GENDA 【東証グロース:9166】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
(経営方針)
当社グループは、人が人らしく生きるために「楽しさ」は不可欠と考え、「世界中の人々の人生をより楽しく」というAspiration(アスピレーション:大志)を掲げております。そしてその実現のため、グローバルにエンターテイメントのネットワークを構築し、世の中に流通する「楽しさの総量」を増やすことを目指しております。
(経営戦略)
当社グループでは成長戦略の柱として、M&Aを通じた「連続的な非連続な成長」を定めています。世界一のエンターテイメント企業を目指す当社グループにおいて、M&Aは、経営資源の獲得や事業成長、新規事業参入を早急に実現することができるため、非常に有効な手段として位置付けております。そしてその推進体制として、エンターテイメント企業経営、ファイナンス及びM&A、テクノロジーの3領域における経験豊富なチームを編成することで、M&Aの円滑かつ効果的な実行を実現してまいります。また、M&A後の統合プロセスであるPMI(Post Merger Integration)についても、3領域のチームのナレッジや過去のM&A等の実績から蓄積されたノウハウを活用することで、グループ内でのシナジーを創出し、グループ全体の事業成長を加速させていきます。この成長戦略のもと、今後は既存事業のさらなる規模拡大と新規事業の獲得を積極的に推進し、事業領域を拡大していく方針であります。
(2)経営環境
当社グループの事業領域であるエンターテイメント業界においては、近年アニメ視聴量が増加しており、その人気を背景にして、業界の規模が拡大しているものと認識しております。その主な要因となるのが、ここ数年の日本アニメ消費の増加です(資料1,2)。スマートフォン利用者の増加とインターネットの動画配信サービスの拡大が融合し、世界中いつでもどこでも何度でも、好きな時間に好きな動画コンテンツを視聴できる環境が整い、大人気タイトルからニッチなアニメに至るまで、日本アニメの視聴量が全世界的に急増しました。エンターテイメント業界は日本アニメ人気を背景に、今後も継続的な成長ポテンシャルを有する市場であると認識しております。
(資料1)国内アニメの配信市場規模
(出所:電通メディアイノベーションラボ「情報メディア白書」(2023年2月28日発刊)P98より当社にて作成)
(資料2)海外における日本アニメの市場規模
(出所:電通メディアイノベーションラボ「情報メディア白書」(2023年2月28日発刊)P98より当社にて作成)
(注)海外日本アニメ市場は、日本動画協会が行っている独自調査による海外展開状況をもとにユーザー支出額を推定したもの。
「エンタメ・プラットフォーム事業」
(アミューズメント)
当社の主力事業であるアミューズメント施設運営市場の規模は、2014年度以降成長を継続しており、新型コロナウイルスの影響を受ける前の2019年度においては約5,400億円程度まで拡大いたしました。とりわけその牽引役となっているのがプライズゲームであり、2014年度から2019年度の5年間で約1.7倍にまで成長しました(資料3)。2020年度及び2021年度は、新型コロナウイルス流行の影響による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出に伴う、業界各社の店舗の一時的な閉鎖や時間短縮営業や、その他の政府による人流抑制施策等により、市場規模は減少を余儀なくされました。しかしながら、そのような環境下であった2021年度においてもなお、プライズゲーム売上高は新型コロナウイルスの影響を受ける前の2019年度の同売上高を上回り、業界過去16年での最高の売上を更新いたしました(一般社団法人日本アミューズメント産業協会が発刊する「アミューズメント産業界の実態調査」による)。さらに、直近年度の2022年度及び2023年度は業界データが未だ集計されておりませんが、当社完全子会社である株式会社GENDA GiGO Entertainmentの2022年度実績においては、プライズゲーム以外のゲームも含めた月次の売上高合計が、10月以降毎月連続で新型コロナウイルスの影響を受ける前の水準を上回る実績となりました(2019年10月から2020年1月の月次の売上高合計との比較)。また、これは当社のみならず、類似の情報を公開している業界主力他社でも同様のトレンドとなっており、足元では業界全体として市場規模が拡大に転じていることが考えられます。2023年度の当社の売上は回復が遅れていた都市型店舗も含めてコロナ前売上を超過しております。このプライズゲーム人気の背景には、以下の3つの要因があるものと考察しております。
