GA technologies 【東証グロース:3491】「不動産業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を生む世界のトップ企業を創る。」を理念に掲げ、各産業、業界の課題をDXで解決し、透明性が高く、なめらかな顧客体験を提供することを基本的な方針としております。
(2)経営環境及び経営戦略
① 企業構造及び主要サービス
当社グループは、当社及び子会社17社で構成され、RENOSYマーケットプレイス事業、ITANDI事業、その他事業を行っております。
RENOSYマーケットプレイス事業のうち、オンライントランザクションは、ネット不動産投資サービスブランド「RENOSY(リノシー)」の開発・運営を中心として、投資用不動産の売買、中古不動産の売買及び売買の仲介、高級賃貸用不動産の賃貸仲介、タイの日本人駐在員向け不動産賃貸仲介業務を提供しております。また、サブスクリプションとして、マンション賃貸管理、サブリース、家賃債務保証事業リフォーム及びリノベーション業務を提供しております。
ITANDI事業においては、賃貸会社向けSaaSシリーズ「ITANDI BB+」、不動産業者間サイト「ITANDI BB」の開発・運営、BtoCのネット不動産賃貸サービス「OHEYAGO」の提供、賃貸管理業務の基幹ソフトウエア「賃貸名人」の開発・運営等を行っております。
その他事業としては、住宅ローン申込プラットフォームサービス「MORTGAGE GATEWAY by RENOSY」の運営、中華圏の投資家と日本の不動産をマッチングするプラットフォーム「神居秒算」の運営、M&A仲介・コンサルティング事業等を行っております。
② 競争優位性
当社グループには以下の点で競争優位があると考えております。
競争優位性 | 内容 |
オンライン不動産取引のパイオニア | ・ネット不動産による強みで短期間での売上拡大、低い在庫回転期間及び売上高有利子負債比率を実現 ・不動産取引だけでなくSaaSビジネスも展開 |
リアルとテクノロジーを組み合わせた参入障壁の高い独自のビジネスモデル | ・マネージド・マーケットプレイスによる高品質な商品の提供 ・RENOSYマーケットプレイス上で取引が完結することにより中間業者による中間マージンカットで売手、買手のメリットに ・長期間が必要なリアルオペレーションの構築に不動産取引のオンライン化による顧客体験向上を掛け合わせることにより参入障壁が高い |
優良顧客基盤によるストックビジネス | ・既存会員やリファラルからの収入(ストック収入)が60%超 ・高属性のRENOSY会員が約40万人 ・購入DXのターゲット顧客である年収500万円以上は1,580万人、世帯純金融資産5,000万円以上は342万世帯と市場が大きい |
ネットワーク性が高く継続的に拡大するマーケットプレイス | ・質や量が担保されたマーケットプレイス内での購入DXに加えて、売却DXの強化によりネットワーク効果が高まる好循環モデル |
収益性の高いSaaS事業の展開 | ・賃貸会社向けSaaSシリーズ「ITANDI BB+」のうち「内見予約くん」、「申込受付くん」、「電子契約くん」は賃貸仲介会社の利用実績No.1 ・仲介会社向け業務効率化サービス「ノマドクラウド」が売上貢献に対する満足度、サポート体制満足度それぞれでNo.1 ・業者間流通サイト「ITANDI BB」が業者間流通サイトの中で管理会社に導入してほしいサイトNo.1、使いやすいサイトNo.1 ・所属会員数約35,000社を抱える全日本不動産協会の会員支援システム「ラビ―ネット」を2023年4月より提供開始。当該システム「ラビ―ネット」がイタンジプロダクトと連携することで、「ITANDI BB+」の導入社数増加が期待できる ・基幹システム「イタンジ管理クラウド」の提供開始。賃貸管理会社の業務フロー全体をカバーすることで更なる利便性及び顧客満足度の向上に貢献。また、基幹システムを起点にロングテールへの導入数拡大とARPU(1社当たり売上高)向上を両立 |
