Gunosy 【東証プライム:6047】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「情報を世界中の人に最適に届ける」を企業理念に掲げ、インターネット上に存在する膨大な量の情報の中から、ユーザーの興味・関心にあわせてパーソナライズ化された情報を配信する情報キュレーションサービスその他メディアの運営と、これらのメディアを通じたメディア事業を展開しております。今後も、既存サービスの逐次改善と新規サービスの開発によりユーザーの利便性を向上させることを通じて、企業価値並びに株主価値の向上を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、当社グループが運営する各メディアのアクティブユーザー数、およびPV(注1)を経営上の重要な指標と位置づけ、企業価値のさらなる増大を目指してまいります。また、営業上の指標として、各サービスにおけるMAU(注2)、1ユーザーあたりの収益性、PV等を重視しております。
メディア事業の成長に向けて、当社はメディア価値と広告商品価値の向上に取り組んでおります。各メディアにおけるメディア価値の指標として主にMAUなどのアクティブユーザー数とPVを重視し、メディア価値・広告商品価値の共通指標として1ユーザーあたりの収益性を重視しております。
(注1)PV(Page View)とは、ユーザーがページを閲覧した数をいいます。
(注2)MAU(Monthly Active User)とは、月間あたりのアクティブユーザー数をいいます。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、創業以来、情報キュレーションサービス「グノシー」、「ニュースパス」及び「auサービスToday」を始めとしたメディアサービスの開発・運営を行ってまいりました。情報の収集・整理を、人の手ではなく、アルゴリズムを含む人工知能のテクノロジーで代替することで、収益性と中立性の高いメディアづくりを行っております。2012年11月の当社設立以降、広告宣伝活動を積極的に行い、ユーザー獲得を推進し、蓄積されたユーザーデータを基に、日々ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンスの改善を行っております。2013年11月からは広告配信を開始して収益化に踏み切り、継続的な広告宣伝活動への資金投下が可能な事業環境を構築してまいりました。当社グループは現在、「グノシー」、「ニュースパス」及び「auサービスToday」、総合ゲーム攻略情報メディア「game8.jp」の運営において、更なるユーザーの獲得、広告収益の増加と新たな収益基盤の構築に取り組んでおります。
2024年5月期を通じて、当社は広告市況の動向やその他マクロ環境等、ユーザーの継続率、広告収益の状況を踏まえ、当社の通期単体営業黒字化について当初の広告宣伝投資による売上拡大方針から転換し従来よりも広告宣伝投資を一定抑制しながら生産性を高めることによって黒字化を目指すこととしました。
これらの状況を踏まえ、当社グループは、連単営業黒字化を前提とし、「グノシー」への広告宣伝投資を抑制する一方で、LLMの機能実装などによるユーザーの利便性向上施策を実施しながら事業構造の改善を進めてまいります。また、KDDI株式会社と共同運営している「auサービスToday」については、「ニュースパス」と共に、auユーザーの利用率向上に向けたプロダクト改善に注力してまいります。連結子会社である株式会社ゲームエイトにおいては、ゲーム攻略メディア「game8.jp」について安定的に運営しながら、海外事業を含む新規事業の開発による成長ドライバーの創出に取り組んでまいります。当社の持分法適用関連会社であるGaragePreneurs Internet Pvt. Ltd.(以下、GaragePreneurs)については、NESFBとの合併に向けたプロセスを進めております。合併実現までの間は適切なリスクコントロールを重視したうえでの安定的な事業成長による事業損益の改善を進め、合併実現後には包摂的なデジタル金融体験の提供と既存の銀行ビジネスモデルの改革により、さらなる成長の加速を目指してまいります。その他、資本効率の向上と利益創出力の強化に向け、手元現預金を活用したM&Aを検討するとともに当社グループのテクノロジーを活かした社内DXの推進や、LLMを活用した新規事業創出に努めてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
インターネット市場は、技術進歩が非常に速く、また市場が拡大する中でサービスも多様化が求められます。その中でも、当社は、情報キュレーションサービスの可能性に早くから注目し、普及の一端を担ってまいりましたが、インターネットメディア市場は、依然として発展途上であり、そのマーケティング手法やサービス形態が日々進化している段階であります。
当社は、上記の環境を踏まえ、以下の事項を主要な課題として認識し、事業展開を図る方針であります。
① 既存事業の資本効率の向上と利益成長
当社グループの主要事業であるメディア事業においては、営業黒字を維持した上での安定的な事業運営が課題であると認識しており、引き続きメディア価値の向上、質の高いマーケティング活動、積極的な営業活動に取り組んでまいります。また、ゲームエイトが運営するゲーム攻略メディアにおいては、海外を中心に更なる売上高成長を目指し、継続的な利益成長を実現することで、既存事業の資本効率を現状より改善してまいります。
