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【東証グロース:3491】「不動産業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を生む世界のトップ企業を創る。」を理念に掲げ、各産業、業界の課題をテクノロジーで解決し、透明性が高く、なめらかな顧客体験を提供することを基本的な方針としております。
(2)経営環境及び経営戦略
① 企業構造及び主要サービス
当社グループは、当社及び子会社55社で構成され、RENOSYマーケットプレイス事業、ITANDI事業、その他事業を行っております。
RENOSYマーケットプレイス事業のうち、オンライントランザクションは、ネット不動産マーケットプレイス「RENOSY」において、不動産の購入DX、売却DXサービス、高級賃貸サービスの提供、新築コンパクトマンションを活用したサービスの提供、及び中華圏の投資家向け不動産プラットフォームのウェブサイト「神居秒算」の運営及び関連事業を行っております。また、サブスクリプションとして、国内・海外の不動産オーナー向けにサブスクリプション(定額利用)で様々な管理プランの提供及びタイ駐在員向け賃貸プラットフォーム「dearlife」の運営を行っております。
ITANDI事業においては、賃貸会社向けSaaSシリーズ「ITANDI BB+」、不動産業者間サイト「ITANDI BB」の開発・運営、賃貸管理業務の基幹ソフトウエア「賃貸名人」の開発・運営、不動産営業支援SaaS「PropoCloud」の開発、運営、テクノロジーを駆使した不動産業界向けデータプラットフォーム事業、
BtoCのネット不動産賃貸サービス「OHEYAGO」の提供、等を行っております。
その他事業としては、完全業界特化型M&A仲介サービスの提供等を行っております。
② 競争優位性
当社グループには以下の点で競争優位があると考えております。
競争優位性 | 内容 |
オンライン不動産取引のパイオニア | ・ネット不動産による強みで短期間での売上拡大、低い在庫回転期間及び売上高有利子負債比率を実現 ・不動産取引だけでなくSaaSビジネスも展開 |
リアルとテクノロジーを組み合わせた参入障壁の高い独自のビジネスモデル | ・マネージド・マーケットプレイスによる高品質な商品の提供 ・RENOSYマーケットプレイス上で取引が完結することにより中間業者による中間マージンカットで売手、買手のメリットに ・長期間が必要なリアルオペレーションの構築に不動産取引のオンライン化による顧客体験向上を掛け合わせることにより参入障壁が高い |
優良顧客基盤によるストックビジネス | (RENOSYマーケットプレイス事業) ・既存会員やリファラルからの収入(ストック収入)が60%超 ・高属性のRENOSY会員が約52万人 ・購入DXのターゲット顧客である年収500万円以上は約1,500万人、世帯純金融資産5,000万円以上は約300万世帯と市場が大きい (ITANDI事業) ・個々のプロダクトを個別に提供するのではなく、不動産管理全般をカバーするSaaSソリューションを顧客に提供しており、これらのデジタル化された収益性の高いサービスにより、高いブランド認知を獲得している。 ・内見予約、入居申込、電子契約サービス2年連続仲介会社利用率No.1(注1) ・仲介会社向け業務効率化サービス、売上に対する満足度、サポート体制満足度、2年連続仲介会社利用率No.1(注1) ・業者間流通サイト、管理会社に導入してほしい業者間サイト、使いやすい業者間サイトNo.1(注2)
(注1) リーシングマネジメントコンサルティング株式会社「2024年賃貸不動産市場顧客動向調査」。 (2024/3/4) n=386 (注2) [調査実施機関]株式会社産業マーケティングコンサルティング [調査期間]2024年2月21日~4月8日 [調査対象]顧客管理システムを導入している都道府県庁所在地・政令指定都市を中心とした宅地建物取引業者名簿に登載されている宅地建物取引業者。 [調査方法]電話ヒアリング調査+FAXアンケート [ヒアリング件数]電話2,900件、アンケート送付426件 [有効回答数]145件(※賃貸仲介でCRMシステムを導入している会社) [分析]有効回答数の多かった4つのシステムで比較。 |
ネットワーク性が高く継続的に拡大するマーケットプレイス | ・質や量が担保されたマーケットプレイス内での購入DXに加えて、売却DXの強化によりネットワーク効果が高まる好循環モデル |
M&A戦略を通じた非連続の成長力 | ・①市場シェア及び商流拡大、②優良顧客(反響)獲得、③商品ラインナップ拡充、④メディア強化、⑤サービスカバレッジ拡大を軸に、国内、海外でM&Aを展開 ・過去に実施したM&A対象企業はスピーディに業績を改善 ・売上総利益に占めるノンオーガニック比率は7年で42.6%まで増加。 |
③ 事業を行う市場の状況
当社グループが事業を行う市場の状況は以下の通りであります。