M&A戦略を通じた非連続の成長力 | ・①市場シェア及び商流拡大、②優良顧客(反響)獲得、③商品ラインナップ拡充、④メディア強化、⑤サービスカバレッジ拡大を軸に、国内、海外でM&Aを展開 ・過去に実施したM&A対象企業はスピーディに業績を改善 ・売上総利益に占めるノンオーガニック比率は6年で41.1%まで増加。また、ノンオーガニックの売上総利益CAGR(年平均成長率)は159%と高水準 |
③ 事業を行う市場の状況
不動産業界は投資・運用、管理、賃貸、開発・分譲、流通の5つの業態からなり、当社グループのビジネスとは、RENOSYマーケットプレイス事業が投資・運用、管理に、ITANDI事業が管理及び賃貸に関連しております。不動産投資市場は約65兆円の市場があり、当社グループが現在注力している首都圏の中古マンションのうち50㎡未満の市場は約1.5兆円となります。また、不動産管理業が関連する全国の借家戸数は1,925万戸、不動産賃貸業が関連する入居申込件数は325万戸、契約件数は228万戸となり、ITANDI事業が対象としている市場は約3,000億円程度と想定しております。
我々が関与する不動産投資・運用や管理・賃貸は以下のようにテクノロジーとの親和性が高いという特徴があります。投資用不動産は、家賃、価格、利回りで数値化可能であるため、金融商品に近く、株式投資と同様に遠方、海外からも投資ができ、購入者のうち約9割の方が内見を行わず売買されます。また、不動産の賃貸は売買と比較して費用負担が少なく手軽で簡単に引越しができ、住み替えがしやすいため、内見ニーズが低く、また法改正によりIT重説(WEB会議などのITを適用して行う、賃貸借契約における重要事項説明)なども可能となり、店舗に行かずとも非対面で手続きができます。
④ 経営戦略
当社グループの企業価値向上に向けた戦略は以下のとおりです。
(事業戦略)
戦略 | 主な施策 | 内容 |
ビジネスモデル事業戦略 | マーケットプレイス拡大 | ・デジタルマーケティング活用により認知度を拡大させ、利用意向を上昇 ・リピート顧客の売買促進 |
ストックビジネス強化 | ・収益の安定性向上に向けたストック収益の向上 ・事業基盤の強化及び収益構造転換 | |
積極的なM&A | ・M&Aした企業とのシナジー実現 ・継続的な事業成長につながるM&A強化 | |
経営管理強化 | 中期経営計画の策定 | ・主要事業の中長期戦略を策定 ・計画的な予算策定 ・厳格な業績管理体制の構築 |
週次KPI管理体制構築 | ・週次KPI管理の徹底 ・グループ会社含めた業績進捗をタイムリーに把握する体制構築 | |
財務戦略策定、指標設定 | ・財務戦略策定 ・財務健全性に関する管理指標の導入 ・財務規律を持った事業成長の実現 |
(人事戦略)
戦略 | 主な施策 | 内容 |
パフォーマンス最大化の仕組み構築 | 採用 | ・リファラル採用強化による、マッチ人財の獲得 ・GAリクルーターによる採用アトラクト力の強化 |
育成 | ・抜擢/育成プランの立案・実行 ・管理職向け研修・サポートツールの拡充 | |
評価報酬 | ・全社横断を前提とした、シンプルで分かりやすい報酬制度の策定 | |
配置 | ・人財ポートフォリオに基づく能動的配置 ・成長・キャリア支援を目的とした異動の推進 | |
パフォーマンス最大化の環境構築 | 安心安全 | ・育児支援(休暇・手当・サポート) ・LGBTQ各種制度制定 |
健康 | ・フレックスタイム、リモートワーク導入 ・ストレスチェック年2回実施 | |
文化コミュニティ | ・ヨココミュニティの強化 | |
成長キャリア | ・事業成長人財に対する、キャリア/成長/挑戦 支援施策の拡充 |
(事業別成長戦略)
事業 | 主な施策 | 内容 |
RENOSYマーケットプレイス | テック活用 | 不動産にまつわるバリューチェーンを一気通貫ですべてオンライン化し、買い手、売り手両方のDXを強化 |
