KLASS 【東証スタンダード:6233】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
今後の経営環境につきましては、アフターコロナ禍への移行が、個人消費、企業の設備投資、インバウンド需要等、さまざまな面で景気の回復に結びついてくるものと期待しております。しかしながら一方では、インフレリスクに対応した海外の金利上昇、解決の兆しが見えないウクライナ情勢や台湾海峡の緊張等の地政学リスクの高まりによる国際的なサプライチェーンの停滞、資源価格の高騰、生産資材の仕入れ納期長期化等、今後の環境は不透明であります。
そうした経営環境のもと、当社では令和5年2月14日に中期ビジョン「ビジョン80」を公表し、以下のテーマに順次取り組み、業績拡大を目指しているところであります。
① 当社のCIの再構築
理念体系をStatement(=つなぐ。ツクル。),Mission(存在意義),Belief(経営理念),Value(行動指針)の階層に再構築いたしました。
令和5年10月1日に、社名を「KLASS(クラス)株式会社」に変更いたしました。
② 「2.4次産業」への展開
「2.4次産業」とは、製造業(2次)とサービス産業(3次)の互いの接近がコロナを契機に加速するが、各々の基本的性格の転換までは行かず、2→2.4で、3→2.6で留まるであろうという一橋大学名誉教授伊丹敬之氏の言説であります。当社はこれまで、得意な「技術力」と「商品力」によって「新商品」を創り出し、その新商品が新たな「顧客」と「市場」を創り出し、更に数多くの顧客で新たに形成された「ネットワーク」が、新たな「商品」と「サービス」、新たな「価値」と「事業」を創り出してまいりました。すなわち、当社のStatement「つなぐ。ツクル。」に示される通り、「つくって(新商品)→つなぐ(顧客)、つないで(ネットワーク形成)→つくる(新たな商品・サービス)」…この文字通りの好循環が、最大の強みとして当社の発展を形づくってきたものと確信しております。当社は今後、「つなぐ。ツクル。」を基本として、オリジナル商品を生み出し続ける開発型機械メーカーならではのユニークな「2.4次産業」型企業を目指してまいります。
③ 当社事業のSDGsへの貢献
当社は経営理念にある「豊かな生活空間の創造」そのものがSDGsの基本理念にかなうものである」との基本認識のもと、各種事業の推進を通じて、SDGsに貢献することを基本としております。令和4年4月に竣工した生産本部棟・新組立棟の所要資金を取引銀行団の「SDGs推進シンジケーション」にて調達いたしましたが、その際、メインバンクおよび関連シンクタンクが、当社の各種事業を通じてSDGsの目標達成に向けた貢献が期待できると結論付けてくれました。なお、世界的にも注目を集めているCO2削減に関しましては、当社はメガソーラー発電事業を含めた太陽光発電事業を通じて貢献してまいります。
(2)事業展開構想
当社はこれまで、創業以来のプロフェッショナルセグメントが、技術力と商品力を駆使して新商品を開発し、新市場を作り続けてまいりました。その結果、「プロフェッショナル」がいわば「畑」として長年蓄積した「顧客基盤」「Cash」「技術・ノウハウ」を養分として、コンシューマ・インダストリーの両セグメントがいわば「果実」として育ってまいりました。さらに子会社となった株式会社ROSECCのニュー・インダストリーセグメントが加わりました。今後とも、「安定性」のあるプロフェッショナルと「成長性」のあるその他3セグメントの、それぞれの強みの相乗効果の発揮で更なる発展を目指してまいります。
① プロフェッショナルセグメント(インテリア事業部門、畳事業部門)
新築住宅等の住宅関連市場を主たるマーケットとするインテリア事業部門、畳事業部門は、長年の事業推進により各々の業界でNO.1シェアと考えております。ともに成熟した市場を対象としております。
インテリア事業部門におきましては、ホームセンター・建機レンタル・防水等の近接市場への販売推進や、ラミネートマシンをはじめとするプリンティングの前後工程の自動化機器等の新商品開発に加え、令和3年10月には当社で初めてサブスクリプション方式を活用したクラウド型業務管理ソフト「Goolip」を発売し、建設業界等への事業分野の拡大にも期待しております。また営業推進施策においては、復活し始めたリアル展示会の推進と「新しい営業方式」の継続により、一層営業力を強化してまいります。