a) 市場規模
不動産投資市場は約77兆円(注1)の市場があり、当社のRENOSYマーケットプレイス事業が現在注力している首都圏の中古マンションのうち50㎡未満の市場は約2.6兆円(注2)となります。また、不動産テック市場は約2.3兆円(注3)、ITANDI事業が狙う市場規模は3,620億円(注4)となっており、当社グループは成長の可能性を秘めた巨大な市場を事業対象としております。
b) ネット不動産の到来
2022年5月の宅建業法の改正により不動産のオンライン取引が可能となっており、「ネット不動産」が到来しております。当社グループは「ネット不動産」業界の先駆者であり、リーディングカンパニーを目指しております。
c) 若年層における持ち家比率の低下
日本における持ち家比率は低下傾向(注5)であり、若年層における投資不動産の需要は拡大しております。
d) 中古住宅流通比率の向上
中古不動産流通量は増加傾向で、他の国と比較しても成長の余地が大きい状況にあります。既存住宅流通比率は日本は2013年34.4%から2022年42.3%まで増加(注6)、2018年時点で同比率は米国81.0%、英国85.9%、フランス69.8%(注7)となっております。
(注1)出所:ニッセイ基礎研究所不動産投資レポート(2023年7月18日)
(注2)株式会社東京カンテイ「プレスリリース 首都圏の新築・既存マンション市場規模」(2021年1月)および「プレスリリース 首都圏新築・既存マンション市場動向」(2021年5月)発表結果、東日本不動産流通機構発表の登録物件データ、不動産投資市場上位10社のデータを参考に推計。
(注3)出典:矢野経済研究所「不動産テック市場の現状と展望 2024」。
(注4)各プロダクトの合計ARR=①仲介会社向け既存プロダクトARR+②管理会社向け既存プロダクトARR+③管理会社向け新プロダクトARR | ①仲介会社向け既存プロダクトARR=仲介会社数×ARPU | ②管理会社向け既存プロダクトARR=管理会社数×ARPU | ③管理会社向け新プロダクトARR=管理会社数×ARPU | 仲介会社数=不動産業者数×仲介会社率 |管理会社数=不動産業者数×管理会社比率。他事業との兼業のため重複あり。
(注5)令和2年版厚生労働白書(厚生労働省)
(注6)一般社団法人不動産流通経営協会「既存住宅流通量の地域別推計について」(令和6年)
(注7)中古住宅販売率。国土交通省「既存住宅市場の活性化について」(令和2年)
④ 経営戦略
当社グループの成長戦略は以下のとおりです。
a)当社グループが目指す10年後の世界
・不動産をワンクリックでカンタンに取引
・ネット不動産のエコシステムの完成により不動産業界のDX変革を実現。リアル×テックのノウハウを活用して更なる産業DXを強力に推進
b)RENOSYマーケットプレイス事業
・RENOSY会員数の拡大により取引量並びに賃貸管理件数の増加につなげ、更に売却数が増えることでネットワーク効果が高まりマーケットプレイスとしての地位を確立する。
・更に、RENOSYマーケットプレイスの売買が拡大することで、スケール化が進展し、商品ラインアップ拡充や市場シェア拡大を通じたネットワーク効果の発現、認知度の拡大による成約率上昇や広告宣伝費率低減、リピート顧客増加による人件費率の低減等により、マージンを拡大する。
c)ITANDI事業
・導入社数の増加とプロダクトのシェアや利用数の増加により、ITANDI BBの掲載数とPVの増加につなげ、指数関数的な利益成長の可能性をもたらすプラットフォームパワーを生み出す。
・また、賃貸管理システムであるITANDI管理クラウドを起点に、基幹システムのアップセル、基幹システムのオンプレ版からクラウド版への移行、イタンジ既存プロダクトのクロスセル等により、ロングテールへの導入社数拡大とARPU向上を両立する。
d)海外展開
・ストックビジネスによる安定的収益を確保しつつ、蓄積されたノウハウや知見、利益をフロービジネスに投下し成長を加速させ、グローバルでのネットワーク効果拡大を実現する。
e)不動産データ戦略
・当社グループは全国約12万社ある不動産会社のうち、合計約7,400社の顧客に既に業務支援SaaSサービスを提供している。また、コンパクトマンションの約50%のデータ及び年間入居申込の約40%のデータを保有しており、不動産テック分野では競争優位性が高い。このような豊富なデータ量と高度なデジタル化により業界で独自の地位を確立することを目指す。
f)M&A戦略
・新規領域参入や既存事業拡大 (エリア拡大やプロダクト拡充、顧客獲得)、等を目的にM&Aを活用
g)財務戦略
・長期でのフリー・キャッシュ・フローを最大化させることを経営目的とし、中期的には、マーケットプレイス事業及びSaaS事業を軸とした価値向上による売上総利益の最大化を目指す
・営業キャッシュ・フローや有利子負債等から得られたキャッシュを主に事業投資及びM&Aに積極的に投下し、成長の加速化を図る。
