企業JPMC東証プライム:3276】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、社会の課題と向き合い持続可能な賃貸経営を追求することを“住む論理”と定義し、「住む論理の追求」をパーパスとして掲げ、主要な事業である賃貸経営代行事業を行っております。今後も「オーナーの資産価値の最大化」を実現すべく、新たなサービス、商品、事業を開発し、事業規模の拡大、さらには、企業価値の向上を目指してまいります。

(2) 中長期的な経営戦略

 当社グループは、創業以来「オーナー資産の最大化」を経営におけるミッションとして位置づけ、その実現へ向け一括借上事業を中心に、事業活動に取り組んでまいりました。その結果、オーナーから運用を委託されている運用戸数は当連結会計年度末時点において110,206戸と、賃貸住宅業界において一定のポジションを確立できたものと考えています。

 そして、今後の持続的な企業価値向上に向けて、2030年末までに25万戸超を運用し賃貸住宅マーケットの一角に加わることをビジョンとし、その実現並びに2030年以降の更なる成長を<短期~中期><長期><2030年以降>の3つのフェーズに分けて考えています。

<短期~中期 (2021年~2025年)>

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、ワクチン接種の普及やウイルス変異による重症化リスクの減少等により、社会経済活動の更なる正常化が見込まれるものの、建材・資材価格高騰などの影響を受け、景気の先行きに関しては予断を許さぬ状況となっています。

 当社グループが安定的に運用戸数を増やし、持続的な成長を実現するために、リフォーム事業や法人需要の取込など賃貸経営に関するサービスを拡充することで、管理業務委託先であるパートナーや金融機関との連携強化に取り組んでまいります。また、販管費率を下げ、オーナーへ良い条件でのサブリースを提案できることは競争力強化に繋がることから、既存データベースをはじめとした基幹システムの全面刷新へ大きく舵を切りました。

 短期~中期は2021年~2025年を想定しており、この期間の取組みや数値目標に関しては中期経営計画「JPMC2025」において公表しております。数値目標に関しては「(3)目標とする経営指標」に記載のとおりです。

<長期 (2026年~2030年)>

 長期:収益構造の多様化に注力 2030年までに運用戸数25万戸

 運用戸数の拡大により16万戸超の巨大な経済圏の確立による収益構造の多様化を目指してまいります。具体的には下記のような取組みを目指していきたいと考えています。

・入居者向けサービスをサブスクリプション型のビジネスモデルにより提供

 16万戸超の巨大な家賃収納プラットフォームを活かし付帯商品をワンビリングで提供可能となる強みを活かし、様々な付帯サービスをサブスクリプションで提供することを考えております。付帯サービスとは入居者に対して快適な住生活サービスの提供、例えばコンシェルジュサービスを入口とし、家事代行サービス、配送サービスといったサービス提供が考えられます。

・賃貸住宅オーナーや業界へワンストップサービスを展開

 賃貸住宅オーナー、入居者、業界など巨大な経済圏を形成しており、さまざまなサービスの展開が考えられます。賃貸住宅オーナーに対しては賃貸住宅経営からのより一層の手離れを実現するサービス、例えば税務相談や法律相談、会計アウトソーシングといったサービスなどが考えられます。また、業界に対しては労働力不足の解消やその補完サービス、例えば契約書自動出力やコールセンターサービスなどの展開が考えられます。

 また、2030年までに運用戸数25万戸を実現し、賃貸住宅業界の主要プレイヤーの一角に加わることを当社のビジョンとしております。

<2030年以降>

 次なる成長時期と位置づけ、25万戸超の巨大な家賃収納プラットフォームやPropTech(※)によるビッグデータを活用した新たな事業領域への展開を目指していきたいと考えています。

※PropTech:Property Management Technologyの略。当社グループではAIとICTの融合により賃貸住宅業界の課題を解決する技術と定義しています。

(3) 目標とする経営指標

 当社グループでは運用戸数の増加による事業基盤の拡大、資本効率を重視しています。そのため「運用戸数」「新規申込戸数」「売上高」「ROE」「配当性向」の5つの指標を重要な経営指標としています。