畳事業部門におきましても、畳店経営セミナーをリモート開催に切り替えたことで参加者が大幅に増加するなど、「新しい営業方式」が効果を発揮しております。セミナー参加者の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(中小企業庁)及び「事業再構築補助金」(中小企業庁)の活用は引き続き活発であります。
今後、畳業界とインテリア内装業界、店舗装飾業界とインテリア内装業界などの融合が加速し、業界の構造変化が予想されます。流通・小売・工事の各業者に対して、そうした環境の下での生き残り・発展のための戦略や商品を、タイムリーに提案してまいります。
② コンシューマセグメント(コンシューマ事業部門・ソーラー・エネルギー事業部門)
コンシューマセグメントにおきましては、当社のコア技術やプロフェッショナルセグメントのお取引先を活かして新築住宅関連市場から離れた事業範囲の拡大を目指しております。新型コロナ禍の影響がまだ払拭できませんが、感染対策も兼ねる防災商品や、葬祭畳や介護用畳等の特殊機能畳、さらには畳の持つ機能を活かしながら開発したフィットネス用防音・防振床材等、当社オリジナル商品の販売を推進してまいります。また、各地のJA・ホームセンター等を窓口として推進している畳替え仲介事業(ネットビジネス)におきましては、全国企業との協業も進みはじめ、対象マーケットの拡大を期待しております。ソーラー・エネルギー事業部門におきましては、自動車ディーラーと連携したV2Hの取組等新しい商材を開発しつつ、SDGsへの対応でニーズが高まっている企業向けソーラー発電システムや、蓄電池等周辺機器の販売に注力してまいります。
③ インダストリーセグメント(産業機器事業部門、食品機器事業部門)
二次電池製造装置等の産業用製造装置を中心とする産業機器事業部門、大手飲食チェーン向けマルチディスペンサーを中心とする食品機器事業部門の事業を推進しております。
産業機器事業部門は、神岡工場内に令和4年4月に竣工した新工場棟を活用して、従来組立スペースの不足から見送った大型案件の受注が進んでおります。また、当社の持つコア技術に加え、令和2年10月に子会社とした株式会社ROSECCの持つ、ロボット技術・ウォータージェット技術とのシナジー効果によって、受注分野の拡大を目指してまいります。
また、自動化・省力化設備として外食業界で高く注目されているマルチディスペンサーにつきましては、大手フードサービスチェーンの需要が復活してまいりましたので、人手不足への対応や衛生的な非接触操作等新型コロナ禍後も変わらないニーズに積極的に対応してまいります。
④ ニュー・インダストリーセグメント
令和2年10月1日に子会社化した株式会社ROSECCを当セグメントに位置づけております。自動車業界を中心に、ウォータージェット技術、ロボット技術を活かした各種の自動化システムを企画・開発・販売してまいりましたが、住設産業への展開も模索しております。また、当社産業機器事業部門との人的交流や技術面の交流を一層進め、シナジー効果の発揮に努めてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、収益性の指標として売上高経常利益率を、安定性の指標として自己資本比率を、効率性の指標として総資本回転率を重要な経営指標と位置づけており、バランスの取れた企業価値の拡大を目指してまいります。当連結会計年度の、売上高経常利益率は2.9%、自己資本比率は27.6%、総資本回転率は0.9となりました。
(4)経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、以下の項目を特に認識すべき課題として捉えております。
① 仕入れ価格の高騰及び調達納期の長期化