② 新たな収益の柱を創出するための新規事業への投資
既存事業以外の収益の柱を創出するため、連結営業利益成長を維持できる範囲で新規事業への投資を行ってまいります。具体的には、ゲームエイトにおけるStore and Commerce事業など既存のバリューチェーンを拡張し強化する新規事業の開発、当社の強みであるIT分野における技術力と知見を活かしたLLM/DX領域への事業進出の推進に積極的に取り組んでまいります。
③ M&Aを含めた社外投資の推進による中長期でのキャッシュ創出力の強化
M&Aを含めた社外投資の推進による中長期でのキャッシュ創出力の強化が、当社グループの成長のための重要な課題であると認識しております。今後は保有する投資可能な現預金を活用することにより資本効率を高めることを重視し、有望な投資機会に対して積極的に投資してまいります。
④ 適切なアセットマネジメントの実施による投資先の価値向上
当社グループは成長分野の発掘を通じた社外の高成長分野の取り込みのため、複数のベンチャー企業等に対して投資を実施してまいりました。当社グループの総資産に占める投資有価証券の割合は大きく、投資先の価値向上は重要な課題であると認識しております。今後も投資先の状況に応じた適切なモニタリング・支援を実行することにより、投資先の価値向上支援及びポートフォリオの健全性担保を推進してまいります。
⑤ 広告商品の拡充、顧客基盤の強化
インターネット広告市場は今後も更なる発展が見込まれ、広告商品の多様化が進んでおります。このような中、他社との競合優位性の確立のためには広告商品の拡充と顧客基盤の強化が不可欠であります。また、ユーザー保護及び広告掲載面の品質向上のため、関係法令を遵守した適正な広告掲載基準を継続的に整備し、基準に則った適切な広告審査を行う必要があります。このような認識の下、当社グループでは、広告掲載基準の継続的な見直し、広告審査体制の強化とともに、既存事業における新たな広告商品の開発・販売拡充及び新規事業における顧客基盤の強化を推進することにより、競合優位性の向上を図ってまいります。
⑥ 開発体制の構築
インターネット業界における技術革新のスピードは非常に速く、当社の属する情報キュレーションサービス及びインターネットメディア業界においても、新たなサービスや競合他社が続々と現れております。このような中、他社とのサービスの差別化、競合優位性の確立のためには迅速な開発体制の構築が不可欠であります。
このような認識の下、当社では、最先端の技術動向の把握と技術力の向上のための勉強会等を開催し、また、定期的に社外のエンジニアも参加する勉強会を開催し、引き続き優秀なエンジニアの採用を図ってまいります。
⑦ 営業力の強化
当社の営業部門は、蓄積されたノウハウを活かした提案及び企画により、営業活動を推進しておりますが、事業規模拡大や新規サービスの拡充に伴い、受注の獲得機会が増加することが予想されることから、営業力の強化、営業人員の早期育成に注力する方針であります。具体的には、教育研修制度の充実、営業ツールやマニュアル等の整備、外部ノウハウの活用、また、既存営業人員の育成と同時に、即戦力となる営業人員の採用を行い、営業力の強化を図ってまいります。
⑧ 内部統制及びコンプライアンス体制を重視した組織体制の強化
当社グループは、既存事業の継続的な成長と新規事業の展開及び新規サービスの拡充にあたっては、顧客及びユーザーからの信頼を得ることが不可欠であると考えております。このような認識の下、従業員に対する継続的な研修活動によって、全社でコンプライアンスに対する共通の認識を持つとともに、新規事業に潜在する各種リスク群を踏まえた、専門性や豊富な経験を有する優秀な人材の採用・育成に取り組むことで、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化に努めてまいります。
⑨ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループが提供する情報キュレーションサービス及びゲーム攻略メディアは、ユーザーからの信頼性と利便性を広く認知していただくことが事業上の重要な基盤であり、したがいまして、運営母体である当社及び当社子会社の信頼性の維持向上は当社の最も重要な経営課題のひとつであります。また、当社グループの中長期的な企業価値最大化を達成するためには、メディア・広告事業にとどまらない新規事業の創出や社外投資を健全性・透明性高く推進していくことが重要であり、当社グループのコーポレート・ガバナンスの強化の重要性が高まっております。
このような認識の下、当社取締役会において、取締役会の運用状況及び実効性を定期的に分析・評価するとともに、独立性が高く多様な専門性を有する取締役による、職務執行に対する監督及び助言機能の一層の充実を図っており、また取締役会の任意の諮問機関として指名報酬委員会を設置することにより、取締役の指名や報酬などに関する評価・決定プロセスにおける公平性、客観性、透明性を強化するなど、引き続き、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。
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