デジタル戦略 | ラストワンマイルのデータ(売買と賃貸の成約データ)保有の強みとそれらデータのAI活用で価値を創出(生産性向上、業務効率化、AI査定、募集条件に応じた空室期間予測、データ活用の新サービス提供等) | |
マージンの拡大 | RENOSYマーケットプレイスの売買が拡大することで、以下を想定。 (売上総利益率の向上) ・商品ラインナップ拡充 ・市場シェア拡大を通じたネットワーク効果の発現(売上拡大、競争力のある仕入) ・認知度の拡大による成約率上昇 (販管費率の低下) ・リピート顧客増加による人件費率削減 ・認知度の拡大による広告宣伝費率削減 | |
ITANDI | 不動産のインフラ | ・賃貸仲介・賃貸管理領域、売買仲介領域の双方のプロダクトの競争優位性・顧客基盤を活用した顧客価値最大化とシェア拡大 ・クロスセルと領域拡大を通じて不動産のインフラを目指す |
(財務戦略等)
・長期でのフリー・キャッシュ・フローを最大化させることを経営目的とし、中期的には、マーケットプレイス事業及びSaaS事業を軸とした価値向上による売上総利益の最大化を目指す ・短期的には既存事業の収益力強化によるリターンの極大化に向けて積極的な成長投資を行い、中長期的には新たな価値創出のための新規事業やM&Aによる非連続な成長に取り組む ・営業キャッシュ・フローや有利子負債等から得られたキャッシュを主に事業投資及びM&Aに積極的に投下し、成長の加速化を図る。 ・長期的な株価上昇が重要と考え、売上収益成長を最優先し、将来キャッシュ・フローの最大化を目指すため、短期的には配当による株主還元は行わない方針 ・中期目標として、売上高成長率20~30%、売上総利益率~20%、キャッシュ・コンバージョン・サイクル30日以内、自己資本比率30~40%程度を設定 |
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① ネット不動産による業界DX改革
不動産業界はオンライン化が最も遅れている業界の一つでありますが、法改正による規制緩和を契機にネット不動産の到来が叫ばれております。当社グループは従前から不動産取引の一連のプロセスをテクノロジー(デジタル)で一気通貫に行うビジネスモデルを推進してまいりましたが、今後も更なる強化を行い、ネット不動産で不動産業界のDX改革に貢献する方針であります。
② 「RENOSY(リノシー)マーケットプレイス」事業の強化
(a)マーケットシェアの拡大
当社グループは、従前より知名度の向上等によるマーケットシェアの拡大に努めてまいりましたが、ネットワーク効果による参入障壁を強固にする観点から、更なるマーケットシェアの拡大が必要と考えております。RENOSY会員の獲得を成長ドライバーとし、買い手、売り手を増やすことで取引件数を向上させ、取引件数増加による認知度向上によりRENOSY会員を獲得するという循環を加速したいと考えております。また、商品ラインナップを拡充することによる更なる取引量の拡大も図ってまいります。
(b)手数料率の維持・向上
企業価値向上に資する売上総利益の最大化のために、手数料率の維持・向上が課題となっております。当社グループから見た売り手に対するDXによるオーナーからの直接調達の強化、手数料率の高い商品ラインナップの拡充、市場シェア拡大によるネットワーク効果(売上拡大、競争力のある仕入)、認知度の拡大による成約率上昇や広告宣伝費率削減、リピート顧客増加による人件費率削減等により、手数料率の維持・向上を目指してまいります。
(c)サブスクリプション事業におけるDX
当社グループの株式会社RENOSY ASSET MANAGEMENTは不動産投資運用の資産管理を”賃貸管理”にとどまらない、独自の長期的・安定的、豊富なサービスラインナップを備え、月額のサブスクリプションでサービスを提供しております。事業の更なるDXを通じて、オーナー、入居者、原状回復・リノベーション業者等、当事業に関連するすべての人々の顧客体験及び生産性の向上による収益性の向上を目指してまいります。
(d)海外事業の展開
