企業兼大株主HEROZ東証スタンダード:4382】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の項目と認識しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 「世界を驚かすサービスを創出する」という理念のもと、将棋等の頭脳ゲームAIを開発する過程で培った技術力を活用し、またグループ会社で蓄積されたSaaS関連技術・セキュリティ関連技術等もフルに活かして、AI革命を起こし、未来を創っていく集団であり続けることを当社グループの基本方針としております。

(2)経営環境・経営戦略

 当連結会計年度における我が国の経済状況は、所得・雇用環境が改善される中、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が期待されているものの、世界的な金融引締めや急激な為替変動、中東地域をめぐる情勢及び物価の上昇などによる景気の下振れリスクが懸念されています。

 その一方で、情報サービス業界においては、従来なかったスピード感での技術革新や、少子高齢化・生産年齢人口の減少等を受け、デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する投資が引き続き拡大を続けています。特に、AI市場においては、OpenAI社による「ChatGPT-3.5」「ChatGPT-4.0」のリリースに端を発した、各産業におけるAIトランスフォーメーション(以下、「AIX」という。)に関する投資の加速が続いており、まさに現在進行形で、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を含むAIの技術競争・需要拡大・社会実装が急激なスピードで進んでおります。なお、当社グループでは、AIXとは、AIを社会に浸透させることにより、その力を通じて既存の業務プロセスやビジネスモデル等を含めて社会全体に抜本的な変革を起こすこと、ととらえております。

 また、SaaS市場においても、導入の需要のみならず、「ニーズの多様化に伴うSaaS間連携」「統合管理の複雑化によるセキュリティ要件の高度化」等に関する需要拡大が見込まれるほか、セキュリティ市場においても、サイバーセキュリティ攻撃による脅威が年々増加しており、近年ではランサムウェア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー攻撃被害が国内外の様々な企業や医療機関等で続き、国民生活や社会経済に影響が出る事例も発生しています。2023年3月には「Emotet」の活動再開が確認され、国民の誰もがサイバー攻撃の懸念に直面しております。

 このような環境の中で、当社グループは、HEROZ3.0として「AI BPaaS」を掲げ、単なるSaaSツール提供会社にとどまらず、生成AI等を駆使し大幅に自動化されたWorkというかたちで価値提供を行い、社会全体にAIXを起こしていくことを目指しております。

 また、当連結会計年度は、2023年11月に、コンタクトセンター領域において各種ソリューションを提供している株式会社エーアイスクエア、2024年3月にAI事業を行っている株式会社ティファナ・ドットコムの株式を取得し、子会社化を行いました。HEROZグループでは、グループ各社が持つ強みと当社が持つAI技術力でシナジーを創出・拡大し、社会やビジネスにおけるAIXをさらに推進させるべく、今後も「オーガニックな成長」「企業価値向上のためのM&A」の両方に積極的に取り組んでまいります。

 セグメント別の事業戦略は、以下となります。

・AI/DX事業

 当社グループに蓄積されたAI技術・ノウハウ・データを活用し、個別のAIソリューション開発とAI SaaSの両軸から、企業のAIXを支援する事業となります。具体的には、HEROZ株式会社の提供するBtoCサービス、BtoBサービスに加えて、株式会社ストラテジット、株式会社エーアイスクエア及び株式会社ティファナ・ドットコムが運営する事業が含まれています。

・AI Security事業

 マネージドセキュリティサービス・インテグレーションサービスを中心に、AI技術を利用して高度なインターネットセキュリティの実現を目指す事業が対象となります。具体的には、バリオセキュア株式会社が提供するAI Security事業になります。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループでは、継続的な事業拡大のため、以下の課題について対応が必要であると考えております。

① AI・SaaS関連の新技術への対応

 当社グループは、HEROZ3.0として「AI BPaaS」を掲げ、単なるSaaSツール提供会社にとどまらず、生成AI等を駆使し大幅に自動化されたWorkというかたちで価値提供を行い、社会全体にAIXを起こしていくことを目指しておりますが、その根幹となるAI関連・SaaS関連の技術は、将来的な利用可能性の高さやニーズの多様化等から、国内外で研究開発が活発に行われております。このような事業環境の下で当社グループが事業を継続的に拡大していくには、様々な新技術にスピード感をもって対応していくことが必要であると認識しております。特に、先述のとおり、OpenAIによる大規模言語モデル「ChatGPT」をはじめとして生成AIに関する技術革新・技術競争は激しさを増しており、各企業が同モデルを含むAIXに関する投資を拡大するなど、新技術への対応は急激なスピードで重要性を増しております。

