企業JRC東証グロース:6224】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

1.経営の基本方針

 当社グループの企業理念は、1961年の創業当時から大切に受け継ぎ、経営の拠りどころとしてきた「社会発展の基盤づくりの精神(企業DNA)」を踏襲しつつ、「ミッション」としての『ソリューションの創造』と、「ビジョン」としての『世の中の不をなくす』という高い志を明示し、「ソリューション企業」として、グループ一丸となって事業を推進していくことを社会に宣言したものです。加えて、企業の社会的責任の観点から、多様なステークホルダーと対話し、信頼関係を構築する決意を明確にしています。

 また、当該ミッション、ビジョンに基づき、当社グループでは「発見を、発展へ(Discovery to Development)」を、企業スローガンとして掲げております。

 これは、すべては現場を基本としたリアルから見出し、まだお客様にない視点での課題の「発見」から、不をなくすソリューションを通じて「発展」(JRC・お客様・社会)へと繋げていく意思を『発見を、発展へ』という企業スローガンとして表明したものです。

 当該理念、スローガンに基づき、当社創業以来の事業であるコンベヤ部品事業については、既設コンベヤの部品交換等に伴うリカーリング収益を確実に獲得していくと共に、コンベヤのプロフェッショナルとして、顧客の課題を発見・解決するソリューション提案を軸とした営業活動により更なる成長及びコンベヤ部品市場の拡大を目指してまいります。

 また、新たな事業であるロボットSI事業においては、製造業者の人手不足を解消するため、「使いやすく、導入しやすい」ロボットソリューションを開発・提供し、ロボットの活用が遅れているとされる事業者等を中心に、今後拡大していくロボット需要を着実に取り込むべく活動してまいります。

2.経営環境

 当社グループの各事業を取り巻く経営環境については、以下のとおりです。

(コンベヤ事業)

 当社グループのコンベヤ事業は、砕石、発電所、土木、官公庁、製鉄コークス等を中心に様々な業界へ製品を提供しております。

 マーケット全体としては、日本の製鉄業界の縮小傾向や石炭火力発電所の新設が見込めないなど、社会全体の成熟に伴い、かつてのような大規模開発の数は減少しております。当面は、気候変動による自然災害への対応に向けた、河川の堤防工事、防災工事等の強靭化に向けた需要は継続すると見込まれますが、かつてコンベヤ業界の成長を支えた、空港や港湾整備等の大規模なインフラ整備に伴う需要機会は、将来的には限られるものと考えられます。

 当社グループが得意とする屋外ベルトコンベヤは、重量物の長距離連続輸送といった場面において歴史と豊富な実績を有する安定性・効率性に優れた搬送システムであるため、直ちに国内からコンベヤが撤去され、当社グループの安定的な収益基盤であるコンベヤ部品の交換需要が失われることは想定されませんが、新設の機会が限られる以上、単純なコンベヤ部品の需要については国内市場規模は徐々に縮小に向かいつつあるものと見ております。

製造現場に目を移すと、労働力不足や昨今の「働き方改革」に象徴される労働者の意識の変化を受け、より生産性が求められる時代となりました。コンベヤも例外ではなく、かかる時代の変化に応じた更なる生産性向上が求められています。その一方で、コンベヤのユーザーでは、運用スタッフの世代交代等により、コンベヤに関する知識・経験が失われつつあり、コンベヤの生産性を向上させる方法がわからないばかりか、潜在的な生産性向上の余地そのものが見落とされているといった状況が散見されます。

 そのような状況の中、当社グループは創業以来培ってきた専門性を活かし、コンベヤ部品の更なる高品質・高機能化、蛇行防止機能やメンテナンス性を高める商材の投入を含め、顧客に対してコンベヤの生産性をトータルに改善するソリューション提案を行うなど、営業・サービス面の拡充に取り組んでまいりました。当該ソリューション活動は着実に効果を上げており、コンベヤマーケットには単なる部品需要にとどまらない新たなニーズの創出機会が十分にあるものと考えております。また、ソリューションを通じた高付加価値製品の市場への投入により当該高付加価値製品のリプレイス需要が生まれることから、リプレイスのマーケットにも成長の余地があるものと考えております。

 今後、当社グループが主体となり、マーケットのプレイヤーである代理店等を巻き込みつつ、さらなるソリューション活動の拡大とスピードアップに重点的に取り組み、付加価値の高いサービスの提供や高機能な新商品へのリプレイスを推進する事で、コンベヤマーケットそのものを成長させることを目指しております。