当社グループは、世界各国の買い手、売り手をマーケットプレイスでマッチングし、クロスボーダーでの不動産取引を実現できるようになる、そのような世界の実現に向けて、従前より海外事業に進出してまいりました。今後もマーケットプレイスの新たなユーザーを獲得すべく、展開地域を拡大するとともに、海外事業に対応できるグローバル人財の採用強化を図ってまいります
③ ITANDI事業の強化
(a)管理会社向けSaaSのシェア拡大
ITANDI事業において、物件検索から内見、入居申込、契約、更新、退去手続きまでを一気通貫でサポートし、顧客管理機能も有する不動産賃貸業務のDXサービス群である「ITANDI BB+」を提供してまいりました。さらに2023年5月より賃貸管理業務の基幹システムである「イタンジ管理クラウド」を提供開始しており、これにより賃貸管理業務を一気通貫でDXすることに成功しております。今後とも不動産業界のインフラとなるべく、シェア拡大を図ってまいります。
(b)賃貸仲介・売買仲介会社向けSaaSのシェア拡大
ITANDI事業において、賃貸仲介会社向けCRMサービスである「ITANDI BB+(イタンジビービープラス)ノマドクラウド」を展開しておりますが、今後は売買仲介会社向けCRMサービスを展開する予定であります。既存顧客へのクロスセルを含め、双方のプロダクトの競争優位性・顧客基盤を活用した顧客価値最大化とシェア拡大を目指してまいります。
④ 新規事業の創出
既存の主な事業であるRENOSYマーケットプレイス事業及びITANDI事業は、コア事業としてさらに強化を行っていく一方で、新たな収益の柱として、新規事業の創出も必要となってくると認識しております。当社グループでは、”リアル”×”テック”を活用した事業の創出を目指しており、M&A仲介事業に参入いたしました。今後とも新規事業へのチャレンジを進めていく方針であります。
⑤ ノンオーガニックな成長
当社グループは継続的な成長を行うために、従前より(a)市場シェア及び商流拡大、(b)優良顧客(反響)獲得、(c)商品ラインナップ拡充、(d)メディア強化、(e)サービスカバレッジ拡大の観点から、既存事業とのシナジーが期待できる事業についてM&Aを実施してまいりました。今後とも、事業成長につながるM&Aを継続するとともに、M&Aによりグループジョインした企業とのシナジー実現を目指してまいります。
⑥ コーポレート・ガバナンス及び経営管理体制の強化
当社グループの更なる事業の拡大、継続的な成長のためには、当社グループ全体を俯瞰したコーポレート・ガバナンス及び経営管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。当社は、監査等委員会設置会社を採用し、監査等委員である取締役に対し豊富な情報アクセスを担保するとともに、取締役の過半数を社外役員とし、日常的に議論する等、コーポレート・ガバナンスを強化してまいりました。また、中期経営計画の策定、週次のKPI管理体制の構築、財務戦略策定、指標の設定等、経営管理体制を強化してまいりました。今後も人員の増強、監査等委員と内部監査の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施、各種モニタリング体制の構築等を通じて、コーポレート・ガバナンス及び経営管理体制の強化に取り組んでいく方針であります。
⑦ 従業員のパフォーマンスの最大化
当社グループは今後の事業の拡大のために優秀な人財の採用、育成、評価・報酬及び配置等の仕組み構築が重要な課題であると認識しております。また、従業員がパフォーマンスを最大限に発揮できる環境構築(安心安全、健康、文化・コミュニティ、成長・キャリア)も重要な課題であると認識しております。当社グループは従前よりこれらの仕組みや環境構築に取り組んでまいりましたが、今後もダイバーシティの推進、従業員の働きがいや満足度向上を通じて従業員のパフォーマンスを最大化することに取り組んでいく方針であります。
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