 当社では、現在所属している一般社団法人「人工知能学会」の賛助会員や一般社団法人「日本ディープラーニング協会」の正会員として最先端の情報収集に努めており、また2024年3月には一般社団法人「Generative AI Japan」にも参画し、最先端の生成AI関連の情報収集を行いながら技術力向上に取り組んでおります。

 また、2024年5月に当社で生成AIを用いたAIアシスタントSaaS「HEROZ ASK」を、グループ会社の株式会社ストラテジットでSaaS連携プラットフォーム「JOINT iPaaS for SaaS」を正式リリースしており、同サービスの事業拡大・各種連携を進めることで社会全体のAI実装・AIXをさらに加速していきたいと考えております。それに加えて、今後、各種SaaSサービスのアップデート・機能拡充のみならず、大規模言語モデルを含むAI・SaaS・セキュリティ分野における積極的な研究開発も引き続き進めてまいります。

② セキュリティサービス関連の新技術への対応

 当社のグループ会社であるバリオセキュア株式会社はインターネットセキュリティ関連事業を営んでおりますが、インターネットセキュリティ関連分野においては、クラウドサービスの利用拡大やワークスタイルの変化、そして、巧妙化するサイバー攻撃により、セキュリティの脅威は社外、社内という境界を越えて存在するようになりました。

 このような環境の下、同社では、外部からのリスクを防御するマネージドセキュリティサービスに加え、セキュリティリスクを検知し、脅威を除去する端末側のセキュリティサービスやデータの保護・復旧を行うバックアップサービスなど、事業領域を拡大してまいりました。中期経営計画では、セキュリティサービスを包括的に提供する統合セキュリティベンダーとして、各種サービスの提供を行っていく予定です。今後も新たなセキュリティ課題に対する需要が拡大する中、市場の変化に対応したサービスを提供してまいります。

③ 人材の確保

 当社グループは、AI市場をはじめとする情報サービス業界全体の拡大、新規参入企業の増加、顧客・ユーザのニーズの多様化、急激な技術革新等に迅速に対応していくため、最先端の技術を有する人材の確保、育成が必要と考えております。しかし、優秀な技能を持つ人材獲得は、他社とも競合し、安定した人材確保が容易ではない状況が今後も継続すると考えております。

 当社グループとしましては、技術力の高さを通じて市場でのプレゼンスを高めることや、広報活動・マーケティング活動の強化、及び優秀な人材が興味や関心を持つ分野での各種取り組みを強化すること等により、会社の魅力を訴求していくことが重要であると考えております。また、社内研修の強化等を図っていくことで人材の育成につなげるほか、人事制度の整備・運用やエンゲージメントサーベイなどを実施し、従業員の定着率向上に努めてまいりたいと考えております。

④ 情報管理体制の強化

 当社グループでは、現在、様々な業界に対してAI SaaS関連サービスの提供を行っております。このようなAI・SaaS関連のソリューション提供のためには、それぞれの業界において蓄積されたデータが必要になるため、データを有する企業とのパートナーシップ戦略を採用しております。その結果、顧客の機密情報を扱うこととなっているため、情報管理規程等に基づいた管理を徹底しており、今後も社内教育を継続して行ってまいります。

⑤ SDGsに関する課題への対応

 当社グループは、グループ内に蓄積されたAI・SaaS関連技術、データ等を活用して様々な社会課題を解決し、持続可能な社会を実現するべく、以下の重点方針に従い、SDGs(Sustainable Development Goals)に関する取り組みを進めてまいります。

<重点方針>

・AIXの推進

 当社グループは、新たにHEROZ3.0として「AI BPaaS」を掲げております。今後、単なるAIツール提供会社にとどまらず、生成AI等をフル活用し大幅に自動化されたWorkというかたちでの価値提供を通じて、国内における労働人口不足問題の解決に取り組むとともに、人とAIが当たり前に協走・協創する社会の実現を目指し、各産業のAIXを推進してまいります。

・AIを通じた地域社会や地球環境への貢献

 温度や湿度等を快適にする建物制御システムに当社のAIを搭載する等、省エネルギー化につながるAIを提供し、環境負荷を軽減する取り組みに参加いたします。

・働きがいのある環境づくり

 在宅勤務の導入や休暇取得の促進等、従業員の意向を踏まえた快適な労働環境を提供しております。また、残業時間のモニタリングや産業医面談等、長時間労働や過重労働を防ぐための体制を作り、役職員の健康管理にも配慮しております。

・人材育成・価値発揮

 社員一人一人が、自己の能力を高めることができる業務体制や人事制度を整えているほか、研修や定期的な勉強会を実施する等自己研鑽の機会を設け、社員が個性を発揮しながら創造力を働かせて挑戦し続けることができる環境を提供しております。また、人事制度に関してはグループ内で適宜見直しを行い、臨機応変に整備を行うことにより人材力の強化に努めております。