 製造面におきましては、材料費が値上がりする中、さらなる生産効率の向上が求められる環境となっております。コンベヤ部品には特注品も多いため、原材料費や加工費に対して一定の利益を乗せることについて比較的理解を得やすく、また当社グループは、売上規模、品質、提案力等によりコスト上昇の販売価格への転嫁についても一定の交渉力を持って臨んでまいりましたが、今後も利益を確保し続けるためには、製造DX化、将来的な無人化も見据えた更なる製造自動化等による生産効率の向上や、サプライチェーンの強化に向けた取り組み等が必須な状況にあるものと考えております。

(ロボットSI事業)

 ロボット市場は年々拡大を続けております。労働人口減少、労働時間の短縮等の社会構造の変化に対応するために、製造工程やサービスへロボット等を導入することによる自動化は、もはや規模や業種を問わずあらゆる事業者にとって必須の課題である、と言うべき状況になりつつあります。

 そのような中、ロボット及び周辺機器のテクノロジーの革新が進んでおります。例えば、近年の技術革新によりロボット製造コストは低下し、ロボット技術の汎用化が進展しています。当該技術革新と市場競争が相まって、ロボット単価は低下傾向にあり、導入コストの低下が進んでいます。また、安全柵が不要な協働ロボットの普及により、狭いスペースや人が介在する生産ラインでのロボット導入が可能になりつつあり、省スペース化による設置可能箇所の増加が進んでいます。さらに、AIやロボットビジョン(産業用のロボットに取り付ける位置検出や画層測定のためのカメラ等のシステム)の進化によりティーチングレス化(作業者が作業内容をロボットに教える「ティーチング」作業の簡素化)が進展したことによりプログラム変更が容易となり、可能な作業が多様化し多品種対応のための運用負担が軽減されつつあります。

 こうした技術革新により、これまで自動化が進展していなかった領域でのロボット活用が拡大しつつあります。これまでの自動化は、大手製造業が行うようなロボットを大量使用する少品種大量のライン生産や塗装・溶接・ウエハ搬送等の特定の工程を中心に進展してきましたが、今後は多品種少量生産の生産現場で従来人が作業してきた組立・搬送等の生産現場の自動化が進展するものと考えられます。

 当社グループのロボットSI事業は、こうした顕在化しつつある新市場とでもいうべき領域に向けて「使いやすく、導入しやすい」ロボットシステムを提供し、当該市場のニーズを他社に先駆けて確保することを目指しております。

3.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、顧客課題を解決することにより持続的な成長のための基礎を確立し、コンベヤ部品事業においてはマーケットの更なる需要創造により付加価値とシェアを拡大し、ロボットSI事業においては、新たなマーケットを開拓することを基本方針としております。

 当該方針に基づき、当社グループでは売上高、営業利益、営業利益率を重要な経営指標としております。また、セグメント単位では、コンベヤ部品事業ではソリューション売上高及びソリューション売上高比率を、ロボットSI事業では受注高及び営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として用いております。

 以下の「4.成長戦略」に記載した事業ごとの戦略を実行することにより、これらの指標の向上を図ってまいります。

4.成長戦略

 当社グループは、これまで培った事業基盤や製造業者としてのノウハウを軸に、コンベヤ事業においては「既存コンベヤ部品事業のオーガニックな成長」をベースに「コンベヤ・ソリューションビジネスの拡大」、「環境プラント向けソリューションの拡大」及び「海外展開による更なるアップサイド」を、ロボットSI事業においては「高成長のロボットSI事業による更なる市場獲得」をテーマに成長戦略として掲げ、高収益・高成長を目指してまいります。加えて、積極的なM&Aの活用により、コンベヤ事業、ロボットSI事業の各領域を拡大するとともに、新領域への進出にも挑戦し、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。


 各テーマの具体的な取り組みは以下のとおりです。

(コンベヤ事業)

(1) コンベヤ・ソリューションビジネスの拡大

 当社グループでは、積極的にソリューションビジネスに取り組んできたことから、現場のソリューションノウハウや、顧客の課題解決に資する機能製品の開発など、当社グループ固有のノウハウを蓄積しております。これらソリューションノウハウの標準パッケージ化により、「モノ」 としての機能製品の拡販体制を確立することに加え、顧客の安定稼働や効率化を実現するサービスである 「コト」 の強化を図ることで、ソリューションビジネスの幅を更に拡げていきます。さらに、JRCソリューションの代理店パートナーへの展開を推進し、日本全国の強固な代理店網を活用することで、ソリューション未開拓の顧客へのアプローチを強化していきます。

 (2) 環境プラント向けソリューションの拡大

 当社グループであるJRC C&M株式会社では、ごみ処理施設やバイオマス発電施設、水処理施設向けの製品の製 造・販売を事業とする福島県の東陽工業株式会社を吸収合併したことで、コンベヤ事業における当該施設向けの構成比が拡大しております。今後、製造領域と販売エリアのダブル拡大によるシナジーを最大化し、日本全国対応可能な「環境プラント向けソリューション」を成長させることで、当社グループのさらなる収益拡大を目指します。

