ID&Eホールディングス 【東証プライム:9161】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループにおける経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 中長期的な経営戦略
① 経営の基本方針
当社グループは、「誠意をもってことにあたり、技術を軸に社会に貢献する。」を経営理念としています。
「世界をすみよくする」ことをMission(私たちの使命)、「誠意をもってことにあたれば、必ず途(みち)は拓(ひら)ける」をValues(共通の価値観)とし、結束したグローバル企業集団へと進化することで「唯一無二の価値を提供する会社」をVision(なりたい姿)として掲げています。
② 目標とする経営指標
当社グループは、中長期の視点から以下のとおり目標とする経営指標を定めています。
2027年6月期(中期目標):
売上収益1,980億円、営業利益180億円、営業利益率9%、ROE12%
2030年6月期(長期目標):
売上収益2,500億円、営業利益250億円、営業利益率10%、ROE15%
③ 経営戦略
当社グループは、コンセプトを「共創。限界なき未来に挑む」とする長期経営戦略「NKG グローバル戦略2030」を2021年6月に発表しました。社内および社外の多様なパートナーとの「共創」を通じ、知の探究と技術の革新・統合により新たな価値を提供し、人々が豊かさを実感できる社会の実現に貢献する企業グループを目指します。
その実現に向けて、当社グループは、2023年7月3日に持株会社体制へ移行しました。持株会社体制への移行は、「自律と共創」の推進に加えて、ガバナンスの強化と意思決定の迅速化および多様性の確保が目的です。
また、市場環境の変化およびID&Eグループの持続的成長に向けた事業領域を再検討のうえで、2024年6月にマテリアリティ(最重要課題)を「分断・格差のない世界の構築」「すみよい地球環境の実現」「共創による新たな社会課題への挑戦」「多様なグループ人財の活躍」「誠意と技術を軸にしたグループ経営」の5つに改定しました。
(2) 今後の見通しおよび重点課題
「NKGグローバル戦略2030」を引き継いだ「ID&Eグローバル戦略2030」および新マテリアリティのもと、2024年7月から2027年6月までを展開期と位置付け、中期経営計画「Building Growth 2027」を策定しました。2027年6月期の数値目標を売上収益1,980億円、営業利益180億円、営業利益率9%、ROE12%としています。基本方針を「主力3事業の持続的成長と事業間の共創による事業領域の拡大」とし、3つの展開策(成長に向けた改革、マトリクス経営の展開、人財・技術の進化)に取り組みます。
コンサルティング事業においては、国内市場では国土強靭化に向けた公共事業予算が確保され、防衛関連事業は予算の増加に伴い、良好な市場環境が期待されます。海外市場では円借款を含めたODA事業は過去最大規模の予算となり、民間資本によるインフラ開発のニーズも高まる一方で、インフレ・円安によるコスト上昇の懸念があります。都市空間事業では、持続可能なまちづくりへの要請が高まり、また新興国においては都市基盤整備等による高効率な都市整備需要が旺盛です。エネルギー事業では、2050年カーボンニュートラル目標に向け、再生可能エネルギーの主力電源化、その変動を吸収する蓄電等が推進され、脱炭素のトレンドは長期に続く一方、様々な企業の新規参入による競争も見込まれます。
こうした市場環境のもと、前記のとおり、当社グループは中期経営計画「Building Growth 2027」(2024年7月から2027年6月まで)に基づく以下3つの展開策を実行しています。
展開策1.成長に向けた改革 |
グループ全体 | ・ ポートフォリオマネジメントの推進 |
コンサルティング セグメント | ・ 民間・新規事業(官民連携事業、デジタルビジネス、マネジメント事業)の拡大 ・ 自動設計に係る技術開発の推進による生産性向上 ・ 稼働率の向上等による海外事業の収益向上 |
都市空間 セグメント | ・ 日本国内での注力市場・事業の明確化による市場開拓力の強化、受注単価向上 ・ BDP HOLDINGS LIMITEDおよびその子会社(以下「BDP社」という。)によるAPAC(アジア大洋州地域)・北米展開強化 ・ コスト構造の見直し等による経営・収益体質の強化 |
エネルギー セグメント
| ・ 水力発電関連部門の集約による製造事業の付加価値向上 ・ エネルギーマネジメント事業の本格化 ・ 欧州事業による知見の日本・アジア展開 |
展開策2.マトリクス経営の展開 | |
地域戦略 | ・ 地域統括のリーダーシップによる地域戦略の推進 ・ グループとしての収益の最大化に向け、8つの地域(日本、英国・北欧・西欧・南欧、東南アジア・東アジア・大洋州、南アジア、中南米、サブサハラアフリカ、北米、東欧・中央アジア・中東・北アフリカ)それぞれの市場動向等に対応した事業ポートフォリオの最適化 |
展開策3.人財・技術の進化 | |
人財戦略 | 人財育成 ・ ID&Eグローバルアカデミーの設立・運営 ・ タレントマネジメントシステムによるデータドリブン人事の実現 ・ 教育研修による従業員のスキル向上 ・ ステークホルダーとのネットワーク構築 DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン) ・ 多様な人財の活用を通じた企業としての持続的成長および優位性構築 ・ インクルーシブな環境の整備 Well-being ・ 働き方改革による生産性向上 ・ 心身の健康をサポートする職場環境整備 ・ コミュニケーションを活発化させる環境づくり |
技術戦略 | 技術・DX開発 ・ グループ内共創および効率的IT技術開発に向けた共通基盤整備 ・ グループ共通方針に基づく生成AI等デジタル技術の活用推進 品質管理 ・ グループ全体を俯瞰する品質向上活動の推進およびプロフェッショナル職連携体制の構築 ・ プロフェッショナル人財育成活動の推進と人財育成の連携体制の構築 |
2025年6月期は、コンサルティング事業においては、日本工営を中心に、国内市場では主に道路事業・防衛事業等でシェア拡大を、海外市場では稼働率の向上や生産構造の見直しにより収益性向上を図ります。また、国内外ともに民間事業の拡大やAI・自動設計の活用による生産性向上を目指します。
都市空間事業においては、日本工営都市空間株式会社(以下「日本工営都市空間」という。)が生産体制の強化とコスト構造の見直しによる経営基盤強化を、BDP社がグループ各社との協業等によるAPAC展開の強化と北米における事業拡大に取り組みます。
エネルギー事業においては、日本工営エナジーソリューションズ株式会社(以下「日本工営エナジーソリューションズ」という。)を中心に、蓄電池を中心としたエネルギーマネジメント事業の拡大と水力発電関連部門の集約による製造事業の付加価値向上を推進します。
これらの取り組みを推進することで、2025年6月期業績予想は、売上収益1,650億円(前期比103.8%)、営業利益は2024年6月期に資本参加先の株式上場に伴う評価益を約21億円計上した反動により減益で122億円(前期比86.4%)、親会社の所有者に帰属する当期利益73億円(前期比75.4%)としています。
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