「運用戸数」  :事業規模を示す指標。2025年までに16万戸、2030年までに25万戸を目標としています。

「新規申込戸数」:新たに運用を受託した戸数。運用戸数拡大へ向けての成長見通しを示す指標。

 運用戸数の目標の達成に向け、2025年までの5カ年累計110,000戸、2030年までの5カ年累計154,000戸を目標としています。

「売上高」   :運用戸数拡大による安定収入の拡大を目指しております。2025年に770億円、2030年に1,110億円を目標としています。

「ROE」   :20%以上を目標水準としています。持続的に資本コストを上回ることが重要であると考えています。

「配当性向」  :40%以上を目標水準としています。

(4) 経営環境

 賃貸住宅業界においては、新設住宅着工戸数(貸家)が3年ぶりに減少となりました(※)。賃貸マンションの供給過多に起因する空室率の高さが社会問題化する中で、これまでマーケットの成長を牽引してきた賃貸住宅メーカーによる建築に依拠したビジネスモデルの成長ポテンシャルは限定的であり、今後は既存の物件の収益性をいかに高めていくかという点が社会的なテーマになると考えております。

 また、労働人口の減少という社会問題が顕在化する中、新型コロナウイルス感染症拡大が収束した後には外国人労働者の受入れが加速していくことが予想されます。今後増加する外国人労働者へ住まいを提供することは、当社グループの収益性を高めるだけでなく、社会問題の解決へも寄与するものと考えており、当社グループはこのような社会情勢の変化を的確に捉え、新たな社会的価値を創出することで持続的な成長を実現していきたいと考えております。

※国土交通省が発表した建築着工統計調査報告によると、2023年の新設住宅着工戸数(貸家)は343,894戸と3年ぶりの減少となっている。

(5) 優先的に対応すべき事業上及び財務上の課題

 中期経営計画「JPMC2025」の4年目となる2024年12月期は、不安定な国際情勢を背景とした資源価格や原材料価格の高騰、円安基調の継続、物価上昇による個人消費の停滞など、景気の先行きについては依然として予断を許さない状況となっております。

 このような事業環境下において、当社グループは以下の事項を重要課題として捉え、その対応に引き続き取り組んでまいります。

①持続的な成長のための事業基盤の強化

 持続的な成長を継続していくためには、運用物件数の増加と幅広い借上ニーズへの対応により、ストックビジネスを極めていくことが最優先課題であります。これに対応するため、当社は2024年1月1日付で全社的な組織改編を行い、営業・マーケティング機能と、プロパティマネジメント機能にそれぞれ特化した社内カンパニー制を構築いたしました。これにより、従来分散していた戦力やノウハウを集中化し、シナジーを創出することにより、より機動的な営業スタイルに変革するとともに、きめの細かいプロパティマネジメントを展開することにより、物件オーナー様はもとより、入居者様そしてパートナー企業様の満足度を高め、各ステークホルダーに対してより多くの利益をもたらすことができるよう努めてまいります。

②効率性の追求

 当社は、業界の中でも一定の収益性の高さを実現できていると考えておりますが、さらに持続的な成長を遂げていくためには、効率性をさらに追求し、利益体質を強化していく必要があります。

 その実現のために準備しております基幹システムの一新については、本年度は本格的な開発フェーズを迎え、全社的な業務改革・効率化を目指して、2025年度からの稼働に向けて鋭意取り組んでまいります。また、本年度の組織改編によるグループ会社を含めたカンパニー制の導入により、主力事業である賃貸経営代行事業と、リフォーム、滞納保証、保険事業などの関連事業とのシナジーを最大化し、要員の効率化も図りながら、競争力のさらなる向上を目指してまいります。

③ESG経営の推進

 当社は、ESGのマテリアリティを特定し、それぞれを実現することで達成させるSDGsや気候変動への対応目標を設定し、その達成に向けて取り組みを進めております。その結果、2024年2月に国際的なNGO団体であるCDPによって公表された「気候変動レポート2023」において、平均を大きく上回る「B」評価を獲得することができました。今後も、既存物件をリフォーム・リニューアル・リノベーションした上で当社が借上げを行う「スーパーリユース」や「ふるさぽルネサンス」の各事業などについて積極的に事業展開を行ってまいります。

 また、過半数の社外取締役で構成される取締役会や、任意に設置している指名・報酬委員会の実効性をさらに高めるなど、コーポレートガバナンスの強化を実現するとともに、女性や外国人のマネージャ―職への積極的登用など、ダイバーシティ経営を推進し、企業価値向上に繋がるよう取り組みを進めてまいります。

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