取締役社長が最終責任者となり、グループCFO(最高財務責任者)をオーナーに任命した「ESG推進コミッティ」を設置し、気候変動対応・水資源の保全・生物多様性保全・資源循環社会の構築等を推進しています。「ガバナンス委員会」においても、「ESG推進コミッティ」で検討・審議された環境課題への対応方針等を確認し、取締役会への報告を行っています。環境領域は全社ERMの観点からも重要な領域と認識し、リスクマネジメント委員会に連なる「環境分科会」を2022年に発足し、気候変動に伴う大規模自然災害、感染症の拡大等のリスクを想定し、環境負荷、環境影響へのリスクアセスメントを実施しています。経営リスクを分析するリスクマネジメント委員会と連携し、グループのESG推進に取り組んでいます。
気候変動対策への取り組みは、重要な経営課題と認識しておりマテリアリティ(未来世代に向けた地球環境への責任)に特定しています。また、「環境基本方針」を制定しています。
<環境基本方針>
私たちZホールディングスおよびZホールディングスのグループ会社で構成されるZホールディングスグループは、情報技術の活用により、未来世代に向けた地球環境保全への取り組みを継続的に実践します。
1. 脱炭素社会の実現
環境負荷低減の中期目標を設定し、その達成に向けサプライチェーンと共に取り組みます
2. 自然資本の保全
・事業による生態系への影響に配慮し、持続可能な調達、廃棄物対策および
水資源・生物多様性の保全に努めます
・地球環境保全の取り組みを支援します
3. 法令遵守と国際的責任の遂行
・環境問題を重要視し、リスク低減に努めます
・環境保全に関わる国内法令を遵守します
・国際環境イニシアチブに賛同し、国際社会と協調して気候変動対策に取り組みます
4. サービスを通じた、社会との連携
・気候変動にともなう自然災害に対して、自治体との連携や防災・減災サービスなどを通じ
社会と連携します
・持続可能な社会の実現に向け、循環型サービスを拡充します
5. 未来を創る、教育・啓発活動
社員の一人ひとりが、環境問題の重要性を理解し、環境に配慮したサービスの改善や
イノベーションの創出ができるよう、教育・啓発活動を行います
(2)戦略
気候変動は重要な経営課題と認識しておりマテリアリティ(未来世代に向けた地球環境への責任)に特定しています。実現に向けてITのチカラを活用し、当社グループおよびサプライチェーンと共に電力の再エネ化等脱炭素社会の実現をめざしていきます。また、これら自然資本への配慮を、社会の幅広いステークホルダーの皆様と連携を深める事業機会としても捉え、チャレンジし続けていきます。
緩和へ向けた移行計画:
当社グループはグループ全社の事業活動での温室効果ガス排出量を2030年度までに実質ゼロにする「2030カーボンニュートラル宣言」を2022年2月に発表しました。データセンターで利用する電力を再生可能エネルギーに切り替える等、100%再生可能エネルギー化に取り組んでいます。2030年度の達成に向けて、まずは2025年度頃までに、80%以上を再生可能エネルギー化し、その後の5年間で100%再生可能エネルギー化および電気自動車の導入を進めます。
短期・中期・長期のリスクと機会:
気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、2020年6月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)賛同表明を行いました。TCFD提言を参照し、短期:2022~2025年、中期:2025~2030年、長期:2030~2050年、と期間を区切って特定し、短期・中期・長期のリスクと機会を分類し開示しています。
リスクと機会
※短期:2022~2025年、中期:2025~2030年、長期:2030~2050年
TCFD提言に基づくリスクと機会の分類 | 想定される主なリスクと機会 ● は重要度が高い項目 | 時間軸 | ||
リスク | 移行リスク | 法や規制に関するリスク | ● 炭素税・排出量取引の開始 <当社グループのリスク> ・炭素税や排出量取引の導入によるコスト増加 | 短~中期 |
テクノロジーリスク | 電力・エネルギー価格の推移 <当社グループのリスク> ・火力発電廃止に伴う電力不足や電力価格の高騰に伴うコスト増加 | 短~中期 | ||
消費電力・エネルギーの増加 <当社グループのリスク> ・消費電力やエネルギーが増えることによるコスト増加 ・非常用電源の必要性が高まることによるコスト増加 ・車両の脱炭素化に伴うコスト増加 | 短~中期 | |||
市場リスク | ● ビジネス自粛や消費者心理の冷え込み <当社グループのリスク> ・コマース領域をはじめ個人購買行動の減少 ・イベント中止の頻発による売上減少 | 短~中期 | ||
