HYUGA PRIMARY CARE 【東証グロース:7133】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「患者さん(利用者さん)が24時間365日、自宅で『安心』して療養できる社会インフラを創る」を経営理念としており、在宅患者の身近に基本的な医療・介護・住まいの相談に乗ってくれる窓口となり、要介護状態となっても水道、電気のような社会インフラと同様にいつでも生活の助けとなれるプライマリーケアを目指しております。
また、医療・介護事業者等を地域内で繋ぎ、在宅患者を中心として連携されたネットワークの中で、安心して住み慣れた環境で過ごすことができる体制を、プライマリーケアのプラットフォーム企業として定義し、患者及び利用者のニーズに応えながら、社会的課題の解決に貢献してまいります。
このような考えのもと、在宅患者へお薬をお届け又は外来患者へお薬をお渡しする在宅訪問薬局事業や、在宅患者をサポートしようとする中小薬局事業者への支援としてきらりプライム事業を拡大し、1社だけではできないより多くの在宅患者に直接、間接を問わず包括的なケアができる体制を構築していきます。 さらに、要介護度が高く、医療依存度が高い在宅患者に対応できる住宅型有料老人ホームを運営するプライマリケアホーム事業を加えた3事業を柱に、タイサポ事業、ICT事業と連携し、増加する在宅患者に対応してまいります。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループの経営環境としては、内閣府「令和5年版高齢社会白書」において、国内の75歳以上の人口が2022年の1,936万人から2055年には2,479万人となり、高齢化が進むことで社会保障の財源に問題が生じると予測されております。そのため、政府の施策として医療及び介護の現場を病院から在宅へシフトしていく方針を積極的に進めていることから、厚生労働省の「患者調査」でも見られるように全患者に占める在宅患者の比率が上昇しており、中長期的に市場が拡大していくものと考えております。さらに、要介護者の増加に伴い慢性的に人材が不足するなどの新たな社会課題に対して、当社グループの医療、介護事業者とのネットワーク及び中小調剤薬局のネットワークを活かした新たなサービスを展開する機会が生まれております。
このような経営環境のなか、当社グループは、本格的な在宅医療・介護時代の到来に対して、直営店舗(きらり薬局)の拡大と中小薬局に対するコンサルティング機能を強化することで、きらりプライム加盟店を拡大し、連携を高めることによって、面的に在宅患者をカバーしてまいります。さらに、プライマリケアホーム事業においても、自社展開だけでなく、このビジネスモデルを公開し全国に広げ、より多くの在宅患者をケアできるよう展開してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは持続的な事業成長のため、当社グループと契約している在宅患者数及びきらりプライム加盟法人数の増加数、プライマリケアホーム事業の施設稼働率、年間施設開設数を重要な指標としております。なお、前連結会計年度まではきらりプライム事業の重要な指標として加盟店舗数を掲げてきましたが、在宅コンサルティングサービスの拡充が進み、薬局を運営する法人の数の重要性が高まったため記載を変更しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 在宅患者数の増加に対応する店舗出店
当社グループは、自宅で療養する患者数の増加に対応するために出店を進めており、現在は福岡県、佐賀県、東京都、神奈川県及び千葉県において在宅患者への訪問効率を高めるドミナント戦略を展開しております。当社グループのきらりプライム加盟先は全国に広がっていることから、今後きらりプライム加盟先が多い地域に出店し、仮想ドミナントを形成する新たな出店形態を構築してまいります。また、大手調剤薬局が大型門前薬局を展開していく方向性に対して、当社グループは比較的外来処方箋枚数が少ない中小規模薬局を当社グループの在宅訪問薬局モデルと合わせることで収益性を高めることができます。一方で2024年4月の調剤報酬改定(施行は2024年6月)により、在宅患者に対するサービスに調剤報酬加算(在宅薬学総合体制加算など)が拡充されたため、今後は在宅患者を専門にケアする出店を増加する計画です。1店舗当たりの在宅患者数は平均200人程度ですが、出店エリアにより平均の3倍程度の在宅患者数を担当する店舗があり、薬局スタッフの高い負荷が課題です。調剤報酬改定を機に在宅専門店の出店によりドミナントを再編し、薬局スタッフの負荷軽減による労働環境の改善と在宅患者数の増加に対応します。
② きらりプライム加盟店舗数の拡大
直営店舗の出店だけでは、当社グループの理念にある社会インフラと呼べる状態を速やかに構築するのは困難と考えております。大手調剤薬局事業者の寡占度合が低い調剤薬局市場では、中小規模の薬局が多く、この中小規模の薬局事業者との連携を拡大し、当社グループのノウハウを在宅薬剤師の採用育成により提供することで多くの在宅患者にサービスを提供できる体制を構築してまいります。
現在、45都道府県に加盟法人が広がっていますが、地域、エリアによっては、加盟法人数の濃淡があります。当社グループの営業人材を戦略的に配置することで、開拓できていない地域、エリアの加盟法人数の増加を図ります。
③ プライマリケアホーム事業、ICT事業の拡大
当社グループが属する医療介護業界は、一般的に労働集約産業であり、少子高齢化に伴い労働力人口が縮小する中でより効率的な運営が求められます。少ない労働力で業務を回す仕組みとして、当社グループの在宅訪問業務を効率化し、収益化したノウハウを、コンサルティングやIT、ICTを通じて提供していく商品、サービスの開発を進めております。
後期高齢者人口の増加、要介護者数の増加する中、社会保障財源の課題がある我が国は病院の病床数の削減を進めており、地域単位で在宅医療、介護に対応する体制の構築が求められております。このような社会課題を解決するため、当社グループは医療の依存度が高く、要介護度も高い在宅患者に適応し大型化した高齢者施設(定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス)を展開するプライマリケアホーム事業と当社グループのICT事業を組み合わせることで在宅患者を効率的かつ包括的に支えていく取り組みを進めてまいります。
④ 人材の獲得と育成
プライマリーケアのプラットフォーム企業となるためには、在宅訪問薬局だけでなく、多様なサービスを提供していくために優秀な人材の獲得と育成を進める必要があります。医療、介護業界以外の異業種からも人材を求めていくことや、獲得した人材を長期にわたり引き付けていく人事制度を構築してまいります。
⑤ 内部統制とコーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、意思決定のプロセスにおける透明性を確保し、迅速化による経営の効率性を高め、事業執行において内部統制機能充実を図ることがコーポレート・ガバナンスの基本であり、経営上重要な課題と考えております。そのため、コンプライアンス体制の強化、コーポレート・ガバナンスを強化してまいります。
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