・長期的な株価上昇が重要と考え、売上収益成長を最優先し、将来キャッシュ・フローの最大化を目指すため、短期的には配当による株主還元は行わない方針
・中期目標として、継続的な売上収益成長率30%、継続的なSaaS売上収益成長率30~40%、売上総利益率20%以上、コア事業利益率20%以上、キャッシュ・コンバージョン・サイクル30日以内、自己資本比率30~40%程度を設定
h)人事戦略)
戦略 | 主な施策 | 内容 |
パフォーマンス最大化の仕組み構築 | 採用 | ・リファラル採用強化による、マッチ人財の獲得 ・GAリクルーターによる採用アトラクト力の強化 |
育成 | ・抜擢/育成プランの立案・実行 ・管理職向け研修・サポートツールの拡充 | |
評価報酬 | ・全社横断を前提とした、シンプルで分かりやすい報酬制度の策定 | |
配置 | ・人財ポートフォリオに基づく能動的配置 ・成長・キャリア支援を目的とした異動の推進 | |
パフォーマンス最大化の環境構築 | 安心安全 | ・育児支援(休暇・手当・サポート) ・LGBTQ各種制度制定 |
健康 | ・フレックスタイム、リモートワーク導入 ・ストレスチェック年2回実施 | |
文化コミュニティ | ・ヨココミュニティの強化 | |
成長キャリア | ・事業成長人財に対する、キャリア/成長/挑戦 支援施策の拡充 |
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が対処すべき主な課題は、以下のとおりであります。
当社は2024年6月に2026年10月期までの中期経営計画を策定しており、当該計画の実現が当社が優先的に対処すべき課題と認識しております。当該計画の主な内容は以下の通りであります。
①戦略
a) コア事業の強化:不動産DXエコシステム完成
不動産投資領域で売る・買う・貸す・借りるをオンラインで一気通貫で提供し、圧倒的なシェアを獲得
注力ポイント | 具体的な取り組み | 重要KPI |
RENOSYオンライントランザクション | ・主力中古マンション市場でのシェア拡大 ・デジタルマーケティングによる集客強化 ・AI査定活用による不動産売却獲得強化 | ・市場シェア20%以上 ・認知度70%以上 ・直接調達比率50%以上 |
RENOSYサブスクリプション(国内) | ・ノンオーガニック含めた管理戸数拡大 ・スケールメリットを生かした生産性向上 | ・管理戸数5万戸以上 ・事業利益率25%以上 |
ITANDI | ・注力エリアにおける賃貸管理SaaS利用のマーケットシェア拡大 ・プラットフォームパワーの醸成及びクロスセル効果の発現 | ・全国シェア37%(利用管理戸数約720万戸) ・導入プロダクト数1.5万プロダクト |
売買仲介(Housmart他) | ・売買仲介SaaS利用のマーケットシェア拡大 ・Sales増強による高成長率の実現 | ・全国市場シェア率10%前後(売買契約数約12万件) ・事業売上CAGR50%以上 |
b) コア事業の海外展開:グローバル化加速
米国・アジア・欧州3拠点でのクロスボーダー取引拡充の基盤を確立
注力ポイント | 具体的な取り組み | 重要KPI |
欧米市場 | ・米国RW OpCoの利益成長加速 ・進出地域の拡大 | ・事業利益率10% ・1ヶ国⇒3か国 |
アジア市場 | ・顧客獲得強化(累計仲介件数) ・進出地域の拡大
| ・約2万件⇒約2.5万件 ・5つの国と地域⇒8つの国と地域 |
グループシナジー | ・クロスボーダー不動産取引強化 | ・海外売上100億円以上 |
c) 第三の収益の柱創出:テクノロジー戦略強化
新たな収益源の獲得とテックを活用したビジネスのスケール化
注力ポイント | 具体的な取り組み | 重要KPI |
データマネタイズ | ・データマネタイゼーション | ・データ活用ビジネス売上収益20億円以上 |
テクノロジー力向上 | ・AIによる最適な顧客提案 ・個人の業務ノウハウの形式知化と自動化 | ・商談成約率20%向上 ・賃貸管理定型業務90%以上削減 |
テクノロジー投資 | ・テクノロジー人材採用及び育成強化 | ・テクノロジー投資率10%以上 |
②数値目標
中期経営計画の最終事業年度である2026年10月期において、以下の数値目標を目指します。
a)連結
売上収益 | 323,000百万円 |
ネット売上収益 | 55,900百万円 |
売上総利益 | 54,100百万円 |
事業利益 | 10,000百万円 |
コア事業利益率 | 17.9% |
EPS成長 | 5倍(2023年10月期の27.5円から135円) |
b)RENOSYマーケットプレイス
売上収益 | 313,700百万円 |
事業利益 | 16,500百万円 |
c)ITANDI
売上収益 | 8,400百万円 |
事業利益 | 1,460百万円 |
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