1点目は、前述のアニメ人気です。翻って、アミューズメント施設におけるプライズゲームの景品には、アニメのIPを用いたフィギュアやぬいぐるみ等の商品や限定品がリアルな場で多数取り揃えられております。IPのファンが、アニメをリアルな場で体感するという観点から、その景品を目当てに来店していることが考えられます。
2点目は、中古市場サービスの発展にともなって、獲得した景品が不要になったら売却できるという選択肢ができたため、プライズゲームへ挑戦する心理的ハードルが下がったものと考えられます。
3点目は、獲得した景品の写真をSNSに掲載することで世界中のフォロワーからの反応が得られるため、景品獲得の興奮や感動が来店後も継続する環境ができるようになったものと考えております。
当社グループでは、これら3点の外部環境の変化がプライズゲーム売上の増加に寄与しているものと推察しております。
(資料3)アミューズメント施設の種類別売上
(出所:一般社団法人日本アミューズメント産業協会「アミューズメント産業界の実態調査」(2023年6月9日発刊)より当社にて作成)
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、アミューズメント施設の運営を中心としたエンターテイメント領域での事業を推進しており、以下の主要課題に取り組んでまいります。
① 安定したキャッシュ・フローの確保
当社グループの成長戦略の軸の一つであるM&Aを実施するためには、安定的なキャッシュ・フローが必要であります。合理化した店舗運営や徹底した経営管理によってキャッシュ・フローの管理を行うとともに、新規の投資を行う際は投資委員会にてその費用対効果を十分に検討したうえで実行してまいります。
② M&A
当社グループは、エンターテイメント業界においてM&Aや資本提携等の手法を用いて企業価値を高めていくことを成長戦略の柱に据えております。そのためには、潜在的なシナジーを有する対象会社のソーシング及びエクゼキューション、並びに株式価値向上を企図した規律ある資金調達を行うことが必要です。当社グループは、エンターテイメント業界において幅広い人脈や豊富な知見を有する経営陣、M&A及びファイナンスに関して豊富な経験を有する役職員、及びDXやテクノロジーに精通したエンジニアチームを擁しており、これらに対応してまいります。
③ 海外展開の強化
当社グループは、国内だけでなく、今後より一層の成長が見込まれる海外市場に当社グループのサービスを提供していく必要があると考えております。現在は米国、中国及び台湾への展開を実施しておりますが、今後は成長が見込める他の地域への進出も検討してまいります。
④ 人材・組織の強化
当社グループは、今後さらなる事業拡大を推進するにあたって、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが必須であると考えております。とりわけ公正で透明な事業推進のため、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化を図ってまいります。
⑤ 顧客の嗜好・動向の把握
これまでアミューズメント施設の運営において、顧客の属性、動向等顧客行動の把握は限定的な範囲に留まっておりました。今後は自社の顧客向けアプリケーションとの紐づけを実施し、これまで把握できていなかった顧客行動をつぶさに関知することにより、一層お客様のニーズに応えるサービスを提供することを検討してまいります。
⑥ 財務の規律
当社グループは多数の金融機関から借入れ及びリースを行っておりますが、営業活動による安定的なキャッシュ・フローを源泉として強固な財務基盤を築いているため、現時点において優先的に対処すべき財務上の課題はございません。しかしながら、今後当社の成長戦略であるM&Aを実施した際、一時的に有利子負債が増加する可能性があるため、営業活動による安定したキャッシュ・フローの確保に加え、金融機関との一層の関係強化や資金調達の多様化により、財務体質のさらなる強化に努めてまいります。
⑦ 内部統制、コーポレートガバナンスの強化
当社グループは、連続的にM&Aを実施し、非連続に成長していくことを成長戦略の柱に据えております。そのため、新たにグループインする企業も含めて、上場企業集団にふさわしい透明性と健全な経営を行うことが重要であると認識しております。当社グループがM&Aを行う際は、業績やコンプライアンスの遵守等、経営の根幹を成す事項について、有効な管理が働き、将来への対応が早期に図れるよう内部統制システムを充実することで、グループ全体のガバナンス及びコンプライアンス体制の強化につなげるよう対応してまいります。
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