顧客の行動変化 <当社グループのリスク> ・生活必需品等における正常な流通がなされなくなるリスク ・プラットフォーマーとしてのオペレーションコスト増加 | 短~中期 | |||
レピュテーションリスク | 気候変動対策への遅れ <当社グループのリスク> ・ステークホルダーからの信頼低下とブランド力の低下 ・取引先対象として選定される機会低下に伴う売上減少 ・気候変動意識が高い将来世代の人財獲得の困難化 | 短期 | ||
気候変動対策に遅れている企業との取引 <当社グループのリスク> ・ステークホルダーからの信頼低下とブランド力の低下 ・該当する企業との取引停止に伴う売り上げ減少 | 短期 | |||
物理的リスク | 急性リスク | ● 異常気象の激甚化 <当社グループのリスク> ・データセンターのダウンによる機能低下やデータ欠損の発生 ・アクセスの過負荷や集中が発生する頻度の上昇リスク ・事業所やデータセンターの機能停止に伴うサービスの停止 ・事業所やデータセンターの高所または高緯度への移設 ・施設の損壊による改修等に係るコストの発生 ・水冷に頼らないデータセンターの新設 ・物流サービスの停止リスク ・取引先の事業停止リスク | 短~中期 | |
慢性リスク | 気候パターンの変化 平均気温の上昇 <当社グループのリスク> ・屋外での活動を低下または停止せざるをえないリスク ・メディア等主要サービスの人員分散化 ・傷病者の増加による業務遂行への影響 ・通勤規制による業務遂行への影響 ・サプライチェーン調達コストの上昇 ・生活に適した地域の地価高騰 ・水利用に関する上流下流の追跡、確認 ・災害BCPの強化 | 中~長期 |
TCFD提言に基づくリスクと機会の分類 | 想定される主なリスクと機会 ● は重要度が高い項目 | 時間軸 | |
機会 | 資源効率 | ● 技術革新 <当社グループの機会> ・省エネ、水利用量の削減、廃棄物処理等資源効率の向上によるコスト削減 | 長期 |
● 環境配慮 <当社グループの機会> ・物流における輸送配送手段および梱包資材のエコ化促進 | 短~中期 | ||
エネルギー | 技術革新 <当社グループの機会> ・発電系の事業推進 ・自社での再生可能エネルギーの確保 | 長期 | |
製品と サービス | ビッグデータ <当社グループの機会> ・ビッグデータ/IT×気候変動ビジネス ・ビッグデータ/IT×生物多様性 ・ビッグデータ/IT×在宅医療サービス等 ・既存のインターネットサービス×気候変動対策機能の提供 ・データやAIを活用した、在庫適正化や在庫廃棄の削減・個人情報法制の改定によるレコメンド精度向上 | 中期 | |
サプライチェーン <当社グループの機会> ・サプライチェーンにおける自前領域の拡大 ・水資源の確保と販売 ・グループのスケールメリットを活かした取組結果としてのCO2排出量削減 | 中期 | ||
● サービス <当社グループの機会> ・コマースにおける売れ筋の変化 ・災害対応サービスの強化 ・環境に優しい企業からの広告出稿増加 ・回収スキームを実現した新たな資源循環型サービスの構築 | 短~中期 | ||
市場 | 技術革新 <当社グループの機会> ・労働力の機械化 ・イベントのバーチャル化 ・気候変動に左右されない農作物育成と販売、またはその支援 ・地下開発の進展 | 長期 | |
● ライフスタイル <当社グループの機会> ・保険(生保、損保)ビジネスの需要増 ・健康経営 ・コマースでの宅配需要の増加 ・募金や寄付等、メディアを通じた社会貢献 | 短~中期 | ||
行動変容 <当社グループの機会> ・気候変動対策が盛り込まれた商品やサービスを選択する購入者層の獲得 ・人のつながりを大切にする文化 ・居住地域の流動化 ・地域のリスク分析ビジネス ・室内での活動を中心とする生活 | 中~長期 | ||
レジリエンス | 事業の安定稼働 <当社グループの機会> ・多岐にわたるサービスによる事業の安定化 | 短~中期 |
戦略のレジリエンス:
メディア事業、コマース事業、Fintech事業等、多様なインターネットサービスを展開する当社グループでは、データセンター、オフィス、物流センター等において事業を運営するための電力を使用しています。特に、データセンターによる消費電力量は当社グループ全体の90%以上を占めていることからも、データセンターの効率性向上と再生可能エネルギー化がリスク回避につながると考えます。カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速することを目的に、環境問題の解決に貢献する事業に対する資金調達手段として、2021年国内インターネットセクターにおいては初となるグリーンボンドを発行しました。調達された資金(200億円)は、当社グループで利用するエネルギー効率の高い(PUE1.5未満)データセンターの建設や改修等、データセンターへの投資およびデータセンター運営に必要な再生可能エネルギーの調達資金に充当しています。 早期にカーボンニュートラル化を達成することで移行リスクによる炭素税の負担を回避できるものと考えます。
