企業兼大株主JVCケンウッド東証プライム:6632】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、企業理念「感動と安心を世界の人々へ」に基づき、事業を通じてあらゆるステークホルダーの期待に応えていくことが重要だと考えます。社会から信頼され、社会に貢献する企業であり続けることは、企業としての持続的な成長にもつながります。事業を通じて企業と社会のサステナビリティを推進すべく、気候変動への対応を始めとして、さまざまな社会課題を解決する取り組みを継続していきます。また、当社が関わるすべてのステークホルダーと深い信頼関係を築きながら、事業を通じた社会課題の解決に取り組むことで、持続的な企業価値の向上と社会への貢献を図っていきます。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

1. 気候変動への対応

 当社は、気候変動問題の緩和に貢献し、適応する取り組みは重要な経営課題と捉え、調達、製品開発、製造、製品・サービスの提供といったバリューチェーン全体を通じて、気候変動がもたらすグループへの影響の回避・低減に取り組みます。その取り組みにおいて、Scope1+2, Scope3カテゴリーのCO排出量削減や、生産工数の削減や省エネ機器導入等を通したエネルギー利用の削減を進めています。

※Scope1は、組織境界における温室効果ガスの排出源からの直接的な大気中への温室効果ガスの排出量(直接排出量)、Scope2は、他者から供給を受けた電気、熱の利用により発生した電気、熱の生成段階での CO₂排出量(エネルギー起源間接排出量)、Scope3は、直接排出量、エネルギー起源間接排出量以外の事業者のサプライチェーンにおける事業活動に関する間接的な温室効果ガス排出量(その他の間接排出量)をいいます。

また、2023年4月に金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候変動のリスク・機会をより一層意識した経営戦略の策定を進めていきます。

(1)ガバナンス

 当社は、コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方として、「経営と執行の分離」、「社外取締役・社外監査役の招聘」及び「内部監査部門の設置によるチェック機能向上」を掲げています。この体制を効果的に機能させるため、監査役会設置会社形態で執行役員制度を採用しています。経営体制としては、取締役会が経営の基本方針並びに最重要事項を決定する一方、最高経営責任者(CEO)を含む執行役員会へ、取締役会が定めた事業執行責任に基づき、JVCケンウッドの業務運営組織(グループ関係会社含む)の運営に関する意思決定権を広く委譲し、JVCケンウッドにおける意思決定を迅速かつ効率的に行っています。JVCケンウッドグループの気候変動を含むサステナビリティに関しても、このような体制のもと、取締役会が責任を負っており、またこれらに関わる事項を監視しています。

 取締役会は、2021年に気候変動を含む様々なリスクや機会を考慮した、新たな環境方針「JKグリーン2025」を決議しました。この方針の中で、JVCケンウッドグループは、2050年カーボンニュートラルのコミットメントと、それに向けた2025年までのScope1, 2, 3における温室効果ガスの削減計画を策定しました。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づいた気候変動に関するリスクと機会の把握・分析を強化、並びにサステナビリティ全般推進強化のため、取締役会は2023年度に「サステナビリティ委員会」をCEO直轄組織として設置しました。サステナビリティ委員会はCEOを委員長とし、「環境部会」(責任者:サステナビリティ推進室管掌役員)を始めとして、「サステナビリティ経営戦略部会」(責任者:経営企画部管掌役員)及び「サプライヤー部会」(責任者:調達・物流部門管掌役員)の3つの部会がサステナビリティ委員会のもとに設置されています。

(2)リスク管理

 当社では、職場と経営層が協働して取り組むリスクマネジメントとして、全世界の職場でリスクサーベイランスプロセスを毎年実施しています。リスクサーベイランスにおけるリスク項目の中には自然災害リスク等が含まれており、気候変動に関する事項も含めてリスクの特定、評価、管理を行っています。確認したリスクに対しては、危機対応を想定した各種マニュアルを整備し、有事に備えて防災訓練・事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)訓練、安否確認訓練を実施し、日頃から役員・従業員の防災意識向上に取り組んでいます。