・最先端技術のリード

「① AI・SaaS関連の新技術への対応」に記載した内容とも関連しますが、最新技術に関する情報収集等をスピード感をもって行い、高品質で最先端なAIを提供するよう努めております。また、後述の「⑦ 知的財産権の確保等について」にも関連した内容となりますが、当社グループが発案した知的財産の権利化を進め、可能な限り、知的財産を活用できる取り組みも進めております。

⑥ システム基盤の強化

 当社グループの収益の基盤となるサービスを展開するためには、大量の情報処理やシステム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、システムを安定的に稼働させるための人員の確保及びサーバの最適化を通じて、安定稼働に努めてまいります。

⑦ 知的財産権の確保等について

 当社グループでは、日々のAIソリューション提供やSaaS関連サービスの提供から生じた新規性のある独自技術の保護のために、単独又は共同開発企業等と共同で、それらに関する特許権等の知的財産権の取得を図っております。

 しかしながら、AI・SaaS関連分野においては、国内外大手IT企業等が知的財産権の取得に積極的に取り組んでいるため、当社も特許権等の取得により当社の活動領域を確保することが課題であると認識しております。今後、様々な業界に対してAIを開発することによって有用な知見が得られることが期待されるため、外部専門家とも協力しながら、独自の技術分野については、他社に先立って戦略的に特許権等を取得していきます。

⑧ サービスの安全性及び健全性の確保

 当社グループでは、BtoB領域において「HEROZ ASK」「JOINT」「QuickSummary2.0」「AIさくらさん」等のSaaS関連サービスを提供しておりますが、今後これらのサービスをさらに提供・拡大していくにあたり、サービスの品質や安全性の向上は重要な課題であると考えております。今後、生成AI関連の技術も含め最新技術の収集に努めるとともに、より長期的にご利用いただけるサービスを目指し、妥協のない新機能開発・向上を追求していきたいと考えております。

 また、当社では、BtoCサービスにおいて「将棋ウォーズ」等の個人向けアプリサービスを提供しており、ユーザが安心して同サービスをご利用いただけるように、下記のガイドラインを設け、その安全性・健全性の確保に努めております。

 当社の安全性・健全性に関するガイドライン

 第1条(目的)

 このガイドラインは、HEROZ株式会社(以下「当社」という)が運営・提供するゲーム等のサービスについて、当該サービスを利用する者(以下「利用者」という)が安心・安全に楽しめるサービスの提供を実現するために必要な施策を示すことを目的とする。

 第2条(施策)

 前条の目的を達するために以下の施策を行う。

(1)法令遵守の徹底

 サービスの開発・提供に際して、景品表示法その他の関連する法令を遵守する。提供するサービスについて将来的に違法と判明した場合は、直ちに停止する。

(2)18歳未満の利用者の保護の徹底

 入会時もしくは課金時に年齢認証を行い、18歳未満の利用者による過度な課金利用を未然に防止する。月間課金上限額(税抜)については、18歳未満利用者の場合、月額20,000円とし、16歳未満の場合は月額5,000円とする。

(3)リアル・マネー・トレード(RMT)の禁止

 RMTは一切禁止とする。利用規約においてRMTを禁止している旨を明記するとともに、RMT利用が判明した利用者には、強制退会も含め、速やかに必要な措置を講じる。

(4)不適切行為に対する措置

 利用規約違反など、サービスにおいて不適切と判断される行為を行った利用者に対しては、強制退会も含め、速やかに必要な措置を講じる。

(5)利用者間コミュニケーションの監視

 利用者間のコミュニケーションが安心・安全に行われるよう、定期的に監視し、利用者間の不適切なコミュニケーションを発見した場合には迅速な対処を行う。

(6)適切な有料アイテム出現確率

 有料ガチャのようにランダムで出現する有料アイテムについては、その出現確率を適切な水準に設定する。

(7)社員研修・教育

 サービスの安全性・健全性を向上させるため、社員の研修・教育を実施する。

 第3条(更新)

 サービスの変化、利用者の状況の変化、その他社会状況等の変化に鑑み、当ガイドラインの内容を最適な状態とするべく努力をする。

⑨ 内部管理体制の強化

 当社グループにおきましては、今後もより一層の事業拡大を見込んでおります。そのため、当社及び当社グループの事業拡大に応じた内部管理体制の構築を図るとともに、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。

 また、当社及び当社グループの成長速度に見合った人材の確保及び育成も重要な課題と認識しており、継続的な採用活動と研修活動を行ってまいります。

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