(3)リスク管理
リスクを特定するプロセス:
当社グループとしてのリスクと機会は、マテリアリティを特定していく議論の中で、グループ各社各部門が事業・サービスの特性に応じた検討内容から抽出し、有識者と担当役員を交えた意見交換によるブラッシュアップを経て、ガバナンス委員会での確認と取締役会での決議をもって策定しています。併せて、ERMの観点から当社グループの各社で気候変動に伴うリスク分析を行い、気候変動をグループの重点リスクと位置づけました。
シナリオとメソドロジー:
シナリオ分析は、国際的な認知度や信頼性を考慮し、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)および国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)が策定したシナリオを参照しています。産業革命以前からの気温上昇を+1.5℃以内に抑えるシナリオとしてNZE(Net Zero Emissions by 2050)とSSP1-1.9を、+2℃相当のシナリオとしてAPS(Announced Pledges Scenario)とSSP1-2.6を、+4℃を上回るシナリオとしてSTEPS(Stated Policies Scenario)とSSP5-8.5を用いました。
(4)指標と目標
当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、気候変動問題への取り組みを推進するとともに、「緩和」と「適応」の両面から目標を定め、取り組んでいます。「緩和」面では、気候変動や地球温暖化の原因となっている温室効果ガス(GHG)の排出削減に向けて、様々な取り組みを行っています。「適応」面では、温暖化傾向が当面続くことを見越した対応を実施しています。中でも激甚化している災害への対応は、重点領域と定めて取り組んでおり、事業のBCP対応とともに進めています。
気候変動の「緩和」に関する目標:
2030年度までに、GHGプロトコルのスコープ1およびスコープ2におけるCO2排出量の実質ゼロを実現(t-CO2)
気候変動への「適応」に関する目標:
2025年度までに、災害協定を締結している自治体人口カバー率90% (2022年度98.3%達成済)
マテリアリティ(未来世代に向けた地球環境への責任)に関する評価指標と主な実績を開示しています。
実現に向けた取り組み | 評価指標 | 2021年度※ |
気候変動への取り組み(脱炭素) スコープ1&2:CO2排出量を2030年度までに実質ゼロ(RE100コミットメントの履行) スコープ3:2050年ネットゼロの達成(SBT ネットゼロスタンダード)を念頭にスコープ3の把握と削減に取り組みSBT認定を目指す | スコープ1&2のCO2排出量 | 142,063 t-CO2 |
スコープ3のCO2排出量 | 2,743,708 t-CO2 | |
スコープ3カバレッジ | 69.3% | |
自然資本の持続的な活用への取り組み | リサイクル率 | 82.9% |
売上あたり廃棄物総排出量 (t/百万円) | 0.018 | |
売上あたり水消費量 (m3/百万円) | 0.386 | |
気候変動への取り組み(脱炭素) スコープ3:2050年ネットゼロの達成(SBT ネットゼロスタンダード)を念頭にスコープ3の把握と削減に取り組みSBT認定を目指す | 環境投資額 | 47億5,150万円 |
グリーンボンドおよびソーシャルボンド発行による調達金額 | 200億円 |
※2021年度の集計数値となります。2022年度数値は2023年6月末日までにサステナビリティサイトにて公開予定です。
https://www.z-holdings.co.jp/sustainability/stakeholder/esg/#anc1
TCFD参照表:
TCFD提言に基づく気候変動関連情報の開示に努めています。
当社サステナビリティサイトのTCFD参照表をご覧ください。
https://www.z-holdings.co.jp/sustainability/stakeholder/gri/#anc3
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