 また、当社は、気候変動イニシアティブ(JCI:Japan Climate Initiative)のメンバーとして、気候変動に関わる情報交換や政策提言の支援を行っています。JCIはパリ協定が求める脱炭素社会の実現に向け、世界と共に挑戦の最前線に立つことに賛同した企業や自治体、NGOなどによるネットワークで、政府による温暖化ガスの削減戦略に対する働きかけや気候変動に係る国際会議等で意思表明など、当社は、JCIが掲げる宣言「脱炭素化をめざす世界の最前線に日本から参加する」に賛同し、「1.5℃目標の実現に向けた世界のトップランナーとなるよう、自らの活動においてエネルギー効率化と再生可能エネルギー利用を加速する」という内容に沿って、生産工程の省エネルギーをはじめとする取り組みを強めていく方針です。

(3)戦略

 当社は、TCFD提言に沿って「1.5℃シナリオ」を含む複数のシナリオを考慮の上、気候変動に関するリスクと機会について分析を行っていきます。その結果、自然災害の激甚化による物理的なリスク、被害を軽減するために導入される各種規制から生じる移行リスクを特に重要なリスクとして識別し、これらに対して、脱炭素に貢献する製品展開の拡大、省エネ・省資源にともなうコスト低減に取り組んでおり、さらなる成長に寄与する機会の検討を進めています。

 施策例として、以下の内容を推進しています。

・環境負荷低減を考慮した製品開発(製品に使用するプラスチック量の削減、電気自動車の再生バッテリーを利用したポータブル電源の開発等)

・天然資源(ガス/OIL)設備代替推進

・再生可能エネルギーによる電力購入、設備導入推進

 またカーボンニュートラル実現施策として、安定した「ものづくり」実現と使用エネルギー削減に取り組むため、

 拠点統合、自動化推進、設計改革等の、「ものづくり改革」を策定しており、ものづくり改革の推進のために、「生産グランドデザイン」として、以下の観点を設定しています。

・当社収益基盤である日本国内市場へ向けた「日本生産回帰」を推進加速する生産拠点の統合

・設計改革及び自動化推進等を軸に、総生産量・総工数に見合った生産拠点レイアウトへ最適化、事業部個別最適から脱却し、グループ標準としての開発拠点へ統合し、生産拠点を再編

・本社横浜地区建設中新拠点の消費エネルギー低減

(4)指標及び目標

 当社は、環境基本方針(JKグリーン2025)に基づいて策定された各種省エネルギーの取り組みを進めています。

2019年度には、環境省主催の「インターナルカーボンプライシング活用支援事業」に参加し、社内における炭素コストの意識付けを図る活動を開始し、グローバルでのCO₂排出量削減の長期目標として2050年カーボンニュートラルを実現すべく、CO₂排出量(Scope1+Scope2)を2019年度比で25.2%削減することを掲げているほか、Scope3目標として、グローバルでのScope3におけるCO₂排出量の算定及び事業活動にともなう、CO₂排出量削減に取り組んでいます。

<環境基本方針「JKグリーン2025」4項目の重点目標>

<CO₂排出量(Scope1+Scope2)を2025年度までに2019年度比25.2%削減目標と排出量推移>

2. 人的資本

(1)ガバナンス

 当社のガバナンスに関する基本的な考え方は「1. 気候変動への対応 (1)ガバナンス」に記載の通りです。

(2)リスク管理

 当社でのリスクマネジメントについては「1. 気候変動への対応」に記載の通りです。リスクサーベイランスにおけるリスク項目の中には人事・労務管理リスク等に関する事項も含めてリスクの特定、評価、管理を行っています。

(3)戦略

 当社グループは、2023年度を開始年度とする新たな中期経営計画「VISION2025」を2023年4月に策定しました。そして、経営方針である、「イノベーションを実現する人材の育成と組織能力の強化」を実現するにあたり、経営戦略と連動した以下のような人的資本施策を推進します。

① 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針

<人材戦略>

「VISION2025」では、経営戦略と連動した人材要件の策定、またそれを実現するための人材育成計画を策定し実行します。また2024年夏完成予定の「Value Creation Square」の創設を柱とした新たな働き方の実現を目指します。