原油価格の上昇や急激な円安進行により、原材料や商品の仕入れ価格が高騰したことに加え、電気・電子関連部品を中心に仕入れ納期の大幅な遅延が続いております。この状況に対処すべく令和4年10月発刊の新総合カタログでの価格改定をはじめ、各種製商品の販売価格を適正水準に見直しておりますが、仕入れ価格が一段と上昇した場合は、更なる対応を検討する方針であります。また、原材料調達の納期遅延につきましても、在庫積み増し等の対策を講じておりますが、使用部品の変更等状況に応じた抜本的な対策も検討しております。
② 開発力の強化
畳製造装置やインテリア内装施工機器等の従来開発してきた機器の他、当社のコア技術を活かした顧客仕様による工場生産設備等の機器開発において、IoTやロボット技術等の新技術に対応した製品を開発することが求められております。この課題に対処するため、技術者の育成、自由度の高い研究開発体制の構築等の開発環境を整備し、「真似はされても真似するな」の信念に基づいた「オンリーワン製品」の開発を目指してまいります。
③ 子会社とのシナジー効果の発揮による事業拡大
令和2年10月に子会社化した株式会社ROSECCは、ウォータージェット技術、ロボット技術を活かした各種の自動化システムを企画・開発・販売するファブレス企業であります。子会社化後、研究開発部門を中心に、同社との技術面や人材面での交流を進めており、今後、同社とのシナジー効果を発揮した引き合い対応と受注促進に努め、着実な事業拡大に結びつけてまいる方針であります。
④ マーケティング力の向上
各セグメントにおいて、技術力と商品力を活かしつつ新商品と新市場を拡大していくためには、顧客ニーズを的確に捉え迅速に対応するマーケティング力の向上と、上場企業としての知名度を活かした新規購買先の開拓が課題となってまいります。この課題に対処するため、営業部門での幅広い情報収集とともに、マーケティング担当部署、購買担当部署、担当人員の充実をはかってまいります。
⑤ 生産体制の強化
令和4年4月に生産本部棟・新組立棟を竣工し、生産能力を強化したことが産業機器の受注拡大に結びつきました。今後、人材育成や労務環境の改善で一層の労働生産性の向上をはかるとともに、親密な外注先の維持・拡大の一層の活用によって、更に生産能力の拡大をはかってまいります。
⑥ 原価管理の充実
インテリア内装施工機器・工具・コンピュータ式畳製造システム、特殊機能畳、顧客仕様の生産設備やディスペンサー等の厨房機器等の多様な製品を、見込生産又は受注生産により、ロット又は単品で生産しており、その製造工程に応じた適切な原価管理が必要であります。この課題に対処するため、それぞれの製品特性を踏まえた標準原価を設定し、毎月定期的に原価検討会議を開催して改善策を継続的に検討することにより、原価管理の充実に努めてまいります。
⑦ 経営体制の充実
取締役会においては、中途採用者の取締役への登用や複数の独立社外取締役の選任等により人材の多様化を進め、幅広い観点から充実した審議が可能となる体制整備をはかっております。今般も昨年同様に取締役の多様性マトリックスを作成いたしております。また、令和元年10月には執行役員制度を導入し、事業推進及び社内連携体制の強化とともに、経営層の人材育成に努めております。
⑧ 経営理念の徹底、内部監査、監査等委員会監査、ISOの充実
社名変更とともに新理念体系を構築して、サステナビリティに関する目標も明確にして推進しているところであります。引き続き、企業行動規範や内部統制システム基本方針、コンプライアンスの重要性も周知徹底するとともに、内部監査室による内部監査の実施と、常勤監査等委員の選定による監査等委員会監査の充実により、経営方針、経営計画の実現のための円滑な業務運営を徹底しております。また、ISO9001とISO14001のマネジメントシステムに基づき、メーカーの原点である品質向上と環境対応の向上に努めております。
⑨ 人材育成
社員一人ひとりの能力向上を通じた組織力の強化で、従来の市場でのシェア拡大とともに新市場を開発し、売上、利益の拡大をはかってまいる方針であります。その課題に対処するため令和4年10月に人事部を新たに設置いたしました。今後、経営戦略と連動した人事戦略の構築等、人材の育成と更なる活力向上をはかってまいります。
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