INCLUSIVE 【東証グロース:7078】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針について
当社グループは、「ヒトを変え、事業を変え、そして社会を変える。」を企業ビジョンとして掲げ、メディア企業ならびに事業会社のデジタルビジネス支援など「コミュニケーション領域の総合商社」を目指します。また、前連結会計年度からの中期戦略では、メディア、広告・マーケティング領域に加え、地域ブランディング(地方創生)事業の推進、宇宙関連(衛星データ関連)事業の着実な実績作りを行い、多様なビジネスモデルやソリューションを提供する事で、社会変革を実現する企業となるよう事業展開に取り組んでまいります。
当連結会計年度において当社グループは、メディア&コンテンツ事業、企画&プロデュース事業、食関連事業、その他事業の4セグメントにおいて事業展開をおこなっております。
メディア&コンテンツ事業
メディア&コンテンツ事業は、メディア、ニュースレターなど多岐に渡る情報発信フォーマットを通して、インターネット上でユーザーを集客し、広告による法人クライアントからの収益獲得、もしくは個人ユーザーに対するコンテンツ・サービス販売による課金を行う事業領域です。
短期的には、既存取引先との関係強化を推進し新たな案件獲得を強化するとともに、SNSマーケティング等、足元で多くの広告予算が投下されている領域での展開を強化する等、新たなサービス開発に注力しています。中長期的には、内製化傾向の強い事業会社のデジタルマーケティングの領域において、事業会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進支援、コンサルティングとともに運営メディアの獲得と広告関連サービスのアップセルとクロスセルに注力しております。それらを踏まえ、メディア収益化支援、事業コンサルティングを重点活動領域と設定しております。
企画&プロデュース事業
企画&プロデュース事業は、主に法人をクライアントとし、事業戦略のコンサルティングから始まり、企業や団体ブランディングに関連する企画の提供、プロモーション関連サービスの提供、空間デザイン、施工サービスの提供、あるいはプロモーション活動等で活用するウェブシステム開発の支援等を行っております。
当該事業領域においては、既存取引先との関係強化を推進し新たな案件獲得を強化するとともに、SNSマーケティング等、足元で多くの広告予算が投下されている領域での展開を強化する等、新たなサービス開発に注力しています。事業会社におけるプロモーション活動等のデジタル化ニーズの拡大と内製化意向の高まりにより、ブランディング支援・企業向けPRコンサルティングサービスに強みを持つ当社グループのサービス提供機会も今後拡大していくことが想定されます。特に企業ブランドのSNS運用をはじめ、デジタルマーケティングにおける内製化支援サービスに注力しつつ、インバウンド・観光需要に対しても地方創生事業におけるブランディング戦略パートナーシップを積極的に構築するなど、既存施設のリブランディング施策などこれまでの実績をさらに加速させて取り組んでまいります。
食関連事業
食関連事業は、当社グループの株式会社下鴨茶寮の持つ安政三年(1856年)創業の下鴨茶寮というブランドを基盤として、食に関連する各種サービスを提供しています。
当該事業領域においては、人流回復と大幅な円安を背景としたインバウンド消費を見越し、国内リアル店舗での高単価高付加価値サービスを提供していくとともに、EC領域におけるブランド力を軸とした商品開発とグループ連携を意識した販促力の強化、ならびに自治体や地域生産者などとの話題性のあるコラボレーション施策を推進してまいります。中長期的には、下鴨茶寮の更なるブランド力強化と同時に、EC事業の海外展開、ブランドコンセプトを付加した新商品企画の推進やふるさと納税商品の共同開発強化など、新たなサービス開発等を進める方針です。
宇宙事業をはじめとしたその他新規事業
既存事業領域で得たノウハウや、クライアントコネクションを活用した新規事業の開発を行っていきます。宇宙関連領域においては、戦略子会社であるLAND INSIGHT株式会社の事業展開を強化し、各種実証実験に取り組むとともに、これらの取り組みをもとにした農業・酪農・畜産・林業・防災分野での事業化を推進してまいります。中長期的には、農業関連衛星データサービスの強化、漁業・土木関連での衛星データ利活用実証実験の実施、当社グループの出資先でもあるインターステラテクノロジズ株式会社との連携による独自衛星サービスの強化などに取り組んでまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、収益規模を持続的に拡大させていくことと、効果的なリソース配分がなされている事の両面を担保していく観点から、売上高ならびに営業利益を重視しております。また、今後の成長に向けた新規サービス等の開発投資が重要との認識から調整後EBITDA(=営業利益+減価償却費及びのれん償却費+株式報酬費用+寄付金)についても、当社グループの経常的な事業収益力を測る指標として重視しております。
(3)経営環境について
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が恒常的な感染症へと完全に移行し、国内外の人の流れが活発化したことで、国内における個人消費に回復がみられ、インバウンド需要も増加するなど社会経済活動は緩やかな回復基調にあります。一方で、海外情勢の緊迫化、世界的な原材料価格の高騰や為替相場の円安による諸物価の上昇が続いており、春闘における30年ぶりの高い賃上げや企業の高い投資意欲など我が国経済にとって前向きな動きがありつつも、実質所得は減少傾向が継続するなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