<VISION2025での人材戦略>

<Value Creation Square>

<ダイバーシティ&インクルージョン>

 当社では、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」を重要な戦略の一つと位置付けています。当社がさらなる飛躍を遂げるためには、すべての従業員が各々のポジションで最大限の力を発揮することが不可欠です。人種・国籍・宗教・文化・障がい・働き方・年齢・性別・性的指向・性自認など、さまざまな背景を持った従業員が生き生きと活躍できる組織を実現し、一人一人のエンゲージメントを高めることが、組織の活性化やパフォーマンス向上につながると考えています。多様性が尊重される組織風土づくりに継続して取り組むことで、イノベーションの創出と事業を通じた持続的社会への貢献を目指します。

 ダイバーシティ概念図

② 社内環境整備に関する方針

<健康経営>

 当社グループは、企業理念「感動と安心を世界の人々へ」の実現のため、「変革」と「成長」に取り組んでいます。その源泉は従業員であり、従業員一人一人が共に健康であることを重要な経営課題と認識し、「JVCケンウッド健康宣言」を発信して「全ての従業員が健康で生き生きと働くことができる職場環境」の整備を持続的に目指していきます。JVCケンウッドは、経済産業省・日本健康会議が主催する「健康経営優良法人認定制度」の大規模法人部門において、優良な健康経営を実践している企業として2018年度から6年連続で認定されており、2023年度は5回目となる「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)ホワイト500」の認定を受けました。

 当社グループは「JVCケンウッド健康宣言」のとおり、「全ての従業員が健康で生き生きと働くことができる職場環境」づくりに取り組み、「従業員のパフォーマンス向上」を解決すべき経営課題と認識しています。この目指す姿に向けて、健康経営を通じて従業員一人ひとりの健康レベルの維持・向上を図り、「アブセンティーイズムの低減」「プレゼンティーイズムの低減」「ワークエンゲージメントの向上」「ワーク・ライフ・バランスの充実と向上」を目指します。そして、健康経営の目標や取り組みをまとめた「健康経営取り組みMAP」に沿って、全従業員が一体となって取り組みを推進しています。

<JVCケンウッド健康宣言>

<健康経営取組MAP>

<人権に関する取り組み>

 当社グループは、事業活動及びサプライチェーンに関わる、すべてのステークホルダーの人権を尊重しています。企業の事業運営のグローバル化にともなう人権への影響に対する関心の高まりを背景に、2011年に国連人権理事会によって発行された「ビジネスと人権に関する指導原則」では、企業がその事業活動やサプライチェーンにおける人権への悪影響を未然に防止あるいは軽減するために実施すべきステップが示されています。また2020年10月、企業活動における人権尊重の促進を図るため、日本政府は「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」を策定しました。このような流れを受け、事業活動において人権を尊重する意思をより明確に表明するため、JVCケンウッドグループは「JVCケンウッドグループ人権方針」を策定しました。本方針は当社役員及び従業員だけでなく、事業を通じて影響を及ぼす可能性のあるビジネスパートナーやサプライヤーを含むバリューチェーン上のすべての外部パートナーにも遵守することを求め、ステークホルダーエンゲージメントを通じて適切な対処を積極的に働きかけていきます。同方針に基づき、事業活動における人権尊重の取り組みを今後より一層進めていきます。

JVCケンウッドグループ人権方針については下記URLをご参照ください。https://www.jvckenwood.com/content/dam/pdf/220215_jvckenwood_human_rights_policy_jp.pdf

(4)指標及び目標

JVCケンウッドでは、「VISION2025」における取組テーマである、「人材戦略」、「多様性」、「健康経営推進」を行う上で、採用人数、研修人員数、エンゲージメント指標、自己都合退職率、生産性指標、休職者率を重要な指標と捉え、個々の施策を進めていきます。経営戦略との連動を意識した人材育成や採用方針をたて、結果として「働き甲斐のある職場」を新設の「Value Creation Square」にて実現していきます。そうした活動のアウトプットとて、新卒、キャリアを問わず採用人数を2022年3月期61名について1.5倍以上にしていくこと、人材要件を実現する育成施策の推進強化、休職者率のモニタリングと日々の健康推進施策による維持低減施策を通じたエンゲージメント指標の22年度実績58パーセントからの更なる向上を目標とします。

 詳細は、当社ホームページの下記URL(ESGデータ)を参照ください。また、女性管理職比率、男性育児休業等取得率、男女間賃金格差については、「第1 企業の状況 5.従業員の状況」に記載しています。

https://www.jvckenwood.com/jp/sustainability/esgdata.html

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