(3) 海外展開による更なるアップサイド

 コンベヤ事業では、これまで国内を中心に事業を展開しておりましたが、ASEAN地域を中心にコンベヤ部品需要が高まっていることから、当社グループにおける成長戦略の1つとして海外展開を推進しております。これらの取り組みにより、インドネシア向けの大型案件の受注を複数獲得するなど、ASEAN地域向けの海外実績が顕在化しております。今後、海外展開をさらに本格化するため、現地拠点の設立や拡販体制の確立を目指します。

(4) コンベヤ事業におけるM&A戦略

 コンベヤ及び周辺領域でのM&Aを活用し、川上から川下までの一気通貫トータルソリューションによるワンストップ体制を構築することで、広範囲にわたる製品やサービスを提供できる企業として、ブランド価値や顧客満足度を向上させ、競争優位性を確立していきます。

 (ロボットSI事業)

 (1) 高成長のロボットSI事業による更なる市場獲得

 ロボットSI市場が急成長するなか、食品・医薬業界では、未だ人手作業に依存する現場が多く、人手不足の影響を強く受けているなかで、当社は多品種少量かつ衛生対応でのロボット化・自動化の知見や、食品・医薬業界向けの多数の納入実績を有しております。また、この急成長市場は参入障壁が高く、競争は限定的であります。当社においては、これらの大きなアドバンテージを背景に、食品・医薬業界を中心に、ロボットパッケージの横展開・拡販を強化していきます。加えて、再生医療・ラボ領域において、装置メーカーである株式会社ダルトン、ロボットメーカーであるストーブリ株式会社、そしてロボットSIerである当社の3社協業プロジェクトを開始し、再生医療の自動化やラボオートメーション推進に貢献していきます。

(2) ロボットSI事業におけるM&A戦略

 拡販可能な技術を有しながらも、集客や後継者の課題を抱えるロボット関連企業を対象にM&Aを実施し、多様な人材、尖った技術、広範なエリアをカバーするロボット自動化コンソーシアムの確立を目指します。

5.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 経営方針及び成長戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

(1) 既存のコンベヤ事業の安定成長

 当社グループの祖業である、ニッチトップ・リカーリングなコンベヤ事業の安定成長を目指すとともに、エンドユーザーの現場に直接足を運び、実際の現場の問題を共有・分析・解決するソリューションビジネスや、環境プラント向けソリューションの拡大に取り組んでまいります。加えて、海外収益基盤の創出を図るため、ASEAN・米国での事業展開を加速してまいります。

(2) 高成長のロボットSI事業による更なる市場獲得

 国内製造業において、深刻な人材不足が発生しているなかで、新たな急成長市場として人協業型ロボット分野が拡大していく見通しです。当社グループでは、コンベヤ事業で培った自動化ノウハウと、設計段階からの標準化によるコストメリットと高品質を両立させ、今後もさまざまな標準パッケージを開発・横展開することで、急成長市場のさらなる獲得を目指してまいります。

(3) M&Aによる周辺領域の拡大及び製販体制の強化

 当社グループでは、M&Aを持続的な成長を実現するための重要な戦略のひとつとして位置付けております。コンベヤ事業では、周辺領域の拡大により、成長著しいメンテナンス事業やソリューション活動の強化に加え、同業企業の買収による、さらなるシェア拡大を狙います。ロボットSI事業では、中小規模のSIerとの資本提携による販売・製造体制の強化、新技術や尖った技術の獲得によるロボットパッケージの拡販・高付加価値化を推進してまいります。また、既存事業の周辺領域に留まらず、成長分野であるAI・DX領域の取り組み強化や、新領域への進出にも挑戦し、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

(4) サステナビリティへの取り組みの強化

 当社グループの今後の持続的成長を支え、中長期的な企業価値を向上させるために、コーポレート・ガバナンスの強化を図るとともに、人的資本経営や環境負荷低減、事業活動を通じた社会貢献など、ESGを含めたサステナビリティへの取り組みを強化してまいります。特に人材においては、持続的成長を支える根源であると考えており、次世代を支える経営人材の育成や、専門性の高いプロフェッショナル人材の獲得などに注力してまいります。


(5) 財務基盤の強化

 当社グループは、現時点において喫緊の財務上の課題は認識しておりませんが、継続的かつ安定的な事業の拡大を図る上では、手元資金の流動性確保や更なる調達の見直し、更には有望な投資機会を逃さないための機動的な資金確保のための方策検討等の取り組みは重要であると考えております。

 このため、金融機関との良好な取引関係維持や資金のロットに応じたエクイティでの調達等を見据えた企業価値向上等の財務基盤の強化に継続的に取り組んでまいります。

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