そういったマクロ環境下で、当社グループが属するインターネット広告領域においては、社会のデジタル化を背景にその市場は引き続き堅調に伸長しております。また、このうち当社グループにとって重要なインターネット広告媒体市場は、「2023年 日本の広告費」(株式会社電通)によると、前年比108.3%の2兆6,870億円と高い成長率で推移しており、今後もメディア媒体を中心に事業機会は拡大すると見込んでおります。
日本国内のインターネット広告領域の動向については、インターネット利用者数は前年に引き続き増加しており、総務省が発表した「令和4年通信利用動向調査」によると、各年齢階層で9割を上回る結果となっております。中でもインターネット利用率の増加に大きく影響を与えていると考えられるスマートフォンの利用状況については、世帯別の保有率は90.1%、年齢別では20歳から59歳の保有率は軒並み9割を超える結果となっております。このような環境は、当社グループの各事業展開を支える幅広い年齢層に対するアプローチを可能とする一方で、ユーザーのニーズに応える広範かつ的確な情報選別が重要となります。そのため、当社グループの強みである情報発信力を活かし、メディア・コンテンツ・企画・広告等の事業領域の充実を進めてまいります。
(4)対処すべき課題
①業界動向について
個人および法人のインターネット活用の場面が拡大したことに伴い、インターネット広告市場も拡大しております。しかし、インターネット広告業界は、広告領域の他の事業同様に景気変動の影響を直接的に受ける性格を有しております。そのため当社は、新たな業界動向を察知し、外部環境の変化に対応できる臨機応変な組織構築を行ってまいります。具体的には、直近においては生成系AIの社会全般に対する普及を見越し、AIを活用した新たなコンテンツ生成体制の構築やIPビジネスを展開するなど、拡大する新しい事業領域に対して付加価値を提供するサービスを企画・開発していく方針です。
また、インターネット広告業界の中で、予約型広告の市場成長をしのぐスピードで運用型広告市場の成長が顕著となっております。かかる事業環境の中、当社は子会社であるData Tailor株式会社とも連携し、広告枠の効果的な配置による収益機会最大化と、収益性の高いメディアの制作・運用ノウハウの強化や改善を行っていく方針です。
②競合環境の変化について
当社収益の大半は、広告主によるインターネット媒体出稿費用に直接あるいは間接的に依存する比率が高いのが現状です。昨今のインターネットメディアの増加により、メディア間での競合が激化し当社の広告受注単価あるいは受注数に影響が出る場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。そのため当社グループは、継続した広告メニューの改善・開発を、広告主や媒体社との意見交換を頻繁に実施しつつ継続していくとともに、サービス間で連携しSNSやオウンドメディアの運用、コンテンツマーケティングやEC関連ソリューションの提供など、広告獲得以外の価値をクライアントに提供する活動にも注力してまいります。
③ブランドセーフティへの対応について
インターネット広告を行う際には、数多くの広告配信ネットワークやメディアから広告が配信される事から、適切なコントロールがなされていない場合、広告主が表示を想定していない、コンテンツの質が低いメディアに広告が表示される可能性があります。かかる事象が発生することで、広告を実施したことによって広告主のブランド毀損が発生する可能性があるため、このようなブランド価値毀損が発生しうる広告掲載を防止する、ブランドセーフティが意識されるようになってきており、広告主が不適切な広告媒体を避けたり、アドネットワークを配信ネットワークとしての質に注目し選別するなどの動きが注目されつつあります。その中で、当社グループはコンテンツ制作体制を強化し、コンテンツに対する社内レビュー体制の強化や、専門家の監修強化を通して、コンテンツの質向上に取り組んでいます。
④特定の経営陣への依存緩和について
当社グループの代表取締役社長である藤田誠は、2007年の創業以来当社の代表を務めております。同氏は、インターネットサービス事業に関連する豊富な経験と知識を有しており、当社の事業戦略の決定に重要な役割を果たしております。当社では、取締役会や、事業運営に必要な定例会議の実施を通した情報共有や幹部の育成、組織の強化を行う事や、適宜権限の委譲を行っていく事で、同氏に過度に依存する体制を緩和していく方針です。
⑤内部管理体制について
当社グループは現在、成長段階であり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であります。そのため、当社グループは経営の公正性・透明性を確保するための更なる内部管理体制強化に取り組んでおり、従前より実施している定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の更なる強化などを行っていく方針です。
⑥人材の確保及び育成について
当社グループは、今後想定される事業拡大や新規事業の展開に伴い、継続した人材の確保が必要であると考えております。特に、新規事業を立ち上げ、拡大・成長させていくための事業開発力・マネジメント能力を有する人材や、コンテンツ制作のスキルを有する人材の確保に努めるとともに、人事・教育体制の整備を進め人材の定着と能力の